【完結】妹が我儘すぎると元婚約者が土下座して復縁を求めてきた

冬月光輝

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第十三話(ミラ視点)

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「また、反抗的な目をした! あと十周追加だ!」

「この低能の豚女! また遅れとるようだな! ノロマなグズが! お前のなど野垂れ死にしても惜しむべき者は誰もおらん! 安心して死ぬがいい!」

「さぁ! 穴を掘れ! 理由だと!? そんなもの、人ですらない貴様の知ったことか! 早くしないと飯は食わせん!」

 はぁ、はぁ、なんでわたくしがこんな目に遭わなくてはならないのでしょう。
 騎士になるためとか言われましても、わたくしにそんな意志はありません。
 でも、やらないと食べ物も与えられないと聞いて、わたくしはやりたくないことを強制されていました。
 こんなところに居たら死んでしまいます……。

「はぁ、はぁ、穴を掘り終えましたわ……」

「うむ。ならば、今からその穴を埋めろ! 十分以内で、だ!」

「はぁぁぁぁぁぁ!? 意味が分かりません!」

「反抗は許さん! 貴様は黙って従えばいいのだ!」

 な、なんて理不尽な要求をするのでしょう。
 こ、殺してやりたい。
 帰ったら、絶対に教官とかいうあいつの身元を探って、家族ごと地獄に落としてやりますわ。

「まだ、反抗的なことを考えている目をしているな! 穴を掘れ! 今度は二つだ!」

「そ、そんな、む、無理ですわ! はぁ、はぁ、お願いです。休ませてください!」

「貴様が立場を自覚したら、な! 早く掘れ!」

「うひぃぃぃぃ!」

 こんなの、なんの意味が……。
 いえ、意味を考えるなど止めましょう。
 早く終わらせないと、わたくしは確実に死ぬ。
 何も考えないようにしなくては。はぁ、はぁ……。

「よしっ! 今日の実習は終わりだ! これから、紙とペンをくれてやる! 明日の早朝までに自分の駄目な欠点を百個書き出せ! それを朗読させる!」

「ひゃ、百個も!? わ、わたくしに欠点はそんなに……!? そ、それにわたくしは疲れて……」

「ああ、まともな人にだったら、そんなに欠点はないだろう! だが人でなしの貴様は別だ! 千個に増やしても良いんだぞ!」

「ひぃぃぃぃっ……! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!」

 じ、地獄です。
 わたくし、地獄に監禁されてしまいました。
 ゲイツ様、わたくしをどうしてこんなところに……。
  



「さぁ、昨日言ったとおり、貴様の欠点を朗読しろ!」

「わ、わたくしの欠点は……」

「声が小さい!」

「わたくしの欠点は!」

「まだ小さい! 喉が取れるくらいの気持ちで声を出せ!」

「わたくしの欠点はァァァ!! いつも偉そうに!! 自分の我を通すところ!!」

「さぁ! すべてさらけ出せ! あと九十九個!!」

「わたくしのォォ!! 欠点はーーー!!」

 こんなに声を出すのは初めてです。
 なんて、わたくしは駄目な人間だったのでしょう。
 叫びながら、涙が出てきました。
 わたくしは本当に人ではありませんでした。
 沢山の人たちに迷惑をかけて。最低でした。
 ああ、わたくしは最低な人間です。
 教官! ありがとうございます! わたくしに人間としての生き方を教えてくれて!
 わたくしは立派な騎士になれるように頑張りますわ……!
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