学園トップに反抗したら様子がおかしくなった (旧/金持ち学園)

いとこんドリア

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十二章/修学旅行(後編)

96.らぶいちゃ

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「初々しい反応だなオマエ。やっぱりキモオタ童貞だ」

 キザったらしく笑う直が憎らしい。

「童貞言うな!」
「じゃあ処女か」
「女みたいな卑猥な言い方すんな!」

 どちらにせよ腹が立つ。

「でも初々しいお前、可愛いよ」
「可愛いも言うな。俺は女じゃねえから」
「知ってる。でもそう思うんだからしゃぁねーだろ」
「何がしゃぁねーだ。俺はお前の方が可愛いと思うんだけど」
「………あ?」

 直はこめかみをピクリとさせてジト目を向けた。

「捨てられた子犬みたいに見えるし、寂しがり屋の甘えん坊な所が特に可愛「次その言葉言ったら後で犯す」

 直が真顔でそう言うと、甲斐は何も言わなくなったのだった。

 入浴後、甲斐は直に抱きしめられて一緒な布団に入った。
 何か変な事をしたら金玉蹴るからなと前もって言っておいたおかげで、直は何もしてこない。きっと我慢しているのだろうが、心の準備もなしに体の関係は困るので、ここは我慢して頂くほかない。
 未だキスすらも恥ずかしくてたまらないのに、それ以上なんてまだ考えられないのだ。

 それにどちらが上か下かにもよる。とはいえ、俺は二次元知識だけは豊富だが、現実の体験はした事がない童貞。キスだけで狼狽えてしまうドチェリーボーイそのものだ。
 つまり考えるまでもなく俺が下にされる確率が高い。つまる所のけつあな確定である。
 とりあえず、俺はいつかケツ穴を掘られるかもしれない不安を内に秘め、直の腕の中でゆっくり瞼を閉じた。

「おやすみ、甲斐」

 そっと頬に直の優しい口づけを感じて、夢の世界へ旅立っていった。


 翌日、陽の明るさにゆっくり目覚めると、時計の針は六時半ごろを示していた。
 そろそろ起きなければ朝食の時間に間に合わないと甲斐は隣で眠る直を揺り起こす。

「おい、もう起きろよ。朝食の時間」
「……あと少し……」

 直は眠そうに呟く。低血圧なのはわかるがなんでそんなに寝不足なんだろうか。一緒に22時くらいに就寝したというのに、もしかして寝てないのか。

「バカ。自宅気分でいるんじゃねーよ。はやく起きないと朝食に間に合わないだろ」
「じゃあ……お前からキスして。激しいやつ」
「……は?」

 唖然として固まっていると、直は少しだけ顔を見せて、

「甲斐が激しいキスしてくれたらぼくちゃん起きる……」

 ふざけた条件を出してきた。

「キスってお前なあ……」
「じゃなきゃぼくちゃん起きない」

 寝返りをうち、直は布団をかぶってしまった。
 なにがぼくちゃんだこの野郎。本当に我儘である。

「面倒くせえ」

 しかし、ここで起きてくれないと自分も困る。朝の集合に間に合わない。
 だから甲斐は考えに考え抜いた末、仕方なくやるかと男らしく決意した。

「わーった!すりゃあいいんだろすりゃあ……」

 もうする前から恥ずかしくて逃げたい所だ。でも、今はこうするしかこの男が起きないのであればやけくそである。たとえキスとはいえもう何度も済ませてきた身。いつも恥ずかしがってちゃ男が廃るものだ。

「じゃあ、はやくしろ」

 直は布団から顔を見せて微笑み、無防備に目を閉じていた。

「準備万端だな。こういう時に限って」
「甲斐からのキス、貴重だから」

 たしかに貴重かもしれない。自分からなんてほとんどした事がないからな。
 だから、ここは男を見せようと思い、甲斐は勢い任せに直に顔を近づけて、そして……

「「――っ!!」」

 ゴッ、という小さくて鈍い音が聞こえたのはすぐの事だろうか。
 甲斐も直も額を強く押さえて苦悶の呻き声をあげた。

「テメエ……まるっきり大バカ野郎だな。なんでも勢いつければいいってもんじゃねーだろうが。やっぱ童貞処女のクソ間抜けだな」

 痛みに涙目で顔を歪めている直は甲斐を睨みつけている。 
 まさかの甲斐からのキスは、勢いをつけすぎたせいでデコに頭突き空振りしたなんて間抜けもいい所である。

「うるせえな!童貞処女のクソ間抜けとか言うな!ちゃんとキスモドキしてやっただけ感謝しろ!」
 
 普段から頭突きを武器にしている甲斐は、確かに痛みで涙目ではあるが、直程は痛みは感じていない。それなりに石頭なのでダメージは少ないのだ。

「お前の頭って相当な石頭だな」
「よく言われる」
「そんなにも頭が硬いからバカなんだろうな。脳みそ少ねぇだろ」
「確かに脳みそは少ないかもしれないが、てめえの煩悩だらけの脳もどうかと思いマッスル」

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