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うちの隊長は伴侶のお花畑状態が気になって仕方がありません
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豪華絢爛。
この冬の社交界の始まりを告げる王家主催のパーティはそんな言葉が似合う惜しげもない贅を尽くした会場は既に人でごった返されていた。
名前を呼ばれ扉が開かれた先のレッドカーペットをラグナーと共に進む。
既に入城した貴族の中には知った顔、そしてやがて国の運営の重鎮達と宮廷騎士に切り替わる中を俺達は揃って歩く。
当然背後には宮廷騎士の護衛付き。
一応大公殿下と呼ばれる身分なので背後の宮廷騎士はいらないと言ってもやんわりと断られてしまうし更にその後ろにおまけも付いている目立つことこの上なしだ。
城内に居る時いない時でも一日中常に周囲にいるのだが、まぁ鬱陶しいのでまいたりするのはお手の物だし、皆さんそろそろ諦めてくれたようだ。
ゴルディーニ辺りも何も言わないが時々宮廷騎士に仕事をさせてくれと陳情が上がってきてフレッドに無言で睨まれてしまう。
こいつに言わせれば本来それは俺の仕事だと主張したい所なのだろうが今はハイラの下での修行期間。朝からモーニングを着て夕方にはタキシード。昼間の作業時間の間はラウンジスーツで外出にはサーコート。
魔物を狩りに行く時は宮廷騎士の制服を模したアルホルンの騎士服。
意外とバリエーションに富んでいるが本日は昨年流行ったネクタイを絞めてのスタンダードなタキシードだ。
騎士なんぞをしてたおかげでどれを着せても様になるので王都に連れて来た時は一日は服屋で着せ替え人形をさせて遊んでいる。当然その間俺は一人自由時間だ。
ちなみに俺の分は自分の店の所で型紙があるのでお任せで好きなように作らせている。
だけど今度はラグナーを連れて行かないとなと、宮廷騎士服がユニフォームとは言えたまには着飾らせてみたいという物が夫の務めだ。
夫
良い響きだよなあ、とニヤニヤしている間に目の前にはいつの間にか眉間に深く皺をよせた国王の顔があった。
「締まりのない顔だな」
「陛下に起きましてはご機嫌麗しく」
そう言いながら挨拶の一礼をするのを見ラグナーも直ぐに騎士としてではなく俺も同じように挨拶をした。
「麗しいのはお前も一緒のようだな。
それに精霊の姿とは、アルフォニアの花まで咲かせて新婚だからと浮かれてるな?」
「それはもう」
「シーヴォラ、いやアルホルン大公夫人と言うべきか?」
ご機嫌に笑みをふるまう隣に立つ俺に何と言えばいいのかと悩む陛下にお好きなようにとラグナーは答えた。
「結婚するなら一言言ってくれてもよかったのでは?
役所からの連絡でまたかと思ったが……
アルホルンに行かせたのはおまえの嫁として行かせたわけではないんだぞ?」
「そうと分かってたらその身一つで来るような寂しい思いはさせませんでしたよ」
「……何をしようとするつもりかは聞かないが、お前も苦労するぞ?」
「ええ、既にもう先ほどに」
え?と小花をまき散らしながら振り向くヴォーグとヴォーグを見てぎょっとする陛下。
背後からは失笑の生温かな笑い声を聞く。
「先ほどかつて使っていた剣を頂いて、半身たる剣を頂いた事に驚きが」
「かつてと言うとあの魔石の剣か?」
「ええ、何度かお目にかけたと思います」
「いいのか?大切な物では?」
「今は別の剣があるので。それに使っての道具。
使い手を選べるのならラグナー以外に誰を?」
「背後の男とか?」
陛下に言われて後ろを振り向き
「お前も剣が欲しかったのか?」
「前に頂いた剣で十分です。
それよりも大公が城で大人しくして頂ける約束の方を私は欲しく思います」
「考えておこう」
そっと視線を逸らせたヴォーグに陛下は勿論隣に座する王妃も失笑を零す。
「ルードヴォーグは大公になられても相変わらずのようですね」
「妃殿下もご機嫌麗しく」
「畏まらないで。
それよりもお祝いは何が良いでしょう?
