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うちの隊長は飢えているようです

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 胸いっぱいにヴォーグの匂いを吸い込んだ後、噛みつくように飛びかかってキスを交わした。
 俺より高い背の頭を掴み視線を並べて睨みつけるように目を開けたまま何度もキスを繰り返す。
 戸惑うヴォーグの瞳がやがて逃げれそうな場所を探している様子はどうやら俺がかなりご立腹なのを理解しているからだろうか。
 とはいえあんな風に別れてからの再会。
 男である以上好きな奴に興奮すればちゃんと体は反応していて、苦しくなった下腹部をヴォーグへとこすり付けていた。
 そして得体の知れないこいつの不明な正体でもちゃんと荒々しいまでのキスにしっかりと男としての反応は確かにあり、ちゃんとした人である事が理解できればそれでいいじゃないかと目を瞑りながらヴォーグのシャツのボタンに手を掛ければヴォーグも同じように俺の服を脱がせにかかって……と思えばその手は止まり、代わりに俺を正面から抱き上げてそのまま階段を駆け上がり、その先にあるヴォーグの寝室のベットへとなだれ込むのだった。
 
 言葉もなくお互い興奮したまま服をはぎ取る様に脱いで行く。
 荒い息の中、忍び込む月明かりの中で見つめ合ってお互いでその肌に首筋に唇を這わしていく。
 だけどヴォーグだけがだんだん下の方へと移動して行って……

 俺は何でこいつに腹を立てていたのだっけ……

 膝の裏に手をあてて隠しようもなく足を広げた中心に顔を埋めるヴォーグの髪を握り絞めてまとまらない疑問はやがて霧散して行った。

 口だけで達してしまってもヴォーグはなお口で攻め続けて来て最後の一滴まで吸い取ろうとする舌の動きのあまりの気持ちよさで身動き取れない体はただ悶える事しか出来なくて、それがまた刺激になるなんてわかっているのに止められなく、気持ちよすぎてどうすれば楽になれるかなんてもう考える事さえ出来なくなっていた。
 深くまで咥えこんで吸い上げる喉の奥に先端が時々ぶつかってその刺激が腰をピリピリとした刺激を与え、喜ぶように体中がビクンビクンと反応する。
 もう限界だというように頭を引き離そうとするもヴォーグはびくともせず、ヴォーグの唾液か、俺のあっという間に達した物か、それとも混ぜあった物がシーツを濡らして行った。
 この間はあの魔族のせいで気が付いたら抱かれていた酷い状況だったけど、今はこれから抱かれる今から繋がるっていう状況に興奮してすでにはしたなくもひくひくと欲しがっている所に早くもっと刺激が欲しくてと、だけどヴォーグはそこには触れないもどかしさに自分で手を伸ばしてしまう。

「だめだよ」

 荒い呼吸しか響かなかった室内にヴォーグの声が静かに広がった。
 それだけの事で下腹部がきゅんと締め上げる。

「今日は全部俺がする……」
「全部って……」

 それはどういう意味だろう……
 期待が胸に広がれば何やら取り出した物を指に絡めて窪みへと沈めてきた。
 ひんやりとした……こいつの場合は薬か?
 でもきっと変な物じゃないだろうと無防備なまでの信頼にそれへの恐怖は何もない。

「もうちょっと力抜いてくれるといいんだけど……」

 少しだけ困った顔のヴォーグに俺は首を振り

「無理だ。こんだけ期待してるんだから」

 早く早くと強請ってしまったら嫌われるだろうか?
 だけど強請らずには居られなくって、言葉にしてしまえばさっきよりも少し乱雑に強引に体をかき分けるような指先の痛みが俺を喜ばしてくれた。
 何時も余裕釈然とした態度でのほほんとした人好きのする顔がこんなにも余裕なく俺の太ももの内側 にしゃぶりついている。
 くそー、これじゃあ腹を立てていた事も総てどうでもよくなるじゃないかと早く俺が欲しくて欲しくてしょうがないと言うようにせっぱつまった顔を見せるヴォーグに息を呑み込みながら俺も早く欲しくて欲しくて指の動きと一緒にうごめく腰にこのままだと指でまたイかされてしまうと少し恥ずかしく思いながらもそれも良いなと、要はしてくれること全部が気持ち良くてイきたい状況に自身の手でこすり上げてしまう。
 ヴォーグにイかされながらの自慰行為なんてどれだけ恥ずかしい姿さらしてるんだと、でも指だけの刺激では得られない快感を求める姿に急に後ろが楽になった。
 ん?なんて思う間もなくズンとした衝撃が腰に響いた。
 よっぽど我慢できなかったのか一気にカリまで埋め込んで呻く姿と何か熱いモノが体に満ちて行く様子に満足げに口の端を釣り上げる。

