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うちの隊長は部下が任務先で何をしているのかなんて知りません
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薄暗いアルフォニアの森を抜ける。
木々が輝いていて明るい夜のような森を、アルフォニアの花の香りを楽しみながら足を運ぶ。
アルフォニアの森に足を踏み入れてはいけない、とは言われててもこの森の主の俺にとっては俺の為に在る森なので何よりも安全な場所だ。
そしてアルフォニアの森は精霊の通り道とされていて、つまり……
「ヴォーグさん今回もお願いします!」
アルフォニアのトンネルを潜ればその先は実際の距離を無視して雪のない暖かな陽だまりの世界へとつながった。
そこには見覚えのある顔がずらりと並んで笑顔で俺の到着を待っていた。
「シルビオ小隊長お久しぶりです。
皆さんもお元気そうで何よりです」
眩しい位のニコニコとした笑みを俺に向けるシルビオ達に俺はなんでこうなったのかと頭が痛くなるも、少しこの時間を楽しみにしていた。
「それにしてもよく俺が来るのが判ったね?」
「ヴォーグさんが来る時はいつもアルフォニアの匂いがするからね!」
納得。
アルフォニアの森を通れば、出口が開いた時匂いが立ち込めると言う物なのだから仕方がないと言えば仕方がないというか……
「それよりも今回の任務は終了したのかな?」
「はい!
ボアを10体狩って来いという内容なので十分クリアしてます」
背後には幌馬車に無造作に積まれた鉄の檻の中のボアを見て苦笑。
随分弱って虫の息のボア達は人が近寄ってもパニックになって暴れる事も出来ないくらいの重傷。
「この程度なら王都まで生きて連れて帰る事が出来るでしょ」
「うーん、微妙な見極めが出来るようになったねぇ」
膝から下を切られた足では暴れる事も出来ないし、流れる血がどんどん命を削って行く。
少し前に教えた事をもうモノにするなんてシルビオ小隊凄いなと感心する中
「じゃあ、今回はバッファー達との連携を中心にやろうか」
言えば前回は前衛の攻撃で後衛が処理をするという戦法を教えた。
これは主にホルガー達向けの少人数の戦法だと俺は思っているが、今度は大人数で、数の多い敵を仕留める体力温存型の戦い方を教えようと前回の時に皆と話を決めていた。
「ああ、でも俺夕暮れまでには帰るって言って出てきているから」
「はい!俺達も今日中に帰る予定になってるのでそれぐらいだと十分間に合いますから大丈夫です!」
「じゃあ、バッファーの人達に肉体強化の魔法を教える。
俺がバッファー役をやるからまずシルビオ小隊長、あのアイスベアをやっつけに行こうか」
言えばシルビオ隊は全員が顔を青くして振り返った先にいた冷気を吐き出す事で有名なアイスベアを見付けた。
「今『探査魔法』を全員にかけたよ。
判ったと思うけど今周囲に五体いて既に囲まれている状態だ」
「ヴォーグさん!
これ俺達一部隊じゃ相手できないんだけど!」
「シルビオ小隊長落ち着いて。
その為に教えてるんだから」
落ち着けと言うようにヴォーグはシルビオの肩を引き寄せて一番最初に向かって来るアイスベアを探査魔法で理解する配置の一番近い敵へと正面を向ける。
「まず肉体強化として『防御力』を上げる。
次に『俊敏力』『脚力』『攻撃力』『持久力』『武器強化』と順番は好みで続ける」
「すみません、重複は無理です……」
「だいじょうぶ。一人で全部やらなくてもいい。
数人で一人のアタッカーにかければいいから役割を決めておこう」
言えば12人のうち3人のバッファーに回復役の二人を混ぜて役割を決めるように促しながら
「さあ、ポーションはたくさん用意して来たから、シルビオ小隊長行っておいで」
「ヴォーグさん!俺絶対死なないよね!!!」
何故か泣きながらアイスベアに向かって行けば、その様子にアイスベアが興奮してシルビオに襲い掛かるも、先に攻撃態勢に入っていたシルビオの、ヴォーグの援護を受けたシルビオの能力上昇値にアイスベアは反応する間も無くシルビオは一撃でアイスベアを倒していた……
あまりにもの鮮やかな戦いに言葉を失って居れば
「あれじゃ毛皮が取れなくて価値は落ちるけど初めてならまあまあかな?」
「ヴォーグさん……
俺の体じゃないみたいで気持ち悪いです……」
何故かよたよたとした足取りで戻ってきたシルビオにヴォーグは唸りながら
「能力上げた状態の体の感覚を知らないからね。
ズレが起きるってこういう状態だよ。
とりあえず残り四体邪魔だから倒しておいで。
それからちょっと練習しようか」
「普通練習が先じゃないっすか?」
涙ながらの文句に
「練習よりも理想の形を知っておいた方がシルビオ小隊長には判りやすいと思って。
みんなもいきなりはこうは出来ないけど、こういう風に出来ればいいって判ればいい目標になると思うんだ?」
にっこりと笑うヴォーグはさらに言う。
「シーヴォラ隊長もそうやって体に覚えさせてきたからきっとみんなも出来るはずだよ」
だけどそこはシルビオ隊。
お馬鹿で有名なシルビオ隊はみんな大好きな隊長の強さの秘密を知って
「皆このままヴォーグさんの言う事を聞いて隊長みたいに強くなるぞ!」
「「「「「おーっっっ!!!!!」」」」」
ちょろすぎる事でも有名なシルビオ隊はやっぱりちょろいなと思わずにはいられなかったヴォーグだった……
木々が輝いていて明るい夜のような森を、アルフォニアの花の香りを楽しみながら足を運ぶ。
アルフォニアの森に足を踏み入れてはいけない、とは言われててもこの森の主の俺にとっては俺の為に在る森なので何よりも安全な場所だ。
そしてアルフォニアの森は精霊の通り道とされていて、つまり……
「ヴォーグさん今回もお願いします!」
アルフォニアのトンネルを潜ればその先は実際の距離を無視して雪のない暖かな陽だまりの世界へとつながった。
そこには見覚えのある顔がずらりと並んで笑顔で俺の到着を待っていた。
「シルビオ小隊長お久しぶりです。
皆さんもお元気そうで何よりです」
眩しい位のニコニコとした笑みを俺に向けるシルビオ達に俺はなんでこうなったのかと頭が痛くなるも、少しこの時間を楽しみにしていた。
「それにしてもよく俺が来るのが判ったね?」
「ヴォーグさんが来る時はいつもアルフォニアの匂いがするからね!」
納得。
アルフォニアの森を通れば、出口が開いた時匂いが立ち込めると言う物なのだから仕方がないと言えば仕方がないというか……
「それよりも今回の任務は終了したのかな?」
「はい!
