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第九話(ヨシュア視点)
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「で、ヨシュアくんだっけ? 僕の婚約者を殴ろうとしたと聞いたが」
「愚息がとんだ粗相を! 貴様! エレナに続き、アリシアまで! チャルスキー家の恥晒しめ!」
ど、ど、どうしてこうなったーーーーっ!?
先日、アリシアの護衛が生意気なことを抜かしたので、締めてやろうと思ったら……。
本当にアルフォンス殿下が出てきやがっただと!?
――は、ハッタリって顔していたじゃん!
そりゃ、一貴族の護衛としてはきっちりした格好をしていたし、只者じゃない雰囲気はしていたけど、アルフォンス殿下の婚約者にあんな数日でなるはずないって思うじゃないか。
意味が分からない。誰かが俺を嵌めようとしているとしか思えない……。
「何か言わんか! 頭を下げろ! 親にこんなことを言わせるな!」
「……え、えっと、ほ、本当にアルフォンス殿下ですか? ほ、本物……?」
「貴様、何を訳のわからんこと言っとる! この馬鹿息子が!」
「痛っ!」
あまりに現実味がなくて、俺はついアルフォンス殿下が本物かどうか聞いてしまった。
すると、親父は怒って杖で俺を殴る。
いや、だってさ。本当に殿下が文句言いに来るなんて思えないじゃんか。
「僕の顔を覚えていないのか? まぁ、偽物だと思っているなら、そう思っていても構わないよ」
「い、いえ、本物の殿下です。間違いなく」
「当たり前だ! バカタレ!」
「痛っ!」
くっそーーーー! アリシアの護衛やつ、アルフォンス殿下に告げ口しやがって。
権力を盾に脅してくるなんて最低じゃないか、こんちくしょう!
「チャルスキー侯爵、あなたは彼を跡取りだと考えているらしいが……」
「は、はぁ……。確かに前々から軽率な態度が目立っていましたが如何せん一人息子だったものですから、つい甘やかしてしまいました」
くっ……、殿下にお叱りを受けるのは痛いが、この家は俺しか継ぐ者がいないんだ。
俺には妹はいるが、この家には男子は俺しか居ない。
父上も結局のところ――
「こうなったら婿養子を取るしかないと決心がつきました。この男だけはチャルスキー家を継がせてはならぬと、ワシも心を鬼にします」
「へっ……? ち、父上……?」
はぁ! はぁァァァァ! はぁァァァァァァァァァァァァ!!
む、む、婿養子だと!? 息子がちゃんといるのに婿養子って言ったか!? このクソ親父!
てか、このクソ親父……そもそもエレナの腹黒にも気付かなかったよな!?
意味が分からん! どうしてこうなったんだ……?
「……エレナのせいだ」
「なんか言ったか!?」
「い、いえ何も……」
そ、そうだ。こうなったのも、全部エレナのせいだ!
あの腹黒性悪女を締めて、全ての悪事を吐かせてやる!
父上もエレナが自らの悪事を告白したら、俺に同情して廃嫡宣言を取り消してくれるだろうし……。
見てろ、エレナ! お前のこと、絶対に許さないからな!
「愚息がとんだ粗相を! 貴様! エレナに続き、アリシアまで! チャルスキー家の恥晒しめ!」
ど、ど、どうしてこうなったーーーーっ!?
先日、アリシアの護衛が生意気なことを抜かしたので、締めてやろうと思ったら……。
本当にアルフォンス殿下が出てきやがっただと!?
――は、ハッタリって顔していたじゃん!
そりゃ、一貴族の護衛としてはきっちりした格好をしていたし、只者じゃない雰囲気はしていたけど、アルフォンス殿下の婚約者にあんな数日でなるはずないって思うじゃないか。
意味が分からない。誰かが俺を嵌めようとしているとしか思えない……。
「何か言わんか! 頭を下げろ! 親にこんなことを言わせるな!」
「……え、えっと、ほ、本当にアルフォンス殿下ですか? ほ、本物……?」
「貴様、何を訳のわからんこと言っとる! この馬鹿息子が!」
「痛っ!」
あまりに現実味がなくて、俺はついアルフォンス殿下が本物かどうか聞いてしまった。
すると、親父は怒って杖で俺を殴る。
いや、だってさ。本当に殿下が文句言いに来るなんて思えないじゃんか。
「僕の顔を覚えていないのか? まぁ、偽物だと思っているなら、そう思っていても構わないよ」
「い、いえ、本物の殿下です。間違いなく」
「当たり前だ! バカタレ!」
「痛っ!」
くっそーーーー! アリシアの護衛やつ、アルフォンス殿下に告げ口しやがって。
権力を盾に脅してくるなんて最低じゃないか、こんちくしょう!
「チャルスキー侯爵、あなたは彼を跡取りだと考えているらしいが……」
「は、はぁ……。確かに前々から軽率な態度が目立っていましたが如何せん一人息子だったものですから、つい甘やかしてしまいました」
くっ……、殿下にお叱りを受けるのは痛いが、この家は俺しか継ぐ者がいないんだ。
俺には妹はいるが、この家には男子は俺しか居ない。
父上も結局のところ――
「こうなったら婿養子を取るしかないと決心がつきました。この男だけはチャルスキー家を継がせてはならぬと、ワシも心を鬼にします」
「へっ……? ち、父上……?」
はぁ! はぁァァァァ! はぁァァァァァァァァァァァァ!!
む、む、婿養子だと!? 息子がちゃんといるのに婿養子って言ったか!? このクソ親父!
てか、このクソ親父……そもそもエレナの腹黒にも気付かなかったよな!?
意味が分からん! どうしてこうなったんだ……?
「……エレナのせいだ」
「なんか言ったか!?」
「い、いえ何も……」
そ、そうだ。こうなったのも、全部エレナのせいだ!
あの腹黒性悪女を締めて、全ての悪事を吐かせてやる!
父上もエレナが自らの悪事を告白したら、俺に同情して廃嫡宣言を取り消してくれるだろうし……。
見てろ、エレナ! お前のこと、絶対に許さないからな!
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