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うちの隊長は旦那の貴族モードに感心しております
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ヴォーグ弟をワイズ一人では対処できないと判断し元団と宮廷騎士二人を連れて去って行くのを見送り、先ほどの料理も残っている天藍の間に移動して軽食を取りながらリオネルとマリーと商会の今後について話しをする事になった。
俺はまた宮廷騎士としてヴォーグの後ろに立ってその様子を見守る事になるのだが
「旦那様、やはり私に男爵とは荷が重すぎます」
不安からか瞳に涙を溜めるリオネルにそりゃそうだなと同情しつつ
「大丈夫だよ、誰だって最初はそうだ。
それに任せてくれと言われるよりよっぽど信頼のおける言葉を聞いた」
励ますヴォーグの言葉を聞いてこれはもう避けようのない確定事項の言葉だ。俺も何度も団長室で良く聞いた事があるから諦めろと心の中でエールを送るしか俺にはできなかった。
「ウィングフィールドの方は副店に任せればいい。あいつだって遠回りしてしまったがしっかりと店長としての知識はもちろん采配も出来るし先代の店長が仕事を仕込んでくれてある。
お前が育てたウィングフィールドと変ってしまうかもしれないが、あいつだってあの店での夢位はあるだろうし、今の客を逃すほどあいつも愚かではない。
そこを信じるのがこれからのお前の仕事だ」
言いながらそっと目元をぬぐってやっていた。少し嫉妬するもなんだかんださっき面倒見の良いお兄ちゃんの顔を見た後だ。何だか微笑ましく見えるようになっていた俺の目の前ではヴォーグがマリーにリオネルのお披露目の準備の指示をしていたり、今まで店の一角に住まわせていたが近くに屋敷を既に用意してあるからそちらに引っ越すようにと指示を与えていた。
「リオネル様の屋敷と身の回りの世話はいかがいたしましょう?」
「フレッドとエーンルート侯に声をかけてもらって何人か見繕ってはいるがヴェナブルズに住まわせるつもりはないからな。
ただ時期的に屋敷に滞在してもらいたい時もあるから離れにリオネル用の部屋を用意しろ。あとワイズが育てている執事を一人リオネルにつけろ」
「選出はいかがいたしましょう?」
「ワイズに任せる」
「承りました」
屋敷なんて、執事をつけていただくなんて、ヴェナブルズにお部屋何て恐れ多いと顔を真っ青にして懸命に断わっているリオネルにヴォーグの中ではこれも既に決定だから撤回は無理だと俺達は微笑ましく眺めるしかなく黙って見守る間にも次の話しに移って行く。
「ワイズに約束させられたハイラとの面会はヴェナブルズの屋敷でする。
当日リオネルとマリーにも同席してほしいしラグナーも連れて来いと言われている。
フレッドも連れていくがイザムとセラも同席させる。
日付は後で連絡を入れるが明日じゃセラが無理かもしれないから明後日で都合がつくかワイズと話をしておいてくれ。連絡係はフレッドに」
「あら大変。
奥様がおいでになるのなら料理長に腕を振るってもらわないといけないですわ。
お屋敷も久しぶりに賑やかになりますね」
女性視点だとそう言う考えになると言うか俺はやっぱり奥様って呼ばれるんだなと自分の事ゆえの立ち位置が気になると言うか判ってはいたが他人の口から言われる言葉にむずむずとしてしまう。
「ヴェナブルズの屋敷にもラグナーの身の回りをそろえておいてくれ。
商会奴らがラグナーのサイズを知っているから一通りそろえるように」
「承りました」
マリーの弾む声にまた見た事のない色とりどりの立派な服がずらりと並んでいるんだろうなと意識がどこかへ飛んでいく気がした。
「後はだ。
イザムの学園での状況を詳しく報告書にまとめてくれ。
それを読んだ後に退学させる。
ああ、学園の状況も知りたい。
イザムを見る限りでは国の名を冠る学校としては随分程度が低いから、理事長と世間話をするネタに欲しいな」
「それでしたら既にご用意出来ております」
「さすがだ」
微笑みながらも刃物のような鋭い視線の笑みに彼女の表情が見える場所だけに背筋が伸びてしまう。
これは彼女も問題視してか独自に動いていたと思えばいいのだろうか、ひょっとしてウィングフィールドにも何かしらの損害でもあったのかと考えてしまう。
「いつ動かれてもよろしいようにご友人関係、そして贈り物のリストもございます」
なるほど、たかられた品は贈り物と言うのかと貴族の物の言い回しに感心してしまう。
