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うちの隊長は突然の乱入者が居た事を知りません
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「マイヤお疲れ。
ミュリエルできるようになったじゃん」
「ヴォーグに助けてもらった命、ヴォーグが教えてくれた物を一つでも取りこぼしてたまる物ですか」
二人で視線を交わせば思わず片手を上げてやったねとハイタッチ。
やっと発動出来た魔法の嬉しさにくすくすと笑みが零れ落ちて喜びのまま抱き合っていれば
「おいおい、まだ戦闘は終わってないぞ?」
声をかけてきたのはユハでもトゥロでもなく
「魔族……」
まだ生きていたのかと思って凝視してしまうも
「恐ろしい人間だな。
まさか精霊魔法を使う人間がまだいるとは思わなかったぞ」
「精霊魔法?」
その言葉は聞いた事が無くマイヤは眉をひそめるも
「精霊の名前を力に変えた魔法だ。
聞いた事のない名前だがこの威力。
お前は厄介だな」
殺しておくかというドバリーも満身創痍だ。
だけど少しずつ体がの傷が減って行く。
癒されていくと言うよりも修復されていく、そんな治り方は酷くゆっくりで、でも確かに治って行く。
「くそ、思ったよりダメージが重いか。
だがシュヴェアはともかくジクストゥスをやった奴が目の前に居て倒さずにはいられるか?!」
爛れた肌の手で剣を振りかざしてホルガーに襲い掛かろうとした所で急に方向を変更しマイヤへと向かって走り出した。
「クソッ!」
ホルガーは慌てて追いかける。
受け止めようとした分だけ出遅れた。
マイヤが急いで待機させていた魔法を放つもそんな物ではびくともしないという様に笑うドバリーは瞬く間に距離を詰め
「マイヤ離れろ!」
距離を取るように逃げる魔法使いならではの足の遅いマイヤとドバリーの間にユハが弓を構えて矢に魔力を乗せて乱射する。
時間を稼ぐ様に魔族が嫌うという光属性を乗せた矢を放つにもかかわらず既に命は要らないというように矢で貫かれても気にしないドバリーは横から突進してきたテレサも逆に一撃で振り払い、マイヤの前にまずはと言うようにユハに剣を振り下ろした。
とっさに弓で防御するもこんなもので渾身の一撃かのように振り下ろされた自身の角の槍に勝てるはずはなく、ホルガーが短剣を投げてドバリーの背に刺さるも痛みすら無視をして振り下ろす様をユハは震える足に逃げろと命令しても叶わず、ただちらりと側に助けに来ていたトゥロを、涙でぼやける視界で何かを口に出しそうになった言葉を呑み込んで、同時に目も閉ざしてその瞬間を待つのだった……
ぐらり
世界が回った。
ふわり
体から何の柵もなくなった。
焼け焦げた臭いは記憶から洩ららす物か。
頬を撫でる冷たい風と、森の匂い。
ああ、一緒に過ごした時間の中でやっぱり森の中が一番楽しかったな……
不意にこみ上げる思い出に感情とは別に心の中は恐ろしくなだらかだった。
あんなさよならだけは勘弁だよなともう一度会いたかった顔を思い浮かべ思いは届かなくとも
「ヴォーグ、やっぱり愛してる……」
言葉になっただろうか。
最後に呟いた音を遠くで聞きながら誰かがこの言葉を届けてくれればいいやと満足気に笑って……
「ユハ、衝撃が来るから我慢してね」
思いがけない声に思わず眉間を寄せる。
聞き覚えのある声に思わず瞠いた目で見た世界は光に溢れていた。
「え、何で、ヴォーぐぅぉおおおおおっっっ?!」
舌をかまなかったのが不思議だった。
我慢してねと言われて目を開けば街中の上空から急降下中からの着地。
浮遊感の謎は今解けた。
気が付けばヴォーグに抱きかかえられて、今も夢のようにお姫様抱っこをされている。
かなり無理やりな着地だったのにもかかわらず俺を落す事もなく二人分の衝撃をヴォーグが相殺してくれていた。
「大丈夫だった?」
ほっとした声をすぐ側から聞かれれば直ぐに両腕でヴォーグの頭を抱きしめて
「会いたかった!!!」
こんな時だと言うのに驚くヴォーグを他所に地面に押し倒してキスをした。
二度、三度と深くキスをして首筋に溢れる涙の顔を押し付ける。
「ヴォーグ?!」
「ほんとにお前!!!」
ホルガーは勿論テレサもマイヤもトゥロもみんな集まってヴォーグの側に集まってその再会を喜ぶ。
もちろんホルガー達が集まったぐらいではユハの手はヴォーグから外されないが。
「おいおい、お前一体何なんだよ。
