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星屑物語 28
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そのままテンションを上げる事もなく歩いて5分。
セラート工房の前に立ち俺は二人に新しい家を紹介する。
ああ、ここが……
長く王都に住む二人の為にこの立地に如何に良い家なのか距離で決める所なので意識を遠くに飛ばしながら笑っていたが……
「ファウエルだったな。
三人で道の真ん中で店から他所の家を何時までも眺めている物じゃないぞ?
店に入るなら早く入らないか」
声を掛けられて振り向けばジョウロを持つ男が立っていた。
何時の間にだろうか……
仕立てのいい服に身を包み、整えられたくすんだ金の髪と空色の瞳の男はその姿に不釣り合いながらも花壇に水をまきながら入るように促してきた。
店員だろうか?
店員にしては不機嫌そうな顔を隠さず態度は尊大で思わず三人そろって黙り込んでしまう。
「あ、はい……」
慌てて店へと入ろうとするも、くすんだ金の髪の男は止まって振り向いて少し考えるように首を傾けて
「その二人もお前の連れか?」
「はい、隊の部下になります」
「なるほど。
まあいい。その二人も一緒に店に入れ」
男が手首に付けたブレスレットにジョウロを片付けるのをみて珍しい形のアイテムボックスだなと三人で感心している合間に扉を大きく広げてどうぞと俺達の為に大きくドアを開けてくれた。
噂に聞く店と初めて出会う店員のどうでもよさげな対応は想像からは全く違う為に思わず三人せ視線を合わせてどういう事だと言うも
「さっさと入れ!
こっちは時間を調節して来てるんだから言われたとおりにしろ!」
「ええー?!」
「あ、はい」
「お邪魔します?!」
予想もしない待遇に思わず駆け込むように店の中に入るのだった。
だけどそれも入る所まで。
外の世界とは全く別の芸術が所狭しと並んでいた。
クラシカルな落ち着いた店内をぽかんと口を開けて壁やガラスの張られた机を見る。
剣や魔法の杖と言った武器類から美しい首飾り、大粒の宝石が揺れる耳飾り。
これはもう武器ではないのかと言いたくなるような宝石が飾る指輪が所狭しと並べられていた。
もちろんその価値をそぐわないようにと優雅に並べられていたが、目の前に広がる芸術だけでどれほどの価値があるのか計算する事を脳は拒否をしていた。
と言うか、噂以上の品の数々に今見ている物を脳内が活動を拒否していた。
「他にもこう言った物が奥にあるからどういった物か決まったら声を掛けてくれ」
そう言って男は下がったかと思ったらかわりに給仕の服を着た女性がお茶を運んできてくれた。
「いらっしゃいませ。
本日店主は不在ですが代わりに私カヤと先ほどの店主代理のブレッドがお相手させていただきます。
ファウエル様この度はアリアーネ様とのご結婚おめでとうございます。
店主一同お祝いを申し上げます」
さっきの男と比べて給仕の娘カヤは丁寧に頭を下げての祝辞を述べる。
店の品格を表すには素晴らしい女性だった。
「ありがとうございます」
なんか久しぶりにほっとする人物の出現には補佐や副隊長にも伝わり、二人の顔にも笑みが浮かんでいた。
暫く店内を見学してる間に中央にセッティングされたテーブルに俺達三人にお茶と菓子をふるまってくれた。
俺もだいぶ見慣れたが二人も驚いたように母のお気に入りのアンティークの茶器は既に見慣れたグレゴール家と同じもの。
震える手の二人を他所に俺は慣れた物だと言わんばかりの優雅さで茶器を傾ける。
二人の視線に少し尊敬の色が混ざってた。
そんな俺達がお茶を一口口に含んで茶器を下ろすのを見計らい
「ナタリーから話は受けてますがファウエル様はどのような物をお贈りするかお考えですか?」
カヤはいくつかの宝石を布張りのトレーに女性に人気のある宝飾品を幾つか並べて膝をついて俺達のテーブルで提案してくれる。
