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祭の後の 5
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本当なら躾としてプレゼントされる前の物に手を付けた事を怒らなくてはいけない所だが
「みんな心配してくれてありがとう。ただいま」
一瞬俺の視線に気づいて怒られる事を察していたのに返ってきた言葉ともに指先で頭を撫でられてどこかほっとした顔をしながらも喜びを浮かべた所で
「だけどまだ頂いてもいないプレゼントを勝手に開けちゃだめだぞ」
「ほら叱られた」
「やっぱり怒られたねー?」
自分はやってませんという岩さんと玄さんにも苦笑をこぼしてしまうもしっかり口元にお菓子の食べかすが付いているのを見逃さずに口元をぬぐえばこそこそとベッドの下に隠れるのには笑うしかなかった。
「あと兄貴がプレゼントしてくれたからありがとうをちゃんと言おうな?」
「智ありがとう!」
「智勝手に開けてごめんなさい」
「智お菓子美味しかった!」
「智おもちゃ楽しいよ!」
「智今日はお泊りするの?」
久しぶりの再会なのでみんな兄貴に駆け寄ってよじ登る遊びに変わっていくも兄貴は嬉しそうににやついて
「今日は一泊だけお泊りするよ。
明日にはお仕事だから帰るけど」
「お仕事じゃ仕方がないねー」
「お仕事頑張ってー?」
あまりにあっさりと納得する様子に少しだけ寂しそうな顔をするけどその間に俺は荷物を片付けて洗濯機を回す。
その時にあの時着ていたシャツが破れていたのを見てそれはそのままごみ箱に突っ込んだ。
痛々しいまでの血の跡があり、洗っても見られたくない、見たくない物なので速攻捨てる事にした。
酷い一日だったな……
大家さん曰く暁さんから連絡を貰った時に一番最短で突撃に来る時間を計算したらどこかに逃げる合間に遭遇するだろうから知らない所で何がおきてどんな目に合うのか心配だったからいっその事家で待ち構えればいいと考えたそうだ。
とは言えさすがに堂々と待ち構えすぎじゃないか?なんて思ったものの
「あの爺さん達陰陽師らしく自分の手で直接下さないタイプだからワンチャンいけると思ったんだよ」
何がワンチャンなのか何所がいけると思ったのか是非聞きたいが
「甥っ子達だったか?
悪ぶってもやっぱり育ちの良さが出たよな。
仏壇の花器とか供え物はひっくり返しても位牌や写真には手を付けなかった。さらに入ったらダメな部屋には本能的に察して手を出さなかったし、人をあれだけ殴って来たけどやっぱりとどめを刺すというんじゃなくてただいたぶる程度だったから何かあっても九条も大丈夫だって思ったしな」
だけど少しだけ仄暗く笑い
「そんな遠慮してたらこの山で生きて行けないのに」
ぽそりと言った言葉にぞくりとしてしまった。
まだ見つかってないあの爺さん達の事を指しているのだろうか。
まさかそれを見込んで山に向かわせたのかと思うも大家さんは一切何もしていないのだ。
そんな事があっていいのか、だからと言って言いなりになっていたらそれ以上の事も起きるだろうと悩んでしまうもお盆が終わった頃その結末をニュースで知る事になった。
大家さんの山から離れた隣町の山に熊に襲われて亡くなっていた人が居たと。持ち物やDNA検査で身元を調べた結果、山に登山に入り行方不明になっていた五人で捜索願が出されていた事を言っていた。
ほんの小さなニュースだったが俺はこの結末の事までが大家さんによって全部仕組まれていたことにぞっとしつつも納得せざるを得なかった。
あの人たちが手を出そうとしたのは神の名を頂く者達で、手を出した相手はその主となる人物。
無事遺体が戻って来ただけでもありがたく思おう、そんな悲しさよりも恐怖が勝る落としどころに暁さん達も誰も何も言わない辺りそういう事だと思うのだった。
「九条!そろそろ食べれるけど落ち着いたかな?」
洗濯機の前でぼーっとしていた俺に優しく声をかけてくれた宮下さんにハッとなれば
「あ、俺、飯田さんから頂いたお弁当部屋に置きっぱなしで」
「うん。疲れてるだろ?もうそのまま食べちゃおうね」
気づかいの宮下さんにそう言ってもらえれば少し軽くなった心に急いで持ってきますと断って部屋に置いてある鞄からお弁当を取り出して
「みんなにばれないようにうまく食べるんだよ?」
匂いで飯田さんのお弁当は美味しいに決まっていると察したちみっこ達はそわそわとしながら遊んでもらっていた兄貴を置いてきぼりにして俺についてきた。
「遅くなりました。お昼ご一緒させていただきます」
「おう、こちらこそ机借りてるぞ」
「うーん。室内も良いが外の四阿でもよかったんじゃないか?」
「えー、この時間じゃまだ暑いっすよ」
蒼さんも浩太さんも遠藤さんともすっかり打ち解けるように笑いあい
「ま、快気祝いには程遠いけどとりあえず退院おめでとう!」
「ありがとうございます!」
圭斗さんの合図によく冷えた麦茶を掲げて一気に呷れば後はみんなで飯田さんのお弁当のいなり寿司を奪い合うように、そして机の下でもちみっこ達が奪い合うように、時々机の上に上がって宮下さんが追加で作ってくれた料理を持ち去っていくのを笑いながら今日は目を瞑るのだった。
