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17 ご褒美
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「…おお!スゲェ、やっと解けたじゃん」
悠はようやく自分の力で問題を解くことが出来た。
「で、できた…!けど、ヤバい頭パンク寸前…」
悠は教えてくれる流華の距離に気を取られてしまい、流華の説明が全く説明が耳に入って来ず、問題を解いてみても、ずっと同じ計算ミスを繰り返していた。
(数学もだし流華のことも…色々考えすぎてパンクする…)
「ホントお前数学苦手な笑 まあでも頑張ったじゃん」
流華は悠の顔を見て微笑んだ。
「うん、ありがとう…」
「まあここ応用問題だったしな…よく頑張ったよ」
(好きな人に褒められた時ってこんな幸せなんだな…頑張ってよかったぁ…)
「あ、じゃあちょっとまってて」
流華はそう言うと、立ちあがり部屋から出て行ってしまった。
(…?どこ行ったんだろ)
数分後
「悠~!」
バタンという扉の音と同時に流華が部屋に入ってきた。
流華は皿に乗ったショートケーキを二つ持ってきた。
「うおっ…!?」
「俺ら勉強頑張ったっしょ?冷蔵庫にケーキあるの思い出してさ、一緒に食おうぜ」
「いいの…?」
「あたりめーじゃん!お前も数学頑張ったし俺も英語頑張ったから笑」
悠は流華にフォークを渡される。
(ま、また隣で…本当に慣れないから定位置に移動したい…んだけど、これも何かのチャンスか…)
悠と流華は二人でショートケーキを食べ始めた。
「ん!うま」
流華は悠の横で幸せそうにショートケーキを頬張っている。
(美味しそうに食べるな、流華は…)
美味しそうに食べる流華が可愛くて堪らなくなり、ついケーキを食べるのを忘れてしまう。
「ん、ほら」
流華に呼ばれたため横をむくと、フォークを持ち待機している流華と目が合う。
「…ん!?」
「口、開けて」
そう言われた悠は反射的に口を開いた。
口を開いた瞬間、 流華がくれた甘さが悠の口の中で広がり溶けていく。
(待って今僕、あーんされた…!?!?)
「ん、どお?美味し?」
「うん。美味しい…」
「俺からのご褒美」
流華は照れくさそうに言い、再び自分のケーキを食べ始める。
(ほんとこの人は…っっ!!し、心臓落ちそう…っ)
いきなりの出来事に理解がまだ追いつかない。
さすが無自覚男、サラッとこのような事をしてくるせいで、とても気が狂う。
(…でもあっちがご褒美…くれたなら僕もあげないとおかしいよね…)
悠は自分のショートケーキを一口切り分けた。
「流華」
「ん?」
「はい…あーん、して」
「んっ!?」
流華はいつもより積極的な悠の姿を見て驚いた表情を見せたが、後に照れた様子で口を開いた。
(夢…かもしれない、僕、流華にあーん、した…)
流華はショートケーキを頬張った。
「…美味しい」
「美味しいよね。じゃあ…これは僕からのご褒美…ってことで」
「や、やめろよっ…」
流華は、悠がいる方向とは逆の方へ顔を向けた。
「…照れた?」
「て、照れてねえよ…!!」
流華は今どのような顔をしているんだろう。
表情が見えないからこそ、心の中で想像するのが少し楽しい。
(自分は恥ずかしいことしても平気なくせに、自分がされると照れるんだから…ほんと、こういうところも好き)
悠はそんな流華も愛おしく思える。
「…お前がくれた方が美味しかったよ」
「…え?」
「だから!お前が…あーんしてくれた方が美味しかった、って!」
流華はそっぽ向いたままぶっきらぼうにそう言った。
「…僕も流華が食べさせてくれたケーキの方が美味しかったよ」
「はあ…ほんっと、お前といると駄目だな、俺」
流華はようやくここで悠の方を見た。
「…クリームついてる」
流華は悠の唇の横に僅かについたクリームに気付いた。
「…取って…?」
「な…!!」
「ご、ごめん自分で取れって感じだよね…!!」
悠は自分の言ったことを掻き消すようにそう言いクリームを自分で拭こうとした。
流華は、そんな悠を止めるかのように
「…いいよ、取るから」
と言い、悠の唇の横のクリームを人差し指で取る。
「あ、ありがと…」
「…お前、何か人格変わった…?」
「か、変わってない!!失礼な!!」
(流華を振り向かせたくてこっちは必死なんだから…!ほんっと、鈍感…)
お互いの頬の色がショートケーキの苺のように紅く色付いているのが分かる。
(世界一幸せなショートケーキだったな、ドキドキ止まんない…)
