163 / 319
夏休みを迎えるための踏ん張りどころ 6
しおりを挟む
今日一日ちみっこ達は時計の前でそわそわとしている一日だった。
いつ帰ってきてもいいようにとお外にも遊びに行かず、そして主と一緒に神飯をたくさん食べるんだと言ってはおやつやご飯はお替わりをせずにいい子に待っていた。
いや、俺の目の前でぶんぶんと揺れる真白のしっぽがだんだん疲れて勢いがなくなっていく様子に大家さんが帰ってくるまで待てるのかそんな心配もあったがちゃんと待ち疲れをしてさりげなく差し出した座布団の上に皆さん移動すればすうっ……とお昼寝体制に入ってくれるのだった。
お昼も過ぎておやつの時間も過ぎた頃。
いつものお買い物に行くアラームが鳴った所でちみっこ達はそれを大家さんからの連絡なのではという期待に集まったがこれは違うよと言った所でしょぼんとさせてしまったのだ。
可哀そうな事をしたなと慌てて慰めるようにみんな大好きアンパンのキャラクターのおせんべいを渡せばしょぼんとしながらもおとなしくモクモク食べる様子もまた可愛い。そんな様子でも癒されてしまえば車の音が聞こえた。
聞きなれた先生の車の音ではないから誰だと思っていれば
「九条いるかー」
「綾人さん。開口一番それですか……」
鍵はかけておいたのにバーンというように勢いよく空いた扉の音と聞き覚えのある声にちみっこ達がすぐに反応する。
みんなの大好きおせんべいは放せないというように咥えながら
「「「「「主ー!おかえりー!」」」」」
緑青もしっかり手におせんべいを握りしめながら主の顔へと飛び込んでいく。
迷わずダイニングに姿を現した大家さんは少しだけ目を見開いて……
信じられない。
この魔王全力でお迎えに行ったおめめきらきらの緑青をさっと避けやがった。
そのまま後に続いた飯田さんの胸へと突撃していた。
もちろん緑青の後に続いた朱華も魔王は華麗に避けて羽を広げて抱きしめると言う姿は飯田さんのお腹にタックルをして跳ね返されるという結果だった。突撃された飯田さんが全く見えてないのがせめてもの救いだと思う。
それを見てか真白の足も遅くなったものの大家さんは急角度で曲がったので壁に激突し、玄さんに合わせてゆっくり来た岩さんの二体はおせんべいを銜えたまま走り回っている事に静かにはしたないと怒っている事を気付けばそそくさと玄さんのおせんべいも咥えてお皿の上に置いてから玄さんと一緒にお出迎えをするのだった。
大家さんは小さく溜息を零したけど
「ただいま。ちゃんといい子にしてたか?」
やっと手を伸ばしてもらえたことでほっとしながら乗せられた肩から大家さんの匂いを満喫するようにすり寄っていた。
「綾人さん、今何かあったのですか?」
不思議そうに首をかしげる飯田さんに
「前に見た事あると思うけど緑青と玄さんと岩さんがいて、まだ合わせてない朱華って言う赤いひよこと真白って言う多分白虎なんだろうけど今のところ犬か猫か分かりづらいのがいて、全員おやつを食べながら走って来たからそんなはしたない子にお出迎えされたくないと避けた所」
「ちなみに玄さんと岩さんはそれに気づいておせんべいを置いてからお出迎えし直したので大家さんの肩に居ます」
さりげなくフォローをしておいた。
「寄りにもよって緑青と朱華は飯田さんに突撃するし、真白は壁にぶつかるからおせんべいが砕けたし」
「ん?ああ、ほんとだ。
先生の汚い部屋に落ちたものだから拾って食べちゃだめですよ?」
飯田さんなんか先生に辛らつだなと思いながらもおせんべいを食べていけませんと言われた真白はしょぼんとした顔でおせんべいを見てるし、緑青は岩さんを真似ておせんべいを机のお皿の上に置いていた。そして赤いひよこは必死になって食べて始末しているし……
「九条悪いな。ちょっと目を離したすきに食べ歩きするような子になっていて」
「いえ、普段はそうではなく、大家さんに会えるのが嬉しすぎてなので大目に見てあげてください」
「俺を理由にするな」
俺にまで呆れた視線を向けて来る。
その背後で落ちたおせんべいを処分する飯田さんとそのそばで片づけられていくおせんべいを切なそうに見ている真白。
視えないのは仕方がないけど残酷すぎると思ったのが顔に出ていたのか
「九条、今回はせんべいが砕けただけで済んだが、それが硬い物を咥えて怪我をする可能性を考えればダメな事はダメだとしつけるのが大人の義務だ。
俺だってバアちゃんに殴られて育ってきたんだから。躾は本人の為だから甘やかすな」
「すみません」
俺も併せて叱られていればいつの間にか玄さんと岩さんは大家さんのフードの中に潜り込んでまったりとしていた。
いつ帰ってきてもいいようにとお外にも遊びに行かず、そして主と一緒に神飯をたくさん食べるんだと言ってはおやつやご飯はお替わりをせずにいい子に待っていた。
いや、俺の目の前でぶんぶんと揺れる真白のしっぽがだんだん疲れて勢いがなくなっていく様子に大家さんが帰ってくるまで待てるのかそんな心配もあったがちゃんと待ち疲れをしてさりげなく差し出した座布団の上に皆さん移動すればすうっ……とお昼寝体制に入ってくれるのだった。
お昼も過ぎておやつの時間も過ぎた頃。
いつものお買い物に行くアラームが鳴った所でちみっこ達はそれを大家さんからの連絡なのではという期待に集まったがこれは違うよと言った所でしょぼんとさせてしまったのだ。
