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うちの隊長は物語の結末に苦い物を感じてます
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その頃にはオウラの腕は完治して怪我一つない皮膚に割れて欠けてもない爪が揃っていた。
ヴォーグは回復具合をどうだと問う視線を向ければ背中から降りたトゥーレとブルフォードから自由になったオウラは床に座ってグーパーしながら
「元通りだ。
少しばかり綺麗になって……」
まるであの旅が無かったかのようだと言う様に少しだけ悲しみの色を浮かべながら彼は心の内の葛藤と戦っていた。
だけどヴォーグはそんな事俺には関係ないと言うように空間収納からテントや寝袋と言った冒険者が一式持つキャンプセットを床に並べていた。どれもこれもラグナーの見覚えのある思い出の詰まった物を、ヴォーグに恋するきっかけの時のキャンプで使われていた思い出の背景の物まで並べてあった。
星空の下でホットワインを傾けながら夜遅くまで語りあった金属のカップだっり、焚き火を囲んで肉やチーズの塊を削る様に食べた時のナイフだったり、それらが他人の手に渡る事を少し悔しいと思いながらもヴォーグは更に旅の間の国ごとの路金と換金する為の宝石、そして旅には欠かせない魔石がはめ込まれた魔剣数本とヴォーグ特製の薬を何種類か用意して
「薬は前に渡した時と同じ瓶で種類分けしてある。これがベンゲレール国までの旅の荷物と地図だ。中身をちゃんと覚えておけ」
小さな収納バックを与えて詰め込ませた。
「いいか、お前の故郷のフォルスストロム国に登録されている魔力の波動からの探知を逃れる為に魔力回路を壊した。
二度と回復は出来ないし、魔法が使えなくなった上に魔力なしと言われるかもしれがこれで足取りは簡単にはつかめないはずだ。
そしてこの荷物は魔力を持たない人達が使っていた魔法剣とかそう言った具合だから無駄に戦いをして回らなければ充分向こうに辿り着けるだけの戦力はある」
「この剣。ひょっとしてマオの……」
「お前に持たせろと言って渡された物だ」
「マオが……」
剣をぎゅっと握りしめて強く閉じた目から涙が一筋溢れる。
その合間にも収納バックに更にテーブルの上に並べてあったパンやワイン、日持ちのしそうな食事も詰めていく。
「準備が出来たのなら行くぞ」
ゴルディーニ達より先に国から出してやると言うヴォーグの手をしばらくの間眺め、やっと決心したと言うようにでもこの話が本当なのかまだ信じられないと言うように悩みながらもおずおずとした動きで掴んだオウラは少しだけ言い難そうな顔で
「何でマオは、俺にあの聖剣を作ってくれたんだ?」
やがて勇者となって魔王クウォールッツの前に立ちはだかり、そして自らを屠る為の剣を預けると言うのは理解できないと言う様に苦痛の色を浮かべるも
「魔王クウォールッツ、普段はマオだな。
あの方は自分と戦って自分を屠る相手の成長を楽しみにしていた。
我が手で育て、我が手で鍛えた剣を持って最強の姿で目の前に現れるその成長が待ち遠しいと、我が子を育てる親の気分だと言っていた。
成長した愛しい我が子と全力で戦うその瞬間の為に魔王となって、屠らる。人の負の感情の集合体となった身が解放される為に存在しているとならばそれは愛し子の手であればそれ以上の喜びはないと信じている。
だから役目を終えた今、あの方に会って人として暮すあの方に人の幸せをお前に教えてもらいたい。
あの方だって楽しみに待ってて、お前が来てくれる瞬間を待ちわびている。あの方を喜ばせるのはお前にしかできない役目だ」
言いながらヴォーグは冒険者時代に使っていたお気に入りの外套を着せ、フードを目深にかぶらせる。
「あとこれだけは忘れるな。
謁見の間でお前の仕事は終わってないと言ったが、あれはお前が勇者としての仕事が終わってないと言う事だ。
