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第三章:【リメルトリア共和国】の危機編
第50話:超個性的な謎の二人組と出会った話
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【魔界貴族】との戦いが終わり、私はダルバート王国に戻ってきた。
そして、2ヶ月ほど【勇者】として数々の仕事をこなしていた。
「グレイス、そっちを頼む!」
「承知しました、ルシア先輩!」
私とグレイスは2人パーティで仕事にあたった。
私達にはダルバート王国近辺を襲ってくる魔王の手下やモンスターの討伐といったクエストが多く与えられた。
今もダルバート城下町の北側に位置するミルシェ山のふもとで暴れているウィングドラゴンの群れの討伐というクエストの最中である。
「しかし、先輩は凄いです。私がウィングドラゴンを1体始末する間に10体も倒してしまうなんて……」
グレイスが仕事終わりに私に話しかけた。しまったな、グレイスの経験のためにはもうちょっと残したほうが良かったか。
「まっ、経験の差だよ。グレイスだってこのまま頑張れば追いつくさ」
私は水を飲みながらそう言った。
「そうは思えませんが……。しかし、ご期待に添えるように頑張ります!」
グレイスは背筋を伸ばした。真面目でひたむきな所が彼女の良いところだ。
「ルシア様、お疲れ様ですの。今日のクエストはあと一つだけですわ」
ラミアはスケジュール表を見ながら声をかけてきた。
そっか、今日は随分と楽だな。
最初の10日ぐらいはあまりにも早くその日の仕事が終わってしまうので、エリスに頼んで仕事量を増やしてもらっていたのだが……。
「先輩がはりきりすぎてこの辺りのクエストをやり尽くしたからですよ。ターニャさんは楽で良いとか言ってましたけど……」
グレイスは私の疑問に答えてくれた。
そんなにやる気を出したつもりは無かったが、ターニャが喜ぶほどなら自重するか。
――ザッ
「誰だっ?」
何者かの気配を背中に感じで私は後ろを振り返る。
「やっと、見つけたぜ。ルシア=ノーティスさんだな。ちょっと面を貸してくれねぇか?」
赤紫色の肌で、黒いシルクハットとタキシードを身に着けた悪魔が私に声をかけた。
「あっ悪魔? 貴様、【魔界貴族】だなっ! ルシア先輩に何の用事だ!」
グレイスは一瞬で剣を抜いて、タキシードの悪魔に斬りかかった。
おいっ、むやみやたらに猪突するな!
「うぇっ、ちょいと待ちなって」
タキシードの悪魔は焦った顔をして、両手を振った。
あれっ、あいつからは全然殺気を感じないな。
――ガシッ
――ドスンッ
タキシードの悪魔は一瞬でグレイスが剣を持っている右腕を掴んだ。
そして、いつの間にかグレイスを押し倒していた。
「くっ、力及ばずか……。ルシア先輩に醜態をこれ以上晒すわけには……。殺すがいい!」
グレイスは歯ぎしりにながら悔しがった。
いや、死なれたら困るんだが……。
しかし、この悪魔の身のこなしは尋常じゃなかった。べリアルやウェパルよりも上かも……。
「いや、殺さねぇよ。オメェさんが誰かは知らねぇけど、オレぁ喧嘩しにきたわけじゃねぇ。そこのルシアさんに話がしたいだけなんだ」
タキシードの悪魔が真剣な顔でそう言った。
そうだろうな、殺すつもりならとっくの昔だろうし。私も剣を抜いている。
――バシュン
「ぐわぁぁっち、なんでぇぇぇっ!」
青色の光の弾丸がタキシードの悪魔の腹を背後から貫く。
タキシードの悪魔はグレイスを離して蹲った。
「その格好で出歩くなと命令したはずよ。メフィスト……」
銀髪のボブヘアカットの130cm程の少女が、こちらに歩いてきた。
耳が尖っていて、透き通るように白い肌……。おそらくロザリアと同じエルフ族だな。
悪魔の次はエルフか、今日は変な一日になりそうだ。
「痛ぇぇよぉぉぉ! ちょっと姿を変えるの忘れてただけじゃんか。後ろから撃つって酷くねぇか、フィリア姐さん」
メフィストと呼ばれた悪魔は腹から血を吹き出しながら、銀髪の少女に詰め寄った。
