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第二十五話
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ミリムは今朝……修道院行きの馬車に乗せられて出ていきました。
あの子には悪いことをしたという気持ちもあります。
妹があのような感じになったのは、半分以上は環境が原因なのですから。
両親が教育論を歪んで解釈したりしなければ、妹にもう少し自己を省みる能力が備わったでしょうに……。
「ミリムには少し厳しめの環境ですが、辛抱して欲しいです」
「多少は厳しい環境の方が精神的にも強くなれるチャンスなんじゃないかな。君の妹は人生の正念場たよ。生まれ変われるかどうかの」
昨日は話し合いどころではなく、アルフレート殿下もリーンハルト様の実家である公爵家へと足を運んだので、再び、今日こちらに赴いてくれました。
これで、ミリムの件もリーンハルト様の件も一段落ついたので私も将来について考えることが出来ます。
「そ、それで、あのう。シャルロットは他所に養子に出せなどとは言いませんよね? あはは、これも大事な娘でして……ミリムのような失敗作とは出来も違いますし」
「失敗作……? では、伯爵殿は自らの失敗の責任を取ってくれるのかい? ミリムが無教養に育ったのは、あなたのせいじゃないか」
父は私を他家に養子に差し出せというのはマズいと思っていましたので、その確認をアルフレート殿下にします。
しかし、“失敗作”という言葉を吐いたとき……アルフレート殿下は露骨に不快感を顕にしました。
やはり父がどこか他人事のようにミリムのことについて考えているからでしょう。
「そ、それは、そうですが。だからこそ、修道院で再教育をお願いして――」
「旦那様……! リーンハルト様の弟君であるエルムハルト様がいらっしゃいました。家のことで報告があるそうですが……」
リーンハルト様の弟、エルムハルト様がこちらに?
昨日、アルフレート殿下が公爵家に苦言を呈しに訪れたと聞いていますから、そのことについてなのでしょうが……。
ミリムへの謝罪若しくは婚約の解消ということでしたらリーンハルト様本人が来られるでしょうし……。
「アルフレート殿下……」
「ふぅ、僕は構わないよ。昨日、公爵家に行った手前、無関係じゃないからね。エルムハルトくんとやらが、席を外して欲しいと希望するなら出直そう」
結局、エルムハルト様は殿下がいるのなら挨拶をしたいということで、アルフレート殿下も同席のもと、応接室に案内されて来られました。
確か、エルムハルト様は15歳になられたばかり。若干、見た目に幼さが残っていますね……。
彼は私と目が合うと爽やかな笑みをこちらに向けました。
「アルフレート殿下、昨日はご挨拶出来ずに申し訳ありませんでした。兄の件と共に、謝罪させて頂きます」
堂々と、そして形式に則って、エルムハルト様はアルフレート殿下に挨拶と謝罪をします。
前に会った印象だと人見知りというか、何かに怯えていた感じでしたが随分と変わられたように思えました……。
「君に罪はないからね。謝罪は要らないよ。伯爵殿に話があるのなら、先に済ますと良い」
アルフレート殿下は特にエルムハルト様に対して謝罪を求めるような事はしませんでした。
そして、父を訪ねた用件を優先させるように促します。
「では、失礼して。アーゼル伯爵殿、兄が昨日の一件で醜態を晒したことを父は重く受け止め……私に家督を継がせることを決めました。兄に代わって……」
「「――っ!?」」
予想はしていましたが、こんなにも早くリーンハルト様が廃嫡されるとは。
公爵様はかなりご立腹みたいですね……。
「それで、伯爵殿、どうされますか? ミリムさん、兄と婚約していますけど。父は婚約を解消しても文句はないと申しております」
「うーむ」
「もし、解消されるなら。ミリムさんを私の妻に迎えたいのですが」
「「――っ!?」」
誰もが予想しなかったエルムハルト様の発言。
時が止まりました――。
あの子には悪いことをしたという気持ちもあります。
妹があのような感じになったのは、半分以上は環境が原因なのですから。
両親が教育論を歪んで解釈したりしなければ、妹にもう少し自己を省みる能力が備わったでしょうに……。
「ミリムには少し厳しめの環境ですが、辛抱して欲しいです」
「多少は厳しい環境の方が精神的にも強くなれるチャンスなんじゃないかな。君の妹は人生の正念場たよ。生まれ変われるかどうかの」
昨日は話し合いどころではなく、アルフレート殿下もリーンハルト様の実家である公爵家へと足を運んだので、再び、今日こちらに赴いてくれました。
これで、ミリムの件もリーンハルト様の件も一段落ついたので私も将来について考えることが出来ます。
「そ、それで、あのう。シャルロットは他所に養子に出せなどとは言いませんよね? あはは、これも大事な娘でして……ミリムのような失敗作とは出来も違いますし」
「失敗作……? では、伯爵殿は自らの失敗の責任を取ってくれるのかい? ミリムが無教養に育ったのは、あなたのせいじゃないか」
父は私を他家に養子に差し出せというのはマズいと思っていましたので、その確認をアルフレート殿下にします。
しかし、“失敗作”という言葉を吐いたとき……アルフレート殿下は露骨に不快感を顕にしました。
やはり父がどこか他人事のようにミリムのことについて考えているからでしょう。
「そ、それは、そうですが。だからこそ、修道院で再教育をお願いして――」
「旦那様……! リーンハルト様の弟君であるエルムハルト様がいらっしゃいました。家のことで報告があるそうですが……」
リーンハルト様の弟、エルムハルト様がこちらに?
昨日、アルフレート殿下が公爵家に苦言を呈しに訪れたと聞いていますから、そのことについてなのでしょうが……。
ミリムへの謝罪若しくは婚約の解消ということでしたらリーンハルト様本人が来られるでしょうし……。
「アルフレート殿下……」
「ふぅ、僕は構わないよ。昨日、公爵家に行った手前、無関係じゃないからね。エルムハルトくんとやらが、席を外して欲しいと希望するなら出直そう」
結局、エルムハルト様は殿下がいるのなら挨拶をしたいということで、アルフレート殿下も同席のもと、応接室に案内されて来られました。
確か、エルムハルト様は15歳になられたばかり。若干、見た目に幼さが残っていますね……。
彼は私と目が合うと爽やかな笑みをこちらに向けました。
「アルフレート殿下、昨日はご挨拶出来ずに申し訳ありませんでした。兄の件と共に、謝罪させて頂きます」
堂々と、そして形式に則って、エルムハルト様はアルフレート殿下に挨拶と謝罪をします。
前に会った印象だと人見知りというか、何かに怯えていた感じでしたが随分と変わられたように思えました……。
「君に罪はないからね。謝罪は要らないよ。伯爵殿に話があるのなら、先に済ますと良い」
アルフレート殿下は特にエルムハルト様に対して謝罪を求めるような事はしませんでした。
そして、父を訪ねた用件を優先させるように促します。
「では、失礼して。アーゼル伯爵殿、兄が昨日の一件で醜態を晒したことを父は重く受け止め……私に家督を継がせることを決めました。兄に代わって……」
「「――っ!?」」
予想はしていましたが、こんなにも早くリーンハルト様が廃嫡されるとは。
公爵様はかなりご立腹みたいですね……。
「それで、伯爵殿、どうされますか? ミリムさん、兄と婚約していますけど。父は婚約を解消しても文句はないと申しております」
「うーむ」
「もし、解消されるなら。ミリムさんを私の妻に迎えたいのですが」
「「――っ!?」」
誰もが予想しなかったエルムハルト様の発言。
時が止まりました――。
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