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第二部
焦燥
しおりを挟むはい、というわけでミロが仲間になりましたー!ノームは見つからなかったけど方位把握っていう歩く方位磁石みたいなミロが来てくれたからダンジョン攻略はバッチリだよ!さらにミロはライドのハートまでかっさらってくれるホモ率削減候補者だからね。俺は全面的にミロを歓迎します。
ミロまで増えたから流石に住処変えた方がいいのかな?って話が出たんだけど『そんな…、シロムが出て行くなんて…。俺に悪いところがあったら直すからいかないでくれよ…』とレオンが悲壮感漂う顔でそういうのでミロもレオンの家に住むことになった。なんか妻に『実家に帰らせていただきます』って捨てられた夫みたいですね。まあ俺も使い慣れた台所とニック(貴重食材提供者)のいるここの方がいいから有難いけどな。そんなわけで白猫団の拠点は相変わらずレオンの家だ。
ダンジョンに行く前にギルドに寄ってミロのパーティの登録をしておく。その際ラトに会って『またハーレムメンバーを増やしたんだな。僕も負けないからな!』とゴゴゴッと背景に炎を背負っているようなトーンで言われたけど聞かなかったことにする。ラトと会うといつもホモ談義でメンタルが削れていくからね。ダンジョン行く前から疲労したくないです。
ダンジョンの前はいつも通り縁日のような賑わいを見せていた。ちょくちょく周りから『白猫団か?』『新しいメンバーをいれたのか?』みたいな声が聞こえてきたので急いで入り口に向かう。尊敬の眼差しで見られるならともかく興味本位でジロジロ見られるのはごめんである。いつも通りCクラス冒険者の出入口に向かった。
「どこへ行くの?ダンジョンへ入るにはあの列に並ばないといけないって聞いたんだけど」
「Cランク以上の冒険者がいるパーティは別の入り口使えるんだよ。だからそっちに向かってるんだ」
「え、Cランク冒険者になったの?!」
ミロがキラキラした眼差しをライドに向ける。ちゃいますわ。もう毎度毎度のことだけど間違われるのはやっぱり遣る瀬無い。
ライドが苦笑しながらミロに受け答えしている。
「違えよ。俺じゃなくてシロムがBランク冒険者なんだ」
「えっ、シロムが!?しかもBランク!?」
「そうだよ。俺がBランク冒険者です。ほら、早く行くぞ」
入り口の係りの人にギルドカードを提示する。特に何の問題もなく中に入るとミロが目を唖然とした表情でこちらを見てきた。
「Cランクでも国に試験されるから凄く難しいって聞いたのにBランクだなんてどうやってなったの!?」
「ついこの間ダンジョンてむっちゃ強いし相手倒して全員ランクをひとつ上げてもらったんだよ。Cランクはまあ、テスト受けたら受かった」
「ただ合格しただけではなくシロム様はそのテストで大地の土竜を倒されたのですよ」
「何回聞いてもドラゴン倒したってのは信じられねえ話だよな。テントに使われている魔石が竜玉だし間違いねえんだろうけどよ」
ついでに大地の土竜を倒した話をフィルが付け加える。うんうん、ただ試験に合格するだけでなくドラゴンまで倒しちゃったからね。俺ってマジすごい。
ただ代償も酷かったからなんか素直に喜べないんだよね。ドラゴン倒さなくてもよかったからファーストキスと尻の尊厳を返して下さい。やっぱりホモが通常運転のこの世界は嫌です。
ミロは話を聞いて半信半疑といった表情をしている。ドラゴンを倒したのは信じられないけどライドが嘘つくとは思えないしってところかな。まあ一緒に戦闘していくうちに俺の実力わかってもらえるだろうし今無理やり納得する必要はないだろう。
しばらく進んでいくと前からゴブリンの集団がやってきた。ミロの実力を見るいい機会だしサクッと戦闘しますか。
「ゴブリン何匹いる?」
「6匹ですね」
「じゃあフィルにダートで前の2匹を倒してもらって残りを1人1匹でどう?」
「いいと思うぜ。ミロもゴブリン1匹なら大丈夫だろ?」
「うん、問題ないよ。村にいたころからゴブリンくらい倒せてたからね!」
全員の発言を確認してから戦闘に入る。まずフィルが腰に吊った円形状の筒からダートを抜いてすぐさま手前にいたゴブリンたちに向けて投げる。
2つのダートは両方ともゴブリンの眉間に刺さり、クギャ、ギギッとよくわからない音を発して倒れた。さすがフィル、一発で仕留めたらしい。やっぱり頼りになりますね。