せっかくめんどくさい精霊魔法使いを殺そうとしたのによぉ」
ドバリーは突然の乱入者にご立腹と言うように両手に自前の角の槍を持ってゆっくりと距離を詰めて来ればさすがにユハもヴォーグを解放し、マイヤも魔法を新たにいくつか待機させて全員が剣を構えユハも弓をつがえる。
「やはりこの匂い魔族か。
マイヤに教えた精霊魔法が発動したから急いで来れば何時の間に王都に紛れ込んでいたか……」
ヴォーグが剣を取り出して構えるが
「悪いがこいつは俺達に譲ってくれ」
ホルガーが一歩前に出る。
「どうやらあいつにとって俺は因縁の相手らしくてよ……」
決着を付けないとバケモノを生む事になる、ほんの数刻もしない前に学んだばかりの事。
「ここは俺達に任せてくれ」
その一言にヴォーグはすっと身を引いてマイヤが引いた境界線の内側ギリギリまで下がれば、その足がとまった瞬間ホルガーとドバリーは吠えながら剣と角の槍を交差させていた。
二合、三合打ち合わせる。
剣技だけ見れば互角と言う所だろうか。
だけどドバリーには圧倒する魔力があり、代わりにホルガーには暁の大牙と言う仲間があった。
恐ろしく魔力を消費する精霊魔法にマイヤの魔力はもう一度発動させるだけの魔力は残されてない。
ユハも立て続けに放ち続けた魔法の矢に随分と消耗していた。
全力で駆け続けていたトゥロもテレサも疲労は溜り、一度大量に血を流しているホルガーも全力とは言えなかった。
そう言うドバリーも精霊魔法の影響は酷く、怪我の治りが遅く、動くたびに魔族の血液と言うか暗い色の体液があふれ出ている。
戦いを続けられるほど体力はお互い残されているわけではなく、気力だけの戦いの結末はあっけなくついた。
マイヤのなけなしの魔力で発動させた閃光の魔法の直撃を喰らったドバリーから隙をもらったユハの弓によって角の槍が折られ、再度矢をつがえようとしたユハの手には魔力を限界を超えて練り上げようとした事からの暴発は手から血が噴出していた。
もう一方の角は角を折られた動揺の隙にテレサが風の魔法を纏い、トゥロの支援で最大脚力を貰ってもう片方の角を折り、着地をしくじって顔面から転んでいた。
当然その瞬間を逃さないホルガーが大剣でドバリーの魔石を確実に貫いて、貫かれた自分の体を見たドバリーは
「見事」
それだけを言い残して塵となって魔王の元へと還って行くのだった。
ミュリエルできるようになったじゃん」
「ヴォーグに助けてもらった命、ヴォーグが教えてくれた物を一つでも取りこぼしてたまる物ですか」
二人で視線を交わせば思わず片手を上げてやったねとハイタッチ。
やっと発動出来た魔法の嬉しさにくすくすと笑みが零れ落ちて喜びのまま抱き合っていれば
「おいおい、まだ戦闘は終わってないぞ?」
声をかけてきたのはユハでもトゥロでもなく
「魔族……」
まだ生きていたのかと思って凝視してしまうも
「恐ろしい人間だな。
まさか精霊魔法を使う人間がまだいるとは思わなかったぞ」
「精霊魔法?」
その言葉は聞いた事が無くマイヤは眉をひそめるも
「精霊の名前を力に変えた魔法だ。
聞いた事のない名前だがこの威力。
お前は厄介だな」
殺しておくかというドバリーも満身創痍だ。
だけど少しずつ体がの傷が減って行く。
癒されていくと言うよりも修復されていく、そんな治り方は酷くゆっくりで、でも確かに治って行く。
「くそ、思ったよりダメージが重いか。
だがシュヴェアはともかくジクストゥスをやった奴が目の前に居て倒さずにはいられるか?!」
爛れた肌の手で剣を振りかざしてホルガーに襲い掛かろうとした所で急に方向を変更しマイヤへと向かって走り出した。
「クソッ!」
ホルガーは慌てて追いかける。
受け止めようとした分だけ出遅れた。
マイヤが急いで待機させていた魔法を放つもそんな物ではびくともしないという様に笑うドバリーは瞬く間に距離を詰め
「マイヤ離れろ!」
距離を取るように逃げる魔法使いならではの足の遅いマイヤとドバリーの間にユハが弓を構えて矢に魔力を乗せて乱射する。
時間を稼ぐ様に魔族が嫌うという光属性を乗せた矢を放つにもかかわらず既に命は要らないというように矢で貫かれても気にしないドバリーは横から突進してきたテレサも逆に一撃で振り払い、マイヤの前にまずはと言うようにユハに剣を振り下ろした。
