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第二部
情報収集①
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魔石の換金が終わったので次に三層攻略のためにラリーに会いにダンジョンの入り口に行く。せめてあの五本の道のどれが正解なのかわからないと探索のしようがないしもしわかるなら他のチームがどうやってマッピングしているのか教えて欲しい。
ダンジョン前についてキョロキョロと辺りを見渡しラリーを探す。いるかな~、ひょっとしたらボーダーとしてダンジョンに入っちゃった可能性もあるよね。と思いながら見ていると茶色い垂れ耳を持った少年が冒険者の並ぶ列から離れて行くところだった。お、ラリーみっけ。
「ラリー。ちょっといいか?」
「あ、シロムさん。今レビューで1番の有名人に声をかけて貰えて嬉しいです!もちろん大丈夫ですが何の御用でしょう?」
ラリーは俺が呼び止めると嬉しそうにパタパタと駆けてきた。その姿が飼い主を見つけて喜ぶ仔犬にそっくりでラリーが犬人族だったことを思い出す。猫科ふたりは魚が好きだしやっぱり種族ごとの性質ってあるんだなー。
「ちょっと知りたいことがあって情報買いたいんだけどいいかな?」
「僕にわかることなら構いませんよ」
ラリーは快く引き受けてくれた。このまま話すと周りに聞き耳立てられて情報代がもったいないってことで移動することにする。
ラリーはダンジョン前からさほど離れていない小さなお店に案内してくれた。ここは甘味屋さんのようで『シロムさんは甘い物が好きなのですよね?』とにこにこしながら言われる。俺の情報収集もされちゃっていますよ。でもこういうことできる男がモテるんだろうな。俺も見習おう。
お店はパンケーキがメインらしい。店員さんにメニューを説明してもらいながら俺とフィルはベリー系の果物が乗ったパンケーキ、ライドはとにかく色んな果物が乗ったパンケーキ、ラリーはチョコバナナのパンケーキを注文した。ラリーに『チョコレートのケーキもありますが?』と言われたが苦笑しておく。流石にチョコレートは飽き飽きです。
パンケーキは程なくして出てきた。熱々のパンケーキにベリーとメープルシロップのようなソースを絡ませて食べると絶品でした。いい店教えてもらったな~、また来よう。
「それで知りたい情報はなんですか?」
「実は俺たち今三層までいったんだけど道が5つに分かれていてどこに進めばいいかわからないんだ。しらみ潰しに行くとめっちゃ時間がかかるしどれが正解か教えて欲しいんだけど、わかる?」
「え、もう三層まで行ったんですか?!シロムさん達がこの街に来てまだ2週間ですよね?そんな速度で攻略したパーティなんて聞いたことないですよ!?」
ラリーは持っていたフォークを乱暴に置いて前のめりにそう聞いてくる。耳がパタパタ動いていることからも興奮していることが伝わって来た。え、そんなにすごいことなの?まあ確かにあの広いダンジョンを2週間で二層も攻略しちゃうのはすごいことだよね。ほらほら、俺たちパーティとしても優秀じゃないか。だからそれ以外で評価するのマジやめて貰えないかな。レビューのアイドルなんてホモと敵増えるばかりでいいことないです。
「でもまあ一層はラリーに案内してもらって二層も途中から蒼穹の爪に道筋教えてもらったんだし実力ってよりは単に運が良かったんだな。うん、ラッキーだったわ」
「ちょっと待って下さい。蒼穹の爪ってあのトップパーティの蒼穹の爪ですよね?!シロムさん達、蒼穹の爪に会ったんですか!」
「ああ、二層攻略中に偶然遭遇したんだ。おにぎりを山ほどあげたら三層への道と印章をくれたんだ」
そう言いながらパンケーキを一切れ切り分けて口に放り込む。シロップは甘いがベリーの甘酸っぱさがうまいこと調和して程よい甘さになっている。これ、本当に美味しいな。俺にも作れないかな。
