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ひとり立ちの為のはまず一歩 5
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そしてついにちび達は取り返しのできない事をしてくれた。
コケーッ! コケーッ!!
なんて騒ぐウコ達の声で目を覚ます朝。
山からなにか野生の動物が降りてきてウコ達を驚かせているのかと何とも言えない目覚めという強制的に起こされた不機嫌もかねて鉈をもって追い払いに行こうと玄関を開ければ……
トトトトトト……
目の前を通り過ぎる烏骨鶏に意味が分からなく目が点になる。
まだ薄明りの中でしかも綾人は目を覚ましたばかり。
烏骨鶏が庭を走っているなんて意味不明な光景。さらに
さらにものすごい勢いで目の前を駆けて烏骨鶏を追いかける……
「は?ハクビシン?」
確かによく遭遇はするけど目の前でウコに食らいついてそのまま山へと逃げ込むその早業に追いかける事も出来ずにただ見送ってしまっていた。
「って、なんでウコが小屋から出てるんだよ!!!」
慌ててウコハウスへと駆ければ大きく開かれた扉。
害獣対策の為に作った蛇対策の為の細かな金網で作った小屋の扉も開かれていた。
「なんで……
昨日しっかり扉を閉めたはずだぞ?」
思い出す記憶の中の俺も確かに鍵を閉めていて何が起きたんだと思えば小屋の片隅で藁にまみれて震えていた玄さんがいた。
しくしく……
そんな泣き声に嫌な予感しかない。
「玄さん、大丈夫かい?それよりなんでこんな所にいるのかな?」
いつもならまだベットの横に置いた土鍋の中でみんなと一緒に寝ているはず。
そういえば今朝は……
ウコの鳴き声にその姿達を見た覚えはない。
泣き止まない玄さんの隣にいつも一緒にいるはずの岩さんがいなくて嫌な予感がする。
「玄さん、泣いていちゃ分からないよ。
何があったか教えてくれるよね?」
たぶんうまく笑えなかっただろう俺を玄さんは見てボロボロと涙をこぼすものの泣き声は落とさずに
「主、ごめんなさい。
主が起きるまでみんなでかくれんぼしようってなって。朱華がウコ達の所があったかいからそこで隠れようってみんなで隠れてね。
すぐに鬼さんの真白に見つかっちゃったんだけど、そしたらウコ達もお外で遊びたいって言って緑青が扉を開けてくれたの。だけどウコ達は外に出ないから困ったなーって思ってたんだけど朱華がみんなで水路の方におやつを食べに行こうって言っちゃって、だけど玄はウコ達のおうちがあったかいから卵と一緒にちょっと休憩してたら知らない子がやってきて。
いきなりウコ達をパクって……」
そこで思い出したのかわーんと大声で泣き出してしまい、そのまましゅぼんと音を立てて消えてしまった。
きっと怖かったのだろう。
隣に岩さんがいない時点で岩さんも美味しく頂かれてしまったのだろうか。
そして緑青たちも姿が見えない、つまりはそういう事なのだろう。
大体の事は分かった。
だけどいつもなら藁でできた巣で卵を温めている烏骨鶏や止まり木でうとうと寝ている烏骨鶏といった光景はない。
ましてや産卵箱もからっぽで、そこに一つはあるだろう烏骨鶏の卵は落下して割れてしまっていた……
くーくー言いながら俺を避ける割には距離を取りつつ餌を待つあの白い塊がどこを探してもいない。
一羽もいなくなった使われなくなった納屋に改造された家の土間玄関に作った鳥小屋は烏骨鶏の残した臭いだけとなり、ぬくもりはどんどん冷えて行って何もない。おしゃべりで騒がしい烏骨鶏だったけど、外に出て周囲を見渡してもあの白い影は何処にもいない。
「嘘だろ?」
誰もいないこの山の家で常に話しかけてきたのは言葉を交える事のない烏骨鶏。
ただ足元をちょろちょろとして、ご機嫌よくくーくー何か歌っているそんな声さえ聞こえない静寂が支配する世界に一人取り残されてしまった。
途端に何かこみあげてくるけど、それよりも鉈をもって見回りに回る。
ひょっとしたら、なんて期待を膨らませていつも隠れるような場所を探すもののその影は何処にもなく……
見つからない事は分かっているけど、しばらくの間きっと帰ってくるだろうことを信じて縁側に座って1日を過ごす綾人だった。
「綾人ー、香奈ちゃんが煮物上手に作れたから持ってって、って……
ちょ、なに?なにがあったの?!」
文字通りあまりのショックに今日は何をする気にもなれなくて縁側に1日中座っていた綾人はいまだ朝起きた姿のままだった。
そんなことは寝込んだ日以外ない事を知っている宮下は途端にうろたえる。
精神的にまいるとなぜかおばあちゃん化する綾人だったが今日はそこまで行ってないのか通り過ぎた後なのかこの段階では判断できないけど、なぜか目が合ったとたんポロリと涙を落とした綾人に
「落ち着いて!
一体何があったのさ?!」
むしろ宮下が落ち着けと言いたかったけどそこまで気力のない綾人はただ真実だけを話す。
「ウコが全滅した……」
「全滅って、何があったの?!」
なんて悲鳴をほ飛ばせながらウコハウスにかけていく宮下についていけば俺同様呆然とした宮下作の獣対策ウコハウスは今まで試行錯誤を重ねて何度も作り直されて突破されたことのない完璧なものだったのに……
「鍵のかけ忘れだったのかな?朝、獣に荒らされて……」
「だからって、なんで電話してくれなかったんだよ?!」
かといって人一倍オカルトとかホラーが苦手な宮下に緑青達の事を説明なんてできないし、怖がらせるぐらいなら嘘をついてでも教えない方がいいだろう。結果俺があいつらの主として泥をかぶる事になるがそんなこと大した問題ではない。
「あーあ。体も冷え切ってるじゃないか。なんで縁側なんてところにいたんだよ」
言いながら冷え切った体をさすってくれる宮下に
「ひょっとしたら1羽ぐらい帰ってくるんじゃないかって思って……」
そんなわずかな期待に待ち続けた事を言えばへにょりとしたなんだか泣きそうな宮下の顔。
その顔のまま俺を抱きしめて
「小屋の中は片付けておくから。香奈ちゃんの煮物を食べて少し休んでて。兄貴に新しいウコの赤ちゃん探してもらうから。また一緒に育てようよ」
その言葉に綾人は頷くしかできなくて……
「大和さんにオスはいらない事しっかりくぎ刺しておいてよ」
「ああ、うん。いうだけ言っておくよ」
ずずっ……
鼻をすする音を聞いてとりあえず宮下は綾人を家の中に押し込み
「あ、香奈ちゃん?ごめん今日帰れないかも」
ちゃんと連絡をしてごめんねと言った宮下は大変なことになったなあと小さくため息をこぼすのだった。
コケーッ! コケーッ!!
なんて騒ぐウコ達の声で目を覚ます朝。
山からなにか野生の動物が降りてきてウコ達を驚かせているのかと何とも言えない目覚めという強制的に起こされた不機嫌もかねて鉈をもって追い払いに行こうと玄関を開ければ……
トトトトトト……
目の前を通り過ぎる烏骨鶏に意味が分からなく目が点になる。
まだ薄明りの中でしかも綾人は目を覚ましたばかり。
烏骨鶏が庭を走っているなんて意味不明な光景。さらに
さらにものすごい勢いで目の前を駆けて烏骨鶏を追いかける……
「は?ハクビシン?」
確かによく遭遇はするけど目の前でウコに食らいついてそのまま山へと逃げ込むその早業に追いかける事も出来ずにただ見送ってしまっていた。
「って、なんでウコが小屋から出てるんだよ!!!」
慌ててウコハウスへと駆ければ大きく開かれた扉。
害獣対策の為に作った蛇対策の為の細かな金網で作った小屋の扉も開かれていた。
「なんで……
昨日しっかり扉を閉めたはずだぞ?」
思い出す記憶の中の俺も確かに鍵を閉めていて何が起きたんだと思えば小屋の片隅で藁にまみれて震えていた玄さんがいた。
しくしく……
そんな泣き声に嫌な予感しかない。
「玄さん、大丈夫かい?それよりなんでこんな所にいるのかな?」
いつもならまだベットの横に置いた土鍋の中でみんなと一緒に寝ているはず。
そういえば今朝は……
ウコの鳴き声にその姿達を見た覚えはない。
泣き止まない玄さんの隣にいつも一緒にいるはずの岩さんがいなくて嫌な予感がする。
「玄さん、泣いていちゃ分からないよ。
何があったか教えてくれるよね?」
たぶんうまく笑えなかっただろう俺を玄さんは見てボロボロと涙をこぼすものの泣き声は落とさずに
「主、ごめんなさい。
主が起きるまでみんなでかくれんぼしようってなって。朱華がウコ達の所があったかいからそこで隠れようってみんなで隠れてね。
すぐに鬼さんの真白に見つかっちゃったんだけど、そしたらウコ達もお外で遊びたいって言って緑青が扉を開けてくれたの。だけどウコ達は外に出ないから困ったなーって思ってたんだけど朱華がみんなで水路の方におやつを食べに行こうって言っちゃって、だけど玄はウコ達のおうちがあったかいから卵と一緒にちょっと休憩してたら知らない子がやってきて。