「みんな心配してくれてありがとう。ただいま」
一瞬俺の視線に気づいて怒られる事を察していたのに返ってきた言葉ともに指先で頭を撫でられてどこかほっとした顔をしながらも喜びを浮かべた所で
「だけどまだ頂いてもいないプレゼントを勝手に開けちゃだめだぞ」
「ほら叱られた」
「やっぱり怒られたねー?」
自分はやってませんという岩さんと玄さんにも苦笑をこぼしてしまうもしっかり口元にお菓子の食べかすが付いているのを見逃さずに口元をぬぐえばこそこそとベッドの下に隠れるのには笑うしかなかった。
「あと兄貴がプレゼントしてくれたからありがとうをちゃんと言おうな?」
「智ありがとう!」
「智勝手に開けてごめんなさい」
「智お菓子美味しかった!」
「智おもちゃ楽しいよ!」
「智今日はお泊りするの?」
久しぶりの再会なのでみんな兄貴に駆け寄ってよじ登る遊びに変わっていくも兄貴は嬉しそうににやついて
「今日は一泊だけお泊りするよ。
明日にはお仕事だから帰るけど」
「お仕事じゃ仕方がないねー」
「お仕事頑張ってー?」
あまりにあっさりと納得する様子に少しだけ寂しそうな顔をするけどその間に俺は荷物を片付けて洗濯機を回す。
その時にあの時着ていたシャツが破れていたのを見てそれはそのままごみ箱に突っ込んだ。
痛々しいまでの血の跡があり、洗っても見られたくない、見たくない物なので速攻捨てる事にした。
酷い一日だったな……
大家さん曰く暁さんから連絡を貰った時に一番最短で突撃に来る時間を計算したらどこかに逃げる合間に遭遇するだろうから知らない所で何がおきてどんな目に合うのか心配だったからいっその事家で待ち構えればいいと考えたそうだ。
とは言えさすがに堂々と待ち構えすぎじゃないか?なんて思ったものの
「あの爺さん達陰陽師らしく自分の手で直接下さないタイプだからワンチャンいけると思ったんだよ」
何がワンチャンなのか何所がいけると思ったのか是非聞きたいが
「甥っ子達だったか?
悪ぶってもやっぱり育ちの良さが出たよな。
仏壇の花器とか供え物はひっくり返しても位牌や写真には手を付けなかった。さらに入ったらダメな部屋には本能的に察して手を出さなかったし、人をあれだけ殴って来たけどやっぱりとどめを刺すというんじゃなくてただいたぶる程度だったから何かあっても九条も大丈夫だって思ったしな」
だけど少しだけ仄暗く笑い
「そんな遠慮してたらこの山で生きて行けないのに」
ぽそりと言った言葉にぞくりとしてしまった。
まだ見つかってないあの爺さん達の事を指しているのだろうか。
まさかそれを見込んで山に向かわせたのかと思うも大家さんは一切何もしていないのだ。
そんな事があっていいのか、だからと言って言いなりになっていたらそれ以上の事も起きるだろうと悩んでしまうもお盆が終わった頃その結末をニュースで知る事になった。
大家さんの山から離れた隣町の山に熊に襲われて亡くなっていた人が居たと。持ち物やDNA検査で身元を調べた結果、山に登山に入り行方不明になっていた五人で捜索願が出されていた事を言っていた。
ほんの小さなニュースだったが俺はこの結末の事までが大家さんによって全部仕組まれていたことにぞっとしつつも納得せざるを得なかった。
あの人たちが手を出そうとしたのは神の名を頂く者達で、手を出した相手はその主となる人物。
無事遺体が戻って来ただけでもありがたく思おう、そんな悲しさよりも恐怖が勝る落としどころに暁さん達も誰も何も言わない辺りそういう事だと思うのだった。
「九条!そろそろ食べれるけど落ち着いたかな?」
洗濯機の前でぼーっとしていた俺に優しく声をかけてくれた宮下さんにハッとなれば
「あ、俺、飯田さんから頂いたお弁当部屋に置きっぱなしで」
「うん。疲れてるだろ?もうそのまま食べちゃおうね」
気づかいの宮下さんにそう言ってもらえれば少し軽くなった心に急いで持ってきますと断って部屋に置いてある鞄からお弁当を取り出して
「みんなにばれないようにうまく食べるんだよ?」
匂いで飯田さんのお弁当は美味しいに決まっていると察したちみっこ達はそわそわとしながら遊んでもらっていた兄貴を置いてきぼりにして俺についてきた。
「遅くなりました。お昼ご一緒させていただきます」
「おう、こちらこそ机借りてるぞ」
「うーん。室内も良いが外の四阿でもよかったんじゃないか?」
「えー、この時間じゃまだ暑いっすよ」
蒼さんも浩太さんも遠藤さんともすっかり打ち解けるように笑いあい
「ま、快気祝いには程遠いけどとりあえず退院おめでとう!」
「ありがとうございます!」
圭斗さんの合図によく冷えた麦茶を掲げて一気に呷れば後はみんなで飯田さんのお弁当のいなり寿司を奪い合うように、そして机の下でもちみっこ達が奪い合うように、時々机の上に上がって宮下さんが追加で作ってくれた料理を持ち去っていくのを笑いながら今日は目を瞑るのだった。
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