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第十八話
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これは困ったことになりました。
まさかミリムがリーンハルト様に自らが修道院に送られることを話して、彼がそれに抗議するために家まで押しかけて来られるなんて。
というより、両親がリーンハルト様にミリムを会わせていることに驚きました。
後からマナー講習に行ったことにするとか言っていませんでしたっけ?
口止めなんて、意味を成さないことが何故分からないのですか……。
「アーゼル伯爵、これはどういうことだ? 僕の婚約者を修道院に勝手に入れようとするなんて、どう考えたっておかしいじゃないか!」
「いや、それはそのう。色々と事情がありまして……ですな」
リーンハルト様は公爵家の嫡男。
父としても彼のお父様とは事を荒立てたくないと、当然のことながら考えていますので下手に出るしかないのです。
しかし、今日のリーンハルト様はかなり高圧的な感じがします。
ミリムの修道院行きを止めさせる以外に、何か他にも目的があるのでしょうか……。
「ミリムの意見はちゃんと聞いたのか!? 可哀想に! 震えながら、泣いていたのだぞ! この子がそこまでの事をしたというのか!? 何をしたのか言ってみろ!」
「り、理由ですか? それは申し訳ありませぬが、非常にプライバシーと言いますか、デリケートな話が関わってきまして……」
ミリムを修道院に送る理由を聞かれた父は更にしどろもどろになります。
無理もありません。ミリムがリーンハルト様を差し置いて、アルフレート殿下と結婚したいなどという話を聞かせられるはずが無いのですから。
もしもそんな事情が彼に伝わったとしたら、ミリムは間違いなく婚約破棄されるでしょう。
「婚約者に聞かせられないようなプライバシーもデリケートもあるか! ミリムはアーゼル伯爵、あなたに意地悪をされたと言っていたが、どういうことだ? なんで修道院に送られる? 僕のことをバカにしているのか?」
「い、意地悪を……? そ、そんなこと私は……。そ、それに、リーンハルト殿を、ば、バカになどするはずありません……」
「そうか。真に愛する者と引き離すことが意地悪だと言わないのだな? ミリム、君は真に愛している者がいるみたいだが、それは誰なのか言ってみてくれ」
「「――っ!?」」
ミリムが真に愛する人? ま、まさか、知っている……?
リーンハルト様はミリムから全てを聞いて事情を知っていてここに抗議に来ているということでしょうか……。
この瞬間、私たちはそれを理解しました。
いえ、でしたら尚のこと私たちに怒るというより、ミリムに怒りをぶつけるはずですよね……。なんせ、心変わりしたというのですから。
そんな疑問が浮かんでいると、妙に機嫌を良さそうにしていたミリムが口を開きます。
「……わたくしが愛する人はアルフレート様ですわ。だって、格好いいんですもの。王子様ですし」
「こ、これ! ミリム! リーンハルト様の前だぞ!」
「構わないよ、僕は。アルフレート殿下とミリムが結婚しても。彼もミリムのことを気に入っていると聞いたし。殿下と争う気はないさ」
な、何を仰っているのでしょう。構わないはずがないじゃありませんか。
この場でアルフレート殿下の名前を出すミリムも、ミリムですが……それ以上にリーンハルト様の言動が分かりません。
それに、アルフレート殿下がミリムを気に入っているなどという事実は一切無いのですが――。
リーンハルト様は一体、何をミリムから吹き込まれたのでしょうか。
「旦那様、奥様、お嬢様、アルフレート殿下が来られました」
「「――っ!?」」
そうです。今日、今後の事などについてアルフレート殿下と打ち合わせをする予定だったのですが、リーンハルト様がいきなりやって来て妙なことになっていたのです。
これは、どうしたものでしょう。話が拗れてしまいそうなのですが……。
「僕は構わないぞ。アルフレート殿下にキチンと話したい」
「そ、それは止めたほうがよろしいかと」
「黙れ! 僕は殿下ときっちり話をつけたいのだ!」
非常に面倒な一日になることが決まりました――。
まさかミリムがリーンハルト様に自らが修道院に送られることを話して、彼がそれに抗議するために家まで押しかけて来られるなんて。
というより、両親がリーンハルト様にミリムを会わせていることに驚きました。
後からマナー講習に行ったことにするとか言っていませんでしたっけ?
