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スライム、上級ポーション……?
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「おおっ、エアト!よかった!今日も店をやっていたんだな!」
「あ、イツダツさん、こんにちは。今日も来てくれるなんてどうしたんですか?」
働かざる者スライム食えず。今日もスライムを買うために下級ポーション作って店番しているとちょっと慌てた様子でイツダツさんが店にやってきた。
イツダツは昨日下級ポーションを5本買ってくれたばっかりなのに何か用なのかな?パーティメンバーが怪我してポーション使い切ったとか?まあ売れてくれる分にはこちらとしても有り難い。
「ああ、エアト。昨日俺が5本下級ポーション買ったからっていっておまけでスライムの蓋がついたポーションをくれただろ?」
「スライムポーションですね。何かありましたか?」
え、スライムポーション何かまずいことあったの?材料は小スラと薬草以外入れてないし小スラも俺が食べてみても大丈夫だったし問題ないと思ったけど……ひょっとしたら個別でオッケーでも混ぜるな危険!ということがあったのかもしれん。そんな食い合わせが悪くて食中毒みたいなのは勘弁して下さいな。
「あれ、すっごく効果あるんだな!ひょっとして上級ポーションなのか?ノースが岩鹿にやられて空いた腹の傷があのポーションかけただけで治っちまったよ。なんかちょっとヌルヌルしていたけどそれによって止血できたし効果があったから是非買いたいと思ってきたんだ」
イツダツさんが興奮気味にそういう。どうやら苦情ではなく効能が凄くて商品が欲しいということらしい。なんだ。焦った。落ち着いた。スライムポーションが上級ポーション並みに効果を発揮したのか。え?それってかなりすごくない?
ポーションには下級、中級、上級、特級、王級、神級の6つの位がある。これだけ聞くと上級は大したことないように聞こえるかもしれないが上2つはそもそも世に出回ることはない。王級は千切れた腕でも生えてくるというし神級は不老不死になるとか若返るとかそういうレベルの奴。ね。そんなの常日頃見かけませんよね。
ということでランクでいうと真ん中だが上級ポーションは一般的にはかなりの価値がある。上級ポーション一本で致命傷レベルの傷を塞ぐことができるのだ。命の綱渡りサーカスの冒険者生活では上級ポーションは割と求められる。
「構いませんよ。おいくつ必要ですか?」
「そうだな、取り敢えずひとつくれ。いくらだ?」
「500sです」
そういってにっこりと笑う。下級ポーションの50倍の値段を提示しているが別にぼったくっているわけではない。本当に上級ポーションならこれくらいの値段はするのだ。
上級ポーションは材料に貴重な素材を使うからあまり数が出回ってない。一応ギルドでも500sという価格で販売しているが、在庫がなくて欲しいという人に売れないこともしばしば。
なのでこのスライムポーションに本当に上級ポーションと同様の価値があるのなら500sはお買い得といってもいい。本当に上級ポーションと同じ価値があるのならイツダツさんは買ってくれるはずなんだが……?
「500sか、まあそれくらいはするもんだな。わかった、ひとつくれ」
「どうも、ありがとうございます」
イツダツさん支払った銀色のコインを5枚受け取り代わりにスライムポーションを渡す。売れた、売れたわ。500sでスライムポーション売れちゃったよ。
え、マジで?これって小スラと薬草しか使ってないんだけどマジでいいの?ほぼ丸儲けだけど本当にいいの?
