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10.快楽調教(3)~快楽調教(4)

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しかし、愛羅はそんなの御構い無しに
「何でもするから」
そう泣きじゃくりながら言う。
敦也は流石にため息をついた。
本来ならば、聞く義理はないのだ。
「本当に何でもするのか?」
その声は、敦也の今までのどの声色よりも低く、優しさの欠片も存在していなかった。

ここで見捨てられる事は、愛羅にとっては地獄を意味する。
まだ、敦也にお仕置と称し、虐められた方がましな現実だった。

「何をすれば、いい?」
「そうだな」
そう考え込むと
「じゃあ、こうしよう、愛羅」
そう言って、愛羅にそっと耳打ちする。
その行動に愛羅は、顔を真っ赤にした。
「なっ、や、やだ」
敦也が愛羅の耳元で囁く、
「この条件が飲めないのなら、俺はもうお前とは関わらない」
そんなの絶対に無理である。
愛羅が、初めてなのは敦也も知っている。
知っていて、しろと言って来ているのである。

その恐怖に身体が震えて泣きじゃくりながら 愛羅が何度も頭を上下に振って、頷くのでした。
それを敦也は黙って聞くだけでした。
ただ、それだけなのに愛羅には苦痛なのです。
そして、最後に乱暴に両肩を掴むと そのまま顎を掴んで持ち上げた。
唇を奪う。
繰り返し吸い上げる間にも口内を犯していく。
それは、まるで、犯されているかのようでした。

確かに、敦也はS男子なのだろう。
だからこそ、愛羅の起こした行動が許せなかったのだろうと、今ならよくわかるのです。
愛羅の脳内でぐるぐるとその言葉がめぐる。
愛羅のその瞳は不安と恐怖とそれ以上に目の前の雄を欲するような色をしていた。
しかし、それを知ってか知らずか、敦也が愛羅に囁くのだ。
「なぁ、愛羅お前は、まだ、一人ではしたこともないんだろう?」
その言葉に泣きじゃくる。

「ん」
敦也が、愛羅の耳元で囁く。
「俺の言う事を聞くのであれば、許してあげるどう?  許して欲しいよね?」
自分が悪いと敦也が言う以上、そうなのだろう。
だけど、それを知ってか知らずか、敦也は少し意地悪な笑みを浮かべていた。

そして、その微笑みはいつもの優しい顔ではなく酷く冷たくて恐怖を感じるものだったのです。
しかし、愛羅はその言葉に頷くしかないのでした。
「さっき、何でもするって言ったよね?」
その言葉に頷く。
すると、その答えに満足したのか、手枷を外してくれる。

そして、そのまま頭を優しくなでるとにっこり笑う。

また、耳元に口を寄せると意地悪そうにこう囁くのだった。
「俺に嫌われたいの? 性奴隷なのに、そんな事も出来ないのかよ?」
そんな事を言われれば、同然、愛羅には、どうしようもできないのでした。

だから、黙って従うしかないと悟るしかなかったのです。
例え、それがどんな酷くて意地悪な事だとしても何も言えないのでした。
とりあえずは、敦也の機嫌を取らなければなりません。
愛羅はそう思ったのです。

「イーブンがいいの、だから、こんなのはやだ」
そこで一瞬、敦也の瞳が輝くと、愛羅を見つめて来て満足そうに笑う。
しかしそれはあくまでも一瞬で直ぐに冷たい印象の顔をすると、その瞳の奥は笑っているように見えて実は冷酷な眼差しである事に愛羅は気づく。
そして、愛羅のその反応に満足したのか敦也は再び、意地悪く微笑む。
そして愛羅の顎を掴んで持ち上げると、
そのまま強引に口づけをするのでした。
「それは、今言う言葉か? 愛羅」
その声は不機嫌そのもので、愛羅は恐怖に身を震えさせる。
でも、分かっているのです。

自分は虐められ辱められ玩具にされてこそ、存在価値があるのだという事を、
そこに、恋愛感情は必要ないことも、それでも愛羅は、首を振り続けるので、ついに敦也が
「愛羅」
そう言って冷たく見下ろすのでありました。

愛羅はそんな冷たい視線で見られると何も出来なくなる。
そのまま泣きそうになるしかなかった。
しかし、そんな彼女を敦也の冷たく響く声が支配するのだ。

それでも、敦也は黙ったままだ。
「悪い子、勝手に家出したことを差し置いて、まだ、そんな言葉を言うだなんて、さっき何と言ったのか、思い出してご覧」
その優しさのない冷たい言葉とは裏腹に瞳だけはまるで氷のようである。

