3 / 6
第三話
しおりを挟む私は、家族みんなでご飯を食べ始めると早速聞いた。
「今日、お祭りがあるんでしょ? どんなお祭りなの?」
横では、エレナとエレンが気まずそうにしている。
【あ~、主よ。 それ、本当に聞くのか?】
「うん、もちろん❗」
私がはっきりと頷くと、お父様が教えてくれた。
「今日のお祭りはな、昔、いたずらをしていたドラゴンを森の奥深くに追いやった記念の祭りだ。 そして、その勇者様が猫の服を着ていたことから子供にこのような服を着せるんだ」
私はそこまで聞き終わると、ふと首をかしげた。
「なら、なんで2人はきま… そうか、そういうことか」
私は、1人納得をするとエレナとエレンの顔を見た。
エレンは縦に頷くと、遠くを眺めて語りだした。
【あれは、この国が出来て100年ほどがたった頃だった…】
***
ハルノヒ王国が出来てから100年がたった頃、エレナとエレンは自分達の住む森から街を覗き見ていた。
【ねぇお兄ちゃん、あの人達が飲んでいるものはなんだろうね】
エレナは、人間たちが飲んでいるものを指さして言う。
【そうだな、あの様子から推測する限り、アールの実の果汁を集めたものでも飲んでいるのであろう】
アールの実、それは日本でいうお酒が木の実になったようなもので、食べると酔う木の実のことだ。
赤い木の実で、アルコールが多く含まれており、アルコールに強いエレナとエレンすらもほろ酔いにさせる木の実だ。
【ちょっと飲んでみたいかも】
エレナの一言により、二人は人の姿になって街のなかに出ていった。
お酒を飲み始めて暫くたった頃、アールの実をつまみに食べていたこともあり二人は酔っていた。
そして、ついにやってしまったのである。
しかも、エレナがだ。
気分がよくなってほんの少しだけお店の中で暴れてしまったのだ。
だが、ドラゴンでいうほんの少しだと人間でいうかなりになる。
そこへ運悪くたちよった猫の着ぐるみ姿の勇者は、お店の人に頼まれてエレナをとめるように言われたのだ。
「ちょっとそこの人、落ち着きなさい」
そんなことでとまるはずもなく、エレナは勇者に絡み始めた。
【そこの君~、飲み足りないんじゃないの~?】
「あ~、そういうの良いんで、ちょっと外に出ましょうか」
勇者は、塩対応で返すと、ぐいぐいとエレナの背中を押して外に出した。
一方エレンの方はというと、まだのんきに飲んでいた。
だが、さすがにヤバイと思い始めた頃で勇者が来たので、エレナは勇者に任せることにしてお会計を済ませていた。
このお金は、遠い昔に街へ出るとき用としてサーヤ様がくれたものだ。
「今日、お祭りがあるんでしょ? どんなお祭りなの?」
横では、エレナとエレンが気まずそうにしている。
【あ~、主よ。 それ、本当に聞くのか?】
「うん、もちろん❗」
私がはっきりと頷くと、お父様が教えてくれた。
「今日のお祭りはな、昔、いたずらをしていたドラゴンを森の奥深くに追いやった記念の祭りだ。 そして、その勇者様が猫の服を着ていたことから子供にこのような服を着せるんだ」
私はそこまで聞き終わると、ふと首をかしげた。
「なら、なんで2人はきま… そうか、そういうことか」
私は、1人納得をするとエレナとエレンの顔を見た。
エレンは縦に頷くと、遠くを眺めて語りだした。
【あれは、この国が出来て100年ほどがたった頃だった…】
***
ハルノヒ王国が出来てから100年がたった頃、エレナとエレンは自分達の住む森から街を覗き見ていた。
【ねぇお兄ちゃん、あの人達が飲んでいるものはなんだろうね】
エレナは、人間たちが飲んでいるものを指さして言う。
【そうだな、あの様子から推測する限り、アールの実の果汁を集めたものでも飲んでいるのであろう】
アールの実、それは日本でいうお酒が木の実になったようなもので、食べると酔う木の実のことだ。
赤い木の実で、アルコールが多く含まれており、アルコールに強いエレナとエレンすらもほろ酔いにさせる木の実だ。
【ちょっと飲んでみたいかも】
エレナの一言により、二人は人の姿になって街のなかに出ていった。
お酒を飲み始めて暫くたった頃、アールの実をつまみに食べていたこともあり二人は酔っていた。
そして、ついにやってしまったのである。
しかも、エレナがだ。
気分がよくなってほんの少しだけお店の中で暴れてしまったのだ。
だが、ドラゴンでいうほんの少しだと人間でいうかなりになる。
そこへ運悪くたちよった猫の着ぐるみ姿の勇者は、お店の人に頼まれてエレナをとめるように言われたのだ。
「ちょっとそこの人、落ち着きなさい」
そんなことでとまるはずもなく、エレナは勇者に絡み始めた。
【そこの君~、飲み足りないんじゃないの~?】
「あ~、そういうの良いんで、ちょっと外に出ましょうか」
勇者は、塩対応で返すと、ぐいぐいとエレナの背中を押して外に出した。
一方エレンの方はというと、まだのんきに飲んでいた。
だが、さすがにヤバイと思い始めた頃で勇者が来たので、エレナは勇者に任せることにしてお会計を済ませていた。
このお金は、遠い昔に街へ出るとき用としてサーヤ様がくれたものだ。
62
お気に入りに追加
531
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

