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未知との遭遇カラフルワンダー 2
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二個目の大福のお餅の部分を四体がもっちもっちと噛み切りながら
「反応鈍いな?」
「まったく、人間と言うものは騒々しい」
青い空飛ぶトカゲと黒い蛇の冷めた視線に俺がおかしいのかと自分の常識を疑ってしまう中、亀がとことことやって来た。
机の角っこから俺を見下ろし
「ちょっとー、お話しできるー?」
どこか間延びした口調だけどとりあえず会話が成立できると言うように首を縦に何度も振れば
「白いおもちの中に入っていた果物まだある?美味しかったからもっと食べたいよ」
どうやらイチゴを大変お気に召したようだが
「買ってこないとないものなので今日は諦めて」
あまりの図々しさに思わずお断り。
だけど
「そうかー。ないなら仕方がないねー。
良かったらまた今度食べさせてねー?」
「今度で良ければ……」
聞き分けはよかったものの次を約束させられてしまった。
しまった……
これが戦略だったのかと顔を引きつらせてしまうものの
「それよりー、やっと僕たちの事が見える人が来て安心したよー」
「安心したって?」
亀は短い手を使って俺を招くのだからいつまでも座り込んでないでテーブルの横に置かれた椅子で亀と話をしやすいように座り直せば
「僕たちの主が言ってたんだー。
ここの家に住む人は僕たちのお世話をしてくれる人だから美味しいごはんの為にも持て成してあげるようにって命令されてるんだー」
「命令って……」
こんなペットショップで売られているサイズのしゃべる生き物たちに何をさせるんだと思うものの
「僕たちはねー、この家に置いてある置物に宿った付喪神なのー。
主はー中国の神話の四神みたいでうけるーなんて笑いながら僕たちをここに住まわせたんだけど、今までここを借りに来た人みんな僕たちを気味悪がって出ていっちゃったんだー。失礼しちゃうー」
「はあ……」
「本当はーお山の家でくらしていたんだけどー。
緑青と真白と朱華と岩さんが遊んでいるうちに何回かお家を壊しちゃったから追い出されちゃってここに居るんだー」
「壊すのはいけないな」
「うん。止められなかった玄もはんせー」
よくできた子だと思うものの話しが長い。
「だけど僕たちの主は自慢じゃないけど本当にすごいからー。玄たちの名前をもじって力を半減させてねー、ここに住む人に今まで壊した分の代金をお支払い完了するような立派な付喪神になるように修行して来いって言うんだー」
「なかなかに厳しいお方だな」
どうやってお代をお支払いするのだと頭をひねって考えるも全く分からない。
「主はねー、優しいんだよー。ちょっとひねくれているけど基本は優しいんだー」
「いや、ひねくれてる時点で結構難物件だろう」
「大きなお家とお山も持ってるイケメンだよー?」
「んー、イケメンって言葉を知ってる玄さんは意外と俗物だな」
「テレビでやってたー」
付喪神と一緒にテレビを見る主とはなかなかにして緩いお方だ。
「ところで主さんとやらは玄さん達をみんな見えるのかな?」
「僕たち以外もみえるよー。僕たちのお名前を付けてくれたのも主なんだー。ステキな名前でしょー?」
ええ、ステキです。
付喪神に名前を与えて主と認識させるなんてどれだけ高位の能力者だ。
しかも少なからずその関連の仕事をしている実家の情報ではこの地域の能力者なんて全く聞いたことがないと言うのにさらりと名前を付けるなんて気を付けるしかないと警戒してしまうのはそれなりにこういったモノ達に怖い思いをさせられた経験値から言わせるものだった。
「一度どんな方かお会いしたいな……」
実家の情報網からも漏れた能力者なんて一度お会いしてから連絡を入れるべきかと思うも、実家を出た身。関係を切るべきかと考えていれば
「主はー、アポイントメントがない人とは会わないよー」
「くっ、このド田舎でビジネスマナーを聞くとは思わなかった」
突然お邪魔しても歓迎してくれるのが田舎じゃないのかと思うも
「今はねー、鳥さんが赤ちゃんだから病気になったらいけないからって訪問が限られてるんだー」
「鳥が赤ちゃんってペットでも飼ってるのか?」
まさかブリーダーとかなんて考えていれば
「鶏の赤ちゃんだよー。
前に飼っていた鳥さん、岩さん達が鬼ごっこでお家にお邪魔いた時にドアを開けっぱなしで遊んでいたらアライグマさん達がやってきて全滅しちゃったんだー。
だから主怒っちゃって、玄たちここのお家に修業に出されちゃったんだー」
「お、おふ……」
かなり聞き捨てならない言葉だった。
むしろブチ切れた主さんによって島流しされたという事だろうか。
いろいろな事を考えてしまうも
「とりあえず主さんにご挨拶させてもらおうかなー?
