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うちの隊長はご機嫌な亭主を可愛いなあと眺めております
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アルホルン城の広いダイニングで宮廷騎士就任のお祝いの晩餐となった。
日帰り予定が一泊の予定となり、更にはアルホルン城での晩餐。
悪い噂しか聞かないアルホルン大公との初めての対面と合わさって緊張しているウィルとアンディを他所にフレッドを始め宮廷騎士は頭を抱えていた。
どうしてこうなった、いつかはやるとは思ってた、予想はついていたが、いくらなんでも今?と言うかもう?
問いただしたい衝動を抑えながらもアルホルン城に常駐する宮廷騎士との懇談も兼ねて全員で顔合わせの中で婚姻届を出したとの告白に失笑苦笑とそれぞれの性格を表すようにさざ波のような笑い声が広がっていた。
「だからみんなには悪いとは思うけど、ラグナーは騎士団の所じゃなく城に連れて行くから」
にこにことした顔で告げるヴォーグにこの人でもこんな機嫌がいい時あるんだと誰もが口に出さずに感心する中
「他の者に示しがつかん、ダメに決まってるだろう……」
教育係のフレッドはダメだと言う。
「別にすぐ側で常時護衛と思えば俺は反対じゃないですよ」
好きにしてくれと言うブルフォードに他の宮廷騎士はそう言うのもありだなと納得をする。
「だが、ルードが王都に泊まったりする時はどうする。
あの広い城に一人にするのか?」
「え?ラグナーを連れていくし王都に宿泊なんてしないよ」
「王宮のお前の屋敷の意味がなくなるだろう……」
「まったく無駄になったな」
予算勿体ないなぁとのんきに言うヴォーグにここに城を建てるのとあの屋敷を建てるのどちらが高くつくのだろうかと思うも安上がりだろうがやっぱり高くついてるよなとラグナーの庶民すぎる金銭感覚に金額は弾きだせずにいたが
「では折衷案で、城と騎士の宿泊施設に両方準備いたしましょう」
ハイラがワインを注ぎながらの提案にクリフ達はなるほどと感心する。
「屋敷一つ丸々無駄にする以上使うか判らない制服の一式や二式増えても大差はありません。
万が一に必要になるかもしれないので全く無駄になるわけでもないので両方に用意しても問題はありませんでしょう」
ワインの注ぎ口をナフキンでふき取り銘柄が良く見える様にワインをワゴンに置いて見せてくれた。
「ハイラは気が利くなぁ」
「快適にお過ごしして頂くための初歩的な心遣いです」
そう言ってフレッドに向かってにっこりとほほえむ。
それぐらい気を回しなさいと言う視線に視線を背けてしまうこいつは案外融通が利かない。
ばつの悪そうな顔で視線を背けると言う宮廷騎士にとっては珍しいアヴェリオの様子にハイラへの尊敬は高まって行く一方だ。
そして始まるヴォーグの謎肉を始めこのアルホルンで取れた新鮮な野菜、王都でもなじみのある調味料から作られる舌に馴染んだ香辛料を駆使した料理はアルホルン勤めの騎士達の心を癒し、そしてこんな田舎でこのような、王都でも滅多に味わう事の出来ない料理に舌包みを打つ新人に先ほどまでの明日の朝までの帰城と言う話なんてどうでもよくなっていた。
アルホルン大公が一緒という安心感もあるのだろう。
料理は若い働き盛りの胃袋に次々に収められていき、瞬く間に下げられていく皿の数に給仕たちは大忙しだが、それでも彼らにも今夜の晩餐に使われなかった部位で作られたの食事が用意されている。
どちらかと言えばヴォーグはそれらを作った煮込み料理が好きなのだが
「そういや最近料理してないな」
こってりと肉の繊維がほろほろになるまで煮込んだスープを恋しく思った。
作ってもらえばいいだけだろと思うも恋しく思ったスープはこの国の料理ではない。
修行先でありついたバイト先で山小屋に宿泊した際によく作ってたスープだ。
骨を付けたまま何種類かの野菜とこちらでは取扱いのない香辛料を入れて一晩ほどことことと煮る。
シンプルなのだが、その獣臭さもまた調味料。
舌の上が懐かしさを思い出すも
「そういやヴォーグの料理も美味かったな。
誰かに教えてもらったのか?」
こんな事も今更聞くのもなんだけどとラグナーが言えば
「向こうにいた時にね。
先生達が作るのを見よう見まねで作ってたんだけど、それなりに美味しいって言ってもらえるようになれたよ」
それ以上にまずいと師匠達にも言われたが、それでも作った料理はどれだけ失敗しても絶対残さずに全部平らげてくれて、少しでもおいしく作れるようにと努力を重ねた結果が今のヴォーグの料理の腕だ。
「紅茶と言い奥が深いな」
「ラグナーにも教えてあげようか?」
「俺はヴォーグが作ってくれるから問題ない」
ニコリといい顔で言われたら毎日作ってあげるねと言ってしまう所だったが
「そう言うのは料理人に任せろ。
料理人が料理を作らせてくれないって泣きわめく姿ほどみじめな物はないからな」
「ごもっともで」
素直に納得するラグナーにヴォーグでもなく笑ってしまえば
「ヴォーグさん聞いてくださいよ!!!
