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そしてリラの耳元で囁いたのだ。
「必要のない物は、全て、施さぬのが俺の流儀でな、特に……。」
そう言いながら顎を持ち上げられる。
「逆らった奴の衣類まで、気にかけれる程、俺は大人じゃないぞ」
リラは、恥ずかしさのあまり顔を背けた。
顔が熱くなるのを感じたのだった。
そんな様子を見ていた皇帝は楽しそうに笑っていたのだ。
そして彼は言ったのである。
「まさか、何をしたのか思い出せないか?」
リラは、少し考えた後、思い出した。
自分が彼にした事を……、
「息子との喧嘩に仲裁」
ドンドン青ざめて行く。
「で寝かしつける前に何と言ったか?」
「えーと、お灸が……あっ」
思い出した、私がどれだけ彼を怒らしたのか……。
息子との親子げんかを仲裁しただけでは無く、処刑されかけて助けられたのに、皇帝の意見を無視して、游館に行き、セトに酷くされかけた事、結局未遂だったけど……。
「言う事を聞かなくて、ごめんな」
最後まで言えなかった。
いいえ、言わせて貰えなかった。
皇帝・ディオ・アレステルがリラ・スフィンクスの唇を奪っていたから……。
リラは、何が起こったのか理解できず呆然としていた。
そんな様子を皇帝は面白そうに見つめていたのだ。
そして彼は言ったのだった。
「其方に罰を与える、今日から俺の物になれ」
それを聞いた瞬間、リラの思考回路は完全に停止したのだった。
(えっ?)
今なんて言ったのかしら?
(私の聞き間違いかしら)
いやでも確かに聞こえたわ。
(まさかね!?)
そんな事を考えていると、彼はリラに近寄って来て、無理矢理立たせると耳元で囁いた。
「嫌なら抵抗するなり逃げるがいい、その方がお灸になる」
それを聞いた瞬間、恐怖を感じたのだ。
本気だと悟ったから。だから仕方なく従う事にしたのである。
「わかりました、貴方の物になります」
リラはそう答えたのだ。
すると彼は嬉しそうに微笑んだのだった。
(それにしてもこの人はどうして私なんかに執着するのだろう)
そんな疑問が浮かんだが気にしない事にしたのであった。
どうせそのうち飽きるだろうと思ったからである。
だがしかし現実は違った。
皇帝ディオ・アレステルはリラを手放す気などさらさら無いようだったのだから……。
☆★☆
その日から、リラの生活は一変した。
朝起きると、先ず初めに彼の顔を間近で見る事になる。
それだけでも心臓に悪いというのに、さらに追い討ちをかけるようにキスをされるのだ。
しかも舌を絡めてくるような濃厚なキスを、これを毎日やられると思うとたまったものではないと思ったリラだったが、
文句を言うわけにもいかずされるがままになっていたのだ。
(本当に困るわ)
そんな日々が続いたある日の事だった。
「リラ、散歩に行くぞ」
急に言われたのでリラは驚いたのだが、言われるままに付いていくとそこは庭園だった。
そしてベンチに腰掛けた皇帝は横に座るように言うので、言われた通りにすると、突然手を重ねてきたのである。
(えっ?)
と思う間もなく耳元で囁かれるのだった。
「好きだ、リラ」
と、その瞬間、頭が真っ白になってしまったのだが、次の瞬間には正気に戻り慌てて手を引っ込めたのだった。
そして顔を赤くして俯いていると皇帝が言ったのだ。
「なんだ? もう終わりか?」
(何が終わりだというのですか?)
