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最終話
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「てっきり、リーベル殿下が国王になられるのかと思っていましたが」
「それは過大評価しすぎだ。僕は所詮、第三王子だし、父上にも嫌われていた。国王には第一王子のディオス兄様がなるのが順当さ」
あれから後始末やら何やらで王宮内は慌ただしかったらしい。
我が家にもお達しがきた。
ヘレナが亡くなった前国王の愛人だったという事実はなかったと口止めをされたのである。
これはリーベル殿下の根回しだったらしい。
前国王との関わりをなかったことにして、彼女の子に王族の血が混じっているという事実を抹消しようとしたのである。
幸い、公式な記録も残っておらず、前国王は遺言も残していなかったので、ヘレナが愛人をしていたという話と子を宿したという話は闇へと葬られてしまった。
それと同時に前国王がケインを襲った理由も有耶無耶にされている。
ケインは単なる前国王暗殺を企んだ謀反人だとされており、前国王は情緒が安定しておらず、突発的に政治犯を攻撃しようとした等と無理のある理由を付けられたらしい。
リーベル殿下はその後、我が家に顔を出して面倒ごとは全て片付いてあとは新国王になる予定のディオス殿下が即位するのを待つのみだと伝えられる。
「それでリーベル殿下はケイン様を連れて行かれるときに“利用出来る”と仰せになりましたよね」
「ああ、言ったね」
「陛下はケイン様を殺そうとして、別人を襲って返り討ちに遭ったんですよね」
「そのとおりだ」
「それが狙いだったのですか?」
私はつい、聞いてしまった。
リーベル殿下がケインを捕らえたのは、わざと別人を前国王に襲わせようとしたからではないのかと。
前国王を殺した犯人は脱獄して、すぐに殺されたという。元々、死刑囚だったから捜査もろくにされずに打ち切ったときいたが。
それは口封じではないかと、私は思ってしまった。
つまり前国王の殺害は最初から仕組まれたものではないのかと。
「ご想像にお任せする。そして、アンネロッテさん。あなたがこれからそういった血なまぐさい事とは無縁の生活を送れることを心から祈っている」
それだけ告げて、リーベル殿下は去って行ってしまった。
彼はまたもや隣国に留学するのだという。
新王ディオスが即位して、ケインは恩赦ということで釈放された。
もちろん、伯爵家を勘当されたが冤罪で死罪になるよりはマシだと言っていたらしい。
それから二年後、私は縁があって侯爵家の嫡男と結婚することになったが、その後、実家に一通の招待状が届いた。
それは結婚式の招待状だった。
新婦は隣国の公爵家に養子になったという、女性ヘレナ。
新郎は隣国で要職についたというリーベルだった。
この瞬間、私はリーベルがどうしてあんなにも奔走していた本当の理由を知る。
ヘレナに魅入られていたのは前国王だけではなかったのだ。
「で、結婚式に行くのか?」
父は訝しい顔をして招待状を私に見せた。
私はその招待状とにらめっこして、丁重に欠席する旨を伝えるように父に頼む。
願わくば、私の子供は陰謀やら何やらとは無縁の人生を歩んでほしいと願いながら。
~完結~
◇ ◇ ◇
あとがき
最後まで読んでくれて、ありがとうございます。
書き終わって、これはハッピーエンドか?とは思いましたがバッドエンドじゃないから許してもらえると嬉しいです。
完結したので、昨日に引き続き新作を投稿しました。
『婚約破棄したのに殿下が何かと絡んでくる』
やばい感じのバカ王子が、最終的にはざまぁされる短編です。
もしよろしければ、目次の下にある作者コンテンツ(アプリの方は作者ページ)より、ポチッとして頂ければ、【お気に入り登録】をして頂けると嬉しいです。
何卒、よろしくお願いしますm(_ _)m
あと、余談ですが来週にデビュー作の第2巻が発売されます!
詳しくは近況ボードに書いてありますので、よろしければご覧になってください!
「それは過大評価しすぎだ。僕は所詮、第三王子だし、父上にも嫌われていた。国王には第一王子のディオス兄様がなるのが順当さ」
あれから後始末やら何やらで王宮内は慌ただしかったらしい。
我が家にもお達しがきた。
ヘレナが亡くなった前国王の愛人だったという事実はなかったと口止めをされたのである。
これはリーベル殿下の根回しだったらしい。
前国王との関わりをなかったことにして、彼女の子に王族の血が混じっているという事実を抹消しようとしたのである。
幸い、公式な記録も残っておらず、前国王は遺言も残していなかったので、ヘレナが愛人をしていたという話と子を宿したという話は闇へと葬られてしまった。
それと同時に前国王がケインを襲った理由も有耶無耶にされている。
ケインは単なる前国王暗殺を企んだ謀反人だとされており、前国王は情緒が安定しておらず、突発的に政治犯を攻撃しようとした等と無理のある理由を付けられたらしい。
リーベル殿下はその後、我が家に顔を出して面倒ごとは全て片付いてあとは新国王になる予定のディオス殿下が即位するのを待つのみだと伝えられる。
「それでリーベル殿下はケイン様を連れて行かれるときに“利用出来る”と仰せになりましたよね」
「ああ、言ったね」
「陛下はケイン様を殺そうとして、別人を襲って返り討ちに遭ったんですよね」
「そのとおりだ」
「それが狙いだったのですか?」
私はつい、聞いてしまった。
リーベル殿下がケインを捕らえたのは、わざと別人を前国王に襲わせようとしたからではないのかと。
前国王を殺した犯人は脱獄して、すぐに殺されたという。元々、死刑囚だったから捜査もろくにされずに打ち切ったときいたが。
それは口封じではないかと、私は思ってしまった。
つまり前国王の殺害は最初から仕組まれたものではないのかと。
「ご想像にお任せする。そして、アンネロッテさん。あなたがこれからそういった血なまぐさい事とは無縁の生活を送れることを心から祈っている」
それだけ告げて、リーベル殿下は去って行ってしまった。
彼はまたもや隣国に留学するのだという。
新王ディオスが即位して、ケインは恩赦ということで釈放された。
もちろん、伯爵家を勘当されたが冤罪で死罪になるよりはマシだと言っていたらしい。
それから二年後、私は縁があって侯爵家の嫡男と結婚することになったが、その後、実家に一通の招待状が届いた。
それは結婚式の招待状だった。
新婦は隣国の公爵家に養子になったという、女性ヘレナ。
新郎は隣国で要職についたというリーベルだった。
この瞬間、私はリーベルがどうしてあんなにも奔走していた本当の理由を知る。
ヘレナに魅入られていたのは前国王だけではなかったのだ。
「で、結婚式に行くのか?」
父は訝しい顔をして招待状を私に見せた。
私はその招待状とにらめっこして、丁重に欠席する旨を伝えるように父に頼む。
願わくば、私の子供は陰謀やら何やらとは無縁の人生を歩んでほしいと願いながら。
~完結~
◇ ◇ ◇
あとがき
最後まで読んでくれて、ありがとうございます。
書き終わって、これはハッピーエンドか?とは思いましたがバッドエンドじゃないから許してもらえると嬉しいです。
完結したので、昨日に引き続き新作を投稿しました。
『婚約破棄したのに殿下が何かと絡んでくる』
やばい感じのバカ王子が、最終的にはざまぁされる短編です。
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何卒、よろしくお願いしますm(_ _)m
あと、余談ですが来週にデビュー作の第2巻が発売されます!
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