勇者の仕事とは勇者を目覚めさせた国が最後まで責任をもって勇者の最後を見守るまでが仕事だ。
過去の勇者が誰もが安穏とした世界であっけなく亡くなってる結末の話しはいくつもある事をお前だって知ってるだろう?」
何か嫌な予感を感じてか少しだけ青ざめた顔をするのはオウルだけではない。
「勇者の結末は国が責任を持って平和を取り戻した宣言をする為に勇者を処分するまでが勇者の任務だ」
時間が止まったかのように静かになった室内に
「あの王女の様子からみたら王女には知らされてなかったのだろう。
だけど確実にフォルスストロム国に生きて戻ればお前は殺される。
あの国には絶対足を運ぶな。家族がいる家にもだ」
「何で……」
かすれた声の質問に
「平和な世の中に勇者なんて必要ないんだよ。
国のトップは王だけでいい。国を二分するかもしれない要素の英雄は何時までもいてはいけない。
勇者の銅像が建てられる理由は勇者に縋っておきながら殺さなくてはいけない国の政治だな。その犠牲の罪滅ぼしの為と言う理由と各国への勇者の廃棄の宣言とも言うべきものだ」
青ざめて震えるオウラをヴォーグは抱きしめて
「両手とあの景色と言葉でどこまで騙せるかは判らない。
魔力回路も破壊してどこまで追いかけて来れるかも判らない。
とりあえず急いでベンゲレール国に向かって俺から話を全部聞いたから守ってくれと伝えるんだ。
先日あちらでお会いした時あの方はお前を迎え入れる為の準備をすでにしている。だから安心して頼って欲しい」
言いながらヴォーグは大丈夫だからと言って体を離してアルホルンの森を呼び出す。
「国境まで案内する。
急ごう、少しでも時間を稼ぐぞ」
オウラの手を取って森に引き込み
「少し行ってくる。直ぐ戻るから」
「あの、皆さんお世話になりました!
俺がんばって生き延びて見せます!」
手を引かれて駆け足で薄暗い森をかけて行く後姿を眺めている間に森の入り口は閉じてしまった。
それよりも今俺達はヴォーグに聞かされた勇者と魔王の話しと勇者の物語の結末に今までの憧れは総て瓦解していた。
ヴォーグは勇者の物語が好きではなかったがこのような政治的な話が絡んでいるからこそ嫌っていて、身勝手な人間に翻弄されるだけの勇者の話しは憧れた物語とはかけ離れた色合いになっていた。
ブルフォードとエリオット殿下は呼ばれて賑やかさを取り戻した会場に戻って行ってしまったが長い沈黙の中じっとしたまま時間を過ごしていればすぐに嗅ぎなれた森の匂いに顔を上げて両手を広げてヴォーグを迎え入れた。
「お帰り。ずいぶんと早かったな」
「ただいま。向こうの出口までずっと走ったから。戻る時もラグナーに早く会いたくて走ってきたので」
息を切らしながら少しだけ恥ずかしそうに笑うヴォーグを抱きしめてキスをしてひたすら走ってきたと言うように汗ばむ肌から立ち昇るヴォーグの匂いを胸いっぱいに吸い込みながら疲れただろうと食事をさせた。
既に冷え切ってしまい、給仕は居なかったけど今まで影のように部屋の片隅に待機していたハイラとワイズがここぞとばかりにお世話を始め、ヴォーグは次々に料理を食べつくして行くのを俺とシルビオとトゥーレは幻を見るかのように眺めていた。瞬く間になくなって行く足りない料理にワイズが外にいる侍女達に追加の料理を持ってこさせるも気持ちいいまでの食べっぷりを俺達はただ眺めるだけだった。
やっと人心地がついたのか大量の食事を終えたヴォーグの手を俺は引いて後宮にあるヴォーグの屋敷へと連れて休ませるとワイズとハイラに告げた。
「シルビオ達はこのままワイズにヴェナブルズの屋敷に案内してもらって休憩と待機だ。ワイズ頼むぞ。
ハイラは良かったらクラウゼ伯に連絡入れるからあちらに向かった方が休まるだろうから……」
廊下で待機している宮廷騎士の一人にアレクを呼ぶようにお願いして後は任せる事にした。
「じゃあ、俺はヴォーグがこのまま寝る前に連れて行くな」
「了解です!