話しやすいように男の人をとナタリーは言ってくれたが、ゆったりとした落ち着きのある口調のこの子ならそれでもいいかもと思うも
「生憎女性に宝石を贈るのは初めてで、どういった物が流行かもわからないんだ」
素直に白状すればカヤは小さくほほ笑む。
なんて微笑ましいと言わんばかりの表情に隣の副隊長がもぞもぞと居心地悪そうにしていた。
と言うか、カヤに惚れたなと単純な脳内構造に補佐も同じタイミングで溜息を吐いた。
「初めてでしたらまずシンプルな物からいかがでしょう?」
更にいくつか取り出してきた宝飾品のトレーの内のひとつからセラート工房ではシンプルなデザインの指輪、首飾り、髪飾り、耳飾りをいくつか用意してくれていた。
飾り気のない、でも美しくカッティングされた小さな石をはめ込んだ……
学生の頃隣に座る友人が女の子にプレゼントしていたような物だが、お値段はびっくりする物なんだよなと考える物の、先日東の方と言う人からもらった繊細な宝飾に囲まれているアリーにこれはおもちゃじゃなかろうかと首をかしげる。
さすがにアリーを知るカヤもこの選択は間違ったかと思って確証をしながらトレーを下げながら
「失礼しました。
アリー様は店主がこれでもかと甘やかしてしまいましたのでファウエル様にも失礼でした。
なので……」
「と言うか、お前予算はいくら持って来た」
奥からくすんだ金の髪の男が初対面にもかかわらず尊大な態度で戻ってきた。
値踏みするような視線に俺はとりあえずすぐ動かせる事の出来る財産の金額
「金貨二百枚ならすぐに、時間を貰えば倍以上は用意できます」
その言葉に両方から息をのむ声が聞こえるも、目の前の男は溜息を吐く。
足りなかったか……なんておもうも男はカヤの反対にある正面の椅子に座り
「因みにお前の月の給金はいくらだ?」
「金貨三十枚ほど」
「隊長職だったな?」
「はい……」
何でこんな事を言わなければと、両隣に座る二人よりも多い金額に何やら視線が痛い。
「まぁ、その歳で隊長職なら妥当な金額だな。
とならば、金貨三十枚の品で検討しよう。
物は店主からの好意で好きな物をと言われていたが、それはお前の為にもアリーの為にもならない。
そうだな。
せっかくだからお揃いの指輪なんてどうだ?」
言えばカヤがそそと動いていていくつかショーケースから取り出してきた。
「東の国では結婚にはお揃いの指輪を用意するなんて風習があるから、初めての贈り物ならそれぐらいの小物の方が良いだろう」
意外な方法ではじき出した予算金額と意外にもまともな提案がされて少しだけこの尊大な態度の男を見直してしまった。
普通にプレゼントするなら高いと思われる金額だが、婚約も式もすっ飛ばした結婚の初めてのプレゼントとしては妥当ではないかと思う。
もちろん金貨三十枚と言う金額に両隣はもちろん、俺は想定した金額よりはるかに安くて驚いていたが、出された茶菓子で指輪二個で金貨三十枚は本当に妥当かと思考を働かせている脳の為にも糖分を取っていればすぐにカヤが奥からさらにトレーに美しい指輪を幾つか並べて持ってきていた。
先ほど見せてもらった者より繊細な彫刻が施された物や、透明な美しい輝きの石が嵌められた指輪だったり……
「というか、なんでお揃いなのでしょうか?」
副隊長が聞けば
「折角夫婦になるのだからお揃いと言うのも仲を深めるアイテムになるだろう」
「そう言う物ですか?」
「さあ?だが少なからず俺の知り合いの愛妻家の奴はお揃いの物を必ず用意していた。
だからお前達みたいな恋愛初心者にはお互いを意識する様にお揃いの物を進めようと思っている」
「恋愛初心者ですか……」
「ナタリーから聞いたが他人に相談を求めるあたりそういう事だ」
「まぁ、あの家に暮らしていて欲しがるものが想像できなくて……」
「そんな詰まらん事考えてたのか?」
「まぁ、一応……」
なんとなく乾いた笑いを零してしまう。
「とはいえ、アニーの目は肥に肥えてるし宝飾には一切興味ない。
