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小さいながらも作る夢の国 1
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あの大きなミスをした仕事からの緑青誘拐事件もなんとかぶじ方が付き、久しぶりのゆっくりとした時間に俺は鍬を手に腰にかかる負担に身もだえていた。
「真ー、大丈夫ー?」
「真ー、痛く無いー?」
「真ー、無理しちゃだめだよー」
「真ー、とりあえず座ったらー?」
「真ー、お芋さんの苗がしおしおになっちゃうよー?」
よしよしと腰をなでてくれるけどお願いです。それは逆効果なので止めてください……なんて言葉も言えない俺の悲惨な状況にとりあえずゆっくりと地面に手をついて四つん這いの格好になる所までは出来た。
あまりの痛みに脂汗が出て身動きが出来ないでいれば
「ちーっす、って……
九条さん大丈夫っすか?!」
慌てて駆けつけてくれたのは
「あ、遠藤さん。すみません変な格好で……」
「あちゃー、腰やっちゃいましたか……」
「慣れないことをしたので」
アハハと笑ってごまかすもその自分の笑い声が腰に響いて顔を歪めれば
「あー、無理しないで!
ゆっくりでいいから家の中に行きましょう」
体を支えてもらいながらすり足でゆっくりと移動しながら家の中へと連れてってもらうのだった。
「ええと、何か手伝う事は……」
「すみません。台所の戸棚の下の段に薬箱があるのでシップと痛み止めとお水を頂けますか?」
「了解っす」
すぐに戸棚の扉を開けて薬箱を見つけてくれてお水と共に持って来てくれた。
「あー、シップもありました。貼りますよ?」
「ありがとうございます」
情けなくも背中を向けて丸まった姿勢のままお願いすれば、そこは慣れていると言うように俺の痛い所を的確にとらえるかのようにシップを貼ってくれた。
「シップの冷たさが気持ちいい……」
痛みは何とかスーッとする成分のおかげでごまかされほっとしたついでに痛み止めも飲んだ所で偶然通りがかった草刈りスタイルの遠藤さんもほっとしたかのように立ち上がる。
「今日は安静にしてんせいにして、もし何かあれば連絡ください」
そう言って前にもくれた名刺をまた置いて行こうとするので
「すみません。LIME交換お願いしてもいいでしょうか?」
「いいっすよ」
あっけらかんと交換した連絡先にほっとしながら
「親が遠くに居て頼りにできないのでそう言ってくれて正直ありがたいです」
「マジっすか?仕事とか他に頼れそうな人は……」
「大家さんになるのでしょうが、先日すごくお世話になってしまったのでこんな事でまたお世話になるのは気が引けて……」
あれから一度兄貴から連絡が来た。
無事大家さんの知り合いに方と合流できて場所は親父たちにばれないように言えないけど住み込みで働く場所も確保できて何とか生活のペースもつかむようになったと言う。
「御朱印づくりじゃないけど母さんから学んだ習字がちゃんと仕事に活かされてね。なんか毎日書いていたのに気づかない所に俺の才能があったって言うか、役に立つことが出来て真が心配するようなことはないから安心して」
憑物が落ちた、そんな穏やかな口調の兄貴にそういえば兄貴ってこういうのんびりとした穏やかな人だったと思いだした。
「あと毎朝のお勤めって言うの?毎日じゃないけど滝行って言うの初めてやらしてもらってさ、あれ凄いな。
デトックスじゃないけど体の悪いものが洗い流されていくって言うか、むち打ちになるなwww」
何を思い出してか突然笑い出した兄貴は
「俺が今住み込んでいる所のもうちょっと奥に行くと結構な高さと水量の滝があってね、お約束の白装束で滝にあたる所から始めているんだけど、油断すると押し流されそうでさ、押し流されたら滝つぼに嵌って抜け出せなくなるから注意しろってどれだけヤバいって話www」
いや、これは笑いごとなのだろうかととりあえずそうなのかと話を聞いていたが
「一番ヤバいって言うのはさ、そこはちゃんとした修行の場だから清廉とした空気が張り巡らされた凄く清らかな場所なんだ。真も機会があれば一度試してみるのをお勧めするけど、この間別の意味でヤバい場所を案内してもらったんだ」
「そんなむち打ちになるような場所以上にヤバい所なんてあるのかよ?」
って言うかどんな所で働いているんだと心配してしまうのはあんな出来事の後だからだろうか。
だけど兄貴の声は凄く明るくてこの程度の不安は吹き飛ばしてしまう。
「滝行した川の下流になるんだけど、そこも小さな滝になっていて。
滝の規模も流れも穏やかだから普通の人も滝行が出来るようになっててさ。もちろん指導者もちゃんとついてるよ」
心配ないぞと言う兄貴の声は笑いをこらえてる物。何がそんなに楽しかったんだろうと期待を込めて話に耳を傾けていれば
「滝行って煩悩とかヤバいものを払いのけるって言うか精神統一?そんな複合的なイメージがあるだろ?