市場の適正価格っていったけどやっぱりぼっているわコレ。元手ほとんどゼロやんけ。
それでもイツダツさんは500s払ってくれたのだから少なくともイツダツさんにとっては上級ポーションと同じ価値があるということなのだろう。
まさか、スラりんが生み出した小さなスライムが上級ポーションの材料になるなんて……おいしくて便利でもあるなんてスライムまじ神である。
そのまま作った50個の下級ポーションを売って店じまいする。1000sの売り上げのうち半分がスライムポーションなのか。スライム侮り難し。これは世界にスライム革命が起きてもおかしくないですね。
店が終わったら今度はスラりんのレベルを上げに行く。今でも役に立つがスラりんのレベルは上げた方がいい。何故ならばモンスターはレベルが高い方がおいしいのである。
熟成されたというか鍛えられたというか兎に角強くてレベルの高いモンスターは美味しいのだ。ならばスラりんも育てるべきだろう。その証拠にスラりんの生み出す小スラは昨日に比べて味が濃くなった。
つまり苦くなった。……うん、微妙に嬉しくない。スラりんに関してはレベルを上げない方が食べやすかったのかもしれない。
まあというわけでふるふると揺れるスラりんを肩に乗せ今日も森へ向かう。勿論ギルドに行って丸兎と小角猪のクエストは受けておいた。たくさん食用スライムを買う為にもお金はいくらあってもいいですよ!
そんなわけでスラりんを投げて投げて投げてレベルを上げていく。丸兎を7匹と小角猪を2匹ほど倒した。だけれども夢中になっていたのだろう、気付けば森の奥に来てしまったようだ。
まだ日が暮れるまでには時間はあるがあんまり奥へ行くと帰るのが面倒だ。そろそろ戻ろうと思った瞬間、バシャッと水音がして思わず振り向く。
え、今音がしたよね?近くに水辺があるんだよね?まって、つまりそれって、
近 く に ス ラ イ ム が い る っ て こ と で す か ?
思わず全力ダッシュする。昨日も今日もスライムは見かけていない。なんでかわからんがこの森からはかなりのスライムがいなくなっているようだ。
だけれどもそれでも水辺なら!スライムが寄り付きやすい水辺なら!まだスライムを見つけることができるかもしれない!
ここで大量のスライムを捕まえることができたら夢のスライム王国も作れるかもしれん。スライムゲットだぜ!
そう思って水辺に足を踏み入れた瞬間だった。プチュっと潰れた水色が視界に映る。そこに広がっていたのはスライムの楽園などではなかった。
「フーゥ、下等生物ガ。地ヲ這イ蹲ルシカナイオ前達ガ、生キルコトスラ煩ワシイ」
フー、フー、と息を吐きながら豚の顔をしたモンスターが大きな剣を地面に叩きつけている。オークだ。しかも鎧を纏っているから上位種族、おそらくオーク将軍だ。
だけどもそんなことはどうでもよかった。それどころではなかった。
オーク将軍が剣を叩きつける先に目線が釘付けになる。そこには水色のゼリーのようなものが細切れになって散っていた。
ああ、なんてことだ。よく見れば周りにも水色の塊が飛び散っている。オーク将軍が叩き潰していたのは、……スライムだ。
「フゥ、人間、カ?」
オーク将軍が俺に気付いたのかこちらを向く。光を灯さない濁った黒目と目が合った。
「マダ残ッテイタカ。人間、ソノ肩ニ乗ルスライムヲ寄越セ。サスレバ、オ前ハ見逃シテヤロウ」
オーク将軍が大剣を持っていない方の手で俺を指差す。俺、いや俺の肩に乗っているスラりんを指差しているのだ。
何故オーク将軍がスラりんを欲しがるのかはわからない。だけれどもこの現状を見ればどうするつもりなのか想像はつく。オーク将軍はスラりんを殺すつもりなのだ。
は?何言っているんだこの豚は?
そう理解した瞬間胸から何か熱いものが込み上げてくる。スラりんはまだ出会って3日しか経ってないがちっちゃくてプルプル震えてもう食べちゃいたい(ガチ)くらい可愛い俺の大切なパートナーだ。
それを渡せというだと?頭の中に脳みその代わりにおからでも詰まっているのだろうか。
ハッハッハッ、うちの子はやらんわ馬鹿やろう!