貴方ならアルホルンで使う馬が良いかしら?それとも旅を楽しむ馬車?」
「馬が良いですね。前に先生から向こうで使っていた馬をこちらに連れて来ていただいたのですがそろそろ年なので雌馬が欲しいですね」
「まあ?」
「馬の産地に居たのでやはり自分の馬は自分で育てたいのですよ」
「でしたら後でどのような馬が良いか教えてね?
いくつか用意させるわ」
「すでに目ぼしいのがいると言っても?」
「貴方のお目に叶った子がいるのならその子に決まりね」
あとで教えてちょうだいと言って背後で待機する侍女にそっと耳打ちをする様子を見てる俺の横では馬のプレゼントが嬉しいのかアルフォニアの花が咲いては床に散ってと甘い香りが立ち込めていた。
と言うか、馬なんてひと財産するのにと貴族の家なら馬車を強請るのが普通だろうと思うもそもそもヴォーグに馬車も馬も必要かと思うも
「乗馬の楽しみは向こうで教え込まされました。
躾一つから世話まで全部が楽しいですよ?」
「よほどいい所で馬の世話をしたんだな?」
「馬がないと隣の家にもいけない僻地でしたので。
ちゃんとラグナーの為にも躾けますよ」
「ああ、うん。ありがとう……」
専用の馬なんて考えた事も想像した事もなかった。
そもそも馬の管理をする人と場所も必要だし馬の世話代も飯代も必要だ。
金持ちの貴族じゃないと馬なんて飼えないぞと思うもそういやアルホルン大公だったなと改めて今の地位を考えてこの金ばかりかかる会話にも納得する。
「馬か、私の馬にも調教をお願いできるかな?」
エリオット第一王子殿下が会話に混ざるも
「殿下は怪我をなされてはいけない方です。
調教師による躾の行き届いた馬をどうぞお乗りください」
「それは酷いと言う物じゃないか?
伴侶とは言えラグナーだけずるいぞ」
やんわりとお断りの言葉に陛下も妃殿下もエリオット殿下の嘆きぶりに笑い声を隠せずにいるもその笑い声をヴォーグが次の言葉で黙らせた。
「いずれ王位を継ぐ御身。
それ位の注意を払っても足りないという物でしょう」
「ルード、お前こんな所で……」
会場中に響いた声にすぐ隣に並ぶ第二王子や第三王子達の目がものすごい鋭さを増して思わずと言う様にヴォーグを守る体勢に入るもヴォーグは何知らぬ顔でそのまま会話を続ける。
「そうそう、陛下にはぜひとも紹介したい者が」
「お前が改まってと言うのは珍しい、誰だ?」
ここで後継者問題の話しはしたくないとの国王陛下様だがヴォーグはすっと一歩下がってすぐ側で待機しているフレッドの隣に並ぶリオネルの手をとり俺の反対側に立たせた。
今度は何をやるつもりだと元団を見るも、訳知り顔は表情硬く周囲を警戒している。
それは当然背後の宮廷騎士達はもちろん陛下の後ろに並ぶ宮廷騎士達もだ。
「彼はヴェナブルズの商会の一つを任せている者です」
「ほう?初めて見る顔か?名乗れ」
問われて紳士の礼を取って
「ヴェナブルズの商会の一つウィングフォールドを預からせて頂いておりますリオネル・メローです」
と顔を上げる事もなく挨拶をして下がろうとするもヴォーグの手はリオネルの背中に沿わせたままで下がる事が出来ずに戸惑っているのを俺同様に陛下達もヴォーグを困ったような目で見守っていた。
「彼の名前は正しくはリンオーネル・ウェラ・シルヴェストル。
おばあ様とシルヴェストルとの取り決めでこの名前を二度と名乗らせてあげられないけど、れっきとしたジェフの腹違いの義兄です」
この冬の社交界の始まりを告げる王家主催のパーティはそんな言葉が似合う惜しげもない贅を尽くした会場は既に人でごった返されていた。