いや、イメージ通りだったんだけど、一般の人がチャレンジしてみたいような体験型アトラクションみたいな滝行でもさ、煩悩とかヤバいのとかが剥がれる分けよ」
まじかー。ちょっと面白そうだなと思った所で爆弾を投下してくれた。
「だけど滝の流れが穏やかだからさ、滝つぼにその煩悩とかヤバいのが溜まっててさwww
上流の滝は激流だからそう言うモノが流されていくけどそこはいい感じに滝つぼ一面に溜まってて凄い事になっててさwww」
「は?」
それめっちゃヤバくね?寧ろそんなもの溜めていて大丈夫なの?
驚きのせいで声が出なく唖然としているもそこは兄貴。俺が受けた衝撃を楽しそうに笑いながらもちゃんとオチは用意してくれていた。
「まあ、だもんで今の俺の上司の人がちゃんと祓ってくれているんだけど。
とりあえずそんな感じでやりがいのある職場につけたぞ」
「寧ろ心配しかないんだけど。
でもまあ、兄貴が元気に過ごしてくれているのなら俺は安心だから」
「うん。真にはほんと迷惑をかけた。
落ち着いたら大家さんにも改めてご挨拶に伺いたいって会えた時にでも言ってくれると嬉しい。
まあ、いつ挨拶に伺えるかは分からないけど」
当面はまだ仕事を覚える事だらけでそんな余裕はないと言う所だろう。
とりあえず元気でやっている事に安心したのは言うまでもなく……
このぎっくり腰から兄貴のむち打ちの話しを思い出してからのこの痛みをごまかすためにまた思い出してはなんだか笑えてきて一人笑動に耐えていれば
「九条さん大丈夫ですか?」
「あー、真でいいです。気軽に呼んでください」
なんてこれだけお世話になっておいて仰々しく呼んでもらいたくないと言えば
「そうっすか?なら遠慮なく……
所で何であんな所でへばってたんだ?」
いきなりフランクになった。
まあ、自分から言い出したから別にいいけど、と少し落ち着いた痛みに
「下田さんって言うすぐ上の畑の方にこの家の奥の所に昔畑があったって聞いたのでせっかくこんな広い庭があるなら畑を復活させようかなって思い立ったまでは良かったのですが」
そしていきなりぎっくり腰となった。情けない……
たはは……と情けない笑い声をこぼせば
「だったら手伝いますよ。こう見えても畑仕事とか庭仕事は得意ですから」
にかりといい笑顔を見せられるも
「だけど俺の趣味程度なのでご迷惑に……」
「気にしないでください!こう見えても俺園芸部ってあだ名があるくらいなので!」
やたらと誇る様な言い方の後ニヤリと笑いながら
「園芸部って言っても一人園芸部だから部員募集してますよ?」
そんな募集に俺は腰に響くとわかってても笑わずにいられなく
「だったら俺が二人目の部員だね」
東京ではできなかった事。
畑仕事と言うライフワークを持つ事といういささか小さな目標を達成する機会としては丁度いいと思って参加を希望するのだった。
「真ー、大丈夫ー?」
「真ー、痛く無いー?」
「真ー、無理しちゃだめだよー」
「真ー、とりあえず座ったらー?」
「真ー、お芋さんの苗がしおしおになっちゃうよー?」
よしよしと腰をなでてくれるけどお願いです。それは逆効果なので止めてください……なんて言葉も言えない俺の悲惨な状況にとりあえずゆっくりと地面に手をついて四つん這いの格好になる所までは出来た。
あまりの痛みに脂汗が出て身動きが出来ないでいれば
「ちーっす、って……
九条さん大丈夫っすか?!」
慌てて駆けつけてくれたのは
「あ、遠藤さん。すみません変な格好で……」
「あちゃー、腰やっちゃいましたか……」
「慣れないことをしたので」
アハハと笑ってごまかすもその自分の笑い声が腰に響いて顔を歪めれば
「あー、無理しないで!
