うちの隊長は補佐官殿が気になるようですが

雪那 由多

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うちの隊長は挑発させ過ぎたと気づいた時は後の祭りでした

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 訂正。

 ヴォーグは余裕があるように見えて全く余裕がなかった。
 きついながらも強引に指を増やしていくし、根元まで咥えられて喉奥に当って俺が気持ちよくなるよりも先に俺の口の中で先にイってしまってたり、落ち着けと言おうにもすぐに口の中のモノは大きく形を変えてしまっているし……
 ひょっとしてサービスしすぎたかと気づいた時は既に手遅れだった俺は前立腺を刺激する指先のせいで遂にヴォーグの口の中で果ててごくんと喉が鳴っても許してはくれなかった。
 
「やだ、そこばかりじゃなく……
 もっと奥がいい、ヴォーグの太いのでもっと奥をこすって、突いて……」

 いくらイかされても欲しい衝動はもっと深い場所で、やらしい言葉を並べてもヴォーグの耳に届いちゃいない。
 何とかしてヴォーグの様子を見れば至上の食事と言わんばかりの顔で俺を舐め上げていて……
 何とかしてヴォーグの下から這い出てベットから落ちた所で強制的に体が離れた。

「おま、最初から飛ばしすぎ……」

 一緒に落ちた枕をヴォーグに投げつければ反省をしてかご丁寧に顔面から受け止めてくれる物の

「あっちに向かってからずっとしてなかったからつい……」

 満面の笑みで誤魔化そうとするヴォーグに逆に体に悪いだろう、特に俺のと文句を言いたくもあったが

「近くを団長がうろちょろしてれば仕方がないか?」

 しゅんと項垂れる男を眺めながらも手を伸ばせばすぐに引き寄せてくれて

「お前が溜まってるのは判った。
 だけど、まだ朝まで時間はある。
 もうちょっとペース配分考えろ」
「だったら朝まで全力で大丈夫ですね」
「いい加減にしろ」

 おでこをぺしりと叩くも、すぐにご機嫌になった俺を膝の上に座らせて下からこすり上げる様に腰を動かすその動きに俺もいつまでも怒って何ていられない。

「と言うか、早く挿れて」
「ラグナーはほんと可愛いなぁ」

 胸元に顔を摺り寄せながら男の何のふくらみのない剣を振るう為に鍛え上げたほぼ筋肉で構成されている胸の乳首をぴちゃぴちゃと音を立てて吸い上げている。
 幼子のように、でも後ろに回した手の指先はゆっくりと俺の中をぐちゃぐちゃにしていて……

「そんなにも我慢できないなら自分で挿れてみる?」
「だったら大人しくしてろよ」

 ヴォーグのモノを掴んで先端に向かって腰を落として行く。
 肉をかき分ける感触と久しぶりのヴォーグに身体が異物を吐きだそうとするも、それを見てかヴォーグは俺の腰を引き寄せて逃がさないと言うように俺を抱きしめていた。
 目の前で星が瞬いていた。
 ちかちかと眩しい光が飛び散るも、すぐに

「大丈夫?」
「少し意識が飛んでたかも。
    強引だな」

 そんなヴォーグも良いがと言うことは黙っておいて、体が慣れないうちに奥までさっきよりも濃い精の匂いと、ゆったりと体が動けば既に引き攣るような痛みはなく

「痛みは?」
「気持ち良くて死にそう」

 首に腕を回せばゆるゆると突き上げてきた。

「気持ちいい」
「俺も」

 ゆっくりと俺の体を支えながら横になれば、均整の取れた体が目の前に在った。
 骨に沿って、筋肉に沿って指を滑らせればヴォーグはくすぐったいと笑いながらも俺を気持ち良くするために腰の動きは止めない。
 忠実な犬みたいだな、そう言えばきっとヴォーグは忠実な犬を演じるのだろう。
 誰にでも好かれるお人よしのヴォーグ・ミューラを演じた時みたいに俺の都合のいいようにこいつは演じるのだろう。
 そうなるとだ。

「団長が羨ましい」
「団長?何でここでフレッドが?!」

 目の前で突然出された名前にまさかフレッドとなんて思ってないよねと動揺するヴォーグに

「少なくとも団長とお前って結構本音でぶつかり合うだろ?」
「本音と言うより感情的に……」

 なにやら分が悪いと思ってかそっと視線を逸らすヴォーグの顔に手を添えて俺を正面から見るように仕向け

「そんな相手を四六時中、いやほぼ一年中側に居させるのは俺としては腹立たしい」
「それ怒る要素なの?!」

 もっと近しい関係になるハイラはどうなるのと言えば

「あれはあれで仕事に忠実なだけ。
 だが団長は私情も交じってる。
 好意とかそう言う物じゃなくって、もっと崇高な物だから、それが俺じゃないのが悔しい」

 悔しくて今度は俺がそっぽを向ければヴォーグは俺の足を抱え直して

「ごめん。
 これだけは譲れないんだ」

 ヴォーグにはヴォーグなりの考えがある。
 判りきってるからの別れだったのに少なくともお互い未練はたらたらで、嫌ってと言うわけでもなくただ一緒にいられないと言うだけで。
 なにせヴォーグにはあと数年という時間制限もある。
 俺だって危険な任務があっていつどこでなんて保証のない騎士の仕事をしているが、それでももう残りこれだけと言われているヴォーグよりはもっと先を見る事を許される立場だ。

「いいよ。
 俺はお前のやりたい事を応援するから。
 だからせめてたまには連絡をくれ……」
「いいけど、俺への手紙は全部ハイラとフレッドの検閲が入るからそれだけは覚えておいて」
「そうなると逆もか。
 いっその事暗号でも作るか?」
「フレッドの奴意外と解読するのが上手くて一度使った暗号は二度も使えないよ?」
「あのクソ団長、無駄に頭がいいよな」
「ああ、昔散々苔下ろしたからね……」

 昔っていつの事だよと疑問な視線を送れば原因はそっと顔を背けて空笑いを零していた。
 だけどすぐに俺へと視線を戻して

「フレッドの事なんてもういいから……」

 ちゅっちゅっとキスを繰り返してきた。
 先ほどの体のダメージももう気にならないし、夜は長いとはいえ朝は必ず来る。
 そうなれば俺は戻らなくてはいけないし、ヴォーグも大公の仕事が待っている。
 寝室に入る前に一瞬見えた書斎の机の書類の山はきっとヴォーグの仕事だろう。
 仕事が早くて丁寧で的確なのは彼が残してくれた仕事一つからも良く判り、ヴォーグの能力は本来大公としての為に在る物なのだろう。
 決して騎士団の書類の清書と計算の訂正の為に在る能力ではない。
 才能の無駄遣いと言われても仕方がないだろう仕事はもうさせる事も出来ないが……

「だったらお前以外の事考えさせるなよ」

 首筋にも幾つも名残を残そうとする男にさせたい放題痕を残させ、俺も仕返しをしてやる。
 これを見て思い出して寂しがれと思うもそれは俺への言葉かと考えながら、浮き立つ腰に手を滑らせて柔らかくも丸みも無い尻をもみしだれて行くうちに腰は随分と高い位置に持ち上げられていて……
 悔しいほどいい所をこすり上げながら奥へ奥へと掻き分けて行くヴォーグの腰に足を絡み付かせながら深い場所でヴォーグを受け止めるのだった。





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