【完結】婚約破棄したのに殿下が何かと絡んでくる

冬月光輝

文字の大きさ
12 / 15

第十二話

しおりを挟む
「まったく、これはどういうことだ……」

 レイオス殿下とエイラお姉様が家を出て、一週間ほど経ったある日。
 父は一通の手紙を読んでワナワナと震えていた。
 
「こんなはずでは、こんなはずでは、なかった。これは、誤解しとる! 誤解だ、誤解……!」

 そして、手紙に向かって叫ぶ父。
 手紙に何か抗議しているみたいだが、そんなに不本意なことを言われたのだろうか。

 まぁ、どうでもいいか。私もこの家にいい加減に愛想が尽きてきたし。
 ここ数日間、カール殿下が来なくなったけどそれはたまたまだろうし。
 父が国王陛下に未だに手紙を送っていないことは知っている。
 あれだけ言われても、事なかれ主義は治っていないらしい。

「ぐぬぬ、レイオス殿下はあのとき、ワシの真意を察してはくれなかったのか! これでは、ワシのせいで隣国との関係が悪くなったみたいではないか!」

「隣国との関係が悪くなった!?」

「どうやらワシが陛下に進言すべきというレイオス殿下のアドバイスを笑って聞き流したことが、陛下に知れたらしい。婚約者の父親のことを普通、告げ口するかぁ?」

 ああ、あの失礼な態度はやっぱり国王陛下に伝えられたんだ。
 事なかれ主義のくせに、レイオス殿下が怒っていることに気付かない鈍感なところがあるからこんな事になるのだ。

「レイオス殿下の指摘どおり調べたらマリーナは婚約指輪を横領しとった。そんな女とカール殿下の結婚を未然に防げたのは良かったが、ワシのスルーを決めた態度が問題視されてな」

「何か嫌な予感がするのですが」

「広い領地は任せられぬということで、半分に減らされた。半分だぞ、半分! こんなことでワシの信頼が失墜するなんて! 信じられるか!? これでは慰謝料五倍貰っても割に合わん!」

 領地、半分没収と来たか。
 これって、父が知らないだけでこれまで色々とやらかしていてそれが累積していたのかもしれない。
 しかし、カール殿下とマリーナさんの婚約はこの短期間で駄目になってしまうなんて……。

 ちょっと待ってほしい。カール殿下とマリーナさんの縁談が駄目になったということは――。

 ゾクッと背筋に寒気が走った瞬間、ざわつきながら使用人たちがこちらにやって来た。

「旦那様! カール殿下がまた来られました」
「シーラお嬢様とやり直したいとか言っていますよ」
「殿下ったら、今さら何を仰っているのでしょうか。旦那様、今度こそビシッと仰ってくださいな」

 やっぱりカール殿下が来たらしい。 
 しかも、図々しくも復縁を要求するなんて、私のことをバカにしている。

 父もいい加減に怒ってほしい。カール殿下を叱りつけるくらいしても問題な――。

「チャーンス! 領地奪還のチャンス到来だ! シーラ! お前、カール殿下とやり直せ! そしたら、我が家と王家は再び結ばれる!」

 目をギラギラさせて、私に復縁しろと命じる父。
 私はこの家から逃げ出す決意を固めた。
しおりを挟む
感想 143

あなたにおすすめの小説

幼馴染に夢中の夫を捨てた貴婦人は、王太子に熱愛される

Narian
恋愛
アイリスの夫ロイは、新婚の頃から金髪の愛らしい幼馴染・フローラに夢中で、妻には見向きもしなかった。 夫からは蔑ろにされ、夫の両親からは罵られ、フローラからは見下される日々。そしてアイリスは、ついに決意する。 「それほど幼馴染が大切なら、どうぞご自由に。私は出て行って差し上げます」 これは、虐げられた主人公が、過去を断ち切り幸せを掴む物語。 ※19話完結。 毎日夜9時ごろに投稿予定です。朝に投稿することも。お気に入り登録していただけたら嬉しいです♪

婚約解消したはずなのに、元婚約者が嫉妬心剥き出しで怖いのですが……

マルローネ
恋愛
伯爵令嬢のフローラと侯爵令息のカルロス。二人は恋愛感情から婚約をしたのだったが……。 カルロスは隣国の侯爵令嬢と婚約をするとのことで、フローラに別れて欲しいと告げる。 国益を考えれば確かに頷ける行為だ。フローラはカルロスとの婚約解消を受け入れることにした。 さて、悲しみのフローラは幼馴染のグラン伯爵令息と婚約を考える仲になっていくのだが……。 なぜかカルロスの妨害が入るのだった……えっ、どういうこと? フローラとグランは全く意味が分からず対処する羽目になってしまう。 「お願いだから、邪魔しないでもらえませんか?」