すぐさまライドが走り出し一歩遅れてフィルが走り出す。2人はいきなり攻撃を受けて狼狽えているゴブリン達の間を走り抜け後ろの2匹に飛びかかった。どうやら後方のゴブリンを担当してくれるらしい。じゃあ前の2匹が俺とミロの相手だね。さっさと終わらせちゃいましょうか。
紅盗の斬剣を抜いて手前のゴブリンに向かって走り出す。
ふはははっ、もうゴブリンなんかに苦戦する俺じゃないぞ。リディア戦という明らかにボス戦っぽい物も経験しどんどん強くなっているのだ。こうみるとやっぱり俺って主人公じゃね?BLゲーっぽいところが残念だけど。
ゴブリンの振り下ろす棍棒をあっさり避け紅盗の斬剣で斬りつける。『グカァァァ』と叫びゴブリンはあっさり光のエフェクトとなって消えていった。
うん、ただのゴブリンくらいなら全然問題なく倒せますね。じゃあ周りの皆はどうかなと思って周りを見るとライドがワンパンでゴブリンを消し飛ばしている所が見えた。
まるで風船を割るみたいな感じでゴブリンが弾け飛んだんだけどライドの攻撃力どうなっているの?レベル72のパンチは化け物級です。あいつ人間やめてるな。あ、そもそも人間じゃなかったか。
あとはミロかな~と思って隣を見ると噛み付いたゴブリンを振り払うところだった。
ミロの拳に殴られたゴブリンが吹っ飛ばされる。ミロの腕には歯型が残り歯型鋭かったのかだらだら血を流している。うわっ、いたそう。これひょっとしてミロやばいのかな?手助けしたほうがいい?
体格がいいから忘れそうになるがよくよく考えるとミロのレベルはまだ13だ。レベル15が適正といわれるゴブリンを相手にするのは厳しいかもしれない。手伝おうと思って駆け出した瞬間、ミロがゴブリンの襟首を掴むとこぶしで殴り始めた。
「このッ…!よくも噛んでくれたなァ…!ライドの前で傷なんかつけやがって…、絶対許さない…ッ!!」
グルルルゥと唸ると左手でゴブリンを掴み右手でゴブリンの顔面を殴った。小さな子どもくらいの背丈しかないゴブリンを2m超えの大男であるミロが殴り続ける。なにあれ怖い。相手がゴブリンじゃなかったら通報される案件です。ゴブリンだから問題はないけどミロを怒らせないようにしよう。あんなとんでもパンチくらったら一発で昇天してしまいます。
やがて顔面がボコボコになったゴブリンは光のエフェクトになって消えた。ハァハァと荒い息を吐き出すミロに近づきアイテムボックスから取り出したポーションを差し出す。
「お疲れ、ミロ。いや~、あのラッシュはすごかったね。ゴブリンに噛まれたところ痛いと思うしこれ使って」
「…ッシロムは、一撃でゴブリン倒したのっ?」
ミロはポーションを受け取ることもせずまだ戦闘直後で息の整わない中俺にそう問いかけてきた。まあ一撃で倒したかな。俺には紅盗の斬剣があるし。
「うん、まあ俺には武器があるし」
「武器があるくらいでそんなに変わったりしないよ。そっか、シロム本当に強いんだ」
戦闘が終わりテンションが下がってきたのか俯きながらミロがそういう。おおぅ、ミロに実力を認めて貰えたのはよかったけどなんか空気がめっちゃ重いですよ。取り敢えず、ほら、このポーションあげるから怪我を治そうよ。ラリーから買ったポーションだから賞味期限は大丈夫だよ!
ゴブリンを仕留めた2人も戻ってきて合流する。ライドが明るくミロに話しかけたがミロの表情は暗いままだった。
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作中に魅力的な要素がてんこ盛りであるにも関わらず、バランス良く萌え要素が描き出されているため、話を何度も読み返しては癒されています。
特に、白夢の、ノーマルな恋愛を望みながらもBL展開になってしまうことへの反応がコミカルで、とても好きです。その一方で、コミカルでありながらも、フィルやライドを大切に思う気持ちが増していることから、白夢の愛情深さが分かり、白夢のチーレム主人公としての魅力を更に感じています。
本当に、作中に描かれた全てがツボ過ぎて、これまで出て来た登場人物、これから出てくるであろう登場人物との展開を考えると、ワクワクが止まりません。どのような展開であろうとも、空兎様の書かれるものであれば楽しいものになるだろうと思います。
これからも応援しています。
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