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王様、意外とフレンドリーですね……?
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止めてよ、そんなにこの服にもふが潜り込めるゆとりなんてないんだから苦しいんだって。
服の幅とベルトの隙間ひっかけがあれば十分という様に安定の位置を決めてしまったもふをガッツと掴み込ネコの如く首根っこをつかまえて引きずり出す。
「ちゃんとあいさつが出来ないような子はうちには要らないぞ」
要らない、そんな言葉にショックを受ける様にうるうると涙を溜めだすもふに
「挨拶はちゃんとする、もふは偉大なる光竜なのに普通の動物でも出来る事も出来ないようなら……」
それで何になるのだろうかと言葉を濁してしまう合間をもふは何を勝手に想像してか顔色を真っ青にしてきゅー!きゅー!と暴れ出して縋る様に鳴きだした。
真っ白の毛におおわれているのに顔色が悪く見えるって不思議だなと思いつつもその小さな頭を撫でてやれば不安な視線は隠せずに俺の次の言葉を待っていた。
「大丈夫だよ。もふはやればできる子。
ちゃんと近くに住む仲間にご挨拶できる良い子だもんね?」
「きゅ!」
びしりと背筋を伸ばしての挨拶。
それから不安定な飛行をしてクラエスの方に着地して髪の毛を少し掴んで体のバランスを取り
「きゅ!」
挨拶に行ってきますと言う様に小さな片手を上げて、同時にクラエスに早く行くぞと言うようにしっぽで背中を叩いていた。
「はいはい、じゃあ、早く行って早く戻ろうか」
「きゅ!」
きゅ!しか言ってないのに何やらびしっとした姿をしていても可愛いしか思えないご褒美タイムにクラエスもにこにことしながら
「ではアトリをお願いいたします」
「挨拶はちゃんとしてくると良い。仲が悪くては竜の国と呼ばれる我が国の汚点になるからな」
「アトリもここなら変な人間は来ないからゆっくり待っていてくれ」
「あまり急いで転ばないように気をつけてね」
騎士団団長のそんな姿は想像できないけどねと言えば侍従の方からぷっと噴出すような声が聞こえた。だけどさすが国王の執務室、誰も聞こえなかったと言うように済ました顔でクラエスが退室するのを見送るのだった。
「さあ、せっかく異世界人の方をお招きで来たのだからお茶の準備を。
私も聖女殿以外の話しを聞きたいので少し休むとする」
言えばすぐに侍従の方が出て行って数分の後に侍女を連れてお茶の準備を用意してもらうのだった。
甘い物は苦手なのか焼菓子と紅茶が並べられた。
そして休憩時間と言ったのでお茶のおかわり用のポットを置いて全員退出して執務室だけど完全なプライベート空間になってしまった。
国王と初対面の人間を置いて退出しても良いのかと思うも侍従も警護を兼任しているようでクラエスのようにマッチョさんのようだった。
まぁ、見目も重視してるから体に合った服を着ているようだからそこまでマッチョには見えないけど、それを比べたら俺は車での移動と内勤ばかりの生活は立派なもやしっ子になってしまい、九歳年上の王様の方が体格が立派でどう見ても何しても勝てそうな気がしない。
と言うかだ。
正面でお茶を飲む国王がじっと俺を見つめているのが居心地悪い。
「聖女殿と違ってアトリは随分落ち着いた雰囲気があるな」
人物評価をされているらしい。
「ええと、彼女は高校生だから、まだ十七歳前後の子供です。
私は三十手前なのでそれなりに落ち着いても良い年頃かと」
言えば王様は少しだけ目を瞠り
「確かに彼女は十六だと言ったが、アトリはそんな年齢に見えないな。
息子のフレーデリクほどではないが、それに近い年齢化と思った」
それで驚いたのかとちょっと年齢通りに見られてないのはどの世界でも同じかと悲しくなってしまえば
「そうか、九歳差か……」
何やら一人納得する王様のお茶がいつのまにか空っぽになったので
「お茶のおかわりはいかがでしょう?」
客人が淹れるのもなんだがお菓子とお茶をしてるのだけでは時間が持たないのでおかわりの用のポットに手を伸ばせば何故か掴まれてしまった。
「客がそのように気を使う必要はない」
「はあ、失礼しま……」
した、と最後まで言わせてもらえなかった。
ギュッと腕を掴まれて引き寄せられて、気が付けば王様の腕の中に居た。
は?!