そうして悠は夢見心地なまま、ショートケーキを食べ終えたのだった。
悠はようやく自分の力で問題を解くことが出来た。
「で、できた…!けど、ヤバい頭パンク寸前…」
悠は教えてくれる流華の距離に気を取られてしまい、流華の説明が全く説明が耳に入って来ず、問題を解いてみても、ずっと同じ計算ミスを繰り返していた。
(数学もだし流華のことも…色々考えすぎてパンクする…)
「ホントお前数学苦手な笑 まあでも頑張ったじゃん」
流華は悠の顔を見て微笑んだ。
「うん、ありがとう…」
「まあここ応用問題だったしな…よく頑張ったよ」
(好きな人に褒められた時ってこんな幸せなんだな…頑張ってよかったぁ…)
「あ、じゃあちょっとまってて」
流華はそう言うと、立ちあがり部屋から出て行ってしまった。
(…?どこ行ったんだろ)
数分後
「悠~!」
バタンという扉の音と同時に流華が部屋に入ってきた。
流華は皿に乗ったショートケーキを二つ持ってきた。
「うおっ…!?」
「俺ら勉強頑張ったっしょ?冷蔵庫にケーキあるの思い出してさ、一緒に食おうぜ」
「いいの…?」
「あたりめーじゃん!お前も数学頑張ったし俺も英語頑張ったから笑」
悠は流華にフォークを渡される。
(ま、また隣で…本当に慣れないから定位置に移動したい…んだけど、これも何かのチャンスか…)
悠と流華は二人でショートケーキを食べ始めた。
「ん!うま」
流華は悠の横で幸せそうにショートケーキを頬張っている。
(美味しそうに食べるな、流華は…)
美味しそうに食べる流華が可愛くて堪らなくなり、ついケーキを食べるのを忘れてしまう。
「ん、ほら」
流華に呼ばれたため横をむくと、フォークを持ち待機している流華と目が合う。
「…ん!?」
「口、開けて」
そう言われた悠は反射的に口を開いた。
口を開いた瞬間、 流華がくれた甘さが悠の口の中で広がり溶けていく。
(待って今僕、あーんされた…!?!?)
「ん、どお?美味し?」
「うん。美味しい…」
「俺からのご褒美」
流華は照れくさそうに言い、再び自分のケーキを食べ始める。
(ほんとこの人は…っっ!!し、心臓落ちそう…っ)
いきなりの出来事に理解がまだ追いつかない。
さすが無自覚男、サラッとこのような事をしてくるせいで、とても気が狂う。
(…でもあっちがご褒美…くれたなら僕もあげないとおかしいよね…)
悠は自分のショートケーキを一口切り分けた。
「流華」
「ん?」
「はい…あーん、して」
「んっ!?」
流華はいつもより積極的な悠の姿を見て驚いた表情を見せたが、後に照れた様子で口を開いた。
(夢…かもしれない、僕、流華にあーん、した…)
流華はショートケーキを頬張った。
「…美味しい」
「美味しいよね。じゃあ…これは僕からのご褒美…ってことで」
「や、やめろよっ…」
流華は、悠がいる方向とは逆の方へ顔を向けた。
「…照れた?」
「て、照れてねえよ…!!」
流華は今どのような顔をしているんだろう。
表情が見えないからこそ、心の中で想像するのが少し楽しい。
(自分は恥ずかしいことしても平気なくせに、自分がされると照れるんだから…ほんと、こういうところも好き)
悠はそんな流華も愛おしく思える。
「…お前がくれた方が美味しかったよ」
「…え?」
「だから!お前が…あーんしてくれた方が美味しかった、って!」
流華はそっぽ向いたままぶっきらぼうにそう言った。
「…僕も流華が食べさせてくれたケーキの方が美味しかったよ」
「はあ…ほんっと、お前といると駄目だな、俺」
流華はようやくここで悠の方を見た。
「…クリームついてる」
流華は悠の唇の横に僅かについたクリームに気付いた。
「…取って…?」
「な…!!」
「ご、ごめん自分で取れって感じだよね…!!」
悠は自分の言ったことを掻き消すようにそう言いクリームを自分で拭こうとした。
流華は、そんな悠を止めるかのように
「…いいよ、取るから」
と言い、悠の唇の横のクリームを人差し指で取る。
「あ、ありがと…」
「…お前、何か人格変わった…?」
「か、変わってない!!失礼な!!」
(流華を振り向かせたくてこっちは必死なんだから…!ほんっと、鈍感…)
お互いの頬の色がショートケーキの苺のように紅く色付いているのが分かる。
(世界一幸せなショートケーキだったな、ドキドキ止まんない…)
そうして悠は夢見心地なまま、ショートケーキを食べ終えたのだった。
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