「それはどこに?」
「はい、こちらに」
侍女用のドレスに身を包むマリーはポケットから小さな手のひらサイズの巾着を取り出したと思ったらその中からどんな本だと言わんばかりの報告書をとりだした。
俺はまた宮廷騎士としてヴォーグの後ろに立ってその様子を見守る事になるのだが
「旦那様、やはり私に男爵とは荷が重すぎます」
不安からか瞳に涙を溜めるリオネルにそりゃそうだなと同情しつつ
「大丈夫だよ、誰だって最初はそうだ。
それに任せてくれと言われるよりよっぽど信頼のおける言葉を聞いた」
励ますヴォーグの言葉を聞いてこれはもう避けようのない確定事項の言葉だ。俺も何度も団長室で良く聞いた事があるから諦めろと心の中でエールを送るしか俺にはできなかった。
「ウィングフィールドの方は副店に任せればいい。あいつだって遠回りしてしまったがしっかりと店長としての知識はもちろん采配も出来るし先代の店長が仕事を仕込んでくれてある。
お前が育てたウィングフィールドと変ってしまうかもしれないが、あいつだってあの店での夢位はあるだろうし、今の客を逃すほどあいつも愚かではない。
そこを信じるのがこれからのお前の仕事だ」
言いながらそっと目元をぬぐってやっていた。少し嫉妬するもなんだかんださっき面倒見の良いお兄ちゃんの顔を見た後だ。何だか微笑ましく見えるようになっていた俺の目の前ではヴォーグがマリーにリオネルのお披露目の準備の指示をしていたり、今まで店の一角に住まわせていたが近くに屋敷を既に用意してあるからそちらに引っ越すようにと指示を与えていた。
「リオネル様の屋敷と身の回りの世話はいかがいたしましょう?」
「フレッドとエーンルート侯に声をかけてもらって何人か見繕ってはいるがヴェナブルズに住まわせるつもりはないからな。
ただ時期的に屋敷に滞在してもらいたい時もあるから離れにリオネル用の部屋を用意しろ。あとワイズが育てている執事を一人リオネルにつけろ」
「選出はいかがいたしましょう?」
「ワイズに任せる」
「承りました」
屋敷なんて、執事をつけていただくなんて、ヴェナブルズにお部屋何て恐れ多いと顔を真っ青にして懸命に断わっているリオネルにヴォーグの中ではこれも既に決定だから撤回は無理だと俺達は微笑ましく眺めるしかなく黙って見守る間にも次の話しに移って行く。
「ワイズに約束させられたハイラとの面会はヴェナブルズの屋敷でする。
当日リオネルとマリーにも同席してほしいしラグナーも連れて来いと言われている。
フレッドも連れていくがイザムとセラも同席させる。
日付は後で連絡を入れるが明日じゃセラが無理かもしれないから明後日で都合がつくかワイズと話をしておいてくれ。連絡係はフレッドに」
「あら大変。
奥様がおいでになるのなら料理長に腕を振るってもらわないといけないですわ。
お屋敷も久しぶりに賑やかになりますね」
女性視点だとそう言う考えになると言うか俺はやっぱり奥様って呼ばれるんだなと自分の事ゆえの立ち位置が気になると言うか判ってはいたが他人の口から言われる言葉にむずむずとしてしまう。
「ヴェナブルズの屋敷にもラグナーの身の回りをそろえておいてくれ。
商会奴らがラグナーのサイズを知っているから一通りそろえるように」
「承りました」
マリーの弾む声にまた見た事のない色とりどりの立派な服がずらりと並んでいるんだろうなと意識がどこかへ飛んでいく気がした。
「後はだ。
イザムの学園での状況を詳しく報告書にまとめてくれ。
それを読んだ後に退学させる。
ああ、学園の状況も知りたい。
イザムを見る限りでは国の名を冠る学校としては随分程度が低いから、理事長と世間話をするネタに欲しいな」
「それでしたら既にご用意出来ております」
「さすがだ」
微笑みながらも刃物のような鋭い視線の笑みに彼女の表情が見える場所だけに背筋が伸びてしまう。
これは彼女も問題視してか独自に動いていたと思えばいいのだろうか、ひょっとしてウィングフィールドにも何かしらの損害でもあったのかと考えてしまう。
「いつ動かれてもよろしいようにご友人関係、そして贈り物のリストもございます」
なるほど、たかられた品は贈り物と言うのかと貴族の物の言い回しに感心してしまう。
「それはどこに?」
「はい、こちらに」
侍女用のドレスに身を包むマリーはポケットから小さな手のひらサイズの巾着を取り出したと思ったらその中からどんな本だと言わんばかりの報告書をとりだした。
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