隊長なら寝ているヴォーグさんを食べるかもしれないのでヴォーグさんは寝てても注意ですよ!」
心から心配するシルビオの言葉だが誰ともなくそれはあえて言うかなと言う様にトゥーレはシルビオに拳骨を落すも
「それも楽しみだな」
と締まりの悪い顔で期待する様に呟くヴォーグに居心地の悪い恥ずかしさを覚えながら手を引いて廊下に待機していた本日の護衛の人達と共に屋敷へと足を運ぶのだった。
ヴォーグは回復具合をどうだと問う視線を向ければ背中から降りたトゥーレとブルフォードから自由になったオウラは床に座ってグーパーしながら
「元通りだ。
少しばかり綺麗になって……」
まるであの旅が無かったかのようだと言う様に少しだけ悲しみの色を浮かべながら彼は心の内の葛藤と戦っていた。
だけどヴォーグはそんな事俺には関係ないと言うように空間収納からテントや寝袋と言った冒険者が一式持つキャンプセットを床に並べていた。どれもこれもラグナーの見覚えのある思い出の詰まった物を、ヴォーグに恋するきっかけの時のキャンプで使われていた思い出の背景の物まで並べてあった。
星空の下でホットワインを傾けながら夜遅くまで語りあった金属のカップだっり、焚き火を囲んで肉やチーズの塊を削る様に食べた時のナイフだったり、それらが他人の手に渡る事を少し悔しいと思いながらもヴォーグは更に旅の間の国ごとの路金と換金する為の宝石、そして旅には欠かせない魔石がはめ込まれた魔剣数本とヴォーグ特製の薬を何種類か用意して
「薬は前に渡した時と同じ瓶で種類分けしてある。これがベンゲレール国までの旅の荷物と地図だ。中身をちゃんと覚えておけ」
小さな収納バックを与えて詰め込ませた。
「いいか、お前の故郷のフォルスストロム国に登録されている魔力の波動からの探知を逃れる為に魔力回路を壊した。
二度と回復は出来ないし、魔法が使えなくなった上に魔力なしと言われるかもしれがこれで足取りは簡単にはつかめないはずだ。
そしてこの荷物は魔力を持たない人達が使っていた魔法剣とかそう言った具合だから無駄に戦いをして回らなければ充分向こうに辿り着けるだけの戦力はある」
「この剣。ひょっとしてマオの……」
「お前に持たせろと言って渡された物だ」
「マオが……」
剣をぎゅっと握りしめて強く閉じた目から涙が一筋溢れる。
その合間にも収納バックに更にテーブルの上に並べてあったパンやワイン、日持ちのしそうな食事も詰めていく。
「準備が出来たのなら行くぞ」
ゴルディーニ達より先に国から出してやると言うヴォーグの手をしばらくの間眺め、やっと決心したと言うようにでもこの話が本当なのかまだ信じられないと言うように悩みながらもおずおずとした動きで掴んだオウラは少しだけ言い難そうな顔で
「何でマオは、俺にあの聖剣を作ってくれたんだ?」
やがて勇者となって魔王クウォールッツの前に立ちはだかり、そして自らを屠る為の剣を預けると言うのは理解できないと言う様に苦痛の色を浮かべるも
「魔王クウォールッツ、普段はマオだな。
あの方は自分と戦って自分を屠る相手の成長を楽しみにしていた。
我が手で育て、我が手で鍛えた剣を持って最強の姿で目の前に現れるその成長が待ち遠しいと、我が子を育てる親の気分だと言っていた。
成長した愛しい我が子と全力で戦うその瞬間の為に魔王となって、屠らる。人の負の感情の集合体となった身が解放される為に存在しているとならばそれは愛し子の手であればそれ以上の喜びはないと信じている。
だから役目を終えた今、あの方に会って人として暮すあの方に人の幸せをお前に教えてもらいたい。
あの方だって楽しみに待ってて、お前が来てくれる瞬間を待ちわびている。あの方を喜ばせるのはお前にしかできない役目だ」
言いながらヴォーグは冒険者時代に使っていたお気に入りの外套を着せ、フードを目深にかぶらせる。
「あとこれだけは忘れるな。
謁見の間でお前の仕事は終わってないと言ったが、あれはお前が勇者としての仕事が終わってないと言う事だ。
勇者の仕事とは勇者を目覚めさせた国が最後まで責任をもって勇者の最後を見守るまでが仕事だ。
過去の勇者が誰もが安穏とした世界であっけなく亡くなってる結末の話しはいくつもある事をお前だって知ってるだろう?」