そんな疑問が浮かんだが言葉に出来ないでいたところに追い討ちをかけるように彼はこう言ったのだ。
「俺は其方を手放すつもりはないから覚悟しておけ!」
そういえば、まだ抱かれてもいない。
「あの、私を抱いてくれないのですか?」
と、思わず聞いてしまうリラだったが皇帝は不思議そうな顔をして答えたのだ。
「必要のない物は、全て、施さぬのが俺の流儀でな、特に……。」
そう言いながら顎を持ち上げられる。
「逆らった奴の衣類まで、気にかけれる程、俺は大人じゃないぞ」
リラは、恥ずかしさのあまり顔を背けた。
顔が熱くなるのを感じたのだった。
そんな様子を見ていた皇帝は楽しそうに笑っていたのだ。
そして彼は言ったのである。
「まさか、何をしたのか思い出せないか?」
リラは、少し考えた後、思い出した。
自分が彼にした事を……、
「息子との喧嘩に仲裁」
ドンドン青ざめて行く。
「で寝かしつける前に何と言ったか?」
「えーと、お灸が……あっ」
思い出した、私がどれだけ彼を怒らしたのか……。
息子との親子げんかを仲裁しただけでは無く、処刑されかけて助けられたのに、皇帝の意見を無視して、游館に行き、セトに酷くされかけた事、結局未遂だったけど……。
「言う事を聞かなくて、ごめんな」
最後まで言えなかった。
いいえ、言わせて貰えなかった。
皇帝・ディオ・アレステルがリラ・スフィンクスの唇を奪っていたから……。
リラは、何が起こったのか理解できず呆然としていた。
そんな様子を皇帝は面白そうに見つめていたのだ。
そして彼は言ったのだった。
「其方に罰を与える、今日から俺の物になれ」
それを聞いた瞬間、リラの思考回路は完全に停止したのだった。
(えっ?)
今なんて言ったのかしら?
(私の聞き間違いかしら)
いやでも確かに聞こえたわ。
(まさかね!?)
そんな事を考えていると、彼はリラに近寄って来て、無理矢理立たせると耳元で囁いた。
「嫌なら抵抗するなり逃げるがいい、その方がお灸になる」
それを聞いた瞬間、恐怖を感じたのだ。
本気だと悟ったから。だから仕方なく従う事にしたのである。
「わかりました、貴方の物になります」
リラはそう答えたのだ。
すると彼は嬉しそうに微笑んだのだった。
(それにしてもこの人はどうして私なんかに執着するのだろう)
そんな疑問が浮かんだが気にしない事にしたのであった。
どうせそのうち飽きるだろうと思ったからである。
だがしかし現実は違った。
皇帝ディオ・アレステルはリラを手放す気などさらさら無いようだったのだから……。
☆★☆
その日から、リラの生活は一変した。
朝起きると、先ず初めに彼の顔を間近で見る事になる。
それだけでも心臓に悪いというのに、さらに追い討ちをかけるようにキスをされるのだ。
しかも舌を絡めてくるような濃厚なキスを、これを毎日やられると思うとたまったものではないと思ったリラだったが、
文句を言うわけにもいかずされるがままになっていたのだ。
(本当に困るわ)
そんな日々が続いたある日の事だった。
「リラ、散歩に行くぞ」
急に言われたのでリラは驚いたのだが、言われるままに付いていくとそこは庭園だった。
そしてベンチに腰掛けた皇帝は横に座るように言うので、言われた通りにすると、突然手を重ねてきたのである。
(えっ?)
と思う間もなく耳元で囁かれるのだった。
「好きだ、リラ」
と、その瞬間、頭が真っ白になってしまったのだが、次の瞬間には正気に戻り慌てて手を引っ込めたのだった。
そして顔を赤くして俯いていると皇帝が言ったのだ。
「なんだ? もう終わりか?」
(何が終わりだというのですか?)
そんな疑問が浮かんだが言葉に出来ないでいたところに追い討ちをかけるように彼はこう言ったのだ。
「俺は其方を手放すつもりはないから覚悟しておけ!」
そういえば、まだ抱かれてもいない。
「あの、私を抱いてくれないのですか?」
と、思わず聞いてしまうリラだったが皇帝は不思議そうな顔をして答えたのだ。
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