「そんなに気持ちいいか?」

 暫く呼吸を整えてからゆっくりと汗を浮かべた顔を上げたヴォーグはしっかりと雄の顔で

「我慢する方が難しいくらいに」

 少し硬度が下がったモノがぐいぐいと奥へと容赦なく突き進んできた。
 内壁が引っ張られる感覚に呻くも、すでに出されたモノの助けで進んだ分戻ったりと繰り返すうちにいつの間にか滑らかな動きになった挙句にヴォーグの形にも馴染む頃には肉と肉のぶつかる音が響いていた。
 これでもかという位体を二つに曲げられて目の前で抽入する景色を見せられる。
 他人のブツに興味はないが、その無駄にでかい体格に合った物で容赦なく貫かれている様は息をのむほど興奮する光景だった。
 俺を貪る事に夢中になって一心不乱に腰を振って汗を撒き散らせて。
 それだけでも眩暈がしそうなくらい嬉しいのに呻くように合間合間に俺の名前を何度も呼んで愛していると囁いてくれていた。
 柄にもなく舞い上がってしまうのは仕方がなく俺もその度に名前を、愛をささやいて返している間に身体の最奥で一番深い所でヴォーグの熱を受け止めるのだった。
 口でしてもらった時とは全く違うように頭の中が真っ白になってヴォーグのモノを内壁が痙攣しながら奥へ奥へと最後の一滴まで呑み込む感覚が気持ちよく、そして抜こうとするヴォーグの腰に足を絡めてそのまま再度奥へと導けば体を支えた手が崩れ落ちて俺の、俺の精液で汚れた胸へと飛び込む事に申し訳なく思うも、ヴォーグはそのままなめとるという所業に逆にいたたまれなくなるも興奮して下から突き上げて呻きながらも喜ぶヴォーグを逆に味わってしまった。




「ラグナー、少し休まなくていいですか?」
「悪い。それは無理」
 
 散々突きまくられてもまだまだ足りなくて「だからもっとちょうだい」と耳元に囁けばぐるりと視界が回り向かい合うように座る。

「さすがにこれは恥ずかしいんだが」

 ヴォーグを咥えたままその上に座らされた。

「ですが、ラグナーの顔を一番よくみられるので」

 少し余裕が出来たのかそのまま頬に首筋へとキスの雨を降らすだけのヴォーグにコノヤロウと膝立ちになって腰を浮かせて自分から一気に根元まで咥えこんだ。
 ゆっくりするつもりだったようだが思わぬ反撃にあったヴォーグは喉を反らせて呻く様子にしてやったりとそのまま膝を使って何度も腰を浮かせては一気に呑み込む事を繰り返すうちに腰を浮かせた瞬間に持ち上げられて前足を抱え込むようにして一気に貫かれた。
 ちょっと調子に乗り過ぎたらしい。

「うわっ……ヴォーグ、深すぎる……」
 
 最奥より深い場所があったのかと言うくらいの場所をヴォーグの先端が貫いていた。
 胃を押し上げる様にきゅんとした痛みはすぐに快感に変わり

「そこ、すごく、いい……」
「ええ、俺もすごくいい……」

 ヴォーグの首に腕をからめてこの不安定な体制を支える。
 必死に、爪を立ててしまうのは快感が主な理由だが、それだけではない。
 確かな証拠が欲しいというか、また急に離れ離れにならなくてはいけないとか、なかった事にされないかとか様様な事が脳裏を通り過ぎて行って……
 より深くまでヴォーグを覚えた余裕にヴォーグの首筋に、そしてキスを何度も求める。
 品の欠片もなく、少しだけヴォーグを見下ろす位置からかわすキスと共に唾液すら飲ませて行く。
 上からも下からもくちゅくちゅと鳴り響く水音と、さらにお互いの腹の間でこすれてる水音も合わさり

「ヴォーグ、またイく。またイっちゃう……
 もう出ないのにまたイくよ……」
「俺も、すごくイイ……
 ラグナーの中ずっとイきっぱなしでおかしくなりそう……」

 だから一緒に……
 もっと一緒に……
 
 甘い囁きは体の奥底から背筋を這い上がって頭を真っ白にさせて、体の奥でもヴォーグの熱が俺の中で溶けて行って……








 真夜中だというのに焼き冷ましの肉を焼き直してパサパサの硬くなった肉を小さく切って口の中で噛む。
 焼き直しでさえこれだけ美味しいのだから焼き立てはさぞおいしかったのだろうと、この家の食料事情は聞いてみたい物の知らない方が幸せな内容なだけに美味いなーの一言で済ませる事にしている。
 ヴォーグはまだ濡れている髪のせいではだけさせたままのシャツの首回り濡れてしまってるシャツを肌に張り付かせながらシチューを楽しんでいた。
 抱かれて気付いたとはいえ明かりの下で濡れたはだけたシャツに浮かぶ見事な筋肉を見ながら何でひょろっとしたのっぽの男だと思ったのかと正しいサイズを服を着た男が着やせしていた錯覚に今更ながら口の中に肉を詰め込んで一人照れていたりしていた。
















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