だからこう言った物でアニーにも結婚したと言う意識を植える為にも、そしてお前の周辺の女にも愛妻家とまでは言わないが奥さんを大切にしているって意味合いも込めてお揃いと言う魔除けを俺は勧めるが?」
「ああ、なるほど。
それなら隊長にピッタリの物になりますね?」
「やっぱりファウエルはモテるのか?」
「そりゃ侯爵家の二男で隊長でこの顔ですからモテモテですよ?」
「となると魔除けならぬ女除けって事で隊長が普段から付けていない指輪がいいっすね?」
「なら後は好きなデザインだ」
何故か俺よりも周囲で盛り上がる中一つの希望を言っておく。
「俺これでも剣を持つのが仕事なのであまりごてごてしてない物がいいですね」
「だったらこれな」
ごてごてしてない物と言ったのに何故か謎の文字が書かれた物を押し付けられてしまった。
形はいたってシンプル、文字も流れるような美しい文字なのだがどこの国の文字かも意味も不明。
「指輪には……まぁ、祝福をって書いてある。
遠い国の言葉だ」
「魔力を帯びているみたいだから一種のお守りでしょうか?」
持って見て気づく柔らかな波動は魔力の動き。
「ああ、うちが他の店舗より高額なのは上質な魔石などを遠慮なく使わせてもらってる事だろう。
そうそうに砕ける事はないから一生物、子供から孫に与えても問題ない質は保障する。
とはいっても指輪なんて年月が過ぎれば変形もするし、人間いつまでも同じ体型で居るわけはない。
その時は遠慮なく買い替えてくれ」
「あはは、10年ほどしたらまた……」
「ま、そんなもんだな」
「で、アリーにはいつもごちゃごちゃしたようなデザインばかり贈りつけてたからこれぐらいシンプルな物はどうだと思ってるのだが?」
とはいっても指輪がねじられてその側面にいくつかの宝石が付いたいたってシンプルすぎる物。
そして俺とお揃いのデザインなので同じ文字が描かれている。
「あの子は宝飾に興味持たないからこれぐらいの物の方が長く身に着けてくれるだろう。
店主が女の子だからってやたらとかわいらしい物を与えたがるが、あの子の性格じゃこう言った方を好むはずだ」
「なるほど」
それを反映するかのようにアリーのドレスはシンプルな物が多い。
一理あるなと感心してしまう。
「まぁ、次回までにはアリーの趣味を理解してこい。
宿題だな」
そう言いながら店主代理は立ち上がり
「次はうちの店主から言われてるんだが結婚の祝いの品を贈りたいからって頼まれてる。
もう少し付き合ってくれ」
言いながら俺達は宝石で輝く室内から奥の扉を潜って別室へと案内された。
セラート工房の前に立ち俺は二人に新しい家を紹介する。
ああ、ここが……
長く王都に住む二人の為にこの立地に如何に良い家なのか距離で決める所なので意識を遠くに飛ばしながら笑っていたが……
「ファウエルだったな。
三人で道の真ん中で店から他所の家を何時までも眺めている物じゃないぞ?
店に入るなら早く入らないか」
声を掛けられて振り向けばジョウロを持つ男が立っていた。
何時の間にだろうか……
仕立てのいい服に身を包み、整えられたくすんだ金の髪と空色の瞳の男はその姿に不釣り合いながらも花壇に水をまきながら入るように促してきた。
店員だろうか?
店員にしては不機嫌そうな顔を隠さず態度は尊大で思わず三人そろって黙り込んでしまう。
「あ、はい……」
慌てて店へと入ろうとするも、くすんだ金の髪の男は止まって振り向いて少し考えるように首を傾けて
「その二人もお前の連れか?」
「はい、隊の部下になります」
「なるほど。
まあいい。その二人も一緒に店に入れ」
男が手首に付けたブレスレットにジョウロを片付けるのをみて珍しい形のアイテムボックスだなと三人で感心している合間に扉を大きく広げてどうぞと俺達の為に大きくドアを開けてくれた。
噂に聞く店と初めて出会う店員のどうでもよさげな対応は想像からは全く違う為に思わず三人せ視線を合わせてどういう事だと言うも
「さっさと入れ!