水辺のスライムがやられていた時点で結構きてたけどこれはプッツンですわ。この豚許さん。今日の晩ご飯は豚汁です。
肩でふるふる震えるスラりんを撫でながらゆっくりとコメット袋に手を入れる。大丈夫だからね、スラりん。君を豚にはやりません。
「フゥー、スライムヲ渡セ」
「スラりんはやらんわバーカ」
コメット袋から取り出したものをオーク将軍に向かって投げる。さあ、戦闘開始です。
「あ、イツダツさん、こんにちは。今日も来てくれるなんてどうしたんですか?」
働かざる者スライム食えず。今日もスライムを買うために下級ポーション作って店番しているとちょっと慌てた様子でイツダツさんが店にやってきた。
イツダツは昨日下級ポーションを5本買ってくれたばっかりなのに何か用なのかな?パーティメンバーが怪我してポーション使い切ったとか?まあ売れてくれる分にはこちらとしても有り難い。
「ああ、エアト。昨日俺が5本下級ポーション買ったからっていっておまけでスライムの蓋がついたポーションをくれただろ?」
「スライムポーションですね。何かありましたか?」
え、スライムポーション何かまずいことあったの?材料は小スラと薬草以外入れてないし小スラも俺が食べてみても大丈夫だったし問題ないと思ったけど……ひょっとしたら個別でオッケーでも混ぜるな危険!ということがあったのかもしれん。そんな食い合わせが悪くて食中毒みたいなのは勘弁して下さいな。
「あれ、すっごく効果あるんだな!ひょっとして上級ポーションなのか?ノースが岩鹿にやられて空いた腹の傷があのポーションかけただけで治っちまったよ。なんかちょっとヌルヌルしていたけどそれによって止血できたし効果があったから是非買いたいと思ってきたんだ」
イツダツさんが興奮気味にそういう。どうやら苦情ではなく効能が凄くて商品が欲しいということらしい。なんだ。焦った。落ち着いた。スライムポーションが上級ポーション並みに効果を発揮したのか。え?それってかなりすごくない?
ポーションには下級、中級、上級、特級、王級、神級の6つの位がある。これだけ聞くと上級は大したことないように聞こえるかもしれないが上2つはそもそも世に出回ることはない。王級は千切れた腕でも生えてくるというし神級は不老不死になるとか若返るとかそういうレベルの奴。ね。そんなの常日頃見かけませんよね。
ということでランクでいうと真ん中だが上級ポーションは一般的にはかなりの価値がある。上級ポーション一本で致命傷レベルの傷を塞ぐことができるのだ。命の綱渡りサーカスの冒険者生活では上級ポーションは割と求められる。
「構いませんよ。おいくつ必要ですか?」
「そうだな、取り敢えずひとつくれ。いくらだ?」
「500sです」
そういってにっこりと笑う。下級ポーションの50倍の値段を提示しているが別にぼったくっているわけではない。本当に上級ポーションならこれくらいの値段はするのだ。
上級ポーションは材料に貴重な素材を使うからあまり数が出回ってない。一応ギルドでも500sという価格で販売しているが、在庫がなくて欲しいという人に売れないこともしばしば。
なのでこのスライムポーションに本当に上級ポーションと同様の価値があるのなら500sはお買い得といってもいい。本当に上級ポーションと同じ価値があるのならイツダツさんは買ってくれるはずなんだが……?
「500sか、まあそれくらいはするもんだな。わかった、ひとつくれ」
「どうも、ありがとうございます」
イツダツさん支払った銀色のコインを5枚受け取り代わりにスライムポーションを渡す。売れた、売れたわ。500sでスライムポーション売れちゃったよ。
え、マジで?これって小スラと薬草しか使ってないんだけどマジでいいの?ほぼ丸儲けだけど本当にいいの?