口止めなんて、意味を成さないことが何故分からないのですか……。
「アーゼル伯爵、これはどういうことだ? 僕の婚約者を修道院に勝手に入れようとするなんて、どう考えたっておかしいじゃないか!」
「いや、それはそのう。色々と事情がありまして……ですな」
リーンハルト様は公爵家の嫡男。
父としても彼のお父様とは事を荒立てたくないと、当然のことながら考えていますので下手に出るしかないのです。
しかし、今日のリーンハルト様はかなり高圧的な感じがします。
ミリムの修道院行きを止めさせる以外に、何か他にも目的があるのでしょうか……。
「ミリムの意見はちゃんと聞いたのか!? 可哀想に! 震えながら、泣いていたのだぞ! この子がそこまでの事をしたというのか!? 何をしたのか言ってみろ!」
「り、理由ですか? それは申し訳ありませぬが、非常にプライバシーと言いますか、デリケートな話が関わってきまして……」
ミリムを修道院に送る理由を聞かれた父は更にしどろもどろになります。
無理もありません。ミリムがリーンハルト様を差し置いて、アルフレート殿下と結婚したいなどという話を聞かせられるはずが無いのですから。
もしもそんな事情が彼に伝わったとしたら、ミリムは間違いなく婚約破棄されるでしょう。
「婚約者に聞かせられないようなプライバシーもデリケートもあるか! ミリムはアーゼル伯爵、あなたに意地悪をされたと言っていたが、どういうことだ? なんで修道院に送られる? 僕のことをバカにしているのか?」
「い、意地悪を……? そ、そんなこと私は……。そ、それに、リーンハルト殿を、ば、バカになどするはずありません……」
「そうか。真に愛する者と引き離すことが意地悪だと言わないのだな? ミリム、君は真に愛している者がいるみたいだが、それは誰なのか言ってみてくれ」
「「――っ!?」」
ミリムが真に愛する人? ま、まさか、知っている……?
リーンハルト様はミリムから全てを聞いて事情を知っていてここに抗議に来ているということでしょうか……。
この瞬間、私たちはそれを理解しました。
いえ、でしたら尚のこと私たちに怒るというより、ミリムに怒りをぶつけるはずですよね……。なんせ、心変わりしたというのですから。
そんな疑問が浮かんでいると、妙に機嫌を良さそうにしていたミリムが口を開きます。
「……わたくしが愛する人はアルフレート様ですわ。だって、格好いいんですもの。王子様ですし」
「こ、これ! ミリム! リーンハルト様の前だぞ!」
「構わないよ、僕は。アルフレート殿下とミリムが結婚しても。彼もミリムのことを気に入っていると聞いたし。殿下と争う気はないさ」
な、何を仰っているのでしょう。構わないはずがないじゃありませんか。
この場でアルフレート殿下の名前を出すミリムも、ミリムですが……それ以上にリーンハルト様の言動が分かりません。
それに、アルフレート殿下がミリムを気に入っているなどという事実は一切無いのですが――。
リーンハルト様は一体、何をミリムから吹き込まれたのでしょうか。
「旦那様、奥様、お嬢様、アルフレート殿下が来られました」
「「――っ!?」」
そうです。今日、今後の事などについてアルフレート殿下と打ち合わせをする予定だったのですが、リーンハルト様がいきなりやって来て妙なことになっていたのです。
これは、どうしたものでしょう。話が拗れてしまいそうなのですが……。
「僕は構わないぞ。アルフレート殿下にキチンと話したい」
「そ、それは止めたほうがよろしいかと」
「黙れ! 僕は殿下ときっちり話をつけたいのだ!」
非常に面倒な一日になることが決まりました――。
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