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第三章:【リメルトリア共和国】の危機編

第61話:潜入任務最終日を迎えた話

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 私は何とか夜勤の交代という理由で、コントロールルームに潜入できた。
 しかし、共に夜勤を担当するのは、フィアナである。
 私は数々の作戦により何とかフィアナの目を逸らさせることに成功した。

 フィアナは目を瞑っている。
 このスキに赤い棒を……、くっくそう、棒の向きが反対だったか……。

「るっルシアール、焦らしが好きなのはわかるが、なっ長くないか///」

「いや、君の顔に見惚れていてね……」

 くっ、確かにこの間は不自然か……。あと少しなのに……。

「ルシアール、いい加減に……」
 フィアナの目が開きかけた……。
 ちっ、仕方ない……。もう、ラミアともやったし1回も2回も変わらん!

――チュゥゥゥ

 私は、フィアナとキスをした……。くっ、舌を入れようとするな!
 それだけは嫌だー。くっそーフィリアのやつ、この任務ははっきり言って【魔界貴族】との戦いよりキツイぞ!

――カシャン

 よしっ、挿入できた!

――プハァ

 ああ、人助けの為とはいえ、私はなんてことを……。
 
「ぽぉーっ///」
 フィアナはぼーっとして、脱力していた。

「すっすいません。フィアナさん、やり過ぎました……。もうしませんから、許してください……」
 私は国を救うためとはいえ、人の道を外れたような気がして、罪悪感が半端なかった。
 エリスやラミアに知られたら、軽蔑では済まないかもしれない。

「……、るっルシアール!」
 フィアナは私の肩を掴んできた……。
 げっ、怒っている?

「式の日取りはいつにしようか? 一週間後はどうだ? 多分、戦争も一段落ついてるし、ちょうどいいと思うんだが……」
 
「へっフィアナさん……?」

「おいおい、急によそよそしくなるな。フィアナと呼んでくれ。子供はそうだなぁ、15人くらいは欲しいなぁ。ああ、私はハーフエルフだから後、200年は余裕で子作り出来るぞ!」
 フィアナは渾身のドヤ顔でそう言った。
 エルフって、繁殖期が長い上に同性とも交配可能ってどんだけだよ!
 まぁ、キスしてしまった私が悪いんだけどさぁ……、このあとを考えると気が重い……。

 国は守れても私って結構なクズなんじゃないか?

 そして、長い夜をフィアナと過ごしながら夜勤の仕事を終えた。
 フィアナはすっかり、私の嫁気取りでべったりとくっついて離れなかった。
 ラミアのように、強く引き離せない私は軽い地獄の中にいる感覚だった。
 自業自得ですね、わかってます。

――【ガガール基地】潜入4日目、【中央コントロールルーム】――

「ふわぁ、さすがに眠いな……、ルシアール///」

「ええ、仮眠は短い時間だけでしたからねー」

「よし、今日は一日休みにしよう! 貴様も色々と疲れただろう。褒美だと思ってくれ!」
 フィアナはニッコリと笑った。
 休みかぁ、でも今日の夜にフィリアが作戦を実行して、私はフィアナを人質に捕らえなきゃならない。

「それで、そのう……/// 今から私と一緒に寝ないか……/// 私も今日は仕事を休むからさ」
 フィアナは頬を赤らめてそういった。
 くっ、近くに居ることができる……。しかし、私の貞操が……。

「いいですよ。フィアナの部屋に行きましょう」
 私は引きつった笑顔で返事をした。
 ええい、どうにでもなれ!

――【ガガール基地】、【フィアナの部屋】――

「シャワーを浴びないか? それとも風呂を沸かそうか?」
 フィアナが上機嫌そうな顔でそう言った。
 まっまずい、やっぱりそういう感じになるよなぁ。
 大体風呂なんか入ったら、私の根本に関わることがバレちゃうじゃないか。

「風呂は嫌いなんだ! 入りたくない!」
 私は考えるのが面倒になって、ストレートに入浴を拒否した。

「はぁ、そうか。ふーむ、なるほどな、貴様さては……。ふっ、私としたことが、こんなことに気づかないとはな……」
 フィアナの眼光が鋭くなった。
 げっ、ついに女だということがバレちゃったのか?

「匂いフェチだな! あーっ、わかっている/// 言いにくいよな、自分の性癖なんて。遠回しに私に風呂に入るなと言われたらピーンと来るさ。どうだ、脇なんて結構な汗だくだが、嗅いでみるか」
 フィアナは私に脇を近づけようとした……。
 いやっ、その発想はさすがにオカシイ!
 やめろ、私にはそんな趣味は微塵もない!

「なっなんだ? 違うのか? まぁいい、だったら私だけシャワーを浴びるぞ」

「はっはぁ。どうぞ……」
 そんなことを言いながら、私はこの部屋に足を踏み入れたことを後悔していた。
 どうしようかな……。
 
 しばらくして、フィアナは浴室から出てきた。バスタオルを体に巻いて、白い肌を見せながら……。

「ワインでも飲むか……/// いいワインが手に入ったんだ。どうだ?」
 フィアナはワインのボトルを見せてきた。
 ワインかぁ、これは使えるか……。

「いいですね、飲みましょう! 朝からお酒って贅沢ですね」
 私はニッコリ笑った。

 2つのグラスにワインが注がれる。
 私はやったことがないけど、グラスを回したり、匂いを嗅いだりする動作をしてみた……。
 目的は別だが……。

ルシア
【錬金術師、薬師スキル同時発動】
 
 ワイン→強力な眠り薬

 私のワインの中身の一部を強力な眠り薬に変化させた。
 後は……。

「フィアナさん、あのきれいな絵はなんですか?」
 私はフィアナの座っている位置の後ろにある【写真】を指差した。
 フィリアから聞いた、あれは【写真】というものらしいな。

「ああ、あれか……」
 フィアナが後ろを振り向いた。

 今だ!

 私はグラスの位置を入れ替えた。

「あれは、写真と言ってな。その瞬間の像を写すカラクリを使って作ったものだ。フィリアがこの国を作って私を迎えてくれた日にアレを撮ったのだ。あの頃のフィリアは凄かった、私も尊敬していたよ」
 フィアナは懐かしい顔をして、昔の話をした。
 そして、ワインを一口飲んだ……。

「ふわぁ、イカンな。欠伸が出てしまった。あれっルシアールが二人に見えるぞ……。ふにゃあ」
 
――バタン

 フィアナはテーブルに顔を突っ伏して寝てしまった。
 これは、さっきのダンスやスリーパーソードの比じゃないくらいの睡眠効果だからな。
 巨大なウィングドラゴンだって、半日は起きられない代物だ。
 状態異常にちょっと強いくらいじゃあどうにもならないぞ。

 悪いな、フィアナ……。
 しかし、私には彼女が悪人とは思えない……。
 数日共に居たから情が沸いたのかもしれないが、どうして彼女が戦争を起こそうとしているのかも分からない。
 フィリアもそう思ったからわざわざ人質として連れていこうとしているのだろうか……。

 私はこの国の暴走を止めなきゃならない。
 フィアナには恨まれるだろう……。
 覚悟は決まった……、後は合図を待つだけだ……。



 8時間後……、とてつもない大きなサイレンの音が【ガガール基地】に響き渡った。
 私はフィアナを縛った状態で抱き上げた。

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