市場の適正価格っていったけどやっぱりぼっているわコレ。元手ほとんどゼロやんけ。
それでもイツダツさんは500s払ってくれたのだから少なくともイツダツさんにとっては上級ポーションと同じ価値があるということなのだろう。
まさか、スラりんが生み出した小さなスライムが上級ポーションの材料になるなんて……おいしくて便利でもあるなんてスライムまじ神である。
そのまま作った50個の下級ポーションを売って店じまいする。1000sの売り上げのうち半分がスライムポーションなのか。スライム侮り難し。これは世界にスライム革命が起きてもおかしくないですね。
店が終わったら今度はスラりんのレベルを上げに行く。今でも役に立つがスラりんのレベルは上げた方がいい。何故ならばモンスターはレベルが高い方がおいしいのである。
熟成されたというか鍛えられたというか兎に角強くてレベルの高いモンスターは美味しいのだ。ならばスラりんも育てるべきだろう。その証拠にスラりんの生み出す小スラは昨日に比べて味が濃くなった。
つまり苦くなった。……うん、微妙に嬉しくない。スラりんに関してはレベルを上げない方が食べやすかったのかもしれない。
まあというわけでふるふると揺れるスラりんを肩に乗せ今日も森へ向かう。勿論ギルドに行って丸兎と小角猪のクエストは受けておいた。たくさん食用スライムを買う為にもお金はいくらあってもいいですよ!
そんなわけでスラりんを投げて投げて投げてレベルを上げていく。丸兎を7匹と小角猪を2匹ほど倒した。だけれども夢中になっていたのだろう、気付けば森の奥に来てしまったようだ。
まだ日が暮れるまでには時間はあるがあんまり奥へ行くと帰るのが面倒だ。そろそろ戻ろうと思った瞬間、バシャッと水音がして思わず振り向く。
え、今音がしたよね?近くに水辺があるんだよね?まって、つまりそれって、
近 く に ス ラ イ ム が い る っ て こ と で す か ?
思わず全力ダッシュする。昨日も今日もスライムは見かけていない。なんでかわからんがこの森からはかなりのスライムがいなくなっているようだ。
だけれどもそれでも水辺なら!スライムが寄り付きやすい水辺なら!まだスライムを見つけることができるかもしれない!
ここで大量のスライムを捕まえることができたら夢のスライム王国も作れるかもしれん。スライムゲットだぜ!
そう思って水辺に足を踏み入れた瞬間だった。プチュっと潰れた水色が視界に映る。そこに広がっていたのはスライムの楽園などではなかった。
「フーゥ、下等生物ガ。地ヲ這イ蹲ルシカナイオ前達ガ、生キルコトスラ煩ワシイ」
フー、フー、と息を吐きながら豚の顔をしたモンスターが大きな剣を地面に叩きつけている。オークだ。しかも鎧を纏っているから上位種族、おそらくオーク将軍だ。
だけどもそんなことはどうでもよかった。それどころではなかった。
オーク将軍が剣を叩きつける先に目線が釘付けになる。そこには水色のゼリーのようなものが細切れになって散っていた。
ああ、なんてことだ。よく見れば周りにも水色の塊が飛び散っている。オーク将軍が叩き潰していたのは、……スライムだ。
「フゥ、人間、カ?」
オーク将軍が俺に気付いたのかこちらを向く。光を灯さない濁った黒目と目が合った。
「マダ残ッテイタカ。人間、ソノ肩ニ乗ルスライムヲ寄越セ。サスレバ、オ前ハ見逃シテヤロウ」
オーク将軍が大剣を持っていない方の手で俺を指差す。俺、いや俺の肩に乗っているスラりんを指差しているのだ。
何故オーク将軍がスラりんを欲しがるのかはわからない。だけれどもこの現状を見ればどうするつもりなのか想像はつく。オーク将軍はスラりんを殺すつもりなのだ。
は?何言っているんだこの豚は?
そう理解した瞬間胸から何か熱いものが込み上げてくる。スラりんはまだ出会って3日しか経ってないがちっちゃくてプルプル震えてもう食べちゃいたい(ガチ)くらい可愛い俺の大切なパートナーだ。
それを渡せというだと?頭の中に脳みその代わりにおからでも詰まっているのだろうか。
ハッハッハッ、うちの子はやらんわ馬鹿やろう!
水辺のスライムがやられていた時点で結構きてたけどこれはプッツンですわ。この豚許さん。今日の晩ご飯は豚汁です。
肩でふるふる震えるスラりんを撫でながらゆっくりとコメット袋に手を入れる。大丈夫だからね、スラりん。君を豚にはやりません。
「フゥー、スライムヲ渡セ」
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