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日々精進は誰がために 4
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山の天気は変わりやすい。
12月に入れば当たり前のように雪は降るし、一晩で車が動かせなくなるくらい積ったりもする。
ただありがたいのかわからないが綾人がここに住み始めてから温暖化の影響はちゃんと受けており……
「今日は山仕事に出かけれそうだな」
「さよか。だったら俺達は街まで下りてくる」
珍しく晴れ渡った青空を見上げて暖かいと思うマイナス五度の世界。
先日降った雪もある程度とけてアスファルトまで顔を出す絶好の天気。
あれから暁は志月が寝ている間に自宅に連絡を入れて祖父から父に志月の家の状況を調べるように頼んだ。
もちろんそれは暁の母親に頼む事となり……
暁の父親と母親が喧嘩したそうだ。
詳しい事は聞けなかったらしいが祖父曰く、自分の時にも気づいてほしかったという。となれば当然祖母の時代にもそういう事があったものの、当時は今よりもっと厳格だったためにそう言った事は当然のように受け入られていたのだった。
とは言え厳格だった時代の人。
今回はこれがポイントになった。
暁が電話を入れて爺さんが翌日暁の祖母と母親に志月の事を話してから結婚時代の話を聞きだしてからのこの騒動。
家を取りまとめた暁の婆さんはただ一言。
「一族すべて集めなさい」
爺さんさえ口をはさめない修羅場となったとか。
普段無口な祖母が淡々といかに志月が大切な存在か、そしていかに分家の分際が誰の許しを得て本家に口を出すのか、どの口が志月にものを言えるのか。
普段菩薩のような存在の祖母の無双は祖父でさえ何も言えない状態になってしまった。
モラハラ時代を生き抜いた女傑は床の間の上座から集めた人間すべてに座布団すら出すことなく、たとえ小学生相手だろうが正座を崩した瞬間大きな声で叱咤すると言う恐怖支配を施し、よその家に出た分際が今後軽々しく敷居をまたぐことさえ禁じたと言う。
「何が怖かったかってその間婆さん一切口出しを許さなかったんだよ。
文句を言おうなら茶碗の中身を掛けたり、それはもう鬼婆と言うにふさわしかったぞ」
なんてどこか震えながらの声に本当に怖かったのだなと暁は後日談を父から聞いたものの
「だけど婆さんってさ、普段はお菓子くれたりするときは優しいけど修行中とか作法に関してはちょー怖かったじゃん。なんで今頃になって本性現したんだ?」
暁の別段祖母の豹変ぶりに疑問を持たない態度に側で聞き耳を立てていた祖父も母親もやっと悟った。
祖母にとって家を出て行った者達はもう他人だという事を。
母親は祖母がそのようなお客様に対する、ではないが咎める真似を一切しなかったために耐え続けたと言うが……
そうと分かればこんなにも耐える事はなかったのにと思うものの周囲に忠言するものを置かなかった夫の落ち度として暁が帰ってきたら旅行に行くと言う話で収まったそうだ。
最後の話しはのろけか?
親のそんな話は聞きたくないぞと思ったもののとりあえず今はこの家から離れた綾人付きだけど家族だけの生活を満喫しようじゃないかと晴朝と陽菜乃も連れて借りたレンタカーで街に遊びに行くと言う。
晴朝もここに来て初めて山から下りる事にテンション高く緑青達にかまくらを作ってやると言う謎なはしゃぎっぷり。
因みに山から下りて街で買い物をして、週が変わって追加された長沢さんの作品を見に古民家カフェに足を運んだあと帰り道にある小さなスキー場でスキーで遊ぶと言う冬山を満喫する様子に晴朝はもう大はしゃぎだ。
「あそこはスノボ禁止だから子供を遊ばせるにはちょうどいいぞ」
ニュースでは雪がないと言われていてもこの山奥。しっかりと積もった雪は陽菜乃と晴朝がスキーを学ぶ程度あればいい。
そのうえ今日は平日。
「下の駐車場から車で上がって上の駐車場で降ろせばリフト代も安上がりだ」
「まて、そうなると俺が滑れないだろう」
「子供達を楽しませるのが父親の役目だ」
なんて助言をするも
「父さんもスキーできるの?」
なんて晴朝の疑問。
だけどそこはドヤ顔で
「もちろんできるさ。
雪山を歩くときスキーを背負って山道を登り、下りはスキーを履いて駆け下りるんだ。
お前たちがもうちょっと大きくなったら教えるつもりだったが、スキーを学ぶぐらいはいつ始めても良いからな」
「えー?!そんな楽しい修業があるの!
俺もやりたい!」
なんてぴょんぴょん飛び跳ねる様子に暁は笑いながら
「自分のスキーを運ぶぐらい力がつかないとな。
それを含めての修行だからもうちょっと体が大きくなったらな」
なんて指導。
ただひたすら山を歩けなんて言う目標が判らない修行なんかより圧倒的にわかりやすい指針に朝から早く行こうよ!なんて大騒ぎだった。
その一団がやっと出発してくれて途端に静かになった山奥にほっとしつつある綾人だったが
「主ー!今日は何して遊ぶ?」
「主ー!雪のお家いっぱい作って!」
普段晴朝と陽菜乃が遊んでくれていた緑青と真白の世話と言う役目が戻って来ただけにこれはこれで大変だと自分のペースを乱されてばかりの子供の世話に身を捧げる世のお母様方を尊敬する綾人だった。
12月に入れば当たり前のように雪は降るし、一晩で車が動かせなくなるくらい積ったりもする。
ただありがたいのかわからないが綾人がここに住み始めてから温暖化の影響はちゃんと受けており……
「今日は山仕事に出かけれそうだな」
「さよか。だったら俺達は街まで下りてくる」
珍しく晴れ渡った青空を見上げて暖かいと思うマイナス五度の世界。
先日降った雪もある程度とけてアスファルトまで顔を出す絶好の天気。
あれから暁は志月が寝ている間に自宅に連絡を入れて祖父から父に志月の家の状況を調べるように頼んだ。
もちろんそれは暁の母親に頼む事となり……
暁の父親と母親が喧嘩したそうだ。
詳しい事は聞けなかったらしいが祖父曰く、自分の時にも気づいてほしかったという。となれば当然祖母の時代にもそういう事があったものの、当時は今よりもっと厳格だったためにそう言った事は当然のように受け入られていたのだった。
とは言え厳格だった時代の人。
今回はこれがポイントになった。
暁が電話を入れて爺さんが翌日暁の祖母と母親に志月の事を話してから結婚時代の話を聞きだしてからのこの騒動。
家を取りまとめた暁の婆さんはただ一言。
「一族すべて集めなさい」
爺さんさえ口をはさめない修羅場となったとか。
普段無口な祖母が淡々といかに志月が大切な存在か、そしていかに分家の分際が誰の許しを得て本家に口を出すのか、どの口が志月にものを言えるのか。
普段菩薩のような存在の祖母の無双は祖父でさえ何も言えない状態になってしまった。
モラハラ時代を生き抜いた女傑は床の間の上座から集めた人間すべてに座布団すら出すことなく、たとえ小学生相手だろうが正座を崩した瞬間大きな声で叱咤すると言う恐怖支配を施し、よその家に出た分際が今後軽々しく敷居をまたぐことさえ禁じたと言う。
「何が怖かったかってその間婆さん一切口出しを許さなかったんだよ。
文句を言おうなら茶碗の中身を掛けたり、それはもう鬼婆と言うにふさわしかったぞ」
なんてどこか震えながらの声に本当に怖かったのだなと暁は後日談を父から聞いたものの
「だけど婆さんってさ、普段はお菓子くれたりするときは優しいけど修行中とか作法に関してはちょー怖かったじゃん。なんで今頃になって本性現したんだ?」
暁の別段祖母の豹変ぶりに疑問を持たない態度に側で聞き耳を立てていた祖父も母親もやっと悟った。
祖母にとって家を出て行った者達はもう他人だという事を。
母親は祖母がそのようなお客様に対する、ではないが咎める真似を一切しなかったために耐え続けたと言うが……
そうと分かればこんなにも耐える事はなかったのにと思うものの周囲に忠言するものを置かなかった夫の落ち度として暁が帰ってきたら旅行に行くと言う話で収まったそうだ。
最後の話しはのろけか?
親のそんな話は聞きたくないぞと思ったもののとりあえず今はこの家から離れた綾人付きだけど家族だけの生活を満喫しようじゃないかと晴朝と陽菜乃も連れて借りたレンタカーで街に遊びに行くと言う。
晴朝もここに来て初めて山から下りる事にテンション高く緑青達にかまくらを作ってやると言う謎なはしゃぎっぷり。
因みに山から下りて街で買い物をして、週が変わって追加された長沢さんの作品を見に古民家カフェに足を運んだあと帰り道にある小さなスキー場でスキーで遊ぶと言う冬山を満喫する様子に晴朝はもう大はしゃぎだ。
「あそこはスノボ禁止だから子供を遊ばせるにはちょうどいいぞ」
ニュースでは雪がないと言われていてもこの山奥。しっかりと積もった雪は陽菜乃と晴朝がスキーを学ぶ程度あればいい。
そのうえ今日は平日。
「下の駐車場から車で上がって上の駐車場で降ろせばリフト代も安上がりだ」
「まて、そうなると俺が滑れないだろう」
「子供達を楽しませるのが父親の役目だ」
なんて助言をするも
「父さんもスキーできるの?」
なんて晴朝の疑問。
だけどそこはドヤ顔で
「もちろんできるさ。
雪山を歩くときスキーを背負って山道を登り、下りはスキーを履いて駆け下りるんだ。
お前たちがもうちょっと大きくなったら教えるつもりだったが、スキーを学ぶぐらいはいつ始めても良いからな」
「えー?!そんな楽しい修業があるの!
俺もやりたい!」
なんてぴょんぴょん飛び跳ねる様子に暁は笑いながら
「自分のスキーを運ぶぐらい力がつかないとな。
それを含めての修行だからもうちょっと体が大きくなったらな」
なんて指導。
ただひたすら山を歩けなんて言う目標が判らない修行なんかより圧倒的にわかりやすい指針に朝から早く行こうよ!なんて大騒ぎだった。
その一団がやっと出発してくれて途端に静かになった山奥にほっとしつつある綾人だったが
「主ー!今日は何して遊ぶ?」
「主ー!雪のお家いっぱい作って!」
普段晴朝と陽菜乃が遊んでくれていた緑青と真白の世話と言う役目が戻って来ただけにこれはこれで大変だと自分のペースを乱されてばかりの子供の世話に身を捧げる世のお母様方を尊敬する綾人だった。
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