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うちの隊長はお家に帰るそうです
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そこは見上げれば夜空に浮かぶ月が見える場所だった。
周囲は崖に囲まれており、突出した崖に座る者や、崖にもたれる者。
ぽっかりと月を見上げて立ちすくむ者も様々だ。
みな美しい顔立ちをするも、その肌はどこか不健康に青白く、そして誰もが頭に歪な角を持つ異形の姿で、誰もがその闇に交わるように沈黙を続ける中、その中で真っ黒な長い髪の男が口を開き
「インキュバスのダヴィドの奴がやられた」
月を見上げていた男がぽつりと言えば突出した崖に座っていた男は転げ落ちんと言わんばかりに崖の突端からその体を乗り出して
「ざっまああああああああああああああああああああああああ!
ぜぇぇぇぇぇってーアイツ殺されただろ!
くたばれっ!って呪っただけあるね!
俺のペットを食い漁って潰すヤローは死ぬのが当然だ!」
「おいおい、それじゃあ俺達の仕事が増えるって事かぁ?」
確かに俺のペットも喰われたからザマアねえけどそれはそれで勘弁だと壁にもたれた者は呻いてしゃがみこむ。
「他の奴ら、アルホルンの森に行かせた奴らは軒並み全滅している」
月を見上げながら呟いた男は少し首をかしげて見せて
「これが魔王クウォールッツがこの地に手を出すなと言う所以か?」
ぽつりと呟くも
「六魔将軍バンドラー様の手土産にはちょうどいい。
バックストロムなぞ国ごと滅ぼせば魔王クウォールッツ様のお力にもなりお喜びになるだろう」
月を見上げたまま呟く男はどろりとタールのように溶けて月が作り出した影の中に吸い込まれて行きながら
「三度月が隠れた時に実行する。
アルホルンの精霊の森はこれだけ魔物の血に汚染されればその精霊の加護はもうない。
守り人の居ないこの森は用済みだ。
放棄して闇と共に仕掛ける」
一つ消えた姿にさっきまで笑い転げていた者はコロコロと壁へと向かって転がりながら
「ようやく出番か。
けどあんな脆くて戦いの役にも立ちそうのない武器でほんと戦えるのかよ」
転がりながら崖の影の中に吸い込まれるようにその姿は消えた。
「確かにな。
そしてこんなしょうもない薬なんぞで傷が癒えるのだから、人間の体は面白いな。
いや、だからこそ壊しかいがあって楽しい」
垂直に穴の開いただけの洞窟で最後の者はまるでそこに道があるかのように壁に向かって、そのおうとつが作り出す影へと同化する様に消えてしまった。
「まぁ、でもダヴィドの仇ではないが、挨拶ぐらいはしておこうか」
どうでもいいというような、でもどこか楽しそうな声と共に気配はなくなり、本来虫の声一つでも奏でて良いような場所にも関わらず、淀んだ空気のこの竪穴の洞窟にはその後も虫の声は奏でる事はなく、不気味な笑い声が風に乗って聞こえると噂されるのだった……
「撤退準備は完了したか!」
ラグナーの声が広大な草原に響けば周囲には野営の後地が残るばかりでシーヴォラ隊の隊服を身に纏う者以外はもういなかった。
所々焼け焦げた地面。
テントの杭を刺して掘り返った大地。
何百何千と残る足跡に草原の草は擦り切れてめくれ上がった土がむき出しだった。
数か月と言う月日を掛けて驚く数の騎士とギルドの冒険者を投入したアルホルンの魔物討伐作戦はあのインキュバス戦と暁の大牙を壊滅の危機まで襲ったヴァンパイアキング戦も消滅した所で魔物の出現も減り、アルホルンの森は平和の一途をたどって消耗の激しい部隊から撤退の判断した団長はギルドにも解散を要請をし、ギルドがアルホルンから撤退をした所で俺達もやっと撤退となった。
ただし団長が引き連れてやってきた部隊を残して。
アルホルンには広大な森と一つの城がある。
城と言っても三階建ての建物と言うあまり目立つ事のない城だ。
とはいえ、代々王族、またはそれに準じる方がアルホルンの城主となっているため、呆れるほど美しく、そして広大な敷地面積を誇っていた。
一言で言えば平べったい城なのだ。
団長は宮廷騎士団達を連れてその城へと入って行って以来分厚い立派な門は閉ざされたままだった。