ラリーは食べかけのパンケーキに手をつけることなく呆然としている。どうやら本気で驚いているらしく言葉も出ないようだ。え、そんな反応されるとちょっとビビるんだけど蒼穹の爪に遭遇するのってそんなに凄いことなの?俺失礼な態度とってなかったっけ?不安になって来た。
「…ダンジョン内での食料は貴重ですので蒼穹の爪の攻略度合いから三層への道のりを教えるのはそこまでおかしいことはありません。シロムさんの料理は美味しいので殊更当然と言えます。ですが、印章を貰うというのは僕の理解を超えているんです。遭遇の爪のリーダーであるフレイザーさんは印章をばら撒くような方ではありませんし、よほどシロムさんの料理が美味しかったかシロムさん自身を気に入ったのでしょうね。」
どうやらラリーが驚いたのは蒼穹の爪に遭遇したことではなく印章を貰ったことらしい。フィルとライドから印章が価値あるものというのは聞いていたがラリーがここまで驚くのだから本当に凄いものなのだろう。え、そんなもの俺が貰ってもよかったの?なんか不安になって来たな。
「え、印章ってそんなに価値があるの?」
「そうですね、シロムさんがその印章を首からぶら下げれば黒蠍や超新星のような輩は2度と現れないでしょう。シロムさんに手を出すということは蒼穹の爪を敵に回すといことですから」
そういってラリーは気持ちを落ち着かせるようにふーと息を吐く。なんかとんでもないものを貰ったっぽいです。つまり何かあったときに蒼穹の爪に守ってもらえるってことかな?おにぎりの代償にしては随分なものをもらったなぁ。
「もし印章を使いたいのでしたら腕のいい細工師を紹介しますが?」
ラリーが印章の使い方を教えてくれる。どうやらこの綺麗な石は加工して装飾品にするようだ。印章を使えばSクラス冒険者であるフレイザーさんと懇意であることが周りに伝わりその庇護を受けることができる。うん、でもさ、
「別にいいや。俺は自分の力でSランク冒険者になりたいし」
「そうですか」
俺の答えを聞いてラリーは何故か嬉しそうに笑った。
というわけで印章は使わずお守りということでとって置きます。まあでもピンチになったら使うかもしれないけどね!プライドよりは命と尻の方が大事ですから!
ダンジョン前についてキョロキョロと辺りを見渡しラリーを探す。いるかな~、ひょっとしたらボーダーとしてダンジョンに入っちゃった可能性もあるよね。と思いながら見ていると茶色い垂れ耳を持った少年が冒険者の並ぶ列から離れて行くところだった。お、ラリーみっけ。
「ラリー。ちょっといいか?」
「あ、シロムさん。今レビューで1番の有名人に声をかけて貰えて嬉しいです!もちろん大丈夫ですが何の御用でしょう?」
ラリーは俺が呼び止めると嬉しそうにパタパタと駆けてきた。その姿が飼い主を見つけて喜ぶ仔犬にそっくりでラリーが犬人族だったことを思い出す。猫科ふたりは魚が好きだしやっぱり種族ごとの性質ってあるんだなー。
「ちょっと知りたいことがあって情報買いたいんだけどいいかな?」
「僕にわかることなら構いませんよ」
ラリーは快く引き受けてくれた。このまま話すと周りに聞き耳立てられて情報代がもったいないってことで移動することにする。
ラリーはダンジョン前からさほど離れていない小さなお店に案内してくれた。ここは甘味屋さんのようで『シロムさんは甘い物が好きなのですよね?』とにこにこしながら言われる。俺の情報収集もされちゃっていますよ。でもこういうことできる男がモテるんだろうな。俺も見習おう。
お店はパンケーキがメインらしい。店員さんにメニューを説明してもらいながら俺とフィルはベリー系の果物が乗ったパンケーキ、ライドはとにかく色んな果物が乗ったパンケーキ、ラリーはチョコバナナのパンケーキを注文した。ラリーに『チョコレートのケーキもありますが?』と言われたが苦笑しておく。流石にチョコレートは飽き飽きです。