ゆっくりでいいから家の中に行きましょう」
体を支えてもらいながらすり足でゆっくりと移動しながら家の中へと連れてってもらうのだった。
「ええと、何か手伝う事は……」
「すみません。台所の戸棚の下の段に薬箱があるのでシップと痛み止めとお水を頂けますか?」
「了解っす」
すぐに戸棚の扉を開けて薬箱を見つけてくれてお水と共に持って来てくれた。
「あー、シップもありました。貼りますよ?」
「ありがとうございます」
情けなくも背中を向けて丸まった姿勢のままお願いすれば、そこは慣れていると言うように俺の痛い所を的確にとらえるかのようにシップを貼ってくれた。
「シップの冷たさが気持ちいい……」
痛みは何とかスーッとする成分のおかげでごまかされほっとしたついでに痛み止めも飲んだ所で偶然通りがかった草刈りスタイルの遠藤さんもほっとしたかのように立ち上がる。
「今日は安静にしてんせいにして、もし何かあれば連絡ください」
そう言って前にもくれた名刺をまた置いて行こうとするので
「すみません。LIME交換お願いしてもいいでしょうか?」
「いいっすよ」
あっけらかんと交換した連絡先にほっとしながら
「親が遠くに居て頼りにできないのでそう言ってくれて正直ありがたいです」
「マジっすか?仕事とか他に頼れそうな人は……」
「大家さんになるのでしょうが、先日すごくお世話になってしまったのでこんな事でまたお世話になるのは気が引けて……」
あれから一度兄貴から連絡が来た。
無事大家さんの知り合いに方と合流できて場所は親父たちにばれないように言えないけど住み込みで働く場所も確保できて何とか生活のペースもつかむようになったと言う。
「御朱印づくりじゃないけど母さんから学んだ習字がちゃんと仕事に活かされてね。なんか毎日書いていたのに気づかない所に俺の才能があったって言うか、役に立つことが出来て真が心配するようなことはないから安心して」
憑物が落ちた、そんな穏やかな口調の兄貴にそういえば兄貴ってこういうのんびりとした穏やかな人だったと思いだした。
「あと毎朝のお勤めって言うの?毎日じゃないけど滝行って言うの初めてやらしてもらってさ、あれ凄いな。
デトックスじゃないけど体の悪いものが洗い流されていくって言うか、むち打ちになるなwww」
何を思い出してか突然笑い出した兄貴は
「俺が今住み込んでいる所のもうちょっと奥に行くと結構な高さと水量の滝があってね、お約束の白装束で滝にあたる所から始めているんだけど、油断すると押し流されそうでさ、押し流されたら滝つぼに嵌って抜け出せなくなるから注意しろってどれだけヤバいって話www」
いや、これは笑いごとなのだろうかととりあえずそうなのかと話を聞いていたが
「一番ヤバいって言うのはさ、そこはちゃんとした修行の場だから清廉とした空気が張り巡らされた凄く清らかな場所なんだ。真も機会があれば一度試してみるのをお勧めするけど、この間別の意味でヤバい場所を案内してもらったんだ」
「そんなむち打ちになるような場所以上にヤバい所なんてあるのかよ?」
って言うかどんな所で働いているんだと心配してしまうのはあんな出来事の後だからだろうか。
だけど兄貴の声は凄く明るくてこの程度の不安は吹き飛ばしてしまう。
「滝行した川の下流になるんだけど、そこも小さな滝になっていて。
滝の規模も流れも穏やかだから普通の人も滝行が出来るようになっててさ。もちろん指導者もちゃんとついてるよ」
心配ないぞと言う兄貴の声は笑いをこらえてる物。何がそんなに楽しかったんだろうと期待を込めて話に耳を傾けていれば
「滝行って煩悩とかヤバいものを払いのけるって言うか精神統一?そんな複合的なイメージがあるだろ?
