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2.待ち合わせ~氷の解ける音(1)

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とりあえず何か目印に成ればと思い、赤いスカーフを首に巻いていきますねっと書きこんでメッセージを送信した後、出かけて今に至るのでした。

待ち合わせの為に駅に着くと、ロータリーのあるタクシー乗り場から少し離れた所で待っていても、誰も来ないので不安になり、何度かスマホを見つめながらそわそわしていると
「ちょっといいですか?」
そう遠慮がちに聞かれたので愛羅が
「はい、何でしょうか?」
そう聞けば男性が紳士的な対応で恭しく頭を下げると
「愛羅さんですかね?」
そう聞かれて愛羅がポッと顔を赤めると
「なるほど、思ったより、お若かったんですね」
そう言われて愛羅が恥ずかしそうに視線を背ければクスクスっと笑われる。

「では、行きましょうか? っと、そうだった」
そう言いながら辺りを見回すとにっこりと微笑み
「この辺地元なんですよ、愛羅さんは?」
そう聞かれて愛羅慌てたように
「よかった、私もなんです」
そう言えば愛羅に微笑むと
「では、おいしいご飯でも、食べにまずは行きましょうか?」
そう言われて愛羅も自然と頷いた。

そこは、愛羅も普段手が出せない様な高級店で驚いていると
「ここ、意外とおいしいんですよ、知ってました?」
そう聞かれて愛羅が俯くと
「私、お金なくて、普段はここにはこれ無いですよ、敦也さんお金持ちか何かですか?」
そう聞き返してから愛羅がまずいっと思た。

「んー、お金はあると便利ですけどね、普段は一人じゃ、俺もここには来ないかな? 普段は自宅で済ませるので……」
そう言われてほっとした顔を愛羅がしたのでした。

そして、愛羅を見つめ敦也が
「とりあえず、ここでいいでしょうか?」
そう聞かれて愛羅が頷くと自分の財布を取り出し札束を数枚手渡そうとすれば
「いいですよ、おごらせてください」
そう言われて愛羅が俯くと
「では、こうしましょうか?」
そう言いながら微笑むと
「まさか、外食するために、呼んだんじゃないでしょ? 愛羅さん」
そう言われて愛羅が顔を上げればにこっと微笑むと
「長期のお付き合いがご所望なんですよね? なら、イーブンで行きましょう、今日は俺が出します」
そう言われて愛羅が頬を赤めると
「そ、それだと……貴方が、損を」
そこまで言えば敦也はため息をついた。

「あまり、俺を怒らせないでくださいませんか? 愛羅さん」
その声は妙にはっきりしていて、それで居て何処か不機嫌そう。

愛羅が戸惑えば溜息を敦也がつくと
愛羅の耳元で
「そんなに払いたいんなら、後でうんと抱いてやる、今日はそれで我慢して」
そう囁かれて愛羅が顔を赤めると
「さっ、行きましょうか? 愛羅さん」
そう言われて手を差し出されたので愛羅が戸惑えば
「何、男性に、ずっと手を差し出させているのかね? もしかして、愛羅さん、そっちの経験はあまりない?」
そう問われて愛羅が俯くと
「しかた、無いじゃないの」
そう気づいたら呟いていた。

敦也が黙って聞いてくれる中、愛羅が続ける。
「恋人に、物の何日かで、立て続けに降られれば、そんな経験ある方が不自然でしょうよ」
そう泣きながら言えば敦也が溜息をつくとふんわりと愛羅を抱きしめた。

そして優しく頭を撫でると
「なるほど、メッセージを読んだ時から、かなり違和感は合ったけど、そう言う事か?」
そう言われて愛羅が俯くと
「だから、そんな男性への反応の仕方なんて、正直、分から……?!」
そこまで言った途端、愛羅の顎を捕らえて見上げさせられた。

愛羅が戸惑えば
「可愛い、こんな、可愛い子を振るなんて、どうかしているよ」
そう言いながら愛羅の唇に無言でキスをしてきた。
「んっっっ、い、いや、やめっっっっ」
そう小声で言ってもさらにはっきりと激しくなる口付けに愛羅の意識は朦朧としだす。

「手垢もなさそうだ、ってことは、少しは期待できそうだな」
何にと聞かなくても分かる、愛羅が処女だと見抜かれた瞬間だった。

愛羅が恥ずかしそうにすれば
「さてと、では気を取り直して、外食にしようか?」
まるで何もなかったかのようにそう言われて愛羅は顔を始終赤めっぱなしだった。

ご飯はおいしく、愛羅が嬉しそうにすれば
「なかなかいい笑顔だな、愛羅さんは笑顔の方が良いよ」
そう言われて愛羅が顔をさらに赤めると
「さて、他に食べたいものは?」
敦也にそう問われて愛羅は俯くと
「その、敦也さんって、セフレ多いんですか?」
そう聞いてから後悔した。

きっとこれほどの、大人の男性だ。
多いに決まっているっと思って居たら
「セックスフレンドは、いないな? 俺も、誰でもいい訳じゃないからね」
そう言われて愛羅が頬を赤めると
「何で私? だったんですか?」
そう問いかけてから俯けば
「んーっ、何でってさ、自覚なしかやっぱり……俺はまぁ、別にいいんだけどね」
そう言いながら溜息をつくと
「まぁ、慣れるより慣れろだな、ちょっとスマホかして」
そう言われて愛羅がスマホを渡した。

どんどん操作してサイトのページを出すと愛羅のプロフィールを開いてからぼそっと……。

「とにかく可愛がられたいです、小心者なので、いろいろ連れてってもらえると助かります」
そう文章を読み上げてから愛羅に
「この文章を書いたのは、愛羅さん?」
そう問われて愛羅が頷けば敦也が深く溜息をつくといきなり文章を消し始めた。

愛羅が戸惑えば
「俺からも質問だ、愛羅さん君が求めているのはどんな男なのかな?」
そう聞かれて愛羅が戸惑えば
「もしも、誠実な男性を求めてこの文を書いたのだとすれば、そう言う男性はみんなリターンして行くよ?」
そう言われて愛羅が俯くと
「仕方ないじゃない、男性付き合いが無いのだから、どう書いていいかわからなかったんだもの」
そう言えば愛羅に
「なるほどね、確かにさっきまでは可哀そうな気の毒な女性だと思ったけどさ、愛羅さん、君にも問題あるんじゃないかな?」
そう言われて愛羅がイライラしたように
「私の事を何も知らないくせに! そんなこと言わないでよ!!!」
そう気づいたら怒鳴っていた。

敦也が溜息をつくと
「そう思うんなら、少しは、努力してみたらどうなんだい? 君こそ、男性の事を全く理解してないと俺は思うけどな?」
そう言われてムッとした顔をする。

初対面で今日会ったばかりの男性にすべて否定された気がして悔しかったからなのでした。

「愛羅さんさ、退会する事を進めするよ、これではお金の無駄だからね」
そうとまで言われて愛羅が悔しそうにすれば
「どうした?」
そう聞かれて愛羅が俯くと
「帰る」
ぼそっとそう呟いた。

愛羅が起き上がろうとすれば
「ふーん、本当に、帰るんだ? 変わりたいと、思わない訳ね」
そう聞かれて愛羅が俯くと
「だってこんな女性に何の魅力も感じないから、敦也さんだってダメ出ししたんでしょ?」
そう問いかければ敦也が苦笑すると
「どうも、君の中にいる俺は相当お人よしに移るみたいだな?」
愛羅が敦也を見つめればスッと冷たい視線に魅入られてその場から動けなくなっていた。
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