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うちの隊長は頼れる親友が誇らく、こめかみに青筋を立てながらも協力する顔が大好きなのです。
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アヴェリオが使う便箋はああいうのを使うのかとなるほどと盗み見ながらかつてヴォーグに送った真っ白の便箋を思い出してさすがにあれはないよなと赤面した。
「隊長顔が赤いけどお疲れですか?」
トゥーレが不思議そうな顔で、でも心配を漂わせる声にアヴェリオと目が合う物の
「いや、少し便箋に纏わる失敗を思い出しただけだ」
気にせず話しを進めてくれと言えばその手紙を知っているのだろうアヴェリオは収納空間からいくつかの便箋を取り出して
「クラウゼに迷惑をかけるのだから手紙の一つでも書いて先に侘びておきなさい」
何種類もの青の大公を思い出させる便箋を机の上に広げてくれた。
花柄のようなかわいい物、幾何学模様の物、縁取っただけのシンプルな物、そして同じ青でも濃紺の色違いで描かれた装飾のものと相手を選べるほどの種類に
「これからは手紙を書く機会も多くあるだろう。
王都で店を覗く時は買うつもりがなくてもどのような相手に手紙を書かなくてはいけない状況になるから数だけは集めておくと後々困る事は無いだろう。立ち寄った際は買う癖をつけておきなさい。
大公の色は青だがヴェナブルズの色は深い緑色だ。
青だけではなく緑色の便箋なども色違いで買う様にしなさい」
「は、はい……」
説明を受けながららも幾何学模様の物を手にして手紙を書こうと思ったけど、ふと手を止めて花柄の物を選び直した。
アヴェリオもそうだがハイラもそれですか?と言う視線に俺は視線で笑い返して
「何となく俺が浮かれてるみたいでアレクの心配する顔が思い浮かんで面白いじゃないか」
「隊長相変らず怒らせたり困らせたりするの好きですね」
服に足跡を付けたまま背後に立つシルビオにふふんと笑い
「あいつの一番いい顔だからな。
友を思えば何時もいい顔でいてほしいと思うのは当然じゃないか」
「アレクシス様もラグナー様に心を砕いていただけて幸せです。
ですが、その手紙を額縁に入れて飾られると言う事も配慮して筆を執っていただければなお嬉しく思います」
「ふむ、なら余計気合を入れないとな」
なんだその嫌がらせは?と誰もが心の中で突っ込むも
「隊長せっかく額縁に入れてくれるかもしれないのならイリス風にお願いします」
「よし、シルビオの提案で行こう」
言いながらうきうきとペンを走らせる文字はこの一年で随分と上達した。だけど少し丸みを帯びた柔らかい線を意識して書いた手紙はまるで
「何でラブレター風……」
「前に隊の中で一時流行ったんですよ。
仕事が楽しくなる様にって。ああ、ちゃんと外部には流れないような連絡事項だけなので外部には知られてませんが……」
シーヴォラ隊そんな事をしていたのかと宮廷騎士の面々は苦笑を零すも
「まぁ、最後はめんどくさくってすぐにすたれたんだが、イリスとランダーに無茶を頼む時は効果があって良かったな」
「ええ、それが俺達に回ってこなければなおよかったのですけどね」
結局ラグナーにばれて給料三ヶ月一割カットと言う罰を与えられたランダーはシーヴォラ隊の中で一番の刑罰を受けていた。とは言え俺が騎士となってから受けてきた数に比べればまだまだだがそれでも俺に追いつこうとする勢いは頭が痛い話だったが……
懐かしくシルビオとトゥーレと話していればアヴェリオはハイラ達とどんどん話を詰めていく合間にほかの宮廷騎士達が助言を加えていて
「ラグナー、お前は寝室にいるルードに諦めろって言って来い。
イザムの提案でなくてもエーヴェルト殿下のお披露目は次の社交シーズンなんて待ってられないからどのみち近くしなくてはならないからと」
そのまま今日は上がっていいぞと言われて会議室から一人追い出されてしまうのだった。
何だかのけ者にされた気分だがメインは俺達なのだ。
自分の披露宴を自分で準備するほどおかしな話はないと言いたいのだろうが……
それはそれで寂しいと思うのはかつて自分の褒賞式を自分で準備し続けていた事に由来するのだろうと思い出しながら歩きなれた足取りでアルホルン城のヴォーグの部屋へと向えば
「いない?」
暖炉で温まってはいるもののベットは皺もなく、そしてバスルームにも人はいない。一応トイレも覗いてみた物の誰もいなく、ベットでごろりとなってどこへ行ったのかと思えばそのまま瞼が重くなって気が付けば朝になっていた。
だけど隣にはヴォーグの姿はなく……
「何所で道草食ってるんだか……」
この城にはヴォーグの部屋はいくつもあるのだ。
寧ろ俺が居ないとこの部屋は使われてないと言う証拠なのだろう。