名前を呼ばれ扉が開かれた先のレッドカーペットをラグナーと共に進む。
既に入城した貴族の中には知った顔、そしてやがて国の運営の重鎮達と宮廷騎士に切り替わる中を俺達は揃って歩く。
当然背後には宮廷騎士の護衛付き。
一応大公殿下と呼ばれる身分なので背後の宮廷騎士はいらないと言ってもやんわりと断られてしまうし更にその後ろにおまけも付いている目立つことこの上なしだ。
城内に居る時いない時でも一日中常に周囲にいるのだが、まぁ鬱陶しいのでまいたりするのはお手の物だし、皆さんそろそろ諦めてくれたようだ。
ゴルディーニ辺りも何も言わないが時々宮廷騎士に仕事をさせてくれと陳情が上がってきてフレッドに無言で睨まれてしまう。
こいつに言わせれば本来それは俺の仕事だと主張したい所なのだろうが今はハイラの下での修行期間。朝からモーニングを着て夕方にはタキシード。昼間の作業時間の間はラウンジスーツで外出にはサーコート。
魔物を狩りに行く時は宮廷騎士の制服を模したアルホルンの騎士服。
意外とバリエーションに富んでいるが本日は昨年流行ったネクタイを絞めてのスタンダードなタキシードだ。
騎士なんぞをしてたおかげでどれを着せても様になるので王都に連れて来た時は一日は服屋で着せ替え人形をさせて遊んでいる。当然その間俺は一人自由時間だ。
ちなみに俺の分は自分の店の所で型紙があるのでお任せで好きなように作らせている。
だけど今度はラグナーを連れて行かないとなと、宮廷騎士服がユニフォームとは言えたまには着飾らせてみたいという物が夫の務めだ。
夫
良い響きだよなあ、とニヤニヤしている間に目の前にはいつの間にか眉間に深く皺をよせた国王の顔があった。
「締まりのない顔だな」
「陛下に起きましてはご機嫌麗しく」
そう言いながら挨拶の一礼をするのを見ラグナーも直ぐに騎士としてではなく俺も同じように挨拶をした。
「麗しいのはお前も一緒のようだな。
それに精霊の姿とは、アルフォニアの花まで咲かせて新婚だからと浮かれてるな?」
「それはもう」
「シーヴォラ、いやアルホルン大公夫人と言うべきか?」
ご機嫌に笑みをふるまう隣に立つ俺に何と言えばいいのかと悩む陛下にお好きなようにとラグナーは答えた。
「結婚するなら一言言ってくれてもよかったのでは?
役所からの連絡でまたかと思ったが……
アルホルンに行かせたのはおまえの嫁として行かせたわけではないんだぞ?」
「そうと分かってたらその身一つで来るような寂しい思いはさせませんでしたよ」
「……何をしようとするつもりかは聞かないが、お前も苦労するぞ?」
「ええ、既にもう先ほどに」
え?と小花をまき散らしながら振り向くヴォーグとヴォーグを見てぎょっとする陛下。
背後からは失笑の生温かな笑い声を聞く。
「先ほどかつて使っていた剣を頂いて、半身たる剣を頂いた事に驚きが」
「かつてと言うとあの魔石の剣か?」
「ええ、何度かお目にかけたと思います」
「いいのか?大切な物では?」
「今は別の剣があるので。それに使っての道具。
使い手を選べるのならラグナー以外に誰を?」
「背後の男とか?」
陛下に言われて後ろを振り向き
「お前も剣が欲しかったのか?」
「前に頂いた剣で十分です。
それよりも大公が城で大人しくして頂ける約束の方を私は欲しく思います」
「考えておこう」
そっと視線を逸らせたヴォーグに陛下は勿論隣に座する王妃も失笑を零す。
「ルードヴォーグは大公になられても相変わらずのようですね」
「妃殿下もご機嫌麗しく」
「畏まらないで。
それよりもお祝いは何が良いでしょう?