こんなひどい話ってないですよ!!!」
若い男の泣き叫ぶ声にほぼ食事が終わってたとは言え誰もが食事の手を止め剣を持って構える姿にヴォーグは溜息を零すのだった。
日帰り予定が一泊の予定となり、更にはアルホルン城での晩餐。
悪い噂しか聞かないアルホルン大公との初めての対面と合わさって緊張しているウィルとアンディを他所にフレッドを始め宮廷騎士は頭を抱えていた。
どうしてこうなった、いつかはやるとは思ってた、予想はついていたが、いくらなんでも今?と言うかもう?
問いただしたい衝動を抑えながらもアルホルン城に常駐する宮廷騎士との懇談も兼ねて全員で顔合わせの中で婚姻届を出したとの告白に失笑苦笑とそれぞれの性格を表すようにさざ波のような笑い声が広がっていた。
「だからみんなには悪いとは思うけど、ラグナーは騎士団の所じゃなく城に連れて行くから」
にこにことした顔で告げるヴォーグにこの人でもこんな機嫌がいい時あるんだと誰もが口に出さずに感心する中
「他の者に示しがつかん、ダメに決まってるだろう……」
教育係のフレッドはダメだと言う。
「別にすぐ側で常時護衛と思えば俺は反対じゃないですよ」
好きにしてくれと言うブルフォードに他の宮廷騎士はそう言うのもありだなと納得をする。
「だが、ルードが王都に泊まったりする時はどうする。
あの広い城に一人にするのか?」
「え?ラグナーを連れていくし王都に宿泊なんてしないよ」
「王宮のお前の屋敷の意味がなくなるだろう……」
「まったく無駄になったな」
予算勿体ないなぁとのんきに言うヴォーグにここに城を建てるのとあの屋敷を建てるのどちらが高くつくのだろうかと思うも安上がりだろうがやっぱり高くついてるよなとラグナーの庶民すぎる金銭感覚に金額は弾きだせずにいたが
「では折衷案で、城と騎士の宿泊施設に両方準備いたしましょう」
ハイラがワインを注ぎながらの提案にクリフ達はなるほどと感心する。
「屋敷一つ丸々無駄にする以上使うか判らない制服の一式や二式増えても大差はありません。
万が一に必要になるかもしれないので全く無駄になるわけでもないので両方に用意しても問題はありませんでしょう」
ワインの注ぎ口をナフキンでふき取り銘柄が良く見える様にワインをワゴンに置いて見せてくれた。
「ハイラは気が利くなぁ」
「快適にお過ごしして頂くための初歩的な心遣いです」
そう言ってフレッドに向かってにっこりとほほえむ。
それぐらい気を回しなさいと言う視線に視線を背けてしまうこいつは案外融通が利かない。
ばつの悪そうな顔で視線を背けると言う宮廷騎士にとっては珍しいアヴェリオの様子にハイラへの尊敬は高まって行く一方だ。
そして始まるヴォーグの謎肉を始めこのアルホルンで取れた新鮮な野菜、王都でもなじみのある調味料から作られる舌に馴染んだ香辛料を駆使した料理はアルホルン勤めの騎士達の心を癒し、そしてこんな田舎でこのような、王都でも滅多に味わう事の出来ない料理に舌包みを打つ新人に先ほどまでの明日の朝までの帰城と言う話なんてどうでもよくなっていた。
アルホルン大公が一緒という安心感もあるのだろう。
料理は若い働き盛りの胃袋に次々に収められていき、瞬く間に下げられていく皿の数に給仕たちは大忙しだが、それでも彼らにも今夜の晩餐に使われなかった部位で作られたの食事が用意されている。
どちらかと言えばヴォーグはそれらを作った煮込み料理が好きなのだが
「そういや最近料理してないな」
こってりと肉の繊維がほろほろになるまで煮込んだスープを恋しく思った。
作ってもらえばいいだけだろと思うも恋しく思ったスープはこの国の料理ではない。
修行先でありついたバイト先で山小屋に宿泊した際によく作ってたスープだ。
骨を付けたまま何種類かの野菜とこちらでは取扱いのない香辛料を入れて一晩ほどことことと煮る。
シンプルなのだが、その獣臭さもまた調味料。
舌の上が懐かしさを思い出すも
「そういやヴォーグの料理も美味かったな。
誰かに教えてもらったのか?」
こんな事も今更聞くのもなんだけどとラグナーが言えば
「向こうにいた時にね。
先生達が作るのを見よう見まねで作ってたんだけど、それなりに美味しいって言ってもらえるようになれたよ」
それ以上にまずいと師匠達にも言われたが、それでも作った料理はどれだけ失敗しても絶対残さずに全部平らげてくれて、少しでもおいしく作れるようにと努力を重ねた結果が今のヴォーグの料理の腕だ。
「紅茶と言い奥が深いな」
「ラグナーにも教えてあげようか?」
「俺はヴォーグが作ってくれるから問題ない」
ニコリといい顔で言われたら毎日作ってあげるねと言ってしまう所だったが
「そう言うのは料理人に任せろ。
料理人が料理を作らせてくれないって泣きわめく姿ほどみじめな物はないからな」
「ごもっともで」
素直に納得するラグナーにヴォーグでもなく笑ってしまえば
「ヴォーグさん聞いてくださいよ!!!
こんなひどい話ってないですよ!!!」
若い男の泣き叫ぶ声にほぼ食事が終わってたとは言え誰もが食事の手を止め剣を持って構える姿にヴォーグは溜息を零すのだった。
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