もちろんその中にヴォーグもメンバーの一員として城へと赴き、俺はあれ以来ヴォーグとろくに話しも出来ないしか少ししか顔を合わせるしかない状況だったのだ。
「なかなかどうして、そんなふてくされた顔のままですとせっかくのお顔が不細工になってしまいますよ?」
「グロス副団長、そこは大した問題になりません」
「そうでしょうか?」
穏やかな顔でぽっくりぽっくりと馬の背に揺られながらの城へと帰る道すがら俺の横で馬を歩かせていた副団長は目を細めて陽射しの眩しさを和らげていた。
これがニヤニヤとした意味深げな視線なら蹴落としてやろうと思ったけどそうもいかずストレスがたまる一方だ。
さらにアレクの奴も何故か俺と離れて馬を歩かせてと中々に失礼な奴だと改めてそう思う。
「それにしてもギルドの方はタフでしたねぇ」
「まあな。まさかマイヤの奴復活した次の日にストレス発散って言って森の中に魔物狩りに行くんだから呆れたもんだ……」
「ええ、ランダー殿は復活した彼女に涙を流して抱き着こうとしたのに……」
「さっと避けた挙句「服を汚さないで」って、女って恐ろしい……」
「しばらくの間ランダー殿をまともに見れないくらいでしたから……」
「と言っても副団長、あれはとっても稀な例だからデリケートな俺達をマイヤ達みたいに考えないでくださいよ」
「ええ。
貴方達騎士を【暁の大牙】と一緒にはしませんよ。
さすがSランクの冒険者とでも言いましょうか」
マイヤが死にそうになってホルガーが引き取りに来たのだが、その後の逸話がまた恐ろしい。
なんとそのまま一人で森に行き、ヴァンパイアキングを一人で仕留めたという朗報とおびただしいほどの魔物の死体を持って帰ってきたのだ。
最も持って帰るという手間などはせずに放り投げて一か所に集めるという……次々空から魔物の死体が降ってくる様子はギルドの連中にもトラウマを植え付け、彼がSランクという桁外れの化物だという事は誰の目にも明らかだった。
「それにしても団長達は一体城で何をしてるのですかねー」
どうでもよさ気に、でもヴォーグを連れて行くのだからめんどくさい事させられてなければいいなと思う。
周囲は崖に囲まれており、突出した崖に座る者や、崖にもたれる者。
ぽっかりと月を見上げて立ちすくむ者も様々だ。
みな美しい顔立ちをするも、その肌はどこか不健康に青白く、そして誰もが頭に歪な角を持つ異形の姿で、誰もがその闇に交わるように沈黙を続ける中、その中で真っ黒な長い髪の男が口を開き
「インキュバスのダヴィドの奴がやられた」
月を見上げていた男がぽつりと言えば突出した崖に座っていた男は転げ落ちんと言わんばかりに崖の突端からその体を乗り出して
「ざっまああああああああああああああああああああああああ!
ぜぇぇぇぇぇってーアイツ殺されただろ!
くたばれっ!って呪っただけあるね!
俺のペットを食い漁って潰すヤローは死ぬのが当然だ!」
「おいおい、それじゃあ俺達の仕事が増えるって事かぁ?」
確かに俺のペットも喰われたからザマアねえけどそれはそれで勘弁だと壁にもたれた者は呻いてしゃがみこむ。
「他の奴ら、アルホルンの森に行かせた奴らは軒並み全滅している」
月を見上げながら呟いた男は少し首をかしげて見せて
「これが魔王クウォールッツがこの地に手を出すなと言う所以か?」
ぽつりと呟くも
「六魔将軍バンドラー様の手土産にはちょうどいい。
バックストロムなぞ国ごと滅ぼせば魔王クウォールッツ様のお力にもなりお喜びになるだろう」
月を見上げたまま呟く男はどろりとタールのように溶けて月が作り出した影の中に吸い込まれて行きながら
「三度月が隠れた時に実行する。
アルホルンの精霊の森はこれだけ魔物の血に汚染されればその精霊の加護はもうない。
守り人の居ないこの森は用済みだ。
放棄して闇と共に仕掛ける」
一つ消えた姿にさっきまで笑い転げていた者はコロコロと壁へと向かって転がりながら
「ようやく出番か。
けどあんな脆くて戦いの役にも立ちそうのない武器でほんと戦えるのかよ」
転がりながら崖の影の中に吸い込まれるようにその姿は消えた。
「確かにな。
