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怠惰とはすばらしい……と言いたい
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異世界に召喚されてラブホ…… ではなくやたらと豪華な作りのカジュアルホテルのような一室で目を覚ましてからはずっと部屋に缶詰め状態だった。
食事もこの部屋。
バス、トイレも扉続きの部屋。
外出はお控えくださいと部屋の前には衛兵が付いている。
ベッドメイクは毎日この城で働くメイドさんではなく侍女さん達が無言で視線も合わせる事なく済ませ、俺は罰ゲームのようにはっきり言って似合わないこちらの世界の服を着せてもらっていた。
クロックコートと言っただろうか裾の長いジャケットは秋冬に着たいような重厚な作りだった。
要は重い。
軽くて暖かいを極めようとする世界から来た俺としては普段から真冬のコートを着るような生活は遠慮したいと言う様に、実際の暑さに上着は脱いでドレスシャツだけの生活をしている。
勿論裾は出して、フリフリのフリルが付いた袖は何回か折り、首回りのネクタイではなくリボンも遠慮させてもらった。
こちらでは相当だらしない、と言うスタイルらしい。
だから侍女さん達の視線が厳しいと言うのは理解している。とは言え何の音沙汰もなくすでに三日放置されているなんてどんな事故懸案なんだよと聞かずにはいられない。
放置されてるせめてもの抵抗だと思ってもらえれば結構。
とりあえずこの三日間やる事はないので、インテリアのようにある本棚に並ぶ本を手にとり何故か読める異世界の文字を相手に分厚いようで薄い本を楽しむのだった。
製紙技術が発展途上なせいか一ページ一ページが画用紙並みとは言わない物の分厚く、そして質は藁半紙並みに頼りない。
小学生の頃学校からもらうプリントはみんな藁半紙だったのに今では見かけない所か売ってるのも見かけなくなった。同僚とコピーをしていた時にそんな話で盛り上がれば俺達より一つ上の世代の小学生を持つお父さんが教えてくれた。
「今時藁半紙よりもコピー用紙の方が安いからな」
世知枯れぇ…… 子供の頃の思い出ノスタルジックはこの現代社会に置いて質と価格問題で衰退の一途をたどるとは誰が予想をしただろう。今頃のお子様は藁半紙すら知らない世代なのかと半分に折る時インクが指に移る苦行を一度は体験してもらいたい。
「となると感熱紙はいまだ健在なのだろうか?」
「普通にコンビニやレジのレシートも感熱紙ですよ」
「熱電源があればインクやトナーを使わなくていいから貰わないレシートの事を思えば優秀な素材じゃないか」
さすがお父さん。家計の管理はしっかり協力してらっしゃるようで、俺なんてレジでレシートは貰わないから気付かなかったと笑っていた日々が懐かしい……
読んでもさして楽しくない詩集ばかりなので読書は早々に終了。せめてこの世界の事が分るような情報を置いておけよと初日で暇を持て余した俺のする事はスマホにダウンロードした本を読むくらい。
ほら、動画を見るよりバッテリーの消費が少ないからね。後どれだけ持つか知らないけど音楽も聞いたりしていたが、初日にやって来た侍女さん達がぎょっとしていたので自重している。
多分クラシカルの生演奏しかない世界なのだろうと思えば初めて聞く音はさぞ騒音に聞こえただろうと驚かせて申し訳なく思う。
なのでやたらと硬いソファではなくベットでごろごろとしながら本を読んでいる間に寝落ち。
やる事なくってゴロゴロしている間に寝落ち。
そんな生活なので夜眠れなくって昼間に睡眠補給として寝落ち。
こんな怠惰な生活は俺のせいではないとたまに起きていると白い目を向けてくる侍女さん達に向かって普段の俺は至極真面目なサラリーマンなんだと盛大に言い訳をしたい。
そんなこんなの放置プレイされた三日目。
どうやらやっと動きがあるようだ。
食事もこの部屋。
バス、トイレも扉続きの部屋。
外出はお控えくださいと部屋の前には衛兵が付いている。
ベッドメイクは毎日この城で働くメイドさんではなく侍女さん達が無言で視線も合わせる事なく済ませ、俺は罰ゲームのようにはっきり言って似合わないこちらの世界の服を着せてもらっていた。
クロックコートと言っただろうか裾の長いジャケットは秋冬に着たいような重厚な作りだった。
要は重い。
軽くて暖かいを極めようとする世界から来た俺としては普段から真冬のコートを着るような生活は遠慮したいと言う様に、実際の暑さに上着は脱いでドレスシャツだけの生活をしている。
勿論裾は出して、フリフリのフリルが付いた袖は何回か折り、首回りのネクタイではなくリボンも遠慮させてもらった。
こちらでは相当だらしない、と言うスタイルらしい。
だから侍女さん達の視線が厳しいと言うのは理解している。とは言え何の音沙汰もなくすでに三日放置されているなんてどんな事故懸案なんだよと聞かずにはいられない。
放置されてるせめてもの抵抗だと思ってもらえれば結構。
とりあえずこの三日間やる事はないので、インテリアのようにある本棚に並ぶ本を手にとり何故か読める異世界の文字を相手に分厚いようで薄い本を楽しむのだった。
製紙技術が発展途上なせいか一ページ一ページが画用紙並みとは言わない物の分厚く、そして質は藁半紙並みに頼りない。
小学生の頃学校からもらうプリントはみんな藁半紙だったのに今では見かけない所か売ってるのも見かけなくなった。同僚とコピーをしていた時にそんな話で盛り上がれば俺達より一つ上の世代の小学生を持つお父さんが教えてくれた。
「今時藁半紙よりもコピー用紙の方が安いからな」
世知枯れぇ…… 子供の頃の思い出ノスタルジックはこの現代社会に置いて質と価格問題で衰退の一途をたどるとは誰が予想をしただろう。今頃のお子様は藁半紙すら知らない世代なのかと半分に折る時インクが指に移る苦行を一度は体験してもらいたい。
「となると感熱紙はいまだ健在なのだろうか?」
「普通にコンビニやレジのレシートも感熱紙ですよ」
「熱電源があればインクやトナーを使わなくていいから貰わないレシートの事を思えば優秀な素材じゃないか」
さすがお父さん。家計の管理はしっかり協力してらっしゃるようで、俺なんてレジでレシートは貰わないから気付かなかったと笑っていた日々が懐かしい……
読んでもさして楽しくない詩集ばかりなので読書は早々に終了。せめてこの世界の事が分るような情報を置いておけよと初日で暇を持て余した俺のする事はスマホにダウンロードした本を読むくらい。
ほら、動画を見るよりバッテリーの消費が少ないからね。後どれだけ持つか知らないけど音楽も聞いたりしていたが、初日にやって来た侍女さん達がぎょっとしていたので自重している。
多分クラシカルの生演奏しかない世界なのだろうと思えば初めて聞く音はさぞ騒音に聞こえただろうと驚かせて申し訳なく思う。
なのでやたらと硬いソファではなくベットでごろごろとしながら本を読んでいる間に寝落ち。
やる事なくってゴロゴロしている間に寝落ち。
そんな生活なので夜眠れなくって昼間に睡眠補給として寝落ち。
こんな怠惰な生活は俺のせいではないとたまに起きていると白い目を向けてくる侍女さん達に向かって普段の俺は至極真面目なサラリーマンなんだと盛大に言い訳をしたい。
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どうやらやっと動きがあるようだ。
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