敦也は冷ややかに笑ってみせるのでした。
それでも愛羅は首を縦に振りません。
どうしても、そんなことを言うことが出来ないのです。
それほどまでに、彼から与えられる苦痛と快楽は、彼女にとって甘美なものだったからです。
しかし、敦也はそれを許さない。
愛羅が、自分の意思でそう言わなければ意味がないのだ。

そして、愛羅はついに観念したかのように口を開くと
「勝手に言いつけを破ってごめんなさい」
そう言って泣き出すのです。
そう、元はあのサイトを勝手に捨てられたと思い、退会してしまった愛羅に問題があるのでした。
そこに、構って貰えなかったからや、勝手にすっぽかしたのだから、敦也が悪いと
言うのは、違うと感じたのです。

だから、謝ることしか出来なかったのでした。

しかし、敦也は首を横に振ります。
そして、冷たい瞳で愛羅を見下ろしながら言うのでした。
「今見ていてあげるから、再登録する事、出来たら見せて」
そう言われて愛羅は躊躇う。
やはりそれは、自らが傷つきたく無い為だったのです。

しかし、そんな愛羅の性格を誰よりも把握している敦也は冷ややかに宣告するのでした。
「出来ないのなら、もう知らないよ、どうするの?」
そう言われて愛羅は泣き出す。
敦也が、愛羅にそっと近づくと、その顎を掴んで持ち上げる。

「悪いのは誰だっけ? 愛羅」
そんな言葉に嫌がれば、それすらもお見通しのような、恐ろしい眼差しで見つめられるのでした。
愛羅には選択する道は一つしかないのは確実な状態でした。

仕方なく口を開くしかありません。
「愛羅が、悪いの」
その声は、とても、弱々しくて敦也はため息をつく。
涙を愛羅が流す度に、イラついてしまうのは、愛羅が敦也を裏切ったからで、良く考えれば、性奴隷志願をされてからまだ、半年経っていないことを思い出して1度、深呼吸をすることにした。
「愛羅、何でもすると言ったのに、サイトへの再登録は嫌なわけ?」
その問いかけに絶句する。

「私は人なの、敦也!」
そんな健気な言葉にも、敦也は苦笑する。
ここ数日の敦也の態度は、愛羅に取っての生き地獄そのものだった。
「お前は、男を知らなすぎる」
昔、敦也に言われた言葉である。
「あの、敦也、本当に再登録だけで許してくれる?」
「あぁ、許すよ、お前がこの前、早とちりで俺の元から去ったことは、許してやる」
その言葉に愛羅は胸をなでおろす。

「なら、とってくるね」
そう言いながらスマホを隣の部屋に取りに行く。
その間、敦也は、ため息をつく、
『マジでブチ切れかけたな、俺』
そう思い、愛羅が帰ってくるのを待っていたが、なかなか戻って来ないので不信に思い、敦也が様子を見に行くと愛羅の姿がそこにはなかった。
「あの女、ふざけやがって」
そう叫ぶと何処かにかけ始める。

☆★☆

そして、愛羅はと言えば、敦也元から逃げた事に落ち込んでいた。

まさか、あそこまで執拗にお仕置きをしようとするだなんて愛羅にとっては想定外の出来事だ。

だが、ここから逃げたところで現状は変わらず敦也の支配からは逃げ出せないのは明白だった。

しかし、それでも、敦也から逃げ出すという行為に走った事への罪悪感は消えなかったのです。
「明日から仕事どうしよう」
敦也が、自分の上司な以上、顔を合わせない訳にも行かなくて、明日になると忘れているだろうと思い、愛羅は自宅に帰ると、そのまま眠りにつくのでした。

☆★☆

翌朝、愛羅は仕事に出ると、敦也から連絡が来ていた。
「今なんて?」
「天沼専務が先程来て、芹沢さんが出社したら、自分の部屋に寄こす様にと言っていたからね、なにかしたの?」
その言葉に青ざめる。

昨日の今日で、逃げ帰ってしまったことを考えれば、敦也からのペナルティに怯える愛羅としては仕方のない反応なのだが、どちらにせよ、会社に出社すれば顔を合わせなくてはならないことを考えれば、避けては通れない。

しかも、天沼敦也という男は、後で知ったが、あのサイトの常連で、そう言う方に顔が聞くのである。

「どうしたの? 早く行かないと、待っておられるよ」
そう言いながら、部下2人が心配そうな顔をしてこちらを見てきたので、これ以上は無理だと思い、愛羅は敦也が待つ専務室に向かうのでした。
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