我ら月夜の白兎団

CROW莉久

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第1章 結成 「月夜の白兎団」

第3話 部室にて

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 放課後

 僕は現代文化研究同好会の部室の前に来ていた。


「とりあえず、入るか」


 ノックをしてドアを開ける。


「失礼しまーす」


 部室に入ると、目の前に2つの机が横向きにくっつけて置いてあり、正面は窓、右側にはロッカー、左奥にケージが置いてある。


 そして目の前机の右の席に彼女が座っていた。


「あ、どうぞー」


 と笑顔で言ってくれた。


 とりあえず、彼女の向かいの席に座る。


「ケージが置いてあるけど、何か飼ってるの?」


「はい、うさぎを飼っています」


 と、その時急に彼女と机の間からうさぎが顔を出した。


「うわっ!?」


「あ、驚かせちゃってすみません…」


「い、いや別に大丈夫だよ」


「それなら良かったです」


 そのうさぎは全身真っ白で、赤色の首輪がついていた。


「綺麗な色をしているね」


「はい、真っ白でとってもかわいいです!!」


「名前は?」


「ラビ助です!」


「ふーん、ラビ助か……いい名前だね」


「ありがとうございます」


 と、部室に来た目的を忘れるところだった。


「そういえば、君の持っている「能力」って?」


「ああ、そういえばそうでしたね」


 と言って彼女は立ち上がり、ラビ助をケージに戻した。


「じゃあ、さっそく使いますね」


 そう言いつつ彼女は、模様が描いてある右手を前に突き出した。

 模様が光り、部室が黄緑色の光に包まれる。

 すると彼女の目の前に本が突如出現した。

 本が出現すると、光は徐々に小さくなっていく。

 そして彼女は目の前に現れた本を手に取った。


「何出したらいいかわからなかったので、適当に家にある本を出して見ました」


「君の「能力」って……」


「私の「能力」は1度見た事のあるものを自由にコピー能力です」


「1度でも見たことがあると、どんな物でもコピーできたりする?」


「多分どんな物でも出せると思います」


 凄い、流石は能力者だ……


「それで、あなたの「能力」はなんですか?」


「えっと、なんて言うんだろうな……僕のは、「力」であって「能力」では無いらしいんだよね」


「つまり、どういうことですか?」


「えっと、……」


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 彼女に昨日博士から聞いたことをそのまま説明した。

 が、彼女の頭にはまだクエスチョンマークが残っているらしい。


「まあ、とりあえずあなたも「身体能力を強化する能力」を持っていることでいいですか?」


「んー、そういうことでいいね」


「そういえば、まだお互いに名前を言ってませんでしたね」


「ああ、確かに」


「それでは、私から自己紹介しますね。私は1年C組の夢野ツムギです。よろしくお願いします!」


「じゃあ僕も、僕は1年A組の湊宮アラタ、こちらこそよろしく!」


「さて、自己紹介も終わりましたし今後どうするかを決めましょう。」


「だね」


 そういえば、博士は脅威がどうのこうのとか言っていたような……


「えっとさ、夢野は脅威がどうしたとか聞いてる?」


「はい、聞いてますよ。」


「なら良かった、じゃあ教えて貰ってもいい?」


「良いですよ。脅威というのは、宇宙から来た謎の影のような存在らしいです。」


「影のような存在……」

「その影は何か特別な力とかって持ってたりするの?」


「どうやらその影は他の生命体の体を乗っ取ることができるみたいです」


「乗っ取られるとどうなるかって知ってる?」


「乗っ取られると元の生命体の意識は完全に消えて、その影に操られて死ぬまで他の生命体を襲うようです。……しかも元の生命体よりもかなり能力が上がっているらしいです」


「乗っ取られた生き物を元に戻すことは可能?」


「それがどうやら絶対に出来ないそうです」


それは恐ろしい、1度乗っ取られるとそのまま「死」確定という訳か……


「ですけど、どうやら「力」を貰った人はどうやら乗っ取られることは無いようです」


「じゃあ、僕や夢野は大丈夫っていうことだね、良かった……」


「はい、それとその影は完全に日が落ちてからじゃないと活動できないようです」


「まあ、影だしね昼間に活動できたらどうかと思うね。じゃあ、今後はその影を倒すということで良い?」


「はい、それがいいと思います。」


 とここで夢野が言った。


「せっかくなんだか正義の味方みたいなことするので、何かそういう団体とか作りませんか?」


 なんだか少し夢野のテンションが上がった気がした。


「もしかして、ヒーローとか正義の味方になってみたかったりした?」


「いえ!全く!!」


 夢野がどこか楽しんでいるように見える。

 まあ、シリアスな雰囲気ばっかりだと気が参ってしまいそうだし、少し楽しむのも良いかもしれない。


「別に良いんじゃないかな」


「それじゃあ明日までに団体の名前を考えてきてください!!」


 と夢野は笑顔で言った。


「ああ、わかったよ。じゃあ影の退治も名前が決まってからにする?」


「いえ、さっそく今日から影を探して退治しましょう!被害が出るかもしれません」


 という訳で今日から謎の影退治が始まるのだった。

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