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仲良しの為のまず一歩。ルヴィとメルの主従コンビ誕生?

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 気づいてしまえばさっきまでのすぐに反抗的になってしまう私の幼さが嫌になってしまう。これでは無知と言われても反論できないと思考が遅くなってしまうもベルリオーズ様は私の半生なんて気にもしないでどんどん進めていく。
 出入り口を押せばずっと線だった場所に丸い点が付いた。

「そうしたら出入り口の扉の幅の分だけ歩いてまた叩く」

 言われたとおり出入り口の右側で軽く叩いてそのまま左側に辿り着いたらまた叩く。
 そうすると黄色いラインの点と点の間が赤色に変った。

「赤色は出入り口の場所よ。
 右側の文字も赤いでしょ?判らなくなったらこの画面を呼び出して色を確認してね。そしてもう一度二回叩けば文字は消える。どう簡単でしょ?」
「おお、簡単便利です!」

 これなら何かあった時で入口を目指して歩けばいいんだと感心してしまえば

「さあ、この調子で進むわよー!
 早く来ないと置いてっちゃうわよー!」
「やだ!待ってください!!!」

 魔力を流しながらベルリオーズ様の背中を追いかけるようについて行く。侯爵家なだけに我が家の何倍も大きくて、そして手入れされてない庭や中が見えてしまう部屋の様子にもの悲しさを覚えてしまう。
 何でこんな事になったのか簡単には教えてくれそうもないけど、かつては豪華絢爛と夜な夜なパーティを繰り広げていただろうその様子を思い浮かべれば寂しさが広がった。
 アーヴィン家だってかつてはそうだったのだから……
 幼い頃の記憶を思い出して少しだけ懐かしく、そして取り戻す事の出来ない日々にただ黙々と歩くだけになってしまったけど、それが良かったのか気が付けばスタート地点の玄関に立っていた。

「お疲れさん。最後にスタート地点の点を叩けば屋敷の外周の地図は完成よ」

 声をかけられてふと我に返った所で慌てて与えられた指示にスタート地点の点をトンと叩く。 
 そうすればずーっと線を描き続けてきたの地図がぎゅーっと小さくなって

「わ、わ、わ、この汚屋敷ってこのような形をしてたのですね!」
「ふっふっふー、意外と裏側は複雑でしょ?
 昔に建てた古い屋敷を一つにした名残が今の姿なの」
「歴史を感じますね!」
「今日は足を運ばなかったけど北側の棟の間から中庭に入る事が出来るから、お客も来ない間は洗濯物を干すのにちょうどいいわよ。
 そこからメインキッチンにも入れるのよ」
「その前に道の確保ですね……」

 散々だった道のりのおかげでベルリオーズ様のズボンの裾や私のワンピースの裾には草の種がこれでもかと付いている。
 お互いその姿に笑ってしまう。

「部屋に戻ったらまず着替えね。
 メリッサは隣の炊事場に炊事当番の休憩室があったと思ったから広くはないけどそこを使いなさい。
 竈の近くだから温かいはずよ」
「ありがとうございます」

 二人で踏みしめた獣道をまた歩きながら屋敷の残り一室となった部屋に入って炊事場の竈の近くにあると言う部屋を探せば、きっと一番の新入りが最後まで洗い物をする為にと誂えられた部屋があった。
 いかにも下っ端向けの硬い粗末なベットがあり、すぐ横には小さな箪笥があった。
 机や椅子はないけどベットと箪笥の位置がちょうどいい関係。
 長い間使われた形跡はなく竈の隣でカビの匂いはしないけど埃は積もりに積もっていたものの側には水場もあるのだ。掃除すれば何とかなると不安はない。

「悪いわね、今はこんな小さな部屋しか用意してあげれなくて」
「いえ、温かい部屋をご用意して下さってありがとうございます」
「おや、素直なのね?」
「本音言えば路地裏で寝なくちゃいけないのを覚悟していたので、屋根があって壁があって床がある場所でベットで寝れるとなれば文句はありません」
「そこはもうちょっと強欲になりなさいよ」

 苦笑するベルリオーズ様は一つ頷いて

「メリッサのギルドカードちょっと見せてくれる?」

言われてすぐに取り出して差し出せば

「起動して次のページちょっと見せてもらえるかしら?」

 言われて操作をして言われたページを広げた。
 そこはわたしのHP/MPなどが書かれたページで、私は今一つその意味を分かっていない。
 だけどさすが宮廷魔道士様そこに書かれた数字を見て何やら難しい顔をしながら頷いてそのまま片づけるように言った所で

「メリッサに一つ常識を教えておくわ。
 ギルドカードはメリッサの色々な情報が記されているの。
 だから幾らおっさんがお願いしたからって言っても人には見せちゃだめよ」
「え?」
「まぁ、メリッサが良いって言うのなら見せても構わないけど、働いたお給金の金額だって記載されているんだから、なるべく人に見せないようにしなさい」
「あ……へ?」

 まだよくわかってないメリッサに

「そうだ。おっさんの事ベルリオーズ何て毎回呼ぶのめんどくさいでしょ?親しい者や家人にはルヴィって呼ばれてるの。
 この屋敷に二人きりなんだし、仲良し作戦って事でそう呼んでいいわよ」
「ルヴィ……様?」
「メリッサはメルかしら?
 せっかくだから愛称で呼び合いましょう!
 何だか学生の時に戻ったみたいで楽しいわぁ!」
「は?」

 そう言いながら俺は炊事場を出て境の扉を閉めた。
 そして荷物も何もないソファに寝転び

「危なーい、俺様とあろうものが驚いて悲鳴を上げる所だった」

 先ほどとは違う口調で天井を見上げた姿勢のまま目を瞑る。

「あの子執事に魔法操作教えてもらったって言った程度の実力だと思ったのに、何で俺様と同等のレベルの魔力保持量を持ってるんだ?」

 ちょっといじわるして追い出すつもりだったのにと一呼吸して

「まぁ、だからあの燃費の悪くて不評なマッピング機能を使いこなせるわけなんだけど、普通あの年頃なら最初の角を曲がる頃には魔力切れでぶっ倒れるはずんだが」

 頭の中を整理していれば隣の炊事場から何やら物音が聞こえてきた。掃除でも始めたのかとお嬢様なはずなのに何やらリズムよく動く物音に感心してしまう。
 皿の割れる音も物の落下音もなく、ただただ移動する足音と物を移動させる音のみがリズム良く続く。

「ずいぶん慣れてるのね」

 本来なら不快であるべき雑音だが、静かすぎるこの屋敷に久しぶりに人が作り出す生活の音に耳を傾けながら遠くなる意識に流されるまま眠りに就くのだった。
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