いや、イメージ通りだったんだけど、一般の人がチャレンジしてみたいような体験型アトラクションみたいな滝行でもさ、煩悩とかヤバいのとかが剥がれる分けよ」
まじかー。ちょっと面白そうだなと思った所で爆弾を投下してくれた。
「だけど滝の流れが穏やかだからさ、滝つぼにその煩悩とかヤバいのが溜まっててさwww
上流の滝は激流だからそう言うモノが流されていくけどそこはいい感じに滝つぼ一面に溜まってて凄い事になっててさwww」
「は?」
それめっちゃヤバくね?寧ろそんなもの溜めていて大丈夫なの?
驚きのせいで声が出なく唖然としているもそこは兄貴。俺が受けた衝撃を楽しそうに笑いながらもちゃんとオチは用意してくれていた。
「まあ、だもんで今の俺の上司の人がちゃんと祓ってくれているんだけど。
とりあえずそんな感じでやりがいのある職場につけたぞ」
「寧ろ心配しかないんだけど。
でもまあ、兄貴が元気に過ごしてくれているのなら俺は安心だから」
「うん。真にはほんと迷惑をかけた。
落ち着いたら大家さんにも改めてご挨拶に伺いたいって会えた時にでも言ってくれると嬉しい。
まあ、いつ挨拶に伺えるかは分からないけど」
当面はまだ仕事を覚える事だらけでそんな余裕はないと言う所だろう。
とりあえず元気でやっている事に安心したのは言うまでもなく……
このぎっくり腰から兄貴のむち打ちの話しを思い出してからのこの痛みをごまかすためにまた思い出してはなんだか笑えてきて一人笑動に耐えていれば
「九条さん大丈夫ですか?」
「あー、真でいいです。気軽に呼んでください」
なんてこれだけお世話になっておいて仰々しく呼んでもらいたくないと言えば
「そうっすか?なら遠慮なく……
所で何であんな所でへばってたんだ?」
いきなりフランクになった。
まあ、自分から言い出したから別にいいけど、と少し落ち着いた痛みに
「下田さんって言うすぐ上の畑の方にこの家の奥の所に昔畑があったって聞いたのでせっかくこんな広い庭があるなら畑を復活させようかなって思い立ったまでは良かったのですが」
そしていきなりぎっくり腰となった。情けない……
たはは……と情けない笑い声をこぼせば
「だったら手伝いますよ。こう見えても畑仕事とか庭仕事は得意ですから」
にかりといい笑顔を見せられるも
「だけど俺の趣味程度なのでご迷惑に……」
「気にしないでください!こう見えても俺園芸部ってあだ名があるくらいなので!」
やたらと誇る様な言い方の後ニヤリと笑いながら
「園芸部って言っても一人園芸部だから部員募集してますよ?」
そんな募集に俺は腰に響くとわかってても笑わずにいられなく
「だったら俺が二人目の部員だね」
東京ではできなかった事。
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