幼馴染か私か ~あなたが復縁をお望みなんて驚きですわ~

希猫 ゆうみ
恋愛
ダウエル伯爵家の令嬢レイチェルはコルボーン伯爵家の令息マシューに婚約の延期を言い渡される。 離婚した幼馴染、ブロードベント伯爵家の出戻り令嬢ハリエットの傍に居てあげたいらしい。 反発したレイチェルはその場で婚約を破棄された。 しかも「解放してあげるよ」と何故か上から目線で…… 傷付き怒り狂ったレイチェルだったが、評判を聞きつけたメラン伯爵夫人グレース妃から侍女としてのスカウトが舞い込んだ。 メラン伯爵、それは王弟クリストファー殿下である。 伯爵家と言えど王族、格が違う。つまりは王弟妃の侍女だ。 新しい求婚を待つより名誉ある職を選んだレイチェル。 しかし順風満帆な人生を歩み出したレイチェルのもとに『幼馴染思いの優しい(笑止)』マシューが復縁を希望してきて…… 【誤字修正のお知らせ】 変換ミスにより重大な誤字がありましたので以下の通り修正いたしました。 ご報告いただきました読者様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。 「(誤)主席」→「(正)首席」

【完結】あなただけがスペアではなくなったから~ある王太子の婚約破棄騒動の顛末~

春風由実
恋愛
「兄上がやらかした──」  その第二王子殿下のお言葉を聞いて、私はもう彼とは過ごせないことを悟りました。  これまで私たちは共にスペアとして学び、そして共にあり続ける未来を描いてきましたけれど。  それは今日で終わり。  彼だけがスペアではなくなってしまったから。 ※短編です。完結まで作成済み。 ※実験的に一話を短くまとめサクサクと気楽に読めるようにしてみました。逆に読みにくかったら申し訳ない。 ※おまけの別視点話は普通の長さです。

もう愛は冷めているのですが?

希猫 ゆうみ
恋愛
「真実の愛を見つけたから駆け落ちするよ。さよなら」 伯爵令嬢エスターは結婚式当日、婚約者のルシアンに無残にも捨てられてしまう。 3年後。 父を亡くしたエスターは令嬢ながらウィンダム伯領の領地経営を任されていた。 ある日、金髪碧眼の美形司祭マクミランがエスターを訪ねてきて言った。 「ルシアン・アトウッドの居場所を教えてください」 「え……?」 国王の命令によりエスターの元婚約者を探しているとのこと。 忘れたはずの愛しさに突き動かされ、マクミラン司祭と共にルシアンを探すエスター。 しかしルシアンとの再会で心優しいエスターの愛はついに冷め切り、完全に凍り付く。 「助けてくれエスター!僕を愛しているから探してくれたんだろう!?」 「いいえ。あなたへの愛はもう冷めています」 やがて悲しみはエスターを真実の愛へと導いていく……  ◇ ◇ ◇ 完結いたしました!ありがとうございました! 誤字報告のご協力にも心から感謝申し上げます。

我慢しないことにした結果

宝月 蓮
恋愛
メアリー、ワイアット、クレアは幼馴染。いつも三人で過ごすことが多い。しかしクレアがわがままを言うせいで、いつもメアリーは我慢を強いられていた。更に、メアリーはワイアットに好意を寄せていたが色々なことが重なりワイアットはわがままなクレアと婚約することになってしまう。失意の中、欲望に忠実なクレアの更なるわがままで追い詰められていくメアリー。そんなメアリーを救ったのは、兄達の友人であるアレクサンダー。アレクサンダーはメアリーに、もう我慢しなくて良い、思いの全てを吐き出してごらんと優しく包み込んでくれた。メアリーはそんなアレクサンダーに惹かれていく。 小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。

王命により、婚約破棄されました。

緋田鞠
恋愛
魔王誕生に対抗するため、異界から聖女が召喚された。アストリッドは結婚を翌月に控えていたが、婚約者のオリヴェルが、聖女の指名により独身男性のみが所属する魔王討伐隊の一員に選ばれてしまった。その結果、王命によって二人の婚約が破棄される。運命として受け入れ、世界の安寧を祈るため、修道院に身を寄せて二年。久しぶりに再会したオリヴェルは、以前と変わらず、アストリッドに微笑みかけた。「私は、長年の約束を違えるつもりはないよ」。

婚約破棄した王子は年下の幼馴染を溺愛「彼女を本気で愛してる結婚したい」国王「許さん!一緒に国外追放する」

佐藤 美奈
恋愛
「僕はアンジェラと婚約破棄する!本当は幼馴染のニーナを愛しているんだ」 アンジェラ・グラール公爵令嬢とロバート・エヴァンス王子との婚約発表および、お披露目イベントが行われていたが突然のロバートの主張で会場から大きなどよめきが起きた。 「お前は何を言っているんだ!頭がおかしくなったのか?」 アンドレア国王の怒鳴り声が響いて静まった会場。その舞台で親子喧嘩が始まって収拾のつかぬ混乱ぶりは目を覆わんばかりでした。 気まずい雰囲気が漂っている中、婚約披露パーティーは早々に切り上げられることになった。アンジェラの一生一度の晴れ舞台は、婚約者のロバートに台なしにされてしまった。

処理中です...