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第31話:失態と赤い絨毯と青く光る石

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「いやあ、待たせてすまないねぇ」
 立花は準備を終えて、レオンと合流した。

「さっさと行くぞ」
 レオンは顔も見ずに返事をした。

「そういえば、君の部下たちは大丈夫なのかい?」
 立花はレオンに質問した。

「お前には関係ないことだ。僕の失態は僕がケリをつける」
 レオンは冷淡に吐き捨てる。

「それより、普通に歩いて行ったらいつまで経っても着かないぞ。俺は走れば間に合うがお前はどうするんだ?」
 レオンは立花に質問した。

「ご心配なく。私も一応準備しておいたからねぇ。本当は取っておくつもりだったのだけど‥ニーナくん、それをここに置いてくれたまえ」
 立花はニーナに指示を出す。それは、赤い絨毯だった。

「これは、少し前の依頼でお礼に頂いた魔法の絨毯なんだけどね。恐ろしく燃費が悪くてねぇ。スピードは速いのだが、プロの魔術師が乗っても直ぐに魔力が空っぽになるんだ」
 立花は説明する。

「まあ、それでもいつか必要になると思ってね。エジシアを出るとき、これを手に入れておいたのさ」
 立花は袋から青く光る石を出した。

「これは魔法の力を凝縮させて溜めておける石なんだけど、ここにこの石を置くと……」
 ふわりと絨毯が浮いた。

「これで準備オッケーだ。ニーナくん、君も乗りたまえ」
 立花は絨毯の上に乗りながら言った。

「私達はこれに乗って行くけど、君も一緒にどうかな?」
 立花はレオンに尋ねる。

「誰がそんなものに乗るか。僕は走って行く」
 そう言うとレオンの身体は金色に輝き、猛スピードで走って行った。

「流石に速いねぇ。それでは、私達も行こうか」
 立花は青い石に手を触れると、絨毯はレオンにも負けないスピードで動き出した。
 しばらくして、絨毯はレオンに追いつく。

「ふぅ、やっと追いついたよ。せっかちだねぇ」
 立花が絨毯の上からレオンに話しかける。

「時間制限があるのはそっちだろ、合わせてやっているのだから感謝しろ」
 レオンはそう言いながらスピードを上げる。

「やれやれ、まあ一応協力的なんだから感謝しないとねぇ」
 立花はそうニーナに言うと、絨毯のスピードを上げた。

――1時間後。

【魔界に最も近い森(デス・ポイント)】

 立花達は、禍々しい森の前に着いた。

「流石にここからは慎重に行かないとねぇ」
 絨毯から降りた立花とニーナは、レオンの元に行く。

「僕もここに来たのは初めてだ。しかし噂では、この森のモンスターは魔界の瘴気の影響でより凶暴になっているらしい。さっきも行ったが足を引っ張るなよ」
 レオンは語気を強めて言った。

「わかっているさ、私もニーナくんも」
 立花はゆっくりと答える。

「それならいい。時間が惜しい早く行くぞ」
 レオンは森の方に足を進めた。

 デス・ポイントと言われるだけあって、森の中に入って間もなく大型のゴリラのようなモンスター(デスコング)が20体近く出迎えてきた。

「早速、お出ましですわ。一気にケリをつけますわよ。終焉の蛇群(ラストスネイク)!」
 ニーナが剣技を披露する。5体のデスコングは一瞬にして粉々になった。

「まだまだ修行が足らないな。龍神乱舞(ゴッドストライク)」
 残りの15体のデスコングに向かって強力な斬撃が何発も繰り出される。
 一撃必殺とも言える重い斬撃のラッシュにデスコングは絶命した。

「流石ですわ。私の技とはパワーが全然違いますわ」
 ニーナは感嘆する。

「そうかい? 私は君とそんなに差があるとは思えないが」
立花はニーナに感想を伝える。

 それからしばらくは戦闘の連続だった。
 しかし、セイファー流の達人2人にはモンスターの群れなど相手にならなかった。

そして、もう少しで潜伏先と思われる建物に辿り着きそうになった……。

「意外と早かったじゃないですか」
 黒ずくめの服装をした、死神の姿が現れた‥


約束の時間まで後、15時間50分
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