玄さんは主さんの連絡先知ってる?」
電話番号なんて理解できるかと思うも口の周りに大福の打ち粉をべったりとつけた黒蛇の岩さんがやってきて
「俺達の主がこの家の番をするようにっておいて行ったんだから主がこの家の大家に決まってるだろ?」
「ですよねー」
そうじゃないと不法侵入と言うやつだと20cmもない子蛇に諭されてしまった事に少し恥ずかしく思いながらもすぐに契約書に書かれた連絡先に電話をして無事明日の午前中と言うアポイントを取る事に成功するのだった。
「反応鈍いな?」
「まったく、人間と言うものは騒々しい」
青い空飛ぶトカゲと黒い蛇の冷めた視線に俺がおかしいのかと自分の常識を疑ってしまう中、亀がとことことやって来た。
机の角っこから俺を見下ろし
「ちょっとー、お話しできるー?」
どこか間延びした口調だけどとりあえず会話が成立できると言うように首を縦に何度も振れば
「白いおもちの中に入っていた果物まだある?美味しかったからもっと食べたいよ」
どうやらイチゴを大変お気に召したようだが
「買ってこないとないものなので今日は諦めて」
あまりの図々しさに思わずお断り。
だけど
「そうかー。ないなら仕方がないねー。
良かったらまた今度食べさせてねー?」
「今度で良ければ……」
聞き分けはよかったものの次を約束させられてしまった。
しまった……
これが戦略だったのかと顔を引きつらせてしまうものの
「それよりー、やっと僕たちの事が見える人が来て安心したよー」
「安心したって?」
亀は短い手を使って俺を招くのだからいつまでも座り込んでないでテーブルの横に置かれた椅子で亀と話をしやすいように座り直せば
「僕たちの主が言ってたんだー。
ここの家に住む人は僕たちのお世話をしてくれる人だから美味しいごはんの為にも持て成してあげるようにって命令されてるんだー」
「命令って……」
こんなペットショップで売られているサイズのしゃべる生き物たちに何をさせるんだと思うものの
「僕たちはねー、この家に置いてある置物に宿った付喪神なのー。
主はー中国の神話の四神みたいでうけるーなんて笑いながら僕たちをここに住まわせたんだけど、今までここを借りに来た人みんな僕たちを気味悪がって出ていっちゃったんだー。失礼しちゃうー」
「はあ……」
「本当はーお山の家でくらしていたんだけどー。
緑青と真白と朱華と岩さんが遊んでいるうちに何回かお家を壊しちゃったから追い出されちゃってここに居るんだー」
「壊すのはいけないな」
「うん。止められなかった玄もはんせー」
よくできた子だと思うものの話しが長い。
「だけど僕たちの主は自慢じゃないけど本当にすごいからー。玄たちの名前をもじって力を半減させてねー、ここに住む人に今まで壊した分の代金をお支払い完了するような立派な付喪神になるように修行して来いって言うんだー」
「なかなかに厳しいお方だな」
どうやってお代をお支払いするのだと頭をひねって考えるも全く分からない。
「主はねー、優しいんだよー。ちょっとひねくれているけど基本は優しいんだー」
「いや、ひねくれてる時点で結構難物件だろう」
「大きなお家とお山も持ってるイケメンだよー?」
「んー、イケメンって言葉を知ってる玄さんは意外と俗物だな」
「テレビでやってたー」
付喪神と一緒にテレビを見る主とはなかなかにして緩いお方だ。
「ところで主さんとやらは玄さん達をみんな見えるのかな?」
「僕たち以外もみえるよー。僕たちのお名前を付けてくれたのも主なんだー。ステキな名前でしょー?」
ええ、ステキです。
付喪神に名前を与えて主と認識させるなんてどれだけ高位の能力者だ。
しかも少なからずその関連の仕事をしている実家の情報ではこの地域の能力者なんて全く聞いたことがないと言うのにさらりと名前を付けるなんて気を付けるしかないと警戒してしまうのはそれなりにこういったモノ達に怖い思いをさせられた経験値から言わせるものだった。
「一度どんな方かお会いしたいな……」
実家の情報網からも漏れた能力者なんて一度お会いしてから連絡を入れるべきかと思うも、実家を出た身。関係を切るべきかと考えていれば
「主はー、アポイントメントがない人とは会わないよー」
「くっ、このド田舎でビジネスマナーを聞くとは思わなかった」
突然お邪魔しても歓迎してくれるのが田舎じゃないのかと思うも
「今はねー、鳥さんが赤ちゃんだから病気になったらいけないからって訪問が限られてるんだー」
「鳥が赤ちゃんってペットでも飼ってるのか?」
まさかブリーダーとかなんて考えていれば
「鶏の赤ちゃんだよー。
前に飼っていた鳥さん、岩さん達が鬼ごっこでお家にお邪魔いた時にドアを開けっぱなしで遊んでいたらアライグマさん達がやってきて全滅しちゃったんだー。
だから主怒っちゃって、玄たちここのお家に修業に出されちゃったんだー」
「お、おふ……」
かなり聞き捨てならない言葉だった。
むしろブチ切れた主さんによって島流しされたという事だろうか。
いろいろな事を考えてしまうも
「とりあえず主さんにご挨拶させてもらおうかなー?
玄さんは主さんの連絡先知ってる?」
電話番号なんて理解できるかと思うも口の周りに大福の打ち粉をべったりとつけた黒蛇の岩さんがやってきて
「俺達の主がこの家の番をするようにっておいて行ったんだから主がこの家の大家に決まってるだろ?」
「ですよねー」
そうじゃないと不法侵入と言うやつだと20cmもない子蛇に諭されてしまった事に少し恥ずかしく思いながらもすぐに契約書に書かれた連絡先に電話をして無事明日の午前中と言うアポイントを取る事に成功するのだった。
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