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神降臨! 2
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大家さんがご自宅に戻ってから仕事スピードが爆上がりしたのは俺の気のせいだろうか。
なんだか俺達の仕事量が一気に減ったと言うか
「大家さんの仕事のスピードなんかおかしくありませんか?」
「あー、そう思うよな。でもこれが綾っちの仕事のスピードだから。
むしろ一番仕事がしやすい場所にいらっしゃられるので五人分の仕事をされているのでしょう」
「パイセン、言葉おかしく無いっすか?」
時々変な言葉でしゃべりだす祐樹先輩に本日の自分のお仕事を終えた水野さんも戻ってきて
「や、綾っちが本気なら明日はほんとチェックとトリセツだけで終わらす為に今日中に絶対に仕上げるから。
現状なら間に合わないと思って綾っちが本領発揮できる家の方でやってくれているから……
あ、遠回しに俺達に仕事遅いって言ってるようなものだからしゃべっている暇ないぞ?」
話をしていても手が動いていればいいんじゃね?なんて思うも
「しゃべらなければ仕事が進むなんて思ってないけど、しゃべる余力があれば他の事に集中しろって言うのが綾っちの持論だから。
むしろアイヴィーとしゃべっていたのは現状これ以上効率が上がらないからからの余裕じゃないけど、想像以上に俺達の仕事が遅かったのが想定外だったって言うのが問題なんだ」
なんて言う二人も画面に食いつきながらカチカチとキーボードを叩き打っている。
肩こりで首筋が痛いと言うようにシップを貼っているし、長時間の同じ姿勢に俺もだけど祐樹先輩もシップまみれになっている。
水野さんは会議に出たり、自分の仕事をしたりと席を外して程よく麓の家に行ったり来たりしているので体はほぐれていると言う。
そういや俺一週間ずっと家の中だっけ……
振り返れば酷い不健康な生活だけど
「そう言えばご飯とか……」
「今頃気付いたか。綾っちが知り合いの人に頼んで買いに行かせてたぞ」
「え……」
「園芸部も大変だよな」
「まあ、みんな今遠征してるから頼みの綱が園芸部だからね。園芸部が別件で仕事してるから仕方がないけど綾っちの人使いの荒さってほんと酷いよな」
「まあ、綾っちだから仕方がないじゃん」
「だよなー、いきなり呼びつけるぐらいだし?」
「俺なんて強制的に年休取らされたしwww」
「いや、結局の所取らないとまずいじゃん?」
問題ないんじゃね?なんて言われても
「もっと有意義な休みを取りたいんだよ!
寧ろ仕事が上がったら三日ほど温泉にでも行くぐらいの年休を取るのが正しい使い方だろ!」
使い方が間違っているなんてとしくしく泣きだしてしまった先輩に申し訳なさが膨れ上がるも
『お前らそういう愚痴は俺の聞いてない所で言え』
連絡用にずっと繋げていた向こう側で大家さんがどうでもよさそうに注意を言ってきたが
「それこそ意味のない言葉じゃないっすか」
「綾っちに恩があるから飛んできたけどちゃんとご褒美が欲しいでーす!」
想像以上に先輩たちのメンタルが強くてびっくりしたけど
「あの、この応援期間はちゃんと俺の方から報酬を出させていただきますので……」
なんて言うも二人は違うと言うように首を横に振り
「それは当然貰う。
だけど俺達が言いたいのは俺達を呼び寄せたのは綾っちだから綾っちからもご褒美が欲しいって言ってるんだ」
真面目な顔で二人して俺とタブレット越しの大家さんへと催促する。
もちろん手元は変わらずのスピードでプログラムを構築している。
やってることはすごいけどなんで尊敬できないんだろうと思えばタブレット越しの大家さんはため息を落として
『今日は火曜日だ。
明日の夜には帰るお前たちに合わせて昼飯を用意してもらうからそれでいいだろう』
まるで渋々と言う大家さんで俺には全く意味不明な言葉だったけど
「やったー!!! 綾っちその言葉頂きました!!!」
「よっしゃー!!! 神降臨決定!!! 俄然やる気が出ました!!!」
席を立って二人してハイタッチ。
え?何この状況……
さっきまで死にそうな顔をしていたのに急にきらきらとした目になり
「水野!明日のご飯をおいしく食べるために急げ!」
「当然!明日美味しく神飯を頂くために睡眠をって万全なコンディションでお迎えしましょう!」
『何馬鹿な事を言ってるんだ……』
なんて大家さんも呆れていたが大家さんの背後のベッドで遊んでいたちみっこもどれに反応してかわからないけどいきなり全員で綾っちの背中に熱い視線を向けて
「主様あのお方がお見えになるのですか?」
「主様あのお方はいつごろお見えになるのでしょうか?」
「主様あのお方をお迎えする準備は万全でしょうか?」
「主様あのお方をお迎えするにあたり粗相はないでしょうか?」
「主様あのお方にリクエストしたいのですがよろしいでしょうか?」
ちみっこ達のざわつきが半端なかった。
いや、いったい誰が来るんだよとちみっこ同様先輩たちのざわつきも半端ないけど……
『とりあえず一人一品だけリクエスト受け付けてやる。
俺の方にスマホで食いたいものリクエストしてくれ』
「よっしゃー!!!」
「真!お前も食いたいもの五分以内に考えて綾っちにリクエストしておけ!」
「え?ええ……」
どん引きしてしまう俺がおかしいとでもいうようにタブレットの向こうのちみっこ達も何がいい?どれがいい?なんて円座で会議を始めたあたり……
しょうがないな。
そう言いたそうに少しだけ困ったように、でも優し気な笑みを浮かべた顔を見て……