こっちは時間を調節して来てるんだから言われたとおりにしろ!」
「ええー?!」
「あ、はい」
「お邪魔します?!」
予想もしない待遇に思わず駆け込むように店の中に入るのだった。
だけどそれも入る所まで。
外の世界とは全く別の芸術が所狭しと並んでいた。
クラシカルな落ち着いた店内をぽかんと口を開けて壁やガラスの張られた机を見る。
剣や魔法の杖と言った武器類から美しい首飾り、大粒の宝石が揺れる耳飾り。
これはもう武器ではないのかと言いたくなるような宝石が飾る指輪が所狭しと並べられていた。
もちろんその価値をそぐわないようにと優雅に並べられていたが、目の前に広がる芸術だけでどれほどの価値があるのか計算する事を脳は拒否をしていた。
と言うか、噂以上の品の数々に今見ている物を脳内が活動を拒否していた。
「他にもこう言った物が奥にあるからどういった物か決まったら声を掛けてくれ」
そう言って男は下がったかと思ったらかわりに給仕の服を着た女性がお茶を運んできてくれた。
「いらっしゃいませ。
本日店主は不在ですが代わりに私カヤと先ほどの店主代理のブレッドがお相手させていただきます。
ファウエル様この度はアリアーネ様とのご結婚おめでとうございます。
店主一同お祝いを申し上げます」
さっきの男と比べて給仕の娘カヤは丁寧に頭を下げての祝辞を述べる。
店の品格を表すには素晴らしい女性だった。
「ありがとうございます」
なんか久しぶりにほっとする人物の出現には補佐や副隊長にも伝わり、二人の顔にも笑みが浮かんでいた。
暫く店内を見学してる間に中央にセッティングされたテーブルに俺達三人にお茶と菓子をふるまってくれた。
俺もだいぶ見慣れたが二人も驚いたように母のお気に入りのアンティークの茶器は既に見慣れたグレゴール家と同じもの。
震える手の二人を他所に俺は慣れた物だと言わんばかりの優雅さで茶器を傾ける。
二人の視線に少し尊敬の色が混ざってた。
そんな俺達がお茶を一口口に含んで茶器を下ろすのを見計らい
「ナタリーから話は受けてますがファウエル様はどのような物をお贈りするかお考えですか?」
カヤはいくつかの宝石を布張りのトレーに女性に人気のある宝飾品を幾つか並べて膝をついて俺達のテーブルで提案してくれる。
話しやすいように男の人をとナタリーは言ってくれたが、ゆったりとした落ち着きのある口調のこの子ならそれでもいいかもと思うも
「生憎女性に宝石を贈るのは初めてで、どういった物が流行かもわからないんだ」
素直に白状すればカヤは小さくほほ笑む。
なんて微笑ましいと言わんばかりの表情に隣の副隊長がもぞもぞと居心地悪そうにしていた。
と言うか、カヤに惚れたなと単純な脳内構造に補佐も同じタイミングで溜息を吐いた。
「初めてでしたらまずシンプルな物からいかがでしょう?」
更にいくつか取り出してきた宝飾品のトレーの内のひとつからセラート工房ではシンプルなデザインの指輪、首飾り、髪飾り、耳飾りをいくつか用意してくれていた。
飾り気のない、でも美しくカッティングされた小さな石をはめ込んだ……
学生の頃隣に座る友人が女の子にプレゼントしていたような物だが、お値段はびっくりする物なんだよなと考える物の、先日東の方と言う人からもらった繊細な宝飾に囲まれているアリーにこれはおもちゃじゃなかろうかと首をかしげる。
さすがにアリーを知るカヤもこの選択は間違ったかと思って確証をしながらトレーを下げながら
「失礼しました。
アリー様は店主がこれでもかと甘やかしてしまいましたのでファウエル様にも失礼でした。
なので……」
「と言うか、お前予算はいくら持って来た」
奥からくすんだ金の髪の男が初対面にもかかわらず尊大な態度で戻ってきた。
値踏みするような視線に俺はとりあえずすぐ動かせる事の出来る財産の金額
「金貨二百枚ならすぐに、時間を貰えば倍以上は用意できます」
その言葉に両方から息をのむ声が聞こえるも、目の前の男は溜息を吐く。
足りなかったか……なんておもうも男はカヤの反対にある正面の椅子に座り
「因みにお前の月の給金はいくらだ?」
「金貨三十枚ほど」
「隊長職だったな?」
「はい……」
何でこんな事を言わなければと、両隣に座る二人よりも多い金額に何やら視線が痛い。
「まぁ、その歳で隊長職なら妥当な金額だな。
とならば、金貨三十枚の品で検討しよう。
物は店主からの好意で好きな物をと言われていたが、それはお前の為にもアリーの為にもならない。
そうだな。
