家賃一万円、庭付き、駐車場付き、付喪神付き?!

雪那 由多

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良き隣人と平和に暮らすために 3

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 美しい花の彫刻が施されている祠に飯田さんも運び込んだと思われるお酒をどんどんと奉納していく。
 俺がこの仕組みを理解したからか知らないけど入れたそばから物がなくなると言う不思議は少し面白くなってきてちみっこ達に主の健康のためにと言って未開封のお酒や大家さんが先生に見つからないようにこっそり隠していた少々お高めのお酒も次々に入れておいた。
 お酒ばかりじゃあれだからと乾き物なども入れてみたけど
「肉類って駄目だったっけ?」
「お肉はみんな好きだよ。
 緑青みたいに食べれない子もいるけど代わりにお野菜を入れておけばいいんだよ」
 なるほど。食べるものの幅が広い方が良いのか。
「あとで大家さんにお願いして畑からお野菜をもいでお供えしようね?」
「真白はお手伝いします!」
「緑青もお手伝いします!」
「後でだから。あと杜だっけ?
 お菓子を入れておこう。なにが好きかな?」
「杜は何でも食べるよ?」
「杜に好き嫌いはないよ?」
「だけど甘いものが好きだよ」
「主はよく金平糖をおやつに渡してるよ」
「金平糖とはまたレトロだなあ」
 なんて言ってしまえば
「主に初めて食べさせてもらった菓子なんだって。
 だから特別って言ってたよ」
「大家さんに金平糖って似合わないw」
「だけど主は頭を働かすには糖分が良いって言ってたけど本当?」
 玄さんの疑問に俺はなんだか納得していた。
「間違いじゃないけど、ブドウ糖タブレットでも食べてそうだな」
「主のお部屋に行くとあるよー?
 だけど口の中パッサパサになるから岩は苦手ー」
「岩さん、実は俺も苦手です。
 好き好んで食べるもんじゃないんだよ」
 修羅場の時とかならレッドブル同様必需品かもしれないけどと思っているけど間違っても常備しておくものではないと思っている。
 それよりも気になるのは
「ここに入れたお酒ってどうなってるんだろ?」
 思わずと言うように口にすれば
「御山様のお庭に花ちゃんと杜のお家になるお社があるからそこに届くんだよ」
 とちゃんと知ってるもんと誇らしげに真白が言う。
「主が作ってくれたから雨の日も濡れる事はないから大丈夫って言ってたよ」
 緑青も安心していいよと言う。
「不思議だけど素敵だね」
 言えばちみっこ達はみんな顔をほころばせる。
 それほど主が褒められたのが嬉しいのかと思っていれば

「ほう、おんしがちび達の世話係だったか」

 真夏の穏やかな日差しの中だと言うのに一気に背筋が冷えるようなそんな気配にぎこちなくしゃがんだまま振り向けば
「花、真はあそこのおっさん達とは違うんだからビビらせるな」
「失礼な。怖がらせたつもりは一切ないぞ」
 いや、多分存在自体を本能的に恐れてしまっているのだろうと自分に言い聞かせて納得させれば少しだけ体に自由を取り戻せれた。
 俺は陽の下の花さんと言う方を見上げることが出来ないまま頭を下げている。
 ただ八本のしっぽが優雅に揺れている様子は機嫌は良さそうだなと考えてしまいながら。
「真、顔合わせだ。しゃがんでないで立て」
「ふふふ、主は無茶な事を要求する。
 小間使いと言うものは早々に格上の顔を見ることは出来ぬモノよ。無理難題言うのではない」
 畏れ多い方なのに主である大家さんを窘めてくれる優しい方だった。
 ちみっこ達が褒め称えるわけだという事に納得する。
「それよりも世話係よ、主から聞いてはいたがこのちび達が世話役の元で暮らすようになってから良い子になったぞ。褒めて遣わす」
「ありがとうございます?」
 俺としては人並みと言うか生活の基本ぐらいしか教えたつもりはなかったがそれでも褒められるくらいには成長した事を誇らしく思ってしまう。
「花ちゃん、真いい人でしょ?」
「真ね、ちゃんと美味しいごはんとおやつを用意してくれるんだよ」
「お布団もいつも綺麗なタオルを用意してくれるんだよ」
「毎日お風呂にも入れてくれるんだよ」
 なんて褒め称えてくれる。
 いやいや、生活の基本ですからと言いたかったけど声には出させてもらえなかった。
「それにしても木蘭か。
 まだ主に染めている途中だからしばらくこの山に通う事になるだろうけど、また賑やかになって楽しくなるの」
 ふふふと品よく笑うも俺は
「ん?」
 なんて当たり前のように言う言葉に畏れて固まる体を無視して大家さんへと視線を向ければ視界の端に写る花さんはやっぱり壮絶美女だった。
 八本の見事な尻尾につややかな漆黒の髪、そこから覗く大きな耳は狐という事は理解できた。
 だけどそんな美しい人をそれさえ些細な事と言うように俺は大家さんにどういう事かというように訴えれば
「ああ、まだ話をしてなかったっけ。
 もっくんには親認識をした俺の霊力?って言うのが必要だから夜の間はここで過ごすけど、それ以外は真の所でちび達にいろいろ学ばせるようにするから」
「今言わないでください」
 真剣な顔で抗議をすれば花さんは楽しそうな笑い声をあげてくれた。笑っていただけて何より、いや全く笑えないんだけど?!
 何とか視線で訴えてみせるも
「ちび達を成長させたのは真だと聞いた」
 声につられて初めて花さんと目を合わせてしまった。
 恐怖が一瞬体を駆け巡るが気にかけてはくれないようだ。
「普通にも成長するが何十年、何百年とかかる。
 それをわずか数か月もかからずに成長させるとは主にもできなかった快挙」
「勝ち負けの問題じゃないが素直に負けを認めよう」
 妙にあっさりと言葉にする大家さんに驚きと何かの予感。
 じわりじわりと来るようなそんな何とも言い難いもの。
 ものすごきいい顔をして俺を見る大家さんにはもう嫌な予感以外何もない。
「よってもっくんのお世話も真に任せた。
 なに、お前とちみっこならあっという間にもっくんも手のひらサイズから両手サイズになってすぐにウコサイズになるさ」
「やっぱりそうですか!そうなりますよね!
 全然嫌じゃないけど心の準備の猶予をください!!!」
 俺の絶叫に大家さんが満面の笑顔にそうなる事は予想してました。予想してたけどあっさり言わないでくださいと言うように涙目で訴えてしまうけど余計大家さんを喜ばせる結果に花さんも体を曲げて笑うのだから主従揃ってたちが悪いと本気に泣きそうになった。


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