無茶難題を吹っ掛けられても先輩達がついて行く人なんだと大家さんの優しさを見た気がした。
なんだか俺達の仕事量が一気に減ったと言うか
「大家さんの仕事のスピードなんかおかしくありませんか?」
「あー、そう思うよな。でもこれが綾っちの仕事のスピードだから。
むしろ一番仕事がしやすい場所にいらっしゃられるので五人分の仕事をされているのでしょう」
「パイセン、言葉おかしく無いっすか?」
時々変な言葉でしゃべりだす祐樹先輩に本日の自分のお仕事を終えた水野さんも戻ってきて
「や、綾っちが本気なら明日はほんとチェックとトリセツだけで終わらす為に今日中に絶対に仕上げるから。
現状なら間に合わないと思って綾っちが本領発揮できる家の方でやってくれているから……
あ、遠回しに俺達に仕事遅いって言ってるようなものだからしゃべっている暇ないぞ?」
話をしていても手が動いていればいいんじゃね?なんて思うも
「しゃべらなければ仕事が進むなんて思ってないけど、しゃべる余力があれば他の事に集中しろって言うのが綾っちの持論だから。
むしろアイヴィーとしゃべっていたのは現状これ以上効率が上がらないからからの余裕じゃないけど、想像以上に俺達の仕事が遅かったのが想定外だったって言うのが問題なんだ」
なんて言う二人も画面に食いつきながらカチカチとキーボードを叩き打っている。
肩こりで首筋が痛いと言うようにシップを貼っているし、長時間の同じ姿勢に俺もだけど祐樹先輩もシップまみれになっている。
水野さんは会議に出たり、自分の仕事をしたりと席を外して程よく麓の家に行ったり来たりしているので体はほぐれていると言う。
そういや俺一週間ずっと家の中だっけ……
振り返れば酷い不健康な生活だけど
「そう言えばご飯とか……」
「今頃気付いたか。綾っちが知り合いの人に頼んで買いに行かせてたぞ」
「え……」
「園芸部も大変だよな」
「まあ、みんな今遠征してるから頼みの綱が園芸部だからね。園芸部が別件で仕事してるから仕方がないけど綾っちの人使いの荒さってほんと酷いよな」
「まあ、綾っちだから仕方がないじゃん」
「だよなー、いきなり呼びつけるぐらいだし?」
「俺なんて強制的に年休取らされたしwww」
「いや、結局の所取らないとまずいじゃん?」
問題ないんじゃね?なんて言われても
「もっと有意義な休みを取りたいんだよ!
寧ろ仕事が上がったら三日ほど温泉にでも行くぐらいの年休を取るのが正しい使い方だろ!」
使い方が間違っているなんてとしくしく泣きだしてしまった先輩に申し訳なさが膨れ上がるも
『お前らそういう愚痴は俺の聞いてない所で言え』
連絡用にずっと繋げていた向こう側で大家さんがどうでもよさそうに注意を言ってきたが
「それこそ意味のない言葉じゃないっすか」
「綾っちに恩があるから飛んできたけどちゃんとご褒美が欲しいでーす!」
想像以上に先輩たちのメンタルが強くてびっくりしたけど
「あの、この応援期間はちゃんと俺の方から報酬を出させていただきますので……」
なんて言うも二人は違うと言うように首を横に振り
「それは当然貰う。
だけど俺達が言いたいのは俺達を呼び寄せたのは綾っちだから綾っちからもご褒美が欲しいって言ってるんだ」
真面目な顔で二人して俺とタブレット越しの大家さんへと催促する。
もちろん手元は変わらずのスピードでプログラムを構築している。
やってることはすごいけどなんで尊敬できないんだろうと思えばタブレット越しの大家さんはため息を落として
『今日は火曜日だ。
明日の夜には帰るお前たちに合わせて昼飯を用意してもらうからそれでいいだろう』
まるで渋々と言う大家さんで俺には全く意味不明な言葉だったけど
「やったー!!! 綾っちその言葉頂きました!!!」
「よっしゃー!!! 神降臨決定!!! 俄然やる気が出ました!!!」
席を立って二人してハイタッチ。
え?何この状況……
さっきまで死にそうな顔をしていたのに急にきらきらとした目になり
「水野!明日のご飯をおいしく食べるために急げ!」
「当然!明日美味しく神飯を頂くために睡眠をって万全なコンディションでお迎えしましょう!」
『何馬鹿な事を言ってるんだ……』
なんて大家さんも呆れていたが大家さんの背後のベッドで遊んでいたちみっこもどれに反応してかわからないけどいきなり全員で綾っちの背中に熱い視線を向けて
「主様あのお方がお見えになるのですか?」
「主様あのお方はいつごろお見えになるのでしょうか?」
「主様あのお方をお迎えする準備は万全でしょうか?」
「主様あのお方をお迎えするにあたり粗相はないでしょうか?」
「主様あのお方にリクエストしたいのですがよろしいでしょうか?」
ちみっこ達のざわつきが半端なかった。
いや、いったい誰が来るんだよとちみっこ同様先輩たちのざわつきも半端ないけど……
『とりあえず一人一品だけリクエスト受け付けてやる。
俺の方にスマホで食いたいものリクエストしてくれ』
「よっしゃー!!!」
「真!お前も食いたいもの五分以内に考えて綾っちにリクエストしておけ!」
「え?ええ……」
どん引きしてしまう俺がおかしいとでもいうようにタブレットの向こうのちみっこ達も何がいい?どれがいい?なんて円座で会議を始めたあたり……
しょうがないな。
そう言いたそうに少しだけ困ったように、でも優し気な笑みを浮かべた顔を見て……
無茶難題を吹っ掛けられても先輩達がついて行く人なんだと大家さんの優しさを見た気がした。
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