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第二十二話
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アウルゼルム王国のダンジョン内も悪魔によって地獄絵図が展開されていたようです。
モラクスという悪魔はダンジョンの出入口を封鎖して探索に入ってきた120人余りのパーティーを閉じ込めて、地下150階層で待ち構えます。
そして、戦いを挑んできたジェーンらをシンプルに力で蹂躙して心を折りました。
食料もギリギリでそこまでやって来た彼女らは飢えに苦しみながら絶望したそうです。
そんな彼女らをモラクスは敢えて殺さずに、それどころか僅かですが食料を分け与えたとのこと。
それは情けなどという優しい感情ではありませんでした。
なんと、モラクスはやって来た人間たちを飼うことにしたのです。
食料を与える代わりに毎日生贄を選んで殺し合いをさせ、それを嘲笑い楽しんでいたというモラクス。
ジェーンらは悪魔の玩具にされる屈辱を感じながら、モラクスに逆らう気力もなく、地獄のような生活を何日も送っていました。
「本当は殺したくなんてなかったの。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい……」
ユリアン殿下の新たな婚約者となったジェーンは強かったからこそ、数名の仲間を生きるために殺したとのことです。
彼女はそれがトラウマになっており、また仲間であった人たちからも人殺しという目で見られていることにも耐えられないくらい精神的に病んでしまいました。
彼女だけではなく、他の方々も無事な方は多かったですが、心が傷付けられた人たちが多かったです。
「戻りますか。エルスロッド王国へ……」
「待て! フィアナ・イースフィル! あなたをエルスロッド王国に返すわけにはいかない!!」
ダンジョンの件も解決したところで、私はリュージュとセレナに帰ろうと口にします。
しかし、そのときです。
私は多数のアウルゼルム兵に取り囲まれました。
その数、ざっと500人くらいでしょうか。
「ダンジョンの攻略を終えた私に対して随分なご挨拶ですね」
「その点については感謝しよう。しかし、だからこそあなたをこの国から出す訳にはいかない。あなたには、アウルゼルム王国の聖女として残ってもらう!」
「ユリアン殿下がエルスロッドに居るのですよ。私に手を出せば、彼は犠牲になる。それは承知の上ですか?」
正直に申しまして、この展開は予測していました。
だからこそ、ユリアン殿下の拘束が生きてくるはず。
彼を人質にしているから、私にもおいそれと手が出せないと読んでここまで来たのです。
「ユリアン殿下の犠牲は仕方がない。国王陛下はそう仰せになった……」
「なんと、ユリアン殿下を見捨てると申しまするか!?」
「ふぇ~、ユリアン殿下が可哀想でございますですね~」
なるほど、アウルゼルム国王はユリアン殿下を見限った、という訳ですか。
憐れですね。彼は、故郷に捨てられるなんて。
そして、私を力でどうにか押さえつけようと500人の兵力を差し向けた……。
「あまり私を見縊らないで下さい……!」
「「――っ!?」」
私を取り囲んでいる、500人の兵士たちがバタバタと倒れていきます。
たったの500人くらいで、私をどうにか出来るとお考えだった国王陛下は浅薄だったと言わざるを得ませんね。
「あの~、フィアナ様。何をどうしたのですか~?」
「……えっ? もちろん企業秘密ですよ」
人差し指を唇に当てながら、私はエルスロッドへの道順を頭に思い浮かべます。
少しだけ遅くなるので、ローレンス様に心配をかけてしまうかもですね。
そうなったら、素直に謝りましょう――。
モラクスという悪魔はダンジョンの出入口を封鎖して探索に入ってきた120人余りのパーティーを閉じ込めて、地下150階層で待ち構えます。
そして、戦いを挑んできたジェーンらをシンプルに力で蹂躙して心を折りました。
食料もギリギリでそこまでやって来た彼女らは飢えに苦しみながら絶望したそうです。
そんな彼女らをモラクスは敢えて殺さずに、それどころか僅かですが食料を分け与えたとのこと。
それは情けなどという優しい感情ではありませんでした。
なんと、モラクスはやって来た人間たちを飼うことにしたのです。
食料を与える代わりに毎日生贄を選んで殺し合いをさせ、それを嘲笑い楽しんでいたというモラクス。
ジェーンらは悪魔の玩具にされる屈辱を感じながら、モラクスに逆らう気力もなく、地獄のような生活を何日も送っていました。
「本当は殺したくなんてなかったの。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい……」
ユリアン殿下の新たな婚約者となったジェーンは強かったからこそ、数名の仲間を生きるために殺したとのことです。
彼女はそれがトラウマになっており、また仲間であった人たちからも人殺しという目で見られていることにも耐えられないくらい精神的に病んでしまいました。
彼女だけではなく、他の方々も無事な方は多かったですが、心が傷付けられた人たちが多かったです。
「戻りますか。エルスロッド王国へ……」
「待て! フィアナ・イースフィル! あなたをエルスロッド王国に返すわけにはいかない!!」
ダンジョンの件も解決したところで、私はリュージュとセレナに帰ろうと口にします。
しかし、そのときです。
私は多数のアウルゼルム兵に取り囲まれました。
その数、ざっと500人くらいでしょうか。
「ダンジョンの攻略を終えた私に対して随分なご挨拶ですね」
「その点については感謝しよう。しかし、だからこそあなたをこの国から出す訳にはいかない。あなたには、アウルゼルム王国の聖女として残ってもらう!」
「ユリアン殿下がエルスロッドに居るのですよ。私に手を出せば、彼は犠牲になる。それは承知の上ですか?」
正直に申しまして、この展開は予測していました。
だからこそ、ユリアン殿下の拘束が生きてくるはず。
彼を人質にしているから、私にもおいそれと手が出せないと読んでここまで来たのです。
「ユリアン殿下の犠牲は仕方がない。国王陛下はそう仰せになった……」
「なんと、ユリアン殿下を見捨てると申しまするか!?」
「ふぇ~、ユリアン殿下が可哀想でございますですね~」
なるほど、アウルゼルム国王はユリアン殿下を見限った、という訳ですか。
憐れですね。彼は、故郷に捨てられるなんて。
そして、私を力でどうにか押さえつけようと500人の兵力を差し向けた……。
「あまり私を見縊らないで下さい……!」
「「――っ!?」」
私を取り囲んでいる、500人の兵士たちがバタバタと倒れていきます。
たったの500人くらいで、私をどうにか出来るとお考えだった国王陛下は浅薄だったと言わざるを得ませんね。
「あの~、フィアナ様。何をどうしたのですか~?」
「……えっ? もちろん企業秘密ですよ」
人差し指を唇に当てながら、私はエルスロッドへの道順を頭に思い浮かべます。
少しだけ遅くなるので、ローレンス様に心配をかけてしまうかもですね。
そうなったら、素直に謝りましょう――。
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