とっさに弓で防御するもこんなもので渾身の一撃かのように振り下ろされた自身の角の槍に勝てるはずはなく、ホルガーが短剣を投げてドバリーの背に刺さるも痛みすら無視をして振り下ろす様をユハは震える足に逃げろと命令しても叶わず、ただちらりと側に助けに来ていたトゥロを、涙でぼやける視界で何かを口に出しそうになった言葉を呑み込んで、同時に目も閉ざしてその瞬間を待つのだった……
ぐらり
世界が回った。
ふわり
体から何の柵もなくなった。
焼け焦げた臭いは記憶から洩ららす物か。
頬を撫でる冷たい風と、森の匂い。
ああ、一緒に過ごした時間の中でやっぱり森の中が一番楽しかったな……
不意にこみ上げる思い出に感情とは別に心の中は恐ろしくなだらかだった。
あんなさよならだけは勘弁だよなともう一度会いたかった顔を思い浮かべ思いは届かなくとも
「ヴォーグ、やっぱり愛してる……」
言葉になっただろうか。
最後に呟いた音を遠くで聞きながら誰かがこの言葉を届けてくれればいいやと満足気に笑って……
「ユハ、衝撃が来るから我慢してね」
思いがけない声に思わず眉間を寄せる。
聞き覚えのある声に思わず瞠いた目で見た世界は光に溢れていた。
「え、何で、ヴォーぐぅぉおおおおおっっっ?!」
舌をかまなかったのが不思議だった。
我慢してねと言われて目を開けば街中の上空から急降下中からの着地。
浮遊感の謎は今解けた。
気が付けばヴォーグに抱きかかえられて、今も夢のようにお姫様抱っこをされている。
かなり無理やりな着地だったのにもかかわらず俺を落す事もなく二人分の衝撃をヴォーグが相殺してくれていた。
「大丈夫だった?」
ほっとした声をすぐ側から聞かれれば直ぐに両腕でヴォーグの頭を抱きしめて
「会いたかった!!!」
こんな時だと言うのに驚くヴォーグを他所に地面に押し倒してキスをした。
二度、三度と深くキスをして首筋に溢れる涙の顔を押し付ける。
「ヴォーグ?!」
「ほんとにお前!!!」
ホルガーは勿論テレサもマイヤもトゥロもみんな集まってヴォーグの側に集まってその再会を喜ぶ。
もちろんホルガー達が集まったぐらいではユハの手はヴォーグから外されないが。
「おいおい、お前一体何なんだよ。
せっかくめんどくさい精霊魔法使いを殺そうとしたのによぉ」
ドバリーは突然の乱入者にご立腹と言うように両手に自前の角の槍を持ってゆっくりと距離を詰めて来ればさすがにユハもヴォーグを解放し、マイヤも魔法を新たにいくつか待機させて全員が剣を構えユハも弓をつがえる。
「やはりこの匂い魔族か。
マイヤに教えた精霊魔法が発動したから急いで来れば何時の間に王都に紛れ込んでいたか……」
ヴォーグが剣を取り出して構えるが
「悪いがこいつは俺達に譲ってくれ」
ホルガーが一歩前に出る。
「どうやらあいつにとって俺は因縁の相手らしくてよ……」
決着を付けないとバケモノを生む事になる、ほんの数刻もしない前に学んだばかりの事。
「ここは俺達に任せてくれ」
その一言にヴォーグはすっと身を引いてマイヤが引いた境界線の内側ギリギリまで下がれば、その足がとまった瞬間ホルガーとドバリーは吠えながら剣と角の槍を交差させていた。
二合、三合打ち合わせる。
剣技だけ見れば互角と言う所だろうか。
だけどドバリーには圧倒する魔力があり、代わりにホルガーには暁の大牙と言う仲間があった。
恐ろしく魔力を消費する精霊魔法にマイヤの魔力はもう一度発動させるだけの魔力は残されてない。
ユハも立て続けに放ち続けた魔法の矢に随分と消耗していた。
全力で駆け続けていたトゥロもテレサも疲労は溜り、一度大量に血を流しているホルガーも全力とは言えなかった。
そう言うドバリーも精霊魔法の影響は酷く、怪我の治りが遅く、動くたびに魔族の血液と言うか暗い色の体液があふれ出ている。
戦いを続けられるほど体力はお互い残されているわけではなく、気力だけの戦いの結末はあっけなくついた。
マイヤのなけなしの魔力で発動させた閃光の魔法の直撃を喰らったドバリーから隙をもらったユハの弓によって角の槍が折られ、再度矢をつがえようとしたユハの手には魔力を限界を超えて練り上げようとした事からの暴発は手から血が噴出していた。
もう一方の角は角を折られた動揺の隙にテレサが風の魔法を纏い、トゥロの支援で最大脚力を貰ってもう片方の角を折り、着地をしくじって顔面から転んでいた。
当然その瞬間を逃さないホルガーが大剣でドバリーの魔石を確実に貫いて、貫かれた自分の体を見たドバリーは
「見事」
それだけを言い残して塵となって魔王の元へと還って行くのだった。
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