銀髪の少女はフィリアという名前らしい。
「あら、優しくしてあげたつもりよ。もう一発欲しいのなら、そのままの姿でいなさい」
フィリアは平然とした顔で答えた。
なんなんだ、この少女は悪魔以上にヤバそうな気配がするぞ。
「けっ、世の中悪魔に厳しすぎるっての。ベルゼの馬鹿が大暴れこいたせいだ!」
メフィストはブツブツ言いながら、金髪で青い目をした端正な顔立ちの人間の顔へと変化させた。
見事なものだ。こりゃあ、ひと目じゃ人か悪魔か見分けがつかないな。
「どうも、こんにちは。ルシア=ノーティスさん。少しだけお話しする時間をもらえないかしら?」
フィリアは何事もなかったように私に話しかけてきた。
私に何の用事があるのだろうか。
「すまねぇが、姐さんの言うことを聞いてくれねぇか? 見ての通りこの人は横暴でな、素直に従った方が身のためだぜ」
メフィストの腹の穴はいつの間にか塞がっていた。
うーん、話を聞くぐらいなら問題なかろう。話してくれ。
「出来れば、貴女にだけ話したいのだけど。お仲間さんには少し離れて貰ってもいいかしら?」
フィリアは腕を組ながらそう言った。
なんだ、内緒話か……。仕方ない……。
「ラミア、グレイス、ちょっと離れた場所に居なさい」
私はフィリアの要求通り人払いをした。
「しかし、先輩……」
「ルシア様……」
2人は不安そうな顔で私を見た。
大丈夫だって、この人達からは殺気や悪意は感じないからさ。
ラミアとグレイスは渋々離れた位置に移動した。
さぁ、言うことを聞いてやったぞ。
「初対面のあたし達にここまでのお気遣い感謝するわ。まず最初にあたし達の紹介をさせてもらうわね。こっちの悪魔がメフィスト=フェレス、悪魔としての階級は【ベルゼブブ大公】と同じ最上位。そして、あたしはフィリア=ノーティス。先代魔王、バハムティア=ノーティスの娘よ」
フィリアは自分達の紹介をした。
ベルゼブブと同じ最上位悪魔と先代魔王の娘だって?
なんか、凄い二人組だな。
「あー、先代魔王って色んな種族と交わったって聞いたな。フィリアさんの母親はエルフ族ってことか」
私は思い出したかのように言った。
「そうよ、あの色ボケ親父は浮気しまくりのとんでもない奴だったの。だから、あなたとは遠い親戚ってことになるわね」
フィリアは憎々しげに先代魔王の話をした。
それは、なんとなく想像できるな。
「そうそう、お二人は親戚なんだぜ。ほらっ、似てるっちゃ似てるだろ? 二人とも銀髪だし、無愛想な感じだし、おまけに胸もな……」
――バキュゥゥン
フィリアは銀色の小型の筒状のものから青色の光の弾丸を撃ち出した。
青色の光の弾丸はメフィストのシルクハットを吹き飛ばし、頭を貫通した。
「痛ってぇぇぇよ! お気に入りの帽子に何すんだ姐さん!」
メフィストは頭から血を吹き出しながら文句を言った。いや、頭に風穴開けられて帽子の心配って……。
ていうか、今のは私もムカついたけど、容赦ないなこの人。
しかも、見たことない武器を使っている。指でスイッチを押すと筒から光の球が出てくるとは面白い仕掛けだ。一見、大砲を小型化したような形状だが、銀色の装飾はどうやって加工しているのか理解できない複雑な構造をしていた。
「あら残念。息の根を止めようと思ったのに、まだ喋れるのね」
フィリアはすました顔でそう言った。
「ちぇーっ、相変わらず酷ぇなぁ。姐さんのお袋さんは優しくて、美人で、おまけにナイスバディだったのに。どーして、娘はこうなっちまったのかねぇ」
穴の空いた帽子を悲しそうに見つめているメフィストの頭の傷はすぐにきれいに無くなった。
こいつはこいつでどうかしてるぞ。
――チャキッ
フィリアが再び謎の武器を構えた……。
「ちょっとフィリアさん、早く話を進めていただけないですか?」
キリがなくなってきたので、私はフィリアを止めた。
「……そうね、失礼したわ。単刀直入に話をさせてもらうわね。ちょっと頼みたいことがあって、貴女を探していたの」
フィリアは私の目を見て話しを始めた。
「はぁ、私に頼み事ですか……」
私はこの時点で面倒の予感しかなかった。
