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最終回
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「エリック……、あなたが本当に真摯な態度で悔い改めれば私はあなたを庇おうと思っていました。夫婦となり、あなたを支えると誓ったのですから……」
「…………」
「しかし、あなたは私の声に耳を傾けてくれませんでしたね。それどころか、私が浮気をしていると信じて疑わなかった。妹のメリルと私を見紛ったのも、私が本当に浮気をしていたから間違ったのだと言い訳ばかり」
「…………」
「そんな自己中心的なあなたは最後には全てを恨んで、全てを失った。両親にも見捨てられて、何もかもを憎んで、そしてあなたは――」
「…………」
「結局、死んでしまった。まさか自殺するとは思いませんでしたよ。罪を受け入れることがそんなに嫌でしたか? 反省することがそんなに嫌でしたか? あなたは最後まで逃げてしまったのですね。私も疲れましたよ。事後処理には……」
夫であるエリックは極刑の判決が出た、その日のうちに獄中で首吊り自殺しました。
看守がちょっとうたた寝している内に。
私は最後まで夫から謝罪の言葉を聞くことが出来ませんでした……。
それから間もなくして、エリックに色々と吹き込んだという先輩ことアークス侯爵も亡くなります。
サーシャは殺人犯ということとなり、こちらも極刑が言い渡され……エリックの両親は孫を受け取ることが出来ずに大層嘆いたそうです。
一つだけ幸いなことは、医者がきちんと診断をした結果――サーシャの妊娠は妄想だったこと。
妄想だけで実際に身体が勘違いしてお腹が大きくなることもあるそうです。
まだ未来すら見れぬ赤ん坊が死ぬという事態だけは割けられたのでそれは幸運だったのかもしれません。
そういえば、もう一人の愛人のクラリスも最初に会ったとき子供が出来たとか言ってきましたが、それ以来何も言ってきませんね。
あれは、私に別れを決めさせるための嘘だったのでしょうか、それとも――。
私はもう疲れました。
何もかも、やる気が持てなくなってしまったのです。
獄中で自殺した死刑囚の妻という目で見られるのはやはり辛い。その周りで不幸ばかりなのも含めて……。
もう、いっそのこと、修道女にでもなってしまおうかと迷ったほどでした。
そんなのときです。妹とその婚約者である隣国の皇太子アレンデールに一緒に行かないかと誘われたのは――。
◆ ◆ ◆
「ですから、あなたも安易に大事な人を疑ったりしてはなりませんよ。大事なのはお互いが信頼出来る間柄になることです」
「いや、流石にお母様の話みたいにおかしい男の人は中々居ないですから。私の婚約者のジョーはマトモですし、私は信じております」
妹のメリルの結婚を機会に、故郷に居辛くなった私はナルゲニア王国に移住することにしました。
そこで私はある男性と運命的な出会いを果たします。
どんな話かお話しても良いのですが、時間がかかる上にただ、ただ、山場もなく順調な恋愛の話など退屈でしょうから割愛。
結婚など懲り懲りだと本気で思っていたわたしですが、この人ならと再婚して娘と息子が出来ました。
そんな娘もついに婚約して、私は送り出す側になってしまいます。
「お母様、私は必ず幸せになります。ジョーを信じて、彼にも信じてもらえる存在になって――」
キラキラと眩しいくらいの我が子の目を見て、私は彼女は幸せを引き寄せる力があると確信しました。
もしも、お互いにちょっとずつでも歩み寄れていれば……私はここに居なかったかもしれない。
それでも、私はハッキリ言えます。
私は今、とっても幸せです――!