婚約者に「愛することはない」と言われたその日にたまたま出会った隣国の皇帝から溺愛されることになります。~捨てる王あれば拾う王ありですわ。
松ノ木るな
恋愛
純真無垢な心の侯爵令嬢レヴィーナは、国の次期王であるフィリベールと固い絆で結ばれる未来を夢みていた。しかし王太子はそのような意思を持つ彼女を生意気と見なして疎み、気まぐれに婚約破棄を言い渡す。
伴侶と寄り添う心穏やかな人生を諦めた彼女は悲観し、井戸に身を投げたのだった。
あの世だと思って辿りついた先は、小さな貴族の家の、こじんまりとした食堂。そこには呑めもしないのに酒を舐め、身分社会に恨み節を唱える美しい青年がいた。
どこの家の出の、どの立場とも知らぬふたりが、一目で恋に落ちたなら。
たまたま出会って離れていてもその存在を支えとする、そんなふたりが再会して結ばれる初恋ストーリーです。

あなたには、この程度のこと、だったのかもしれませんが。
ふまさ
恋愛
楽しみにしていた、パーティー。けれどその場は、信じられないほどに凍り付いていた。
でも。
愉快そうに声を上げて笑う者が、一人、いた。
この作品は、小説家になろう様にも掲載しています。

【完結済み】妹の婚約者に、恋をした
鈴蘭
恋愛
妹を溺愛する母親と、仕事ばかりしている父親。
刺繍やレース編みが好きなマーガレットは、両親にプレゼントしようとするが、何時も妹に横取りされてしまう。
可愛がって貰えず、愛情に飢えていたマーガレットは、気遣ってくれた妹の婚約者に恋をしてしまった。
無事完結しました。
【完結】残酷な現実はお伽噺ではないのよ
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
恋愛
「アンジェリーナ・ナイトレイ。貴様との婚約を破棄し、我が国の聖女ミサキを害した罪で流刑に処す」
物語でよくある婚約破棄は、王族の信頼を揺るがした。婚約は王家と公爵家の契約であり、一方的な破棄はありえない。王子に腰を抱かれた聖女は、物語ではない現実の残酷さを突きつけられるのであった。
★公爵令嬢目線 ★聖女目線、両方を掲載します。
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
2023/01/11……カクヨム、恋愛週間 21位
2023/01/10……小説家になろう、日間恋愛異世界転生/転移 1位
2023/01/09……アルファポリス、HOT女性向け 28位
2023/01/09……エブリスタ、恋愛トレンド 28位
2023/01/08……完結
【完結】恋は、終わったのです
楽歩
恋愛
幼い頃に決められた婚約者、セオドアと共に歩む未来。それは決定事項だった。しかし、いつしか冷たい現実が訪れ、彼の隣には別の令嬢の笑顔が輝くようになる。
今のような関係になったのは、いつからだったのだろう。
『分からないだろうな、お前のようなでかくて、エマのように可愛げのない女には』
身長を追い越してしまった時からだろうか。
それとも、特進クラスに私だけが入った時だろうか。
あるいは――あの子に出会った時からだろうか。
――それでも、リディアは平然を装い続ける。胸に秘めた思いを隠しながら。

私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか
あーもんど
恋愛
聖女のオリアナが神に祈りを捧げている最中、ある女性が現れ、こう言う。
「貴方には、これから裁きを受けてもらうわ!」
突然の宣言に驚きつつも、オリアナはワケを聞く。
すると、出てくるのはただの言い掛かりに過ぎない言い分ばかり。
オリアナは何とか理解してもらおうとするものの、相手は聞く耳持たずで……?
最終的には「神のお告げよ!」とまで言われ、さすがのオリアナも反抗を決意!
「私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか」
さて、聖女オリアナを怒らせた彼らの末路は?
◆小説家になろう様でも掲載中◆
→短編形式で投稿したため、こちらなら一気に最後まで読めます
【完結】「神様、辞めました〜竜神の愛し子に冤罪を着せ投獄するような人間なんてもう知らない」
まほりろ
恋愛
王太子アビー・シュトースと聖女カーラ・ノルデン公爵令嬢の結婚式当日。二人が教会での誓いの儀式を終え、教会の扉を開け外に一歩踏み出したとき、国中の壁や窓に不吉な文字が浮かび上がった。
【本日付けで神を辞めることにした】
フラワーシャワーを巻き王太子と王太子妃の結婚を祝おうとしていた参列者は、突然現れた文字に驚きを隠せず固まっている。
国境に壁を築きモンスターの侵入を防ぎ、結界を張り国内にいるモンスターは弱体化させ、雨を降らせ大地を潤し、土地を豊かにし豊作をもたらし、人間の体を強化し、生活が便利になるように魔法の力を授けた、竜神ウィルペアトが消えた。
人々は三カ月前に冤罪を着せ、|罵詈雑言《ばりぞうごん》を浴びせ、石を投げつけ投獄した少女が、本物の【竜の愛し子】だと分かり|戦慄《せんりつ》した。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
アルファポリスに先行投稿しています。
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
2021/12/13、HOTランキング3位、12/14総合ランキング4位、恋愛3位に入りました! ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる