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飯田家の事情 4

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 情報源は隠す気がないようで植田とのLIMEのやり取りを一部見せてもらった。
 
『飯田さん!いおりん彼女いたの?!
 朝から飯田さんのマンションから腕組んで出てきたけど結婚するとかいう話ならおめでとう!』

 という写真付きのメッセージ。
 それを見て綾人は「あ、これダメな奴じゃん」と女性の化粧と服装を見て判断したけど判断材料の少なさから普通に
「へー、いおりんやるじゃん。
 ちゃんとドルオタ卒業できたんだ」
 感心感心と言うように顔をあげれば渋い顔をした皆様が揃っていた。
「残念な事に彼女ではなく、夜のお店で働いてる方でありまして……」
 やっぱりダメな奴だったか。っていうか
「いおりんは根っからの貢ぎ体質だったか」
 アイドルに奉納して今度はこれかと呆れたがそれを許さないのがお母様。
「一応身元は調査させてもらったのよ?」
「身元調査……」
 普通やるのかいと思うも
「何がうちの店の足を引っ張るか分からないものですからね」
「ですねー。
 だけどもし家の事情でお金が必要とか……」
「だったら私達も考えたのですけど、遊ぶお金欲しさのようすでね、他にも何人かの男性と同時進行でお付き合いしてるし、少し前にはご家庭を持つお客様に手を出して裁判沙汰になりかけたとか話もあったの。示談金で済ませたみたいだけど」
「性質悪いですねー」
 なんでよりにもよってそんな女に引っかかったんだと思うも

「ほら、あのマンションすごくいい立地にあるでしょ?
 あの女『今付き合ってる男が住んでるマンションあそこなんだー。すっごく便利なんだよー』なんて自慢げに話しててね」
「俺は庵が真面目に働く環境の為にと貸したつもりでしたのに。
 訳の分からない女のマウントに使われるぐらいならあのマンションを処分しようかと思いまして」

 なんて返事をすればいいのかわからない。
 この件に関してはお父さんも関わりたくないと言うように背中を向けてしまえば俺が出す言葉はただ一つ。
「今でもあのマンションなら捨て値でも元が取れるはずなのでどうぞやっちゃってください」
「ふふふ。綾人さんなら判ってくれると思ったわ
 薫、楓さんに連絡して不動産屋に話を進めてもらいなさい」
「判りました」
「庵にはお母さんから連絡しておくから。
 もし必要なものがあったら運び出しなさいね?」
 うふふ、あははと楽しそうな笑い声を落とす母子にまさしく血を受け継いでいるなと震えていれば

「しいさん、こまさん。少し話が長くなったから散歩に行こうか」
 お父さんが立ち上がったので
「しいさんこまさん一緒に行っておいで。
 次郎さんもついて行っても良いからねって、鈴もついて行くの?ああ、しいさんの背中に乗って行けば問題ないね」
 なんてお散歩というワードにみんなお父さんを見上げていて、次郎さんも鈴も慣れたようについて行く辺りやっぱりお外に行くのが楽しいのだろうと思う事にした。
 決してこの場から逃げ出す口実が欲しくてとは思わずに見送れば

「とりあえず一か月で結果を出して見せます。
 もちろんその中には庵の引っ越しも含めての期間です」
「まあ、俺が口出す内容じゃないから。ほどほどにしていおりんの修行……はなくなったから就職が続くように応援してあげてね」

「当然です」
「もうこの家に庵の居場所はありませんからね」
「お手柔らかに……」

 なんでお父さんを散歩に行かせてしまったのだろうか。いやその時になんで一緒に部屋を出なかったのか後悔してしまうも後の祭り。
 やたらとやる気になった二人を止めることは出来なく……
 仕方がないから植田に文句を言う。なんで先に俺に情報を回さなかったのかとLIMEに投下すれば秒で返事が来た

『綾っちが絡むと絶対面倒な事になるから先に飯田さんに報告しただけです!』

 なんて返事。
 言いたい事は判ったがもっと面倒な事になっただろう!
 狂犬の飯田さんを知らないから飯田さんを信頼しきっているのだろうけど、こう言う人こそキレた時何をしでかすか予想がつかないから怖いんだと制御不能だからこそ狂犬なんだという事を理解していない植田に舌打ちしてしまうけどすでに知られてしまった後。
 
「どうやっていおりんを助けてやるかだな」

 感情的、ではないにしても飯田さんとお母さん相手じゃさすがにかわいそうだろう。何とかしてあげたい。
 その程度には助けてあげたいと思うのは、宮下の京都での修行時代から続く友情が今も続いているからというのも理由の1つに加えてみた。





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