ボアを10体狩って来いという内容なので十分クリアしてます」
背後には幌馬車に無造作に積まれた鉄の檻の中のボアを見て苦笑。
随分弱って虫の息のボア達は人が近寄ってもパニックになって暴れる事も出来ないくらいの重傷。
「この程度なら王都まで生きて連れて帰る事が出来るでしょ」
「うーん、微妙な見極めが出来るようになったねぇ」
膝から下を切られた足では暴れる事も出来ないし、流れる血がどんどん命を削って行く。
少し前に教えた事をもうモノにするなんてシルビオ小隊凄いなと感心する中
「じゃあ、今回はバッファー達との連携を中心にやろうか」
言えば前回は前衛の攻撃で後衛が処理をするという戦法を教えた。
これは主にホルガー達向けの少人数の戦法だと俺は思っているが、今度は大人数で、数の多い敵を仕留める体力温存型の戦い方を教えようと前回の時に皆と話を決めていた。
「ああ、でも俺夕暮れまでには帰るって言って出てきているから」
「はい!俺達も今日中に帰る予定になってるのでそれぐらいだと十分間に合いますから大丈夫です!」
「じゃあ、バッファーの人達に肉体強化の魔法を教える。
俺がバッファー役をやるからまずシルビオ小隊長、あのアイスベアをやっつけに行こうか」
言えばシルビオ隊は全員が顔を青くして振り返った先にいた冷気を吐き出す事で有名なアイスベアを見付けた。
「今『探査魔法』を全員にかけたよ。
判ったと思うけど今周囲に五体いて既に囲まれている状態だ」
「ヴォーグさん!
これ俺達一部隊じゃ相手できないんだけど!」
「シルビオ小隊長落ち着いて。
その為に教えてるんだから」
落ち着けと言うようにヴォーグはシルビオの肩を引き寄せて一番最初に向かって来るアイスベアを探査魔法で理解する配置の一番近い敵へと正面を向ける。
「まず肉体強化として『防御力』を上げる。
次に『俊敏力』『脚力』『攻撃力』『持久力』『武器強化』と順番は好みで続ける」
「すみません、重複は無理です……」
「だいじょうぶ。一人で全部やらなくてもいい。
数人で一人のアタッカーにかければいいから役割を決めておこう」
言えば12人のうち3人のバッファーに回復役の二人を混ぜて役割を決めるように促しながら
「さあ、ポーションはたくさん用意して来たから、シルビオ小隊長行っておいで」
「ヴォーグさん!俺絶対死なないよね!!!」
何故か泣きながらアイスベアに向かって行けば、その様子にアイスベアが興奮してシルビオに襲い掛かるも、先に攻撃態勢に入っていたシルビオの、ヴォーグの援護を受けたシルビオの能力上昇値にアイスベアは反応する間も無くシルビオは一撃でアイスベアを倒していた……
あまりにもの鮮やかな戦いに言葉を失って居れば
「あれじゃ毛皮が取れなくて価値は落ちるけど初めてならまあまあかな?」
「ヴォーグさん……
俺の体じゃないみたいで気持ち悪いです……」
何故かよたよたとした足取りで戻ってきたシルビオにヴォーグは唸りながら
「能力上げた状態の体の感覚を知らないからね。
ズレが起きるってこういう状態だよ。
とりあえず残り四体邪魔だから倒しておいで。
それからちょっと練習しようか」
「普通練習が先じゃないっすか?」
涙ながらの文句に
「練習よりも理想の形を知っておいた方がシルビオ小隊長には判りやすいと思って。
みんなもいきなりはこうは出来ないけど、こういう風に出来ればいいって判ればいい目標になると思うんだ?」
にっこりと笑うヴォーグはさらに言う。
「シーヴォラ隊長もそうやって体に覚えさせてきたからきっとみんなも出来るはずだよ」
だけどそこはシルビオ隊。
お馬鹿で有名なシルビオ隊はみんな大好きな隊長の強さの秘密を知って
「皆このままヴォーグさんの言う事を聞いて隊長みたいに強くなるぞ!」
「「「「「おーっっっ!!!!!」」」」」
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