可哀そうな事をしたなと慌てて慰めるようにみんな大好きアンパンのキャラクターのおせんべいを渡せばしょぼんとしながらもおとなしくモクモク食べる様子もまた可愛い。そんな様子でも癒されてしまえば車の音が聞こえた。
聞きなれた先生の車の音ではないから誰だと思っていれば
「九条いるかー」
「綾人さん。開口一番それですか……」
鍵はかけておいたのにバーンというように勢いよく空いた扉の音と聞き覚えのある声にちみっこ達がすぐに反応する。
みんなの大好きおせんべいは放せないというように咥えながら
「「「「「主ー!おかえりー!」」」」」
緑青もしっかり手におせんべいを握りしめながら主の顔へと飛び込んでいく。
迷わずダイニングに姿を現した大家さんは少しだけ目を見開いて……
信じられない。
この魔王全力でお迎えに行ったおめめきらきらの緑青をさっと避けやがった。
そのまま後に続いた飯田さんの胸へと突撃していた。
もちろん緑青の後に続いた朱華も魔王は華麗に避けて羽を広げて抱きしめると言う姿は飯田さんのお腹にタックルをして跳ね返されるという結果だった。突撃された飯田さんが全く見えてないのがせめてもの救いだと思う。
それを見てか真白の足も遅くなったものの大家さんは急角度で曲がったので壁に激突し、玄さんに合わせてゆっくり来た岩さんの二体はおせんべいを銜えたまま走り回っている事に静かにはしたないと怒っている事を気付けばそそくさと玄さんのおせんべいも咥えてお皿の上に置いてから玄さんと一緒にお出迎えをするのだった。
大家さんは小さく溜息を零したけど
「ただいま。ちゃんといい子にしてたか?」
やっと手を伸ばしてもらえたことでほっとしながら乗せられた肩から大家さんの匂いを満喫するようにすり寄っていた。
「綾人さん、今何かあったのですか?」
不思議そうに首をかしげる飯田さんに
「前に見た事あると思うけど緑青と玄さんと岩さんがいて、まだ合わせてない朱華って言う赤いひよこと真白って言う多分白虎なんだろうけど今のところ犬か猫か分かりづらいのがいて、全員おやつを食べながら走って来たからそんなはしたない子にお出迎えされたくないと避けた所」
「ちなみに玄さんと岩さんはそれに気づいておせんべいを置いてからお出迎えし直したので大家さんの肩に居ます」
さりげなくフォローをしておいた。
「寄りにもよって緑青と朱華は飯田さんに突撃するし、真白は壁にぶつかるからおせんべいが砕けたし」
「ん?ああ、ほんとだ。
先生の汚い部屋に落ちたものだから拾って食べちゃだめですよ?」
飯田さんなんか先生に辛らつだなと思いながらもおせんべいを食べていけませんと言われた真白はしょぼんとした顔でおせんべいを見てるし、緑青は岩さんを真似ておせんべいを机のお皿の上に置いていた。そして赤いひよこは必死になって食べて始末しているし……
「九条悪いな。ちょっと目を離したすきに食べ歩きするような子になっていて」
「いえ、普段はそうではなく、大家さんに会えるのが嬉しすぎてなので大目に見てあげてください」
「俺を理由にするな」
俺にまで呆れた視線を向けて来る。
その背後で落ちたおせんべいを処分する飯田さんとそのそばで片づけられていくおせんべいを切なそうに見ている真白。
視えないのは仕方がないけど残酷すぎると思ったのが顔に出ていたのか
「九条、今回はせんべいが砕けただけで済んだが、それが硬い物を咥えて怪我をする可能性を考えればダメな事はダメだとしつけるのが大人の義務だ。
俺だってバアちゃんに殴られて育ってきたんだから。躾は本人の為だから甘やかすな」
「すみません」
俺も併せて叱られていればいつの間にか玄さんと岩さんは大家さんのフードの中に潜り込んでまったりとしていた。
113
お気に入りに追加
1,080
あなたにおすすめの小説

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結

生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。

聖女なのに婚約破棄した上に辺境へ追放? ショックで前世を思い出し、魔法で電化製品を再現出来るようになって快適なので、もう戻りません。
向原 行人
ファンタジー
土の聖女と呼ばれる土魔法を極めた私、セシリアは婚約者である第二王子から婚約破棄を言い渡された上に、王宮を追放されて辺境の地へ飛ばされてしまった。
とりあえず、辺境の地でも何とか生きていくしかないと思った物の、着いた先は家どころか人すら居ない場所だった。
こんな所でどうすれば良いのと、ショックで頭が真っ白になった瞬間、突然前世の――日本の某家電量販店の販売員として働いていた記憶が蘇る。
土魔法で家や畑を作り、具現化魔法で家電製品を再現し……あれ? 王宮暮らしより遥かに快適なんですけど!
一方、王宮での私がしていた仕事を出来る者が居ないらしく、戻って来いと言われるけど、モフモフな動物さんたちと一緒に快適で幸せに暮らして居るので、お断りします。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる