家賃一万円、庭付き、駐車場付き、付喪神付き?!

雪那 由多

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とにかくおとなしく座りなさい 8

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 一足早い年の瀬と正月のあいさつを終えた浩志を駅まで送って今年の冬至を終えた。さらに一足早いクリスマスプレゼント付き。といっても全部まとめて交通費名目で渡すお金で略す手抜きぶり。毎度俺の好きそうな手土産を持ってくるからそれでイーブンだと思っているので浩志も気にしないようにしている。
 アラサーになってクリスマスプレゼントって…… そんな複雑そうな顔が見れれば俺は満足だ。
 帰り道は燈火の所に顔を出してワッフルと紅茶をもらい、少しいじったところで圭斗の家に行って軽く昼寝をさせてもらう。もちろん今日家で仕事しているのはリサーチ済みだ。
 そのあとはお昼ご飯を食べさせてもらってから買い物をして家に帰る街に降りたときの変わらない生活だけど家に帰れば

「主おかえりー!」

 緑青が車庫に車を止めようとしている俺の顔面に満面の笑顔で突撃してきた。
 もう少しで車庫に車をぶつけそうになったけど無事ブレーキのおかげで止まることができてほっとしながら

「こらさび。車の運転中に邪魔しちゃだめだ。しかも目隠しなんてもっとだめだ」
「ごめんなさい」
 
 なんて反省してない顔で俺のほほにすりすりとすり寄るさびのかわいさにこれは言っても無駄な奴だ。そう判断してとりあえず手早く切りなおして車を車庫の中に止める。
 荷物を持って車を降りれば玄関の前で全員そろっている姿を見て
「もう帰ってきたのか?」
 もうちょっとゆっくりしてきても良かったんだぞと言おうとするも
「主いたー!」
「主どこ行ってたのですか?!」
「主おかえりー?」
「主ただいまー!」
 なんて真白は雪の積もる庭で足を取られながら走ってきたけどあとは花のフードからのお帰りとただ今コール。
 玄さん岩さんはともかく朱華まで寒いのは苦手か、へーなんて玄関前で待っているところへと向かい
「寒いだろうから家の中で待っていればいいものを」
「なに、こ奴らが主がいないって大騒ぎだったのだぞ」
 待ちくたびれたという顔をする花に
「そりゃ悪かったな。まんじゅうを買ってきたからお茶ぐらい飲んでいけ」
 言いながら玄関を開けてまだ冷え切ってない家の中に入れば
「おうちの中あったかいねー?」
「お外寒かったねー?」
 ほっとしたような声の玄さんと岩さん。朱華は囲炉裏の周りを走りだして
「主!主!なんかこことってもいい匂いがします!
 いいにおい過ぎて朱華はおなかがすきました!」
 一周回って俺の所に飛び込んできた赤いひよこの訴えにまあ、まだ匂いが残る焼肉パーティの残りはないので
「朱華たちにはおやつ買ってきたからそれを食べて待ってろ」
 シンプルな塩せんべいを出せばさっそくというようにみんな集まって齧りだしていた。
 とりあえず少しだけ静かになった室内に
「お土産気に入ってもらえたか?」
 一番心配なところを聞けば
「気に入らないわけがない。
 楽しみに待ってたようで喜んでもらえたぞ」
 なんてうれしそうな顔で話を聞けという顔に俺は話が長くなる奴と判断して台所の隣の部屋で待たせ、俺はお茶を入れるためにのんびりと薬缶でお湯を沸かす。
 その間いかにみんなが料理とお酒を楽しんでくれたかという話が延々と続き

「主、主―!
 御山様がまたお正月に遊びにおいでって言ってくれたの!
 遊びに行ってきていい?」

 きゅー!とよほど楽しかったのか嬉しそうに喉を鳴らしながらせんべいをもって緑青がやってきた。
「花が連れて行ってくれるって言ったらな」
「花ちゃん!」
 きゅるんとした瞳で見上げる緑青に花は俺が出したまんじゅうを食べながら
「御山様からも頼まれているからな。主殿がよければ正月の間はわらわが預かろう」
「じゃあ頼む。外の時にはまた土産を持って行ってもらうから杜も手伝えよ」
「うん!」
 もっちもっちと豆大福をほおばる杜に
「杜ちゃん美味しそうだね?」
 何それ、なんてきゅう?と小首傾げる緑青に杜はあんこの所を緑青に一口齧らせれば

「あま~い!!!」

 ほっぺを抑えながら天井を通り抜けてどこかへと飛んで行ってしまった。
 因みに持っていたおせんべいは畳の上に転がっている。すぐに杜が拾って机の上に置いてくれたけど
「しまった……」
 ちらりと囲炉裏を見ればその緑青の喜びぶりに朱華がこちらをガン見。
 それはいったい何なのですか?という目でだけどお口は次の食事のためにものすごい勢いでせんべいを食べていた。
 ばれてはいけないやつにばれてしまったか……
 せんべいがまるで麺類のようにお口の中に消えて行ったあと囲炉裏からちょんちょんとジャンプしながらやってきて
「主!主! 
 朱華も緑青が食べたのを食べたいです!」
 ひよこなのに羽をバタバタとはばたかせて気分は飛んでいるけどただぴょんぴょんとジャンプを繰り返しているだけ。
 そんな様子に杜はまんじゅうをもって広い土間を渡って土間上がりによじ登り、朱華をお膝の上にのせて
「皆も食べたいだろうから一口だけだよ?」
 そういって自分が食べていたやつを食べさせる杜は優しい子になっていた。尊くて涙が出そうだけど一口といってもものすごい勢いであんこを貪る赤いひよこの姿をみれば涙の意味合いも変わるのは当然というものだ……


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