「ふむ、アトリは見た目通りに身体も軽いな」
言いながら陛下は俺を持ち上げて気が付けば膝の上に座らされていた。
「え?ちょ???」
「近くで見るとまた可愛らしい」
老眼ですか?なんて言うにはまだ早いお年頃。顎をしっかりと指先でホールドされて顔を背けることもできない。
「ええと、国王様……」
「そんな無粋な名で呼ぶな。アレクサンデルだ。そうだな、アレックスと呼べ。王妃にも呼ばせなかった呼び方だ」
因みに視界の端には愛称はアレクセイとなっていた。
服の幅とベルトの隙間ひっかけがあれば十分という様に安定の位置を決めてしまったもふをガッツと掴み込ネコの如く首根っこをつかまえて引きずり出す。
「ちゃんとあいさつが出来ないような子はうちには要らないぞ」
要らない、そんな言葉にショックを受ける様にうるうると涙を溜めだすもふに
「挨拶はちゃんとする、もふは偉大なる光竜なのに普通の動物でも出来る事も出来ないようなら……」
それで何になるのだろうかと言葉を濁してしまう合間をもふは何を勝手に想像してか顔色を真っ青にしてきゅー!きゅー!と暴れ出して縋る様に鳴きだした。
真っ白の毛におおわれているのに顔色が悪く見えるって不思議だなと思いつつもその小さな頭を撫でてやれば不安な視線は隠せずに俺の次の言葉を待っていた。
「大丈夫だよ。もふはやればできる子。
ちゃんと近くに住む仲間にご挨拶できる良い子だもんね?」
「きゅ!」
びしりと背筋を伸ばしての挨拶。
それから不安定な飛行をしてクラエスの方に着地して髪の毛を少し掴んで体のバランスを取り
「きゅ!」
挨拶に行ってきますと言う様に小さな片手を上げて、同時にクラエスに早く行くぞと言うようにしっぽで背中を叩いていた。
「はいはい、じゃあ、早く行って早く戻ろうか」
「きゅ!」
きゅ!しか言ってないのに何やらびしっとした姿をしていても可愛いしか思えないご褒美タイムにクラエスもにこにことしながら
「ではアトリをお願いいたします」
「挨拶はちゃんとしてくると良い。仲が悪くては竜の国と呼ばれる我が国の汚点になるからな」
「アトリもここなら変な人間は来ないからゆっくり待っていてくれ」
「あまり急いで転ばないように気をつけてね」
騎士団団長のそんな姿は想像できないけどねと言えば侍従の方からぷっと噴出すような声が聞こえた。だけどさすが国王の執務室、誰も聞こえなかったと言うように済ました顔でクラエスが退室するのを見送るのだった。
「さあ、せっかく異世界人の方をお招きで来たのだからお茶の準備を。
私も聖女殿以外の話しを聞きたいので少し休むとする」
言えばすぐに侍従の方が出て行って数分の後に侍女を連れてお茶の準備を用意してもらうのだった。
甘い物は苦手なのか焼菓子と紅茶が並べられた。
そして休憩時間と言ったのでお茶のおかわり用のポットを置いて全員退出して執務室だけど完全なプライベート空間になってしまった。
国王と初対面の人間を置いて退出しても良いのかと思うも侍従も警護を兼任しているようでクラエスのようにマッチョさんのようだった。
まぁ、見目も重視してるから体に合った服を着ているようだからそこまでマッチョには見えないけど、それを比べたら俺は車での移動と内勤ばかりの生活は立派なもやしっ子になってしまい、九歳年上の王様の方が体格が立派でどう見ても何しても勝てそうな気がしない。
と言うかだ。
正面でお茶を飲む国王がじっと俺を見つめているのが居心地悪い。
「聖女殿と違ってアトリは随分落ち着いた雰囲気があるな」
人物評価をされているらしい。
「ええと、彼女は高校生だから、まだ十七歳前後の子供です。
私は三十手前なのでそれなりに落ち着いても良い年頃かと」
言えば王様は少しだけ目を瞠り
「確かに彼女は十六だと言ったが、アトリはそんな年齢に見えないな。
息子のフレーデリクほどではないが、それに近い年齢化と思った」
それで驚いたのかとちょっと年齢通りに見られてないのはどの世界でも同じかと悲しくなってしまえば
「そうか、九歳差か……」
何やら一人納得する王様のお茶がいつのまにか空っぽになったので
「お茶のおかわりはいかがでしょう?」
客人が淹れるのもなんだがお菓子とお茶をしてるのだけでは時間が持たないのでおかわりの用のポットに手を伸ばせば何故か掴まれてしまった。
「客がそのように気を使う必要はない」
「はあ、失礼しま……」
した、と最後まで言わせてもらえなかった。
ギュッと腕を掴まれて引き寄せられて、気が付けば王様の腕の中に居た。
は?!
「ふむ、アトリは見た目通りに身体も軽いな」
言いながら陛下は俺を持ち上げて気が付けば膝の上に座らされていた。
「え?ちょ???」
「近くで見るとまた可愛らしい」
老眼ですか?なんて言うにはまだ早いお年頃。顎をしっかりと指先でホールドされて顔を背けることもできない。
「ええと、国王様……」
「そんな無粋な名で呼ぶな。アレクサンデルだ。そうだな、アレックスと呼べ。王妃にも呼ばせなかった呼び方だ」
因みに視界の端には愛称はアレクセイとなっていた。
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