何か嫌な予感を感じてか少しだけ青ざめた顔をするのはオウルだけではない。
「勇者の結末は国が責任を持って平和を取り戻した宣言をする為に勇者を処分するまでが勇者の任務だ」
時間が止まったかのように静かになった室内に
「あの王女の様子からみたら王女には知らされてなかったのだろう。
だけど確実にフォルスストロム国に生きて戻ればお前は殺される。
あの国には絶対足を運ぶな。家族がいる家にもだ」
「何で……」
かすれた声の質問に
「平和な世の中に勇者なんて必要ないんだよ。
国のトップは王だけでいい。国を二分するかもしれない要素の英雄は何時までもいてはいけない。
勇者の銅像が建てられる理由は勇者に縋っておきながら殺さなくてはいけない国の政治だな。その犠牲の罪滅ぼしの為と言う理由と各国への勇者の廃棄の宣言とも言うべきものだ」
青ざめて震えるオウラをヴォーグは抱きしめて
「両手とあの景色と言葉でどこまで騙せるかは判らない。
魔力回路も破壊してどこまで追いかけて来れるかも判らない。
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先日あちらでお会いした時あの方はお前を迎え入れる為の準備をすでにしている。だから安心して頼って欲しい」
言いながらヴォーグは大丈夫だからと言って体を離してアルホルンの森を呼び出す。
「国境まで案内する。
急ごう、少しでも時間を稼ぐぞ」
オウラの手を取って森に引き込み
「少し行ってくる。直ぐ戻るから」
「あの、皆さんお世話になりました!
俺がんばって生き延びて見せます!」
手を引かれて駆け足で薄暗い森をかけて行く後姿を眺めている間に森の入り口は閉じてしまった。
それよりも今俺達はヴォーグに聞かされた勇者と魔王の話しと勇者の物語の結末に今までの憧れは総て瓦解していた。
ヴォーグは勇者の物語が好きではなかったがこのような政治的な話が絡んでいるからこそ嫌っていて、身勝手な人間に翻弄されるだけの勇者の話しは憧れた物語とはかけ離れた色合いになっていた。
ブルフォードとエリオット殿下は呼ばれて賑やかさを取り戻した会場に戻って行ってしまったが長い沈黙の中じっとしたまま時間を過ごしていればすぐに嗅ぎなれた森の匂いに顔を上げて両手を広げてヴォーグを迎え入れた。
「お帰り。ずいぶんと早かったな」
「ただいま。向こうの出口までずっと走ったから。戻る時もラグナーに早く会いたくて走ってきたので」
息を切らしながら少しだけ恥ずかしそうに笑うヴォーグを抱きしめてキスをしてひたすら走ってきたと言うように汗ばむ肌から立ち昇るヴォーグの匂いを胸いっぱいに吸い込みながら疲れただろうと食事をさせた。
既に冷え切ってしまい、給仕は居なかったけど今まで影のように部屋の片隅に待機していたハイラとワイズがここぞとばかりにお世話を始め、ヴォーグは次々に料理を食べつくして行くのを俺とシルビオとトゥーレは幻を見るかのように眺めていた。瞬く間になくなって行く足りない料理にワイズが外にいる侍女達に追加の料理を持ってこさせるも気持ちいいまでの食べっぷりを俺達はただ眺めるだけだった。
やっと人心地がついたのか大量の食事を終えたヴォーグの手を俺は引いて後宮にあるヴォーグの屋敷へと連れて休ませるとワイズとハイラに告げた。
「シルビオ達はこのままワイズにヴェナブルズの屋敷に案内してもらって休憩と待機だ。ワイズ頼むぞ。
ハイラは良かったらクラウゼ伯に連絡入れるからあちらに向かった方が休まるだろうから……」
廊下で待機している宮廷騎士の一人にアレクを呼ぶようにお願いして後は任せる事にした。
「じゃあ、俺はヴォーグがこのまま寝る前に連れて行くな」
「了解です!
隊長なら寝ているヴォーグさんを食べるかもしれないのでヴォーグさんは寝てても注意ですよ!」
心から心配するシルビオの言葉だが誰ともなくそれはあえて言うかなと言う様にトゥーレはシルビオに拳骨を落すも
「それも楽しみだな」
と締まりの悪い顔で期待する様に呟くヴォーグに居心地の悪い恥ずかしさを覚えながら手を引いて廊下に待機していた本日の護衛の人達と共に屋敷へと足を運ぶのだった。
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