少し勿体なかったなと思いながら軽くシャワーを浴びて汗を流し、新しい騎士服に着替えて時間にはまだ早い物のここには用がないと朝食の場へと向かうのだった。
「隊長顔が赤いけどお疲れですか?」
トゥーレが不思議そうな顔で、でも心配を漂わせる声にアヴェリオと目が合う物の
「いや、少し便箋に纏わる失敗を思い出しただけだ」
気にせず話しを進めてくれと言えばその手紙を知っているのだろうアヴェリオは収納空間からいくつかの便箋を取り出して
「クラウゼに迷惑をかけるのだから手紙の一つでも書いて先に侘びておきなさい」
何種類もの青の大公を思い出させる便箋を机の上に広げてくれた。
花柄のようなかわいい物、幾何学模様の物、縁取っただけのシンプルな物、そして同じ青でも濃紺の色違いで描かれた装飾のものと相手を選べるほどの種類に
「これからは手紙を書く機会も多くあるだろう。
王都で店を覗く時は買うつもりがなくてもどのような相手に手紙を書かなくてはいけない状況になるから数だけは集めておくと後々困る事は無いだろう。立ち寄った際は買う癖をつけておきなさい。
大公の色は青だがヴェナブルズの色は深い緑色だ。
青だけではなく緑色の便箋なども色違いで買う様にしなさい」
「は、はい……」
説明を受けながららも幾何学模様の物を手にして手紙を書こうと思ったけど、ふと手を止めて花柄の物を選び直した。
アヴェリオもそうだがハイラもそれですか?と言う視線に俺は視線で笑い返して
「何となく俺が浮かれてるみたいでアレクの心配する顔が思い浮かんで面白いじゃないか」
「隊長相変らず怒らせたり困らせたりするの好きですね」
服に足跡を付けたまま背後に立つシルビオにふふんと笑い
「あいつの一番いい顔だからな。
友を思えば何時もいい顔でいてほしいと思うのは当然じゃないか」
「アレクシス様もラグナー様に心を砕いていただけて幸せです。
ですが、その手紙を額縁に入れて飾られると言う事も配慮して筆を執っていただければなお嬉しく思います」
「ふむ、なら余計気合を入れないとな」
なんだその嫌がらせは?と誰もが心の中で突っ込むも
「隊長せっかく額縁に入れてくれるかもしれないのならイリス風にお願いします」
「よし、シルビオの提案で行こう」
言いながらうきうきとペンを走らせる文字はこの一年で随分と上達した。だけど少し丸みを帯びた柔らかい線を意識して書いた手紙はまるで
「何でラブレター風……」
「前に隊の中で一時流行ったんですよ。
仕事が楽しくなる様にって。ああ、ちゃんと外部には流れないような連絡事項だけなので外部には知られてませんが……」
シーヴォラ隊そんな事をしていたのかと宮廷騎士の面々は苦笑を零すも
「まぁ、最後はめんどくさくってすぐにすたれたんだが、イリスとランダーに無茶を頼む時は効果があって良かったな」
「ええ、それが俺達に回ってこなければなおよかったのですけどね」
結局ラグナーにばれて給料三ヶ月一割カットと言う罰を与えられたランダーはシーヴォラ隊の中で一番の刑罰を受けていた。とは言え俺が騎士となってから受けてきた数に比べればまだまだだがそれでも俺に追いつこうとする勢いは頭が痛い話だったが……
懐かしくシルビオとトゥーレと話していればアヴェリオはハイラ達とどんどん話を詰めていく合間にほかの宮廷騎士達が助言を加えていて
「ラグナー、お前は寝室にいるルードに諦めろって言って来い。
イザムの提案でなくてもエーヴェルト殿下のお披露目は次の社交シーズンなんて待ってられないからどのみち近くしなくてはならないからと」
そのまま今日は上がっていいぞと言われて会議室から一人追い出されてしまうのだった。
何だかのけ者にされた気分だがメインは俺達なのだ。
自分の披露宴を自分で準備するほどおかしな話はないと言いたいのだろうが……
それはそれで寂しいと思うのはかつて自分の褒賞式を自分で準備し続けていた事に由来するのだろうと思い出しながら歩きなれた足取りでアルホルン城のヴォーグの部屋へと向えば
「いない?」
暖炉で温まってはいるもののベットは皺もなく、そしてバスルームにも人はいない。一応トイレも覗いてみた物の誰もいなく、ベットでごろりとなってどこへ行ったのかと思えばそのまま瞼が重くなって気が付けば朝になっていた。
だけど隣にはヴォーグの姿はなく……
「何所で道草食ってるんだか……」
この城にはヴォーグの部屋はいくつもあるのだ。
寧ろ俺が居ないとこの部屋は使われてないと言う証拠なのだろう。
少し勿体なかったなと思いながら軽くシャワーを浴びて汗を流し、新しい騎士服に着替えて時間にはまだ早い物のここには用がないと朝食の場へと向かうのだった。
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