いきなりウコ達をパクって……」
そこで思い出したのかわーんと大声で泣き出してしまい、そのまましゅぼんと音を立てて消えてしまった。
きっと怖かったのだろう。
隣に岩さんがいない時点で岩さんも美味しく頂かれてしまったのだろうか。
そして緑青たちも姿が見えない、つまりはそういう事なのだろう。
大体の事は分かった。
だけどいつもなら藁でできた巣で卵を温めている烏骨鶏や止まり木でうとうと寝ている烏骨鶏といった光景はない。
ましてや産卵箱もからっぽで、そこに一つはあるだろう烏骨鶏の卵は落下して割れてしまっていた……
くーくー言いながら俺を避ける割には距離を取りつつ餌を待つあの白い塊がどこを探してもいない。
一羽もいなくなった使われなくなった納屋に改造された家の土間玄関に作った鳥小屋は烏骨鶏の残した臭いだけとなり、ぬくもりはどんどん冷えて行って何もない。おしゃべりで騒がしい烏骨鶏だったけど、外に出て周囲を見渡してもあの白い影は何処にもいない。
「嘘だろ?」
誰もいないこの山の家で常に話しかけてきたのは言葉を交える事のない烏骨鶏。
ただ足元をちょろちょろとして、ご機嫌よくくーくー何か歌っているそんな声さえ聞こえない静寂が支配する世界に一人取り残されてしまった。
途端に何かこみあげてくるけど、それよりも鉈をもって見回りに回る。
ひょっとしたら、なんて期待を膨らませていつも隠れるような場所を探すもののその影は何処にもなく……
見つからない事は分かっているけど、しばらくの間きっと帰ってくるだろうことを信じて縁側に座って1日を過ごす綾人だった。
「綾人ー、香奈ちゃんが煮物上手に作れたから持ってって、って……
ちょ、なに?なにがあったの?!」
文字通りあまりのショックに今日は何をする気にもなれなくて縁側に1日中座っていた綾人はいまだ朝起きた姿のままだった。
そんなことは寝込んだ日以外ない事を知っている宮下は途端にうろたえる。
精神的にまいるとなぜかおばあちゃん化する綾人だったが今日はそこまで行ってないのか通り過ぎた後なのかこの段階では判断できないけど、なぜか目が合ったとたんポロリと涙を落とした綾人に
「落ち着いて!
一体何があったのさ?!」
むしろ宮下が落ち着けと言いたかったけどそこまで気力のない綾人はただ真実だけを話す。
「ウコが全滅した……」
「全滅って、何があったの?!」
なんて悲鳴をほ飛ばせながらウコハウスにかけていく宮下についていけば俺同様呆然とした宮下作の獣対策ウコハウスは今まで試行錯誤を重ねて何度も作り直されて突破されたことのない完璧なものだったのに……
「鍵のかけ忘れだったのかな?朝、獣に荒らされて……」
「だからって、なんで電話してくれなかったんだよ?!」
かといって人一倍オカルトとかホラーが苦手な宮下に緑青達の事を説明なんてできないし、怖がらせるぐらいなら嘘をついてでも教えない方がいいだろう。結果俺があいつらの主として泥をかぶる事になるがそんなこと大した問題ではない。
「あーあ。体も冷え切ってるじゃないか。なんで縁側なんてところにいたんだよ」
言いながら冷え切った体をさすってくれる宮下に
「ひょっとしたら1羽ぐらい帰ってくるんじゃないかって思って……」
そんなわずかな期待に待ち続けた事を言えばへにょりとしたなんだか泣きそうな宮下の顔。
その顔のまま俺を抱きしめて
「小屋の中は片付けておくから。香奈ちゃんの煮物を食べて少し休んでて。兄貴に新しいウコの赤ちゃん探してもらうから。また一緒に育てようよ」
その言葉に綾人は頷くしかできなくて……
「大和さんにオスはいらない事しっかりくぎ刺しておいてよ」
「ああ、うん。いうだけ言っておくよ」
ずずっ……
鼻をすする音を聞いてとりあえず宮下は綾人を家の中に押し込み
「あ、香奈ちゃん?ごめん今日帰れないかも」
ちゃんと連絡をしてごめんねと言った宮下は大変なことになったなあと小さくため息をこぼすのだった。
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