「【魔界】にある、あたし達の国を救って欲しいのよ……」
フィリアははっきりとした声で私に頼み事を明かした。
そして、2ヶ月ほど【勇者】として数々の仕事をこなしていた。
「グレイス、そっちを頼む!」
「承知しました、ルシア先輩!」
私とグレイスは2人パーティで仕事にあたった。
私達にはダルバート王国近辺を襲ってくる魔王の手下やモンスターの討伐といったクエストが多く与えられた。
今もダルバート城下町の北側に位置するミルシェ山のふもとで暴れているウィングドラゴンの群れの討伐というクエストの最中である。
「しかし、先輩は凄いです。私がウィングドラゴンを1体始末する間に10体も倒してしまうなんて……」
グレイスが仕事終わりに私に話しかけた。しまったな、グレイスの経験のためにはもうちょっと残したほうが良かったか。
「まっ、経験の差だよ。グレイスだってこのまま頑張れば追いつくさ」
私は水を飲みながらそう言った。
「そうは思えませんが……。しかし、ご期待に添えるように頑張ります!」
グレイスは背筋を伸ばした。真面目でひたむきな所が彼女の良いところだ。
「ルシア様、お疲れ様ですの。今日のクエストはあと一つだけですわ」
ラミアはスケジュール表を見ながら声をかけてきた。
そっか、今日は随分と楽だな。
最初の10日ぐらいはあまりにも早くその日の仕事が終わってしまうので、エリスに頼んで仕事量を増やしてもらっていたのだが……。
「先輩がはりきりすぎてこの辺りのクエストをやり尽くしたからですよ。ターニャさんは楽で良いとか言ってましたけど……」
グレイスは私の疑問に答えてくれた。
そんなにやる気を出したつもりは無かったが、ターニャが喜ぶほどなら自重するか。
――ザッ
「誰だっ?」
何者かの気配を背中に感じで私は後ろを振り返る。
「やっと、見つけたぜ。ルシア=ノーティスさんだな。ちょっと面を貸してくれねぇか?」
赤紫色の肌で、黒いシルクハットとタキシードを身に着けた悪魔が私に声をかけた。
「あっ悪魔? 貴様、【魔界貴族】だなっ! ルシア先輩に何の用事だ!」
グレイスは一瞬で剣を抜いて、タキシードの悪魔に斬りかかった。
おいっ、むやみやたらに猪突するな!
「うぇっ、ちょいと待ちなって」
タキシードの悪魔は焦った顔をして、両手を振った。
あれっ、あいつからは全然殺気を感じないな。
――ガシッ
――ドスンッ
タキシードの悪魔は一瞬でグレイスが剣を持っている右腕を掴んだ。
そして、いつの間にかグレイスを押し倒していた。
「くっ、力及ばずか……。ルシア先輩に醜態をこれ以上晒すわけには……。殺すがいい!」
グレイスは歯ぎしりにながら悔しがった。
いや、死なれたら困るんだが……。
しかし、この悪魔の身のこなしは尋常じゃなかった。べリアルやウェパルよりも上かも……。
「いや、殺さねぇよ。オメェさんが誰かは知らねぇけど、オレぁ喧嘩しにきたわけじゃねぇ。そこのルシアさんに話がしたいだけなんだ」
タキシードの悪魔が真剣な顔でそう言った。
そうだろうな、殺すつもりならとっくの昔だろうし。私も剣を抜いている。
――バシュン
「ぐわぁぁっち、なんでぇぇぇっ!」
青色の光の弾丸がタキシードの悪魔の腹を背後から貫く。
タキシードの悪魔はグレイスを離して蹲った。
「その格好で出歩くなと命令したはずよ。メフィスト……」
銀髪のボブヘアカットの130cm程の少女が、こちらに歩いてきた。
耳が尖っていて、透き通るように白い肌……。おそらくロザリアと同じエルフ族だな。
悪魔の次はエルフか、今日は変な一日になりそうだ。
「痛ぇぇよぉぉぉ! ちょっと姿を変えるの忘れてただけじゃんか。後ろから撃つって酷くねぇか、フィリア姐さん」
メフィストと呼ばれた悪魔は腹から血を吹き出しながら、銀髪の少女に詰め寄った。
銀髪の少女はフィリアという名前らしい。
「あら、優しくしてあげたつもりよ。もう一発欲しいのなら、そのままの姿でいなさい」
フィリアは平然とした顔で答えた。
なんなんだ、この少女は悪魔以上にヤバそうな気配がするぞ。