貴方ならアルホルンで使う馬が良いかしら?それとも旅を楽しむ馬車?」
「馬が良いですね。前に先生から向こうで使っていた馬をこちらに連れて来ていただいたのですがそろそろ年なので雌馬が欲しいですね」
「まあ?」
「馬の産地に居たのでやはり自分の馬は自分で育てたいのですよ」
「でしたら後でどのような馬が良いか教えてね?
いくつか用意させるわ」
「すでに目ぼしいのがいると言っても?」
「貴方のお目に叶った子がいるのならその子に決まりね」
あとで教えてちょうだいと言って背後で待機する侍女にそっと耳打ちをする様子を見てる俺の横では馬のプレゼントが嬉しいのかアルフォニアの花が咲いては床に散ってと甘い香りが立ち込めていた。
と言うか、馬なんてひと財産するのにと貴族の家なら馬車を強請るのが普通だろうと思うもそもそもヴォーグに馬車も馬も必要かと思うも
「乗馬の楽しみは向こうで教え込まされました。
躾一つから世話まで全部が楽しいですよ?」
「よほどいい所で馬の世話をしたんだな?」
「馬がないと隣の家にもいけない僻地でしたので。
ちゃんとラグナーの為にも躾けますよ」
「ああ、うん。ありがとう……」
専用の馬なんて考えた事も想像した事もなかった。
そもそも馬の管理をする人と場所も必要だし馬の世話代も飯代も必要だ。
金持ちの貴族じゃないと馬なんて飼えないぞと思うもそういやアルホルン大公だったなと改めて今の地位を考えてこの金ばかりかかる会話にも納得する。
「馬か、私の馬にも調教をお願いできるかな?」
エリオット第一王子殿下が会話に混ざるも
「殿下は怪我をなされてはいけない方です。
調教師による躾の行き届いた馬をどうぞお乗りください」
「それは酷いと言う物じゃないか?
伴侶とは言えラグナーだけずるいぞ」
やんわりとお断りの言葉に陛下も妃殿下もエリオット殿下の嘆きぶりに笑い声を隠せずにいるもその笑い声をヴォーグが次の言葉で黙らせた。
「いずれ王位を継ぐ御身。
それ位の注意を払っても足りないという物でしょう」
「ルード、お前こんな所で……」
会場中に響いた声にすぐ隣に並ぶ第二王子や第三王子達の目がものすごい鋭さを増して思わずと言う様にヴォーグを守る体勢に入るもヴォーグは何知らぬ顔でそのまま会話を続ける。
「そうそう、陛下にはぜひとも紹介したい者が」
「お前が改まってと言うのは珍しい、誰だ?」
ここで後継者問題の話しはしたくないとの国王陛下様だがヴォーグはすっと一歩下がってすぐ側で待機しているフレッドの隣に並ぶリオネルの手をとり俺の反対側に立たせた。
今度は何をやるつもりだと元団を見るも、訳知り顔は表情硬く周囲を警戒している。
それは当然背後の宮廷騎士達はもちろん陛下の後ろに並ぶ宮廷騎士達もだ。
「彼はヴェナブルズの商会の一つを任せている者です」
「ほう?初めて見る顔か?名乗れ」
問われて紳士の礼を取って
「ヴェナブルズの商会の一つウィングフォールドを預からせて頂いておりますリオネル・メローです」
と顔を上げる事もなく挨拶をして下がろうとするもヴォーグの手はリオネルの背中に沿わせたままで下がる事が出来ずに戸惑っているのを俺同様に陛下達もヴォーグを困ったような目で見守っていた。
「彼の名前は正しくはリンオーネル・ウェラ・シルヴェストル。
おばあ様とシルヴェストルとの取り決めでこの名前を二度と名乗らせてあげられないけど、れっきとしたジェフの腹違いの義兄です」
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