上 下
18 / 31
第二部

騎士団の事情聴取

しおりを挟む


「今回、ダンジョンに狼藉者が現れたという話だが詳しく聞かせてもらおうか」


騎士団の詰所に行くとどっかの部屋に通され、やってきたのは前に黒蠍ブラックスコーピオンの賞金の時に対応したグリアノだった。げぇ、こいつかよ。偉そうでいけ好かないししあんまり関わり合いたくはないタイプの奴だ。早く事情聴取終わらせたくなってきた。


「1階のボス部屋に行ったら白髪のゴスロリ美少女に黄昏の旅団の人達が襲われてたから助けたんですよ」

「ゴスロリ?美少女?なんだそれは。もっと分かりやすく説明できんのか」


グリアノが眉を寄せる。あうち。ゴスロリも美少女も通じないのかよ。女の子がいない悲しい世界だもんなぁ。説明が一気に難しくなったのだけどどうしよう。


「一見すると白い髪に黒と白を基調とした服を着た小柄な人間に見えました。しかし、死後魔石化したことからモンスターだったかもしれません」

「匂い的にも人間ではなかったな。だがモンスターかと言われるとちょっとわからねえ。全身から血の匂いがしていたぜ」


説明下手のオレの代わりにフィルとライドがリディアについて話す。魔石化するのってモンスターだけなのか。そういえば黄昏の旅団の人達の死体はそのまま残っていたね。


「死体が魔石化する種族もいるからなんとも言えんな。そいつの魔石はないのか」

「ありますよ。これです」


異空間倉庫アイテムボックスからリディアの魔石を取り出しグリアノに差し出す。

グリアノはそれを手に取ると手の平で転がしたり裏返したりと検分していたがやがて突き返すように机の上に戻す。


「該当する種族はいないな」

「そうですか」

「前例はないがダンジョンが新たなボスを輩出したのかも知れん。まあいいだろう。後はこちらで調べるからもう帰っていいぞ」


なおざりな感じでグリアノがそういう。なんかもう用済み感が半端ないな。まあオレ嫌われているっぽいしこれ以上ここにいても情報出てこなさそうだしさっさと出るか。

席を立ちフィルとライドとドアから出ようとした瞬間、そういえば1番聞いておかなければならないことを思い出した。そうだそうだ、リディアについて1個気になることがあったんだよね。


「その子、自分のことを“魔族”って言っていたんですけど、魔族って何ですか?」


リディアがダンジョン側のモンスターなのか外から着た狼藉者だったのかは知らないけど自分のことを魔族と言っていたのは間違いない。それって何なのだ?

そう聞くとグリアノは怪訝な顔をする。


「何を言っている。魔族とはおよそ太古の昔に1度世界を滅ぼした種族のことだろ?そんな物がダンジョンの1層を彷徨いているわけがないしそもそもお前らに倒せるわけないだろ」


邪魔だからさっさと出てけと俺達は騎士団の詰所から追い出される。急な展開に思考が追いつかず茫然と詰所を眺めながら思う。

いや、それだろ。リディアは太古の昔に世界を滅ぼした魔族だよ。

おいおいおい、最後になんて情報が出てくるんだ!絶対それだよ!リディアは遥か昔に世界を滅ぼしたっていう魔族だよ!

そうすれば人間を家畜風情と言っちゃうリディアの言動や突き抜けたレベルとスキルに納得がいく。世界を滅ぼした種族ってなんじゃそりゃ。なんかめっちゃやばいのが出てきたな。

魔族と聞いてさらりとこれだけの情報が出てくるのだからグリアノはまだまだ情報を握ってそうだが、いかせん関係性が良くないのですんなり教えてくれそうにない。

ぐくぬっ、もういっそうあいつもリディアみたいに一決必殺イッケツヒッサツ使って魅力してやろうか。いや、流石に対価が見合ってないからやめとくわ。グリアノの好感度が上がる代わりに俺の尻とハートが粉砕されるんじゃ割に合わなすぎる。


「フィルとライドは魔族について何か知ってる?」

「申し訳ありません。僕は聞いたことないです」

「俺は聞いたことあるが寝物語レベルの知識だな。大昔に悪逆非道を尽くした種族がいたが全種族が力を合わせて退治したって話だ。たぶんこれが魔族なんだろうが、まさか現実とは思ってなかったぜ」


フィルは知らないといいライドは昔話程度の知識しかないという。でもちょいちょい伝聞として残っているってことはいよいよ現実味を帯びてきましたね。魔族はかつて世界を滅ぼした種族、そしてリディアがそれにあたる可能性が高いと。

うわああああっ、でも情報が少なすぎるっ!戻ってグレアノふん縛って知っていることはかせてやりたい。こんなのどこで情報収集すればいいんだよ。めっちゃ気になるわ。


「シロム様、ギルドで聞いてみるのはどうでしょう?長年モンスターとの戦闘を行ってきたギルドならなにかわかるかもしれません。」

「それだ!」


フィルが賢い。確かにモンスターのことならギルドが1番だね!リディアがモンスターなのかはわからないけどダンジョンってことでもギルドに軍配が上がるだろう。早速行くか。
 
というわけで騎士団では全然情報収集できなかったのでギルドへ向かう。ギルドでは何かわかるといいなー。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

巻き戻り令息の脱・悪役計画

BL / 連載中 24h.ポイント:76,063pt お気に入り:3,804

エリートアルファの旦那様は孤独なオメガを手放さない

BL / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:2,730

雪狐 氷の王子は番の黒豹騎士に溺愛される

BL / 完結 24h.ポイント:106pt お気に入り:4,823

出来損ないの次男は冷酷公爵様に溺愛される

BL / 連載中 24h.ポイント:454pt お気に入り:7,444

落ちこぼれ催眠術師は冷酷将軍の妄愛に堕とされる

BL / 完結 24h.ポイント:156pt お気に入り:2,877

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。