旦那様が私の不倫を疑って愛人を作っていました
~完結~
◇ ◇ ◇
あとがき(色々と謝罪)
長らく読んで頂きありがとうごさいます。
感想欄でサーシャだけでなく、クラリスが妊娠という言及を受けて、本気で書いてないとおもっていたのですが、第3話のラストで思いきり描いていたポカをやらかしました。
これは、クラリスが別れを急がせようとした結果ついた嘘ということで……。
いや、苦しいのは分かってます。ミスなので言い訳できません。本当に申し訳ありませんでした。
次回はもっと推敲して、いいお話が書けるように頑張ります。
お見捨てなきように、これからもよろしくお願いします……。
「…………」
「しかし、あなたは私の声に耳を傾けてくれませんでしたね。それどころか、私が浮気をしていると信じて疑わなかった。妹のメリルと私を見紛ったのも、私が本当に浮気をしていたから間違ったのだと言い訳ばかり」
「…………」
「そんな自己中心的なあなたは最後には全てを恨んで、全てを失った。両親にも見捨てられて、何もかもを憎んで、そしてあなたは――」
「…………」
「結局、死んでしまった。まさか自殺するとは思いませんでしたよ。罪を受け入れることがそんなに嫌でしたか? 反省することがそんなに嫌でしたか? あなたは最後まで逃げてしまったのですね。私も疲れましたよ。事後処理には……」
夫であるエリックは極刑の判決が出た、その日のうちに獄中で首吊り自殺しました。
看守がちょっとうたた寝している内に。
私は最後まで夫から謝罪の言葉を聞くことが出来ませんでした……。
それから間もなくして、エリックに色々と吹き込んだという先輩ことアークス侯爵も亡くなります。
サーシャは殺人犯ということとなり、こちらも極刑が言い渡され……エリックの両親は孫を受け取ることが出来ずに大層嘆いたそうです。
一つだけ幸いなことは、医者がきちんと診断をした結果――サーシャの妊娠は妄想だったこと。
妄想だけで実際に身体が勘違いしてお腹が大きくなることもあるそうです。
まだ未来すら見れぬ赤ん坊が死ぬという事態だけは割けられたのでそれは幸運だったのかもしれません。
そういえば、もう一人の愛人のクラリスも最初に会ったとき子供が出来たとか言ってきましたが、それ以来何も言ってきませんね。
あれは、私に別れを決めさせるための嘘だったのでしょうか、それとも――。
私はもう疲れました。
何もかも、やる気が持てなくなってしまったのです。
獄中で自殺した死刑囚の妻という目で見られるのはやはり辛い。その周りで不幸ばかりなのも含めて……。
もう、いっそのこと、修道女にでもなってしまおうかと迷ったほどでした。
そんなのときです。妹とその婚約者である隣国の皇太子アレンデールに一緒に行かないかと誘われたのは――。
◆ ◆ ◆
「ですから、あなたも安易に大事な人を疑ったりしてはなりませんよ。大事なのはお互いが信頼出来る間柄になることです」
「いや、流石にお母様の話みたいにおかしい男の人は中々居ないですから。私の婚約者のジョーはマトモですし、私は信じております」
妹のメリルの結婚を機会に、故郷に居辛くなった私はナルゲニア王国に移住することにしました。
そこで私はある男性と運命的な出会いを果たします。
どんな話かお話しても良いのですが、時間がかかる上にただ、ただ、山場もなく順調な恋愛の話など退屈でしょうから割愛。
結婚など懲り懲りだと本気で思っていたわたしですが、この人ならと再婚して娘と息子が出来ました。
そんな娘もついに婚約して、私は送り出す側になってしまいます。
「お母様、私は必ず幸せになります。ジョーを信じて、彼にも信じてもらえる存在になって――」
キラキラと眩しいくらいの我が子の目を見て、私は彼女は幸せを引き寄せる力があると確信しました。
もしも、お互いにちょっとずつでも歩み寄れていれば……私はここに居なかったかもしれない。
それでも、私はハッキリ言えます。
私は今、とっても幸せです――!
旦那様が私の不倫を疑って愛人を作っていました
~完結~
◇ ◇ ◇
あとがき(色々と謝罪)
長らく読んで頂きありがとうごさいます。
感想欄でサーシャだけでなく、クラリスが妊娠という言及を受けて、本気で書いてないとおもっていたのですが、第3話のラストで思いきり描いていたポカをやらかしました。
これは、クラリスが別れを急がせようとした結果ついた嘘ということで……。
いや、苦しいのは分かってます。ミスなので言い訳できません。本当に申し訳ありませんでした。
次回はもっと推敲して、いいお話が書けるように頑張ります。
お見捨てなきように、これからもよろしくお願いします……。
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