せっかくだからお揃いの指輪なんてどうだ?」
言えばカヤがそそと動いていていくつかショーケースから取り出してきた。
「東の国では結婚にはお揃いの指輪を用意するなんて風習があるから、初めての贈り物ならそれぐらいの小物の方が良いだろう」
意外な方法ではじき出した予算金額と意外にもまともな提案がされて少しだけこの尊大な態度の男を見直してしまった。
普通にプレゼントするなら高いと思われる金額だが、婚約も式もすっ飛ばした結婚の初めてのプレゼントとしては妥当ではないかと思う。
もちろん金貨三十枚と言う金額に両隣はもちろん、俺は想定した金額よりはるかに安くて驚いていたが、出された茶菓子で指輪二個で金貨三十枚は本当に妥当かと思考を働かせている脳の為にも糖分を取っていればすぐにカヤが奥からさらにトレーに美しい指輪を幾つか並べて持ってきていた。
先ほど見せてもらった者より繊細な彫刻が施された物や、透明な美しい輝きの石が嵌められた指輪だったり……
「というか、なんでお揃いなのでしょうか?」
副隊長が聞けば
「折角夫婦になるのだからお揃いと言うのも仲を深めるアイテムになるだろう」
「そう言う物ですか?」
「さあ?だが少なからず俺の知り合いの愛妻家の奴はお揃いの物を必ず用意していた。
だからお前達みたいな恋愛初心者にはお互いを意識する様にお揃いの物を進めようと思っている」
「恋愛初心者ですか……」
「ナタリーから聞いたが他人に相談を求めるあたりそういう事だ」
「まぁ、あの家に暮らしていて欲しがるものが想像できなくて……」
「そんな詰まらん事考えてたのか?」
「まぁ、一応……」
なんとなく乾いた笑いを零してしまう。
「とはいえ、アニーの目は肥に肥えてるし宝飾には一切興味ない。
だからこう言った物でアニーにも結婚したと言う意識を植える為にも、そしてお前の周辺の女にも愛妻家とまでは言わないが奥さんを大切にしているって意味合いも込めてお揃いと言う魔除けを俺は勧めるが?」
「ああ、なるほど。
それなら隊長にピッタリの物になりますね?」
「やっぱりファウエルはモテるのか?」
「そりゃ侯爵家の二男で隊長でこの顔ですからモテモテですよ?」
「となると魔除けならぬ女除けって事で隊長が普段から付けていない指輪がいいっすね?」
「なら後は好きなデザインだ」
何故か俺よりも周囲で盛り上がる中一つの希望を言っておく。
「俺これでも剣を持つのが仕事なのであまりごてごてしてない物がいいですね」
「だったらこれな」
ごてごてしてない物と言ったのに何故か謎の文字が書かれた物を押し付けられてしまった。
形はいたってシンプル、文字も流れるような美しい文字なのだがどこの国の文字かも意味も不明。
「指輪には……まぁ、祝福をって書いてある。
遠い国の言葉だ」
「魔力を帯びているみたいだから一種のお守りでしょうか?」
持って見て気づく柔らかな波動は魔力の動き。
「ああ、うちが他の店舗より高額なのは上質な魔石などを遠慮なく使わせてもらってる事だろう。
そうそうに砕ける事はないから一生物、子供から孫に与えても問題ない質は保障する。
とはいっても指輪なんて年月が過ぎれば変形もするし、人間いつまでも同じ体型で居るわけはない。
その時は遠慮なく買い替えてくれ」
「あはは、10年ほどしたらまた……」
「ま、そんなもんだな」
「で、アリーにはいつもごちゃごちゃしたようなデザインばかり贈りつけてたからこれぐらいシンプルな物はどうだと思ってるのだが?」
とはいっても指輪がねじられてその側面にいくつかの宝石が付いたいたってシンプルすぎる物。
そして俺とお揃いのデザインなので同じ文字が描かれている。
「あの子は宝飾に興味持たないからこれぐらいの物の方が長く身に着けてくれるだろう。
店主が女の子だからってやたらとかわいらしい物を与えたがるが、あの子の性格じゃこう言った方を好むはずだ」
「なるほど」
それを反映するかのようにアリーのドレスはシンプルな物が多い。
一理あるなと感心してしまう。
「まぁ、次回までにはアリーの趣味を理解してこい。
宿題だな」
そう言いながら店主代理は立ち上がり
「次はうちの店主から言われてるんだが結婚の祝いの品を贈りたいからって頼まれてる。
もう少し付き合ってくれ」
言いながら俺達は宝石で輝く室内から奥の扉を潜って別室へと案内された。
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