パンケーキは程なくして出てきた。熱々のパンケーキにベリーとメープルシロップのようなソースを絡ませて食べると絶品でした。いい店教えてもらったな~、また来よう。
「それで知りたい情報はなんですか?」
「実は俺たち今三層までいったんだけど道が5つに分かれていてどこに進めばいいかわからないんだ。しらみ潰しに行くとめっちゃ時間がかかるしどれが正解か教えて欲しいんだけど、わかる?」
「え、もう三層まで行ったんですか?!シロムさん達がこの街に来てまだ2週間ですよね?そんな速度で攻略したパーティなんて聞いたことないですよ!?」
ラリーは持っていたフォークを乱暴に置いて前のめりにそう聞いてくる。耳がパタパタ動いていることからも興奮していることが伝わって来た。え、そんなにすごいことなの?まあ確かにあの広いダンジョンを2週間で二層も攻略しちゃうのはすごいことだよね。ほらほら、俺たちパーティとしても優秀じゃないか。だからそれ以外で評価するのマジやめて貰えないかな。レビューのアイドルなんてホモと敵増えるばかりでいいことないです。
「でもまあ一層はラリーに案内してもらって二層も途中から蒼穹の爪に道筋教えてもらったんだし実力ってよりは単に運が良かったんだな。うん、ラッキーだったわ」
「ちょっと待って下さい。蒼穹の爪ってあのトップパーティの蒼穹の爪ですよね?!シロムさん達、蒼穹の爪に会ったんですか!」
「ああ、二層攻略中に偶然遭遇したんだ。おにぎりを山ほどあげたら三層への道と印章をくれたんだ」
そう言いながらパンケーキを一切れ切り分けて口に放り込む。シロップは甘いがベリーの甘酸っぱさがうまいこと調和して程よい甘さになっている。これ、本当に美味しいな。俺にも作れないかな。
ラリーは食べかけのパンケーキに手をつけることなく呆然としている。どうやら本気で驚いているらしく言葉も出ないようだ。え、そんな反応されるとちょっとビビるんだけど蒼穹の爪に遭遇するのってそんなに凄いことなの?俺失礼な態度とってなかったっけ?不安になって来た。
「…ダンジョン内での食料は貴重ですので蒼穹の爪の攻略度合いから三層への道のりを教えるのはそこまでおかしいことはありません。シロムさんの料理は美味しいので殊更当然と言えます。ですが、印章を貰うというのは僕の理解を超えているんです。遭遇の爪のリーダーであるフレイザーさんは印章をばら撒くような方ではありませんし、よほどシロムさんの料理が美味しかったかシロムさん自身を気に入ったのでしょうね。」
どうやらラリーが驚いたのは蒼穹の爪に遭遇したことではなく印章を貰ったことらしい。フィルとライドから印章が価値あるものというのは聞いていたがラリーがここまで驚くのだから本当に凄いものなのだろう。え、そんなもの俺が貰ってもよかったの?なんか不安になって来たな。
「え、印章ってそんなに価値があるの?」
「そうですね、シロムさんがその印章を首からぶら下げれば黒蠍や超新星のような輩は2度と現れないでしょう。シロムさんに手を出すということは蒼穹の爪を敵に回すといことですから」
そういってラリーは気持ちを落ち着かせるようにふーと息を吐く。なんかとんでもないものを貰ったっぽいです。つまり何かあったときに蒼穹の爪に守ってもらえるってことかな?おにぎりの代償にしては随分なものをもらったなぁ。
「もし印章を使いたいのでしたら腕のいい細工師を紹介しますが?」
ラリーが印章の使い方を教えてくれる。どうやらこの綺麗な石は加工して装飾品にするようだ。印章を使えばSクラス冒険者であるフレイザーさんと懇意であることが周りに伝わりその庇護を受けることができる。うん、でもさ、
「別にいいや。俺は自分の力でSランク冒険者になりたいし」
「そうですか」
俺の答えを聞いてラリーは何故か嬉しそうに笑った。
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