没落令嬢はお屋敷ダンジョンを攻略します!

雪那 由多

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中庭に潜入成功しました!

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「折角だからお屋敷の中もマッピングしなくちゃね!」

 実はこのカードの位置でマッピングされる事を昨日の夜気付いたメリッサは早速炊事場と自分の部屋をマッピングしていた。カードを持った手で壁をなぞりながらぐるりと部屋を一周すれば素晴らしい事に部屋の形で登録する事が出来たのだ。
 そして試にルヴィの巣になりかけているこのサロンの壁にも手を滑らせればくるりと部屋の形が出来上がったのだ。
 面白いとメリッサは部屋を飛び出して昨日屋敷をぐるりとたどった道のりの草を刈りながら北館へと向かう。
 完全に使用人の為の廊下となっている西館と一番最初に建てられたと言っていた古い北館の間には中庭に入る為の門もあるぐらいの大きな入口があった。
 何でも昔大道芸を呼んで中庭で披露させたとかそう言った事もしていた場所だと言ってはいたが……
 入口はさびた鍵で閉ざされていたものの、古すぎて何度か蹴った所で鍵が壊れて入れると言うそんな危うい屋敷のセキュリティ状態にルヴィ様に報告が必要だわと今夜にでも連絡しなくちゃと頭の中にメモを取っておいた。
 そして大きく両側に開いた入口の扉を開いた所で見た物はやはりと言うか……

「大草原だ……」

 中庭で大草原とはこれいかに……
 ではなく、単なる雑草が生え放題で床が見えなくなってるだけなのだが外の庭もそうだが中庭も草生え放題に笑うしかないのは草ゆえだろうか。
 中央に生えてる木には鳥の巣もちゃんとあって急に開かれた扉のせいで何処かへと飛び立って行ってしまった。

「美味しい卵あるかしら?」

 無精卵なら美味しく頂くが有精卵でそこそこ育っているとちょっとしたトラウマになったのはすでに過去の話し。
 貴重な新鮮なタンパク源の確保は必須だ。
 とりあえず中庭の様子を見れる範囲で草を刈りつつ様子を見れば西側の塔の一階の窓ガラスは破れている所もあり、覗いてみればそこから雨が入ったのか大変な事になっていた。
 とりあえずそこまでたどり着くのはまだ先の話しだからと無視をしながら屋敷に草が絡まない様にと中庭をマッピングをしながらぐるりと回る。
 屋敷に対して中庭はこの対比かとマップの機能の優秀さに感心していれば気が付けば草刈りを完了していた。
 実家では常に草刈りをしなくてはいけない為に無意識で草を刈っていた時の癖と言うか、常日頃やっていたせいで無意識で一定より育った草を刈ってしまったが……

「まあいいか。どうせ刈るつもりだったし……」

 してしまったものはしょうがないと門の内側にある北館に入るドアを押すも引いても開かない。
 どうやって入るかと思うも見つけたのは西館の割れた窓。
 まさかここからお邪魔する事になるとはと……割れた窓をもう少し大きく広げて何とか腕を伸ばして鍵を外す。
 そしてガタガタとすべりの悪い窓を開けて……侵入した。

「臭い……」

 雨水を吸ったカーテンが乾かされずにカビが生え、室内には風通しの悪さに床や壁にも苔ではなくカビが生えていた……
 体に悪いと根本的な対策ではないが窓を開けながらカーテンを外す。
 このカーテンはもう使えないなと、使えないなら雑巾にしてしまえばいいとカーテンを外して何かに使おうと庭に放り出しておいた。
 それから一度二階に上がってから北館に回って階段を下りればそこはごろごろと酒瓶が転がる廊下になっていた。
 うん。誰がこうしたかは聞かないよ。
 小窓から見た廊下にも室内にも転がる空き瓶は総てルヴィ様が消費した物。
 食堂近辺のワインの瓶なんてルヴィ様とワインのコンビしか想像がつかない。

「危ないなぁ」

 とりあえず草刈りの魔法を応用して風量を調節して酒瓶をゴロゴロと通路の角へと押しやる。
 ほんと庭師の魔法って便利!あの庭師は元気かしらと、年齢的には達者だろうからまだ働く気があるのならルヴィ様にお願いして雇ってもらいたく思うも彼の居場所を知らなくて無理な話に溜息は零れた。
 ともあれこれで難なく北棟のたぶんメインキッチンへと侵入する事が出来るのだ。
 そっと扉を開けて中の様子を伺い……
 慌てて扉を閉めた。




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