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うちの隊長は初めてアルホルンの書を見せてもらいましたがこれ絶対子供に見せたらいけない奴と判断しました

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 同じ城に住んで居ながら一切の交流のない彼らから声をかけてくれるとは思ってなかったからそれなりに驚きはあったものの

「我々は大公から許可を得てアルホルンの書の大半の薬を学びました。
 先代の時には教えていただけなかった薬も余す事無く教えていただきその情報も城へと持ち帰る許可も頂きました」

 アルホルンの書の中味こそこのアルホルンの宝だと言うのに……大丈夫なのかとフレッドへと視線を向ければ他の魔道士達も笑いだした。

「あの書の中味はさすがに皆様知らないようですね」

 笑う顔には優越性の嫌味は一切ない。何なんだと思えば

「あの中身はそれこそ大公のような精霊の力がある方しか作れない薬を始め王都でも広く知られている薬、そして別に緑の魔道士でなくても街の子供でも作れる薬、そして体を害する薬も認められています」

 ヴォーグが使った物を洗う男は洗い終わった物を丁寧に水滴を拭って戸棚に片づけながら

「だけどあの書の大半は過去の大公達の愚痴が書きつづられてあります。アルホルンの書の特性である書き込めば自然にページが増えると言う魔道具を利用して、それはもう心がすさむような悪口雑言がもう……」

 どこからか思い出しては乾いた笑い声が響いてきた。

「そのような代物なのでエーヴェルト殿下にお渡しする際あのご年齢なので直ぐに読ませていい物かどうかなんてダメに決まっているので当分開かなくても良い様に我らが中身を覚えお教えする事になりましょう。
 だけどその貴重な魔導書の中にはエーンルート侯への薬のように精霊様が手助けをしていただかなければなせない薬も多々あります。
 それは我らではお伝えする事も出来ず、そして前回その薬を作られたのは精霊アルホルン様ご本人になります。
 大公は留学の折りに精霊様達からアルホルンの書の薬の作り方を学んだとおっしゃられました。
 このアルホルンの書には他にもあちらで学んだ事も事細かく書かれてあります」

 それは何と言う貴重な情報だとフレッドだけではなく誰もが一瞬の興奮を覚えるもヴォーグと言う人間を深く知る俺達はそれがすぐに冷めてしまう。

「ルードはこの事を機密にしたのではないのか?」
「はい。良くお分かりで」

 予想通りの返答にふう、と言う様にフレッドは心を落ち着かせるように息を深く吐きだした。

「精霊しか作れない薬の為に次のバックストロムの剣には国を守る力を備えさせた挙句に精霊しか作る事の適わない薬を作るよう強要される未来を憎んでの事だろう」
「そう危惧されております。
 故に大公は魔道士側を騎士側との接触は勿論他の部署ともあまりかかわり合わない様に配慮しておいででした」
「あいつは……
 死してなおバックストロムの血統を試そうと言うのか」
「仕方ありません。
 あれだけの事をされた過去を持てばこれでも警戒が足りないと言われても致し方ない事かと思いますので。
 ああ、少なくともお二方とハイラ殿は大公がお選びになられた信頼を置くに足りる方だと私は判断しますが」

 魔道士の中で一番老齢とする男は淡い青のローブを纏うも一人だけ白銀の刺繍を首回り袖回り裾に入れてある物なのでこの中の代表なのはうかがえたが何処かで見た顔だった。

「確か……
 先代の時にも?」
「覚えておいででしたか。
 こちらでは幼い頃の大公のお世話をさせていただきました。
 ああ、私はこちらに来るに当たり体の方に手を入れましたが、まさか男性の城主をお迎えになるとは……と言ってももうこの年なら関係ありませんからね」

 ふっくらとした顔つきと何処か女性めいた仕種にラグナーはここまでするのかと驚くも

「そのような顔をなさらないでください。
 我が家は家督争いも激しい家だったので継ぐ気のない私でも排除しようとする家のせいでこの制度は袂を分かつ意味でも十分助けられましたので」
「いや、何と言うか、不躾な目で見てしまい申し訳ない」

 慌ててラグナーは謝罪するも笑って返される笑みが妙に居心地が悪い。

「おかげで幼い頃の大公の勉強相手と言うお役目を頂きました。
 大公には留学先から博識な方々とのお勉強をなされていたので私も隣で沢山の事を学ばせて頂きました」

 話しながらお茶を淹れて魔道士達含めて全員に振舞ってくれた。





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