「けっ、世の中悪魔に厳しすぎるっての。ベルゼの馬鹿が大暴れこいたせいだ!」
メフィストはブツブツ言いながら、金髪で青い目をした端正な顔立ちの人間の顔へと変化させた。
見事なものだ。こりゃあ、ひと目じゃ人か悪魔か見分けがつかないな。
「どうも、こんにちは。ルシア=ノーティスさん。少しだけお話しする時間をもらえないかしら?」
フィリアは何事もなかったように私に話しかけてきた。
私に何の用事があるのだろうか。
「すまねぇが、姐さんの言うことを聞いてくれねぇか? 見ての通りこの人は横暴でな、素直に従った方が身のためだぜ」
メフィストの腹の穴はいつの間にか塞がっていた。
うーん、話を聞くぐらいなら問題なかろう。話してくれ。
「出来れば、貴女にだけ話したいのだけど。お仲間さんには少し離れて貰ってもいいかしら?」
フィリアは腕を組ながらそう言った。
なんだ、内緒話か……。仕方ない……。
「ラミア、グレイス、ちょっと離れた場所に居なさい」
私はフィリアの要求通り人払いをした。
「しかし、先輩……」
「ルシア様……」
2人は不安そうな顔で私を見た。
大丈夫だって、この人達からは殺気や悪意は感じないからさ。
ラミアとグレイスは渋々離れた位置に移動した。
さぁ、言うことを聞いてやったぞ。
「初対面のあたし達にここまでのお気遣い感謝するわ。まず最初にあたし達の紹介をさせてもらうわね。こっちの悪魔がメフィスト=フェレス、悪魔としての階級は【ベルゼブブ大公】と同じ最上位。そして、あたしはフィリア=ノーティス。先代魔王、バハムティア=ノーティスの娘よ」
フィリアは自分達の紹介をした。
ベルゼブブと同じ最上位悪魔と先代魔王の娘だって?
なんか、凄い二人組だな。
「あー、先代魔王って色んな種族と交わったって聞いたな。フィリアさんの母親はエルフ族ってことか」
私は思い出したかのように言った。
「そうよ、あの色ボケ親父は浮気しまくりのとんでもない奴だったの。だから、あなたとは遠い親戚ってことになるわね」
フィリアは憎々しげに先代魔王の話をした。
それは、なんとなく想像できるな。
「そうそう、お二人は親戚なんだぜ。ほらっ、似てるっちゃ似てるだろ? 二人とも銀髪だし、無愛想な感じだし、おまけに胸もな……」
――バキュゥゥン
フィリアは銀色の小型の筒状のものから青色の光の弾丸を撃ち出した。
青色の光の弾丸はメフィストのシルクハットを吹き飛ばし、頭を貫通した。
「痛ってぇぇぇよ! お気に入りの帽子に何すんだ姐さん!」
メフィストは頭から血を吹き出しながら文句を言った。いや、頭に風穴開けられて帽子の心配って……。
ていうか、今のは私もムカついたけど、容赦ないなこの人。
しかも、見たことない武器を使っている。指でスイッチを押すと筒から光の球が出てくるとは面白い仕掛けだ。一見、大砲を小型化したような形状だが、銀色の装飾はどうやって加工しているのか理解できない複雑な構造をしていた。
「あら残念。息の根を止めようと思ったのに、まだ喋れるのね」
フィリアはすました顔でそう言った。
「ちぇーっ、相変わらず酷ぇなぁ。姐さんのお袋さんは優しくて、美人で、おまけにナイスバディだったのに。どーして、娘はこうなっちまったのかねぇ」
穴の空いた帽子を悲しそうに見つめているメフィストの頭の傷はすぐにきれいに無くなった。
こいつはこいつでどうかしてるぞ。
――チャキッ
フィリアが再び謎の武器を構えた……。
「ちょっとフィリアさん、早く話を進めていただけないですか?」
キリがなくなってきたので、私はフィリアを止めた。
「……そうね、失礼したわ。単刀直入に話をさせてもらうわね。ちょっと頼みたいことがあって、貴女を探していたの」
フィリアは私の目を見て話しを始めた。
「はぁ、私に頼み事ですか……」
私はこの時点で面倒の予感しかなかった。
「【魔界】にある、あたし達の国を救って欲しいのよ……」
フィリアははっきりとした声で私に頼み事を明かした。
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