そしてこんなしょうもない薬なんぞで傷が癒えるのだから、人間の体は面白いな。
いや、だからこそ壊しかいがあって楽しい」
垂直に穴の開いただけの洞窟で最後の者はまるでそこに道があるかのように壁に向かって、そのおうとつが作り出す影へと同化する様に消えてしまった。
「まぁ、でもダヴィドの仇ではないが、挨拶ぐらいはしておこうか」
どうでもいいというような、でもどこか楽しそうな声と共に気配はなくなり、本来虫の声一つでも奏でて良いような場所にも関わらず、淀んだ空気のこの竪穴の洞窟にはその後も虫の声は奏でる事はなく、不気味な笑い声が風に乗って聞こえると噂されるのだった……
「撤退準備は完了したか!」
ラグナーの声が広大な草原に響けば周囲には野営の後地が残るばかりでシーヴォラ隊の隊服を身に纏う者以外はもういなかった。
所々焼け焦げた地面。
テントの杭を刺して掘り返った大地。
何百何千と残る足跡に草原の草は擦り切れてめくれ上がった土がむき出しだった。
数か月と言う月日を掛けて驚く数の騎士とギルドの冒険者を投入したアルホルンの魔物討伐作戦はあのインキュバス戦と暁の大牙を壊滅の危機まで襲ったヴァンパイアキング戦も消滅した所で魔物の出現も減り、アルホルンの森は平和の一途をたどって消耗の激しい部隊から撤退の判断した団長はギルドにも解散を要請をし、ギルドがアルホルンから撤退をした所で俺達もやっと撤退となった。
ただし団長が引き連れてやってきた部隊を残して。
アルホルンには広大な森と一つの城がある。
城と言っても三階建ての建物と言うあまり目立つ事のない城だ。
とはいえ、代々王族、またはそれに準じる方がアルホルンの城主となっているため、呆れるほど美しく、そして広大な敷地面積を誇っていた。
一言で言えば平べったい城なのだ。
団長は宮廷騎士団達を連れてその城へと入って行って以来分厚い立派な門は閉ざされたままだった。
もちろんその中にヴォーグもメンバーの一員として城へと赴き、俺はあれ以来ヴォーグとろくに話しも出来ないしか少ししか顔を合わせるしかない状況だったのだ。
「なかなかどうして、そんなふてくされた顔のままですとせっかくのお顔が不細工になってしまいますよ?」
「グロス副団長、そこは大した問題になりません」
「そうでしょうか?」
穏やかな顔でぽっくりぽっくりと馬の背に揺られながらの城へと帰る道すがら俺の横で馬を歩かせていた副団長は目を細めて陽射しの眩しさを和らげていた。
これがニヤニヤとした意味深げな視線なら蹴落としてやろうと思ったけどそうもいかずストレスがたまる一方だ。
さらにアレクの奴も何故か俺と離れて馬を歩かせてと中々に失礼な奴だと改めてそう思う。
「それにしてもギルドの方はタフでしたねぇ」
「まあな。まさかマイヤの奴復活した次の日にストレス発散って言って森の中に魔物狩りに行くんだから呆れたもんだ……」
「ええ、ランダー殿は復活した彼女に涙を流して抱き着こうとしたのに……」
「さっと避けた挙句「服を汚さないで」って、女って恐ろしい……」
「しばらくの間ランダー殿をまともに見れないくらいでしたから……」
「と言っても副団長、あれはとっても稀な例だからデリケートな俺達をマイヤ達みたいに考えないでくださいよ」
「ええ。
貴方達騎士を【暁の大牙】と一緒にはしませんよ。
さすがSランクの冒険者とでも言いましょうか」
マイヤが死にそうになってホルガーが引き取りに来たのだが、その後の逸話がまた恐ろしい。
なんとそのまま一人で森に行き、ヴァンパイアキングを一人で仕留めたという朗報とおびただしいほどの魔物の死体を持って帰ってきたのだ。
最も持って帰るという手間などはせずに放り投げて一か所に集めるという……次々空から魔物の死体が降ってくる様子はギルドの連中にもトラウマを植え付け、彼がSランクという桁外れの化物だという事は誰の目にも明らかだった。
「それにしても団長達は一体城で何をしてるのですかねー」
どうでもよさ気に、でもヴォーグを連れて行くのだからめんどくさい事させられてなければいいなと思う。
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