※ただし童貞を失ったら死ぬ

空兎

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イージス•ヴィ•トリスタン

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「貴様、まさか昨日の人間か?僕のスキルだけでなく種族まで盗み取ったのか?」

早々身バレまでしてもうたでござる。ちょ、なんでわかったの?あれか、耳は変わったけど顔は変わってないってこと?早々にイケメンになった説が崩れました。エルフになっても大して容姿は変わってないらしい。

さて、これで俺が昨日の人間であることもバレてしまったわけどだけどこれでエルフ君の怒りを宥めるとかなんという無理ゲー。いやだってこいつ人間ものっすごい毛嫌いしてるじゃん。この状況でどうやったらお許しをもらえるんだよ。つらたん。

取り敢えず正直に言おう。

「えっと、俺のスキルって憧れた人のスキルを使用できるってもんなんだけど、君に迷惑かけないし使わせてもらえないかな?」
「何故それが許されると思ったんだ?僕のスキルを他の奴が使うなんて我慢ならん」

エルフ君が怒りの表情のままそういう。やっぱりダメだったか~。人間嫌いなエルフ君に説得とか無謀すぎましたね。

正直エルフ君には害がないしスキル使わせてくれてもいいじゃんと思わなくもないけど逆の立場で考えよう。

自分にとって嫌な奴……例えば俺と同じく異世界転生組の奴がコピー能力を持っていて俺が超頑張って作った必殺技を『はい、コピー。じゃあこのスキル俺も使うね!』とか言ってきたらむちゃくちゃ腹立つわ。これでハーレムとか作り出したらキレるぞ。

しゃあない、人の嫌がることはするなというし当分は使わないことにするか。そのうちエルフ君も心開いて許してくれるかもしれないしね。無理な気もするが。超絶ピンチな時と絶対誰もいないところでは使うかもしれんがそれは許してくれ。

「わかったよ。君のスキルは使わないようにするよ。じゃあね」
「待て」

話も終わったしその場を離れようとするとエルフ君に止められる。うん?まだなんか用あるの?

「何?」
「そんな口約束では信用できない。僕の見てない所で好き勝手に使うかもしれなからな。僕のスキルを持つ貴様をこのままいかせるわけにはいかない」

激おこの顔のままエルフ君がそういう。どうやらまだ納得がいってないようだ。いや、君の全く関係ない所で使うくらいは許してよ。俺もコピー転生主が地球の裏側で俺のスキル使っていても許せるぞ。俺と生存圏が違うなら勝手にハーレムも作ってくれ。

だけれどもエルフ君はそれでも嫌らしい。じゃあどないせいというねん。

「じゃあどうしたらいいんだ?」
「お前の右腕をもらう」

……は?

予想外の言葉に思考が一瞬止まる。え、ちょ、今なんて言った?

「右腕を奪えば弓矢はもう使えない。よって僕のスキルを使うこともできまい」
「ひなた、ころす?」

それまで黙っていたどろ子が俺を見上げながらそういう。どろ子かわいい。じゃなくて、え、右腕?なんで右腕取られないといけないの?確かに右腕無くなったら弓は使えないけど他の武器も扱えないし、それに一般的男子高校生がするとても健全な作業もできないんだよ?ちょ、無理無理無理。絶対に嫌ですわ。

「いや、殺さないけど、でも右腕取られるなんて絶対に嫌です。いくらなんでもそれは飲めんわ」
「僕は自分のスキルを誇りに思っている。それを人間などに使われるなど我慢がならない。だからこうだ」

エルフ君はそういうと右手にはめていた白い手袋を脱いで俺の足元に叩きつけた。うわぁ、これゲームのムービーで見たことあるわ。マジか、ということは……、

「イージス・ヴィ・トリスタンの名において貴様に決闘を申し込む!自身がそのスキルに相応しい事を示せ。さもなくば右腕をもらう!」

怒涛の勢いでエルフ君ことイージスが言う。ですよねー、手袋を相手に投げつけるのって決闘ですよねー。ゲームではかっけーとと思っていたけど実際にされるとただただしんどいです。だって負けると右腕取られるんだよ?つらっ。

「えっと、断るという選択は?」
「僕の尊厳を奪いながら決闘を拒むというならば右腕とは言わない、その命をもらうぞ」
「ひなた、ころす?」
「いや殺さないけど、ああ、うん。はい、決闘を受けます」

他に言いようがない。受けないと殺されるらしい。もしくはどろ子が殺すのかも。そんな殺伐とした選択ばかりじゃなくてもっと楽しいことしようよ。皆でスマブラするとか。

「決闘の内容だが草原にいる丸兎をどちらが多く狩れるか勝負しよう。時間はそうだな、あの木の影が岩にかかるまでだ」

イージスのいう方を見るとそこそこ背のある一本木の影が岩に向かって伸びているのが見えた。あれが岩に届いたら終わりということらしい。特に反対する理由もないので頷いておく。

「別に構わないよ。じゃあどろ子、悪いんだけど影みといてもらってもいい?それで岩に届いたら教えてほしい」
「ん。わかった」

これで決闘の準備は整ってしまったわけだ。本当にやるのか、決闘。今から考え直してくれてもいいんだよ?

「岩に影が落ちるまでに丸兎をより狩れた者が勝者だ。僕が勝てば君の右腕をもらう」
「ちなみに俺が勝った場合は?」
「貴様の好きにするがいい。腕をもごうが脚を奪おうが何をしても構わない。奴隷になれというならばそうしよう」

俺が勝った場合はイージスを好きにできるらしい。別に嬉しくない。これが女の子なら好きにできるってとこにテンション上がるんだけど男には用はありません。はぁ。

こうして俺に全くメリットのない決闘が始まったのだった。

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