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その瞬間目の前が真っ暗になり意識を失ったようだ。
次に目を覚ました時そこは知らない部屋であった。
どうやら牢屋に入れられてしまったらしい。
何故こんなことになってしまったのだろうか?
そんなことを考えているうちにまた意識が遠のいていくのを感じた。
ああ、きっと断罪されるに違いないわ。
そう思っていると牢の鉄格子の前に王子が現れた。
「ユリオ様」
「お前の処遇が決まった、婚約破棄の後、俺は寛大だから、どちらか選ばせてやる」
と言って一枚の紙を取り出した。
そこにはこう書かれていた。
1このまま国外追放
2妹の代わりに嫁ぐの二択だった。
私は俯くとまず聞いた。
「国外追放は称号も剥奪ですか?」
「あぁ、大罪人と変わらないのだから、当たり前だろう?」
「2を選んだ場合は……私は妹皇女の代わりにどなたの元に嫁げばいいのですか?」
「3年前に会っているだろう? ガイル皇帝、位置をは皇族だ、まぁ相手が優しくしてくれるかどうかは知らないが、ガイルのことはお前も知っているだろう?」
「あ、初デートの時にナンパしてきた」
「そそ、氷の暴君その人だ」
ユリオ様は笑いながら言った。
(この人本気で言ってるのかしら)
そんな疑問を抱きつつ恐る恐る聞いてみたら案の定本気のようだったので
諦めることにした。
どうせ拒否権はないわけだしね。
それに何よりあの人ならいいかなって思ったからかもしれない。
私は爵位を返したくないので、渋々承諾することにしたのだ。
(仕方がないよね、だって私が悪いんだもん、自業自得だよね、うん仕方ないことなんだ、大丈夫、耐えられるはずだもん、耐えてみせるんだから)
そんな決意を固めると同時に扉が開き一人の男性が入ってくるのが見えた。
それが彼との出会いだった。
そして数日後、ついにその日がやってきたのである。
嫁入りの日は晴天だった。
私は伯爵令嬢として、交友国の名代で嫁入りすることとなった。
相手は北の帝国の皇帝殿下であり氷帝の二つ名で呼ばれている人物でもある。名をガイル・エルシェルド、私より4つ年上らしい。
「あ、あの私を受け入れていただきありがとうございます」
しかし、彼は、冷たい目で見下ろすだけで何も答えない。
沈黙が続く中馬車に揺られること数時間ようやく宮殿が見えてきたところで降りることになったのだがその時ふとあることに気づいた。
そういえば護衛がいないことに今更ながら気づいたのだが、
どうしてだろうかと考えている間にもどんどん進んでいくため仕方なくついていくことにしたのだった。
そうしてたどり着いた先にあったのは大きな門扉であった。
そしてその奥に見えるのはまるでお城のような建物が見えた。
あれが皇宮なのだろうと思いながら見ているとその横を通り過ぎさらに奥へと進んで行くようだった。
すると大きな庭園が見えてきてそこに足を踏み入れた瞬間目の前に広がった光景を見て思わず息を呑んでしまった。
そこには色とりどりの花が咲き乱れておりとても美しい景色だったのだ。
まるで天国にでも来たかのような錯覚を覚えるほどの美しさでしばらく
見惚れてしまっていたほどだった。
「きれいですね~」
そんな感想を漏らしていると不意に声をかけられた気がした。
振り向くとそこには長身の男が立っていたのだ。
銀色の髪に緑色の瞳をしておりどことなく冷たさを感じさせる容貌をしていたその人物こそがガイル皇帝陛下その人だったのである。
(これが噂に聞いた冷酷な男なのね)
「お前が俺の妻になる女か?」
そんなことを考えていた矢先声をかけられてしまい一瞬戸惑ってしまうもののすぐに気を取り直し返事をすることにする。
「ご冗談を、私は貴方の花嫁のはずですが?」
そう言うと彼は不思議そうな顔をしてこちらを見てきた。
その表情からは何を考えているのか全く読み取れないまま時間だけが過ぎていったのである。
そんな中突然彼が口を開いたかと思うととんでもないことを言い出したのである。
「な、なんと、生意気な?」
あまりの衝撃に言葉を失っていると今度はこんなことを言ってきたのである。
「余り物の癖に、お前こそ、俺に貰われなければ処刑されていたかもしれぬのだぞ?  運命の相手とか何かあるだろう?」
そう言われた瞬間頭に血が上り気づけば叫んでいた。
そして気がついた時には既に手遅れになっていたようで
いつの間にか押し倒されていたらしく身動きが取れなくなっていた。
抵抗しようにも力が強くてビクともしないし声も出せない状態だった。
為どうすることも出来ずにいると不意に耳元で囁かれた言葉に背筋が
凍り付くような感覚に襲われた後そのまま意識を手放してしまったのだった。
今なんて言いました?
『お前にくれてやる感情などない、ただただ、嫁として言うことを
聞けぬというのであれば、お前をこの場で殺すだけだぞ?』
そう言って凄んでくる彼に恐怖を覚えたのか身体が震え始めたのがわかった。それを見たのか満足げな笑みを浮かべると再び口を開くのだった。
「まぁ、可愛く健気に尽くすのなら、考えてやらなくもないがな?」
という言葉を残して去っていくのでした。
「うぅっ、ひっく、うぇーん」
私は泣きながら自分の部屋へと戻ることになったのです。
(なんで、なんでこんな目に遭わなきゃいけないのよ!)
そう思いながら歩いているうちに部屋の前に着いていましたが
扉を開ける気力すらなく